2歳児クラスで折り紙をやってみたいと考える保育学生さんもいるのではないでしょうか。指先の感覚や図形への興味を育める折り紙遊びは、保育で取り入れたい活動の一つですよね。今回は、2歳児が楽しめる簡単な折り紙のアイデアを紹介します。2歳児に見られる発達の特徴をふまえたねらいや、援助のポイントもまとめました。
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■目次
2歳児にとっての折り紙遊びとは
2歳児と折り紙をして遊ぶときは、どのような活動内容になるのでしょうか。
2歳児にみられる発達の特徴や、ねらいを紹介します。
2歳児の特徴
2歳児になると指先が器用になり、紙を小さくちぎったり、紐通しをしたりと細やかな動きや力加減が上手になる子どももいるようです。
また、身の回りの形に興味を持ち、「まる」「さんかく」「しかく」と図形の名前が分かるようになる頃と言えるでしょう。
折り紙遊びでは、指先を使って折り紙を折り、さまざまな形ができる面白さがあります。
一人ひとりの子どもの発達に合わせて取り入れていきましょう。
さらに、何でも自分でやろうとする姿が見られるようになるのも2歳児の特徴かもしれません。
さりげなく手を添えながら、頑張ってやろうとする気持ちを認めて褒めることが大切となりそうですね。
2歳児が折り紙をするときのねらい
2歳児が折り紙で遊ぶときのねらいには、以下のようなものが挙げられます。
- 折り紙に親しみを持ち、折り目をつけようとする。
- 折り紙を折ってさまざまな形を作ることを楽しむ。
- 保育学生さんの手本を真似ながら折ろうとする。
折り紙を折って形が変わること自体を楽しいと感じたり、保育学生さんと同じようにしたいと感じたりといった子どもの姿を予想してねらいを立ててみましょう。
実習や入職後に行なう際には、担当クラスの子どもの発達に合わせて、「折り目の付け方を知ろうとする」「裏と表を意識しながら折り進めようとする」などと調整するとよいかもしれません。
2歳児が楽しめる折り紙アイデア:食べ物
食べ物をモチーフにした、簡単な折り紙アイデアを紹介します。
かき
用意するもの
- 折り紙(オレンジ) 1枚
- 緑のペン
作り方
1.折り紙を三角になるように半分に折り、さらにもう一度半分に折ります。
2.上の頂点を中心に向かって折ります。
3.上に向かって少し折り戻します。
4.(2)と同じように、下の頂点も中心に向かって折ります。
5.左右の頂点を、中心に向かって半分まで折ります。
6.裏返して、上の頂点を下に向かって折ります。
7.(6)で裏返した部分をペンで塗ればできあがりです。
ポイント
秋にぴったりなかきの折り紙製作です。
半分に折れるようになった子どもと挑戦してみましょう。
中心の印にぴったり合わせることが難しくても、かきらしい形になるので、折り紙を始めたての子どもでも楽しむことができそうです。
黒いペンで点々をかいてみかんに見立てれば、冬の製作にも活かせるかもしれませんね。
メロン
用意するもの
- 折り紙(黄緑)
- 折り紙(緑)
- ペン
- テープ
作り方
1.折り紙を三角になるように半分に折り、さらにもう一度半分に折ります。
2.一度すべて開き、4つの頂点を中心に向かって折ります。
3.さらに4つの頂点を内側に向かって少し折ります。
4.(3)の両端を内側に向かって折り、全体が丸くなるように形を整えます。
5.裏返し、ペンで網目をかきます。
6.細長くカットした緑の折り紙を、縦に半分になるよう2回折ります。
7.横に半分になるように折ります。
8.先端を左右に広げるように折り返します。
9.枝をメロン本体に貼り付けたらできあがりです。
ポイント
夏にぴったりなメロンの折り紙アイデアです。
丸くなるよう形を整える工程では、指先を使って細かく折ることが難しいと感じる子どももいるかもしれません。
子どもの発達に合わせて、(4)の工程はスキップしてもよいでしょう。
枝は2歳児の子どもが折ってもよいですが、保育学生さんがあらかじめ用意しておくとスムーズかもしれません。
だいこん
用意するもの
- 折り紙(白) 1枚
- 折り紙(緑) 1枚
- のり
作り方
【だいこん】
1.白い折り紙を長方形になるように半分に折ります。
2.中心線に向かって上下を折ります。
3.向きを変え、中心線に向かって両端を三角に折ります。
4.上の部分の両端を少しだけ折ります。
5.裏返せばだいこん本体のできあがりです。
【葉っぱ】※葉っぱは保育学生が作っても可
1.緑の折り紙を、三角になるように半分に折ります。
2.さらに半分に折ります。
3.開いて上下逆さまにします。
4.内側に向かって折ります。
5.裏返し、中心線と下の2辺が重なるよう折ります。
このとき裏の紙には折り目をつけず、表に出てくるように折ります。
6.大根本体に貼り付けてできあがりです。
ポイント
2種類の折り紙を組み合わせて作る、だいこんの折り紙アイデアです。
白い折り紙の代わりにオレンジを使えば、にんじんを作ることもできそうですね。
葉っぱは折り紙を何度も折る必要があり、少し難しいかもしれません。
保育学生さんが補助したり、画用紙やスズランテープで代用したりしてもよいでしょう。
2歳児が楽しめる折り紙アイデア:動物・自然
動物や自然をモチーフにした、簡単な折り紙アイデアを紹介します。
動物
いぬ・ねこ
<用意するもの>
- 折り紙 2枚
- 鉛筆
<作り方>
【いぬ】
1.三角になるよう半分に折ります。
2.さらに半分に折り、折り目をつけます。
3.両端を下側に折り、耳を作ります。
4.下の頂点を上側に折り、鼻と口を作ります。
5.顔をかいてできあがりです。
【ねこ】
1.三角になるよう半分に折ります。
2.さらに半分に折り、折り目をつけます。
3.両端を上側に折り、耳を作ります。
4.上の頂点を下側に折り、頭を作ります。
5.裏返して顔をかいたらできあがりです。
<ポイント>
三角折りだけで簡単に作ることができるので、最初の折り紙としてチャレンジしてみるのもよさそうです。
鉛筆で顔をかく他にも、シールで目や鼻を表現しても面白い作品になりそうですね。
ねこの折り方は難易度が高いため、いぬの折り紙ができた子どもからねこに挑戦してみるとよいでしょう。
きつね
<用意するもの>
- 折り紙
- ペン
<作り方>
1.三角になるよう半分に折ります。
2.直角部分の頂点を少し折り返します。
3.裏返して、下の頂角が60°くらいになるように両端を折ります。
4.裏返して、顔をかいたらできあがりです。
<ポイント>
秋や冬の製作にも活かせそうなきつねの折り紙です。
きつねの出てくる絵本や紙芝居を読んだあとに作れば、子どもたちもより折り紙を楽しめるかもしれません。
落ち葉を拾ってきて、頭の上にテープで貼り付けてもきつねらしさを表現できそうですね。
植物・自然
チューリップ
<用意するもの>
- 折り紙
- テープ
<作り方>
【チューリップ】
1.三角になるよう半分に折ります。
2.さらにもう一度半分に折り、折り目をつけます。
3.両端の辺が(2)の折り目と垂直に交わるよう折り、折り目をつけます。
4.(3)の折り目に合わせて袋状に開いて折ったらできあがりです。
【葉っぱ】
1.三角になるよう半分に折ります。
2.さらにもう一度半分に折り、折り目をつけます。
3.下の頂点を上に向かって半分になるよう折ります。
4.両端がひし形になるよう、中心線に向かって折ります。
5.チューリップに貼り付ければできあがりです。
<ポイント>
春にぴったりなチューリップの折り紙です。
袋状に広げる工程は、保育学生さんが手伝って作るようにしましょう。
さまざまな色で作って画用紙に貼り、花畑を作ってもよいかもしれません。
富士山
<用意するもの>
- 折り紙 1枚
<作り方>
1.折り紙の一辺をちぎります。
2.ちぎった部分を折り返します。
3.裏返して下の辺を上側に向かって少し折ります。
4.両端を斜めに折り、裏返せばできあがりです。
<ポイント>
簡単に作れる、富士山の折り紙です。
茶色やオレンジの折り紙で作れば、秋の紅葉した山を表現できるでしょう。
ちぎる工程は省いても構いません。
(4)の折る角度次第で、高い山になったり低い山になったりする様子を楽しめば、自然と図形の理解につながりそうですね。
2歳児が楽しめる折り紙アイデア:遊びに活用できるもの
人形遊びやお絵かきに活用することができる、簡単な折り紙アイデアを紹介します。
お家
用意するもの
- 折り紙 1枚
作り方
1.長方形になるように半分に折ります。
2.さらに半分に折って折り目をつけます。
3.上半分を中心線に向かって折ります。
4.裏返して、両端が中心線に重なるよう折ります。
5.上部を三角に折り、屋根を作ります。
6.左側を開いて広げ、下方向に広げるようにして折ります。
7.上に向かって折り返します。
8.左側を半分に折りながら広げます。
9.下半分を上に折り返し、裏返せばできあがりです。
ポイント
ごっこ遊びに活用できる、お家の折り紙アイデアです。
煙突ができるまで折っても構いませんが、子どもの発達によっては(5)の工程で完成としてもよいでしょう。
画用紙で人形を作って人形のお家にしたり、クラスみんなで作った家を模造紙などに貼り、住宅街を作ったりとさまざまに楽しめそうですね。
傘
用意するもの
- 折り紙 1枚
- 画用紙 1枚
- のり
作り方
1.長方形になるように半分に折ります。
2.さらに半分に折って折り目をつけます。
3.中心線に重なるよう、両端を下に向かって折ります。
4.丸みが出るよう、角を少しずつ折ります。
5.画用紙で作った持ち手を貼り付けてできあがりです。
ポイント
人形などに持たせて楽しむことができる、傘の折り紙です。
初夏の雨が多い時期に楽しむとよいかもしれません。
角を細かく折って丸くする作業は、指先の感覚の発達に役立ちそうです。
持ち手の部分は、保育学生さんが前もって切っておくとスムーズに作ることができるでしょう。
長靴
用意するもの
- 折り紙 1枚
作り方
1.一番下の辺を上に向かって少し折り返します。
2.裏返し、(1)で折ったところが左にくるよう配置したら、縦に半分に折ります。
3.開いて中心線に向かって折ります。
4.もう一度半分に折ります。
5.中心から少し左にずれたところで折ります。
6.開いて(5)の折り目に合わせながら直角に折ります。
7.裏返して角を丸くなるように折り返してできあがりです。
ポイント
冬、クリスマスの時期にぴったりな長靴の折り紙です。
人形に履かせて楽しむのもよいかもしれません。
(1)で折った部分が白いラインの模様になります。
両面に色がついた折り紙で作ってみれば、カラフルなかわいらしい長靴を作れそうです。
新幹線
用意するもの
- 折り紙 1枚
- ペン
作り方
1.下から1/3程度の位置で上に向かって折ります。
2.上下逆さまにして裏返し、下辺を上に向かって1cm程度折り返します。
3.上から1cm程度残しながら、左側を斜め上に向かって折ります。
4.裏返して、ペンで新幹線の絵をかけばできあがりです。
ポイント
走らせて遊ぶことのできる新幹線の折り紙です。
窓をかいたら、薄橙の丸シールを貼って顔をかき、子どもが乗っているようにアレンジしてみてもよいでしょう。
新幹線の図鑑や絵本を見ながら模様をかけば、よりイメージが深まって子どもは夢中で遊んでくれるかもしれません。
2歳児クラスで折り紙をするときのポイント
2歳児クラスで折り紙の活動を取り入れる際に気をつけたい援助のポイントを紹介します。
お手本を示す
まずは、折り方のお手本を保育学生さんが見せるようにしましょう。
完成作品を事前に見せることで、子どもたちは意欲を持ったり、イメージが湧いたりするかもしれません。
1回は保育学生さんが折り、2回目は子どもといっしょに折り進めていけばスムーズに進みそうですね。
数人で活動を進める場合は、大きな折り紙を折ってお手本を見せたり、ホワイトボードにお手本となる折り紙を貼り付けたりなど、教具を工夫してみましょう。
子どもにわかりやすい言葉で表現する
折り方を説明するときは、2歳児の子どもたちにもわかりやすい言葉を使うとよさそうです。
- 三角折り……お山折り
- 折り目をつける……指アイロンをかける
- 中心線に合わせる……真ん中の線とぴったんこ
- 裏、表……色つきの方、白い方
このような表現なら、子どもたちも理解しやすいかもしれません。
また、いきなり「指アイロンをかけてね」と言っても子どもには伝わらないでしょう。
保育学生さんが折り目をつける様子を見せながら「こんな風に、指でアイロンをかけるみたいにぎゅーっておさえるんだよ」と説明するとよいかもしれません。
子どものペースに合わせる
子どもが折るペースに合わせてゆっくりと進めていくようにしましょう。
2歳児では、まずは2人~4人など少人数ずつで活動を行なう形がスムーズかもしれません。
グループで作ることが難しい子は、自由遊びなどの時間に1対1で折り方を教えれば、その子のペースに合わせて折り進められるでしょう。
2歳児クラスで折り紙を楽しもう
今回は、2歳児の子どもが楽しめる折り紙のアイデアを紹介しました。
2歳児は手先が器用になるとともに、図形への興味が少しずつ養われてくる頃でしょう。
まずは折り紙に親しむことや、折り目をつけようとすることをねらいに定めて活動計画を立てるとよいかもしれません。
動物や食べ物、遊びに使える折り紙アイデアは、春夏秋冬の季節感を感じられるものもあり、子どもたちも意欲を持って取り組んでくれそうです。
保育学生さんがお手本を見せながら、子どものペースに合わせて折り進めてみてくださいね。