雨の日や夏の暑い日などに多くなりがちな室内遊び。保育園の幼児クラスで楽しめる遊びのレパートリーを増やして、外遊びが難しい時期も子どもたちと楽しく過ごせるとよいですね。今回は、幼児向けの室内遊びを、3歳児、4歳児、5歳児の年齢に分けて紹介します。ゲームや運動遊びを実習の際の活動で実践してみましょう。
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■目次
保育園の幼児クラスで室内遊びをするねらい
雨が続く梅雨時期や夏の暑さが厳しい日などは、保育園で室内遊びをすることも多いでしょう。
そのため、保育実習に参加する時期によっては、室内で楽しめる遊びを考える必要があるかもしれません。
そもそも、幼児クラスで行う室内遊びには以下のようなねらいがあるようです。
- 3歳児:友だちと遊びの場を共有しながら、簡単な集団遊びを楽しむ
- 4歳児:自分なりのイメージを身体の動きや言葉で表現することを楽しむ
- 5歳児:友だちと遊びのイメージを共有し、力をあわせて取り組む
このようなねらいをもとに指導案を作成し、年齢にあった活動を取り入れていきましょう。
幼児クラスになると、友だち同士で行う集団遊びを楽しむ姿が見られるようになるため、積極的に行うとよいかもしれません。
また、ゲーム遊びを通してルールを守って遊ぶ楽しさを経験したり、チームで取り組むための協調性を身につけたりできるとよさそうですね。
今回は、保育実習に取り入れたい幼児向けの室内遊びを年齢別に紹介します。
【3歳児】保育園で楽しむ室内遊び
まずは、幼児クラスの3歳児向けの室内遊びのアイデアをゲーム・運動・製作にわけて見ていきましょう。
ゲーム
ここでは、幼児クラスの3歳児にぴったりなゲーム遊びをまとめました。
じゃんけん列車
大人数で楽しめるじゃんけん列車の遊び方です。
<遊び方>
1.子どもは、音楽にあわせて自由に歩き回ります。
2.学生さんが音楽を止めたら、子どもたちは近くにいる友だちとじゃんけんをします。
3.じゃんけんに負けた子は勝った子の後ろにつき、肩に手を乗せて列車を作ります。
4.(1)~(3)を繰り返し、最終的に列車の先頭になった子が勝ちです。
ゲームが進むにつれて列車の列が長くなるので、ホールなどの広い場所で行いましょう。
また、途中で走ると他の子が押されたり引っ張られたりして転びやすくなってしまうので、必ず歩いて進むことを前もって約束しておくとよいですね。
しっぽ取りゲーム
室内でも大人数で楽しめるしっぽ取りゲームです。
<遊び方>
1.子どもたちを2つのチームに分け、それぞれのチームに1人1つしっぽを配ります。
2.子どもがズボンの中にしっぽの端を入れ、残った部分を下に垂らします。
3.学生さんがスタートの合図をしたら、子どもは自分のしっぽを取られないようにしながら、相手チームのしっぽを取りに行きます。
4.しっぽを取られてしまった子は範囲の外に出て見学します。
5.最終的にしっぽを取られずに残った子どもが多いチームの勝ちです。
しっぽ取りゲームは走り回って遊ぶゲームなので、広いホールで行いましょう。自由に走り回れる範囲と、しっぽを取られた子が見学するスペースを用意しておくとよいですね。
また、保育学生さんはあらかじめ子どもの人数を把握して必要な分のしっぽを用意しておきましょう。
ハンカチ落とし
大人数で楽しむ定番ゲーム、ハンカチ落としの遊び方です。
<遊び方>
1.子どものなかから1人鬼を決めます。
2.鬼以外の子は内側を向いて円形に座り、手を背中に回して手のひらを上に向けます。
3.鬼はハンカチを持って円の外側を歩き、座っている子の手のひらにハンカチを落とします。
4.ハンカチを落とされた子は鬼を時計回りに追いかけます。鬼は時計回りに走り、ハンカチを落とした子が座っていた場所に座ります。
※もし1周以内に鬼をタッチできたらもう一度同じ子が鬼を行い、タッチできなければ鬼を交代します。
5.(1)~(4)を繰り返して遊びます。
もしかしたらルールが難しいと感じる子がいるかもしれないので、実際に遊びながら身体で覚えてもらうとよいかもしれません。
運動
ここでは、幼児クラスの3歳児にぴったりな運動遊びのアイデアをまとめました。
けんけんぱ
室内でも屋内でも、少人数で楽しめるけんけんぱです。
<遊び方>
1.床に「けん・けん・ぱ」になるようにフラフープを並べます。
2.子どもは1人ずつスタートし、けんけんぱをしてフラフープの中に足を入れて進みます。
片足ジャンプは、だいたい3歳半頃~4歳にかけてできるようになると言われています。
もし実習を担当するクラスの子が片足ジャンプをするのが難しそうであれば、両足でジャンプする遊び方に工夫するとよいかもしれませんね。
引っ越し鬼
鬼ごっこを少しアレンジした引っ越し鬼で集団遊びに挑戦してみましょう。
<遊び方>
1.床に子どもたちが集まる範囲の目印をいくつか作ります。
2.鬼以外の子どもは(1)の円の中に入り、鬼は円の外に立ちます。
3.鬼が「お」から始まる言葉をいくつか言います。
※「お、お、お、おさかな」「お、お、お、おんせん」など
4.鬼が「おひっこし」と言ったら円の中にいる子どもは別の円に移動します。
5.鬼は円の外で走っている子を捕まえて鬼の仲間にします。
6.(2)~(5)を繰り返して遊びます。
引っ越し鬼は、円と円を移動するというシンプルな遊び方なので、ルールのある遊びを楽しむようになる3歳児クラスに取り入れやすいかもしれません。
円同士を近くして難易度を易しくしたり、距離を離してより鬼ごっこを楽しめるようにしたりと、遊び方を工夫してみてくださいね。
製作
ここでは、幼児クラスの3歳児にぴったりな製作遊びのアイデアをまとめました。
乳酸菌飲料の容器で輪投げおもちゃ
<用意するもの>
- 乳酸菌飲料の容器 数個
- マスキングテープ
- 台紙
- 鈴
- モール 2色
- 両面テープなど
<製作のポイント>
はさみやのりを必要としないので、3歳児でも取り組みやすいでしょう。
作り終わったものはおもちゃとして遊ぶことができるので、得点制の輪投げゲームに活用してもよいですね。(詳しい作り方はこちら)
マラカス
<用意するもの>
- ペットボトル2本
- ビーズやおはじき
- マスキングテープ
- 紐
<製作のポイント>
あらかじめいろいろな材料を用意しておき、子どもたちが自由に選べるようにしておきましょう。
中に入れるものの種類や量を変えると音が変わることを伝え、友だちが作ったマラカスとの音色の違いを楽しめるとよいですね。(詳しい作り方はこちら)
【4歳児】保育園で楽しむ室内遊び
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次は、幼児クラスの4歳児向けの室内遊びのアイデアをゲーム・運動・製作にわけて見ていきましょう。
ゲーム
ここでは、幼児クラスの4歳児にぴったりなゲーム遊びをまとめました。
フルーツバスケット
室内遊びの定番、フルーツバスケットを紹介します。
<遊び方>
1.子どもの人数より1つ少ない椅子を用意し、内側を向けて円形に並べます。
2.子どもたちのなかから1人鬼を決め、輪の中心に立ちます。
3.鬼以外の子どもたちをいくつかのフルーツのグループに分け、椅子に座ります。
4.鬼は好きなフルーツの名前を言います。
5.自分のフルーツを言われた子どもは立って移動し、空いている椅子に座ります。このとき、鬼も空いている椅子を探して座ります。※鬼が「フルーツバスケット」と言ったときは全員で移動します。
6.椅子に座れなかった子が次の鬼になります。
7.(4)~(6)を繰り返して遊びます。
4歳児クラスのなかには、フルーツバスケットをやったことがある子もいるかもしれません。
ルール説明をするときは、遊び方を知っている子どもたちといっしょに実演してみるのもよいでしょう。
新聞島(1:17~2:15)
新聞島は、新聞紙を使って手軽に遊べる少人数向けのゲームです。
じゃんけんのルールがわかるようになる4歳児にぴったりでしょう。
徐々に小さくなる新聞紙の上に立ちながらゲームを進めるので、遊びを通して子どもたちのバランス感覚が養われそうですね。
色探しゲーム
保育室内にあるものを使って簡単に遊べる色探しゲームを紹介します。
<遊び方>
1.片面に色が印刷された紙を何色か用意します。
2.表面を伏せた状態でテーブルに並べます。
3.子どもたちをいくつかのチームに分けて、学生さんの「よーい、どん」の合図でスタートします。
4.子どもはテーブルの上の紙を1枚選び、書かれている色のものをチームで探します。
5.指定された色のものを一番初めに3つ集められたチームが勝ちです。
はじめは、赤、青、黄色、緑などわかりやすい色で遊んでみましょう。遊び方に慣れてきたら、グレーや茶色など、少し難しい色も追加すると盛り上がるかもしれませんね。
運動
ここでは、幼児クラスの4歳児にぴったりな運動遊びのアイデアをまとめました。
フラフープくぐりリレー
子どもたちの協力プレーがカギになるフラフープくぐりリレーを紹介します。
<遊び方>
1.子どもたちを3人~5人のグループに分け、隣の友だちと手をつなぎます。
2.1チームに1つずつフラフープを配ります。
3.学生さんの「よーい、どん」の合図で先頭の子どもがフラフープを通し、くぐり終わったら次の子にフープを渡します。
4.フープを受け取った子はくぐったあと隣の子に渡します。
5.(3)と(4)を繰り返し、最後の子どもが一番早くフープをくぐり終わったチームの勝ちです。
フラフープは頭や足元、どちらからくぐってもOKです。
このリレーは自分だけでなく、隣の子がくぐっているときも助け合う必要があるので、自然と協調性を身につけられるかもしれませんね。
手押し車
マット運動の一つである手押し車を紹介します。
<遊び方>
1.子どもを2人1組に分け、マットを並べてコースを作ります。
2.子どもたちはマットの上に並び、片方の子がマットに手をつきます。
3.もう片方の子が、片方の子の両手で足首をもって自分の腰のあたりで固定します。
4.学生さんの「よーい、どん」の合図でスタートし、下にいる子はマットに両手をつけて進み、立っている子はそのまま歩いて進みます。
5.一番早くゴールできたペアの勝ちです。
手押し車は身体を支えるのに筋力やバランス感覚が必要になるので、子どもの運動機能を高めることにつながるかもしれません。
もしスタートからゴールまでが遠そうであれば、マットの長さを短くするなどして遊び方を工夫してみてくださいね。
製作
ここでは、幼児クラスの4歳児にぴったりな製作遊びのアイデアをまとめました。
簡単カスタネットのおもちゃ
<用意するもの>
- 牛乳パック 1面
- ペットボトルキャップ 2個
- はさみ
- テープ
<製作のポイント>
牛乳パックはあらかじめ必要なサイズに切ったものを用意しておくとスムーズでしょう。
子ども1人につきペットボトルキャップが2つ必要になるので、家庭で集めて持ってきてもらうよう、前もって担当の保育士さんを通してお願いしておくとよいかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
飛ばして遊ぶおもちゃのロケット
<用意するもの>
- 紙コップ 2個
- 輪ゴム 2本
- 画用紙
- はさみ
- のり
- ペンなど
<製作のポイント>
作り方はそこまで難しくないため、4歳児であれば一人で挑戦できそうです。
動画のように画用紙でロケットの本体を装飾してもよいですが、一人ひとり自分の作品に名前をつけて自由に飾りつければ、より愛着がわく作品となるでしょう。
作り終わった後に飛ばせる高さを競うゲームに発展させてもよいですね。(詳しい作り方はこちら)
【5歳児】保育園で楽しむ室内遊び
次は、幼児クラスの5歳児向けの室内遊びのアイデアをゲーム・運動・製作にわけて見ていきましょう。
ゲーム
ここでは、幼児クラスの5歳児にぴったりなゲーム遊びを紹介します。
新聞紙ボール運び(2:53~4:06)
新聞紙ボール運びは、新聞紙で作ったボールを2人1組で運び、早さを競う少人数向けのゲームです。
はじめは数メートルという短い距離から挑戦し、徐々に長くしていくなど難易度を変えてみても面白そうです。
また、途中にコーンを置いて折り返しのコースを作ってみれば、より難しくなるので盛り上がるかもしれませんね。
ジェスチャーゲーム
言葉を使わずに楽しむ少人数向けのジェスチャーゲームを紹介します。
<遊び方>
1.子どもたちをいくつかのグループに分けます。
2.チームごとに縦1列に並んでもらい、学生さんは最後尾の子どもにのみお題が書かれた紙を見せます。
3.お題を読んだ子は前に並んでいる子に身振り手振りでお題を伝えます。
4.ジェスチャーを見た子は、読み取ったお題をもとに前に並んでいる子に身振り手振りでお題を伝えます。
5.(3)と(4)を繰り返し、先頭に並んでいる子がジェスチャーを見てお題を答えます。
6.答えが合っていれば1点が加算され、何回戦か行って最も得点が高いチームが勝ちです。
ジェスチャーゲームは言葉を発してはいけないので、ゲームをする前に改めてルールを確認しましょう。
また、制限時間を設けないと1ゲームがだらだらと続いてしまうので、ジェスチャーをできるのは1人15秒までなどと決めてテンポよく進めると、何回もできて楽しめそうですね。
ピンポン玉リレー
子ども同士で力をあわせて楽しめるピンポン玉リレーを紹介します。
<遊び方>
1.子どもたちをいくつかのチームに分け、スタート地点と折り返し地点を決めます。
2.先頭の子どもはお玉にピンポン玉を乗せてスタートし、落とさないように折り返し地点を回ります。
3.スタート地点に戻ったら次の子にお玉を渡してバトンタッチします。
4.(2)と(3)を繰り返し、一番早くゴールしたチームが勝ちです。
直線のコースを難なくクリアできたら、途中にカラーコーンや平均台といった障害物を置くなど、少し難易度を上げてみても面白そうです。
途中でピンポン玉を落としたらどうするのかについてもルールを決めて、ゲーム前に子どもたちと確認しておきましょう。
運動
ここでは、幼児クラスの5歳児にぴったりな運動遊びを紹介します。
コロコロドッジボール
ボールを投げずに楽しむドッジボールを紹介します。
<遊び方>
1.子どもたちを2つのチームに分けます。
2.それぞれのチームが動ける範囲を決めて、中心のラインとしてカラーテープなどで目印を作ります。
3.じゃんけんをして先攻後攻を決め、先攻のチームが相手チームに向かってボールを転がします。
4.相手チームが転がしたボールに当たってしまった子は範囲から抜けます。
5.制限時間内に陣地内に残っていた人数が多いチームの勝ちです。
コロコロドッジボールは大人数の集団で遊ぶ運動なので、子ども同士がぶつからないようホールなど広い場所を確保して行いましょう。
ボールが当たった人でも復活して遊べるようルールをアレンジするのもよいかもしれません。その場合は外野を作り、外側からボールを当てたら中に入れるというルールにするとよいですね。
長縄遊び
5歳児クラスになると、縄跳び遊びにも慣れ友だちとタイミングをあわせて跳べるようになる子もいるでしょう。
集団で長縄をするときは、縄跳びを持つ子と跳ぶ子を交代で回し、全員が同じように楽しめるようにするとよいですね。
また、クラスを2つのチームに分けて、どちらのチームが1分間に多く飛べるかを競うゲームをしてみても盛り上がりそうです。
製作
ここでは、幼児クラスの5歳児にぴったりな製作遊びを紹介します。
紙コップで作るロケットおもちゃ
<用意するもの>
- 紙コップ 大・小
- 折り紙
- 画用紙で作ったロケットのパーツ
- ビニール袋
- 折り紙
- ストロー
- はさみ
- テープ
- キリ
<製作のポイント>
保育学生さんは、あらかじめ紙コップの側面にキリで穴をあけておきましょう。
製作をする前にロケットの写真や発射するときの映像を見たりすれば、よりイメージを膨らませて取り組めるかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
けん玉のおもちゃ
<用意するもの>
- 紙コップ 2個
- 新聞紙 1枚
- タコ糸 60cm 1本
- 折り紙 1枚
- トイレットペーパーの芯 1本
- セロハンテープ
<製作のポイント>
カップの大きさが小さくなると難易度が高くなるので、2サイズを用意して子どもたちに選んでもらうとよいかもしれません。
また、紐の長さを短くすれば簡単に、長くすれば難しくなるので、子どもたちには自分好みのけん玉作りに挑戦してもらいましょう。(詳しい作り方はこちら)
面白いアイデアを取り入れて、幼児クラスで室内遊びを楽しもう
今回は、保育学生さんに向けて、実習に取り入れたい幼児向けの室内遊びのアイデアを紹介しました。
幼児クラスの室内遊びには、自分の好きな遊びを見つけたり、友だちとイメージを共有しながら楽しんだりするというねらいがあるようです。
このねらいをもとに、大人数で楽しめる運動遊びや集団でルールを守って遊ぶゲーム遊びなどを取り入れるとよいでしょう。また、活動後に遊びに発展させられるおもちゃの製作などもよいかもしれません。
梅雨や夏の暑い時期の保育実習に子どもが盛り上がるアイデアを取り入れて、幼児クラスと室内遊びを楽しみましょう。