増加の一途?認定こども園の設置基準と、認定数推移

最近よく耳にする「こども園」とはどんなところなのでしょうか?正式には「認定こども園」と言い、幼稚園機能と保育園機能を併せ持った施設となっています。

増加の一途?認定こども園の設置基準と、認定数推移

近年、需要度が増加しつつある「認定こども園」。
幼稚園と保育所の両方の機能を持っているということで子どもを持つ家庭にも、保育施設を運営しようという事業所にとっても注目されています。
ここでは、認定こども園を作ろうと考えている事業者側の立場で、認定こども園の設置基準、および認定こども園の認定数の推移や、認定こども園という施設ができた背景にスポットを当てて見ていきましょう。

◆子どもたちの「教育」「保育」「子育て」「地域の子育て支援」を総合的にサポートする施設

「認定こども園」とは、これまで別々の基準で機能していた保育所と幼稚園の2つの機能を併せ持ち、これからの新しい保育ニーズに対応させていくことを目的とした保育施設のことを言います。
就学前の子どもたちの「教育」「保育」「子育て」を総合的にサポートしていく機能の他に、子どもが認定こども園に通っていなくても、「子育て相談」や「親子の集いの場」を保護者に提供し、地域の子育て支援にも力を入れている施設になります。
制度としては2006年10月に法律が施行・スタートし、各都道府県の条例で決めた基準を満たす施設だけが「認定こども園」として認められています。
「子ども・子育て支援新制度」での推進もあり2015年からは施設の増加ペースも上がており、現在(2016年4月)では、全国で4,001件の施設が認定されています。
また、今後も更なる認定こども園の認定数の増加が見込まれています。

◆「認定こども園」が作られた背景は、幼保の連携ニーズの高まり

 近頃は共働き世帯が増えたことにより、子どもを保育所に入園させたくても保育園の定員がいっぱいであるために入園できず待機状態となってしまう「待機児童」の増加という問題が深刻化してきています。
現在では都市部を中心として、約2万5000人もの待機児童がいるとされており、その早急な解決策が求められています。

この問題のカギとなっている就労する女性が増加したことに加え、就労形態自体が多様化してきたことや、晩婚化・少子化が進んできたことなどから、これまでのように就労の有無で入園する施設を分けていたのでは拡大する保育ニーズに応えられなくなってきています。

このような流れがある中、保育園の入園希望者が増える一方で保育時間の少ない幼稚園への入園希望者は減少傾向を辿っていました。
そこで、既存している幼稚園が「認定こども園」として新しい支援サービスを開始することで、入園希望者が減少傾向にある幼稚園でも保育時間を延ばして入園できる子どもの数を確保できるようになり、昨今の問題となっている待機児童の数も同時に減らしていくことを狙っています。

その他のメリットとして、幼稚園の教育面での指導が保育園でも求められてきていますので、そのニーズにも認定こども園が存在することによって対応できるようになりました。
近年の多様化している保育ニーズに対応ができる「幼保が連携できる施設」が求められていることが「認定こども園」誕生の背景となります。

◆認定こども園の設置基準には、幼保両方の要素が入っている

幼稚園や保育所と異なり、認定こども園には独自の設置基準が定められています。
設置基準について詳しく見ていきましょう。

〇職員数に関する設置基準
・園長の資格
保育教諭である者(保育教諭とは…幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を保有している者)
5年以上の実務経験(教員職または、児童福祉施設)

・職員の資格
保育教諭である者
※新制度以降後5年間(平成27年4月~平成32年3月まで)は特例措置としてどちらかの資格を取得していれば勤務可能。

・その他の職員
副園長もしくは教頭、主幹養護教諭、養護教諭、事務員、調理員(調理業務の全てを外部委託、または外部搬入する場合は不要)

・職員配置
保育所の設置基準と同様。
満3歳以下の学級は専任保育教諭を1名配置(1学級原則35名以下)
0歳児→3:1
1、2歳児→6:1
3歳児→20:1
4、5歳児→30:1

〇設備についての設置基準
・保育室の設置
幼稚園・保育所の設置基準に求められているもの全てを設置。
職員室
トイレ
満2歳以下を受け入れる場合→保育室、遊戯室
満2歳未満を受け入れる場合→乳児室または、ほふく室

・園舎、保育室の面積
園舎…幼稚園の設置基準に準ずる。
(満3歳未満の保育に使用する部分は除く)
保育室…保育所の設置基準に準ずる。

・運動場の設置面積
園庭は必ず設置(園舎と同一敷地内または隣接していることが原則)
面積は以下2つの面積を合計した面積以上であること。
 (1)満3歳以下に関わる幼稚園設置基準の面積と、保育所設置基準による面積のいずれか大きい方。
 (2)満2歳児以下について保育所設置基準による面積。

・食事の提供
食事の提供方法は原則として、自園調理とする。
満3歳以下については一定の条件を満たせば外部搬入でも良い。
満3歳未満については外部搬入不可。
保護者が希望する場合は弁当持参でも良い。

・調理室の設置
自園調理による食事提供の場合は、調理室の設置(食事提供人数が20名未満の場合は独立した調理室でなくても良い。
)
外部搬入の場合→施設内で行うことが必要な調理や加熱、保存等の機能を有する設備が必要。

〇運営についての設置基準
・開園時間
開園日数…日曜、祝日を除いた日
開園時間…原則11時間以下
※開園日数と開園時間については、地域の就労状況の実情に応じて変更可能。

・園児要録と主席簿
幼保連携型認定こども園園児要録、出席簿の作成
転園等の場合は園児要録の抄本または写しを転園先に送付する。

・感染症に係る臨時休園と出席停止
幼稚園の設置基準に準ずる。

◆認定こども園の認定件数の推移(2016年4月現在)

子ども・子育て支援新制度が始まって2年目になった2016年。
その根幹となっている認定こども園は、2016年4月現在で4001園となり、認可施設合計の1割に到達しています。
平成 21 年 4 月の認定件数が 358 件だったのに対して、平成 24年 4 月には認定件数が 911 件となっており、2 倍以上の伸びを見せています。
特に伸び率として見てみると、子ども・子育て支援新制度が始まってからの伸びが著しくなっています。
また、公立・私立の区別を見ると、圧倒的に私立の数が多くなっています。
「認定こども園」は新たに施設を一から作る場合もありますが、この場合ですと時間と予算が大幅にかかります。
ですので、その多くは既存の幼稚園・保育所が、各都道府県の条例の基準を満たすように施設に機能を備え合わせる形で「認定子ども園」として新たに誕生する場合が多いようです。

◆認定こども園は多様化する保育ニーズへの突破口

保護者の多様化する保育ニーズに応えるために設置された「認定こども園」。
「認定子ども園」は保育所と幼稚園の両方の機能を併せ持った施設であるため、その設置基準も保育所と幼稚園の両方の要素を取り入れたものになっています。
3歳を境に保育機能と教育機能とに分けられる部分が生じてきます。
認定子ども園の設置基準を理解することで、保育所と幼稚園の設置基準も理解しやすくなるでしょう。
減少傾向にある幼稚園入園希望者や待機児童問題にも有効になっており、自治体にとっても保護者にとっても魅力的な施設になっています。
今後も増加の一途を辿るでしょう。
認定こども園の増加がこれからの待機児童問題への突破口となるのではないでしょうか。

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