認可外保育園とは。「無認可保育園」の定義と認可保育園との違いや保育無償化の対象範囲

現在、待機児童問題の解消や特色ある保育の打ち出しによって、認可保育園が注目されつつあります。「認可外」「無認可」という言葉は、一体何が認められていないのかご存じでしょうか。保育園は認可保育園、認可外保育園の大きく2つに分けられますが、認可外保育園についてはあまり情報がないという声もあるようです。認可外保育園とはどういった施設か、保育士として働く上で知っておきたい情報をまとめました。

認可外保育園とは無認可保育園の定義認可保育園との違いや保育無償化の対象範囲
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認可外保育園とは

認可外保育施設の定義

認可外保育園とは、児童福祉法上の「保育所」にあたりますが、国の定めた基準の認可を受けていない保育施設のことです。
具体的には、児童福祉法第39条(保育所の定義)に規定する業務(乳児又は幼児を保育)を目的とする施設であるものの、同法第35条第4項に規定される「都道府県知事、政令指定都市の市長又は中核市長の認可」を受けていない施設のことを「認可外保育施設」と呼びます。
「認可外保育園」と呼ばれたり、「無認可保育園」と呼ばれることもあります。

出典:認可外保育施設の質の確保・向上について/内閣府

認可外保育園は自治体への届け出、検査、指導監督が必要

認可外保育施設は国の認可は受けていませんが、平成14年から児童福祉法第59条の2によって、各自治体に届出が必要となりました。
認可外保育園とはいえ、児童福祉法に定める保育業を担っていることに違いはなく、適切に運営されている否かについての検査・指導監督が必要になってきます。
そこで、都道府県は人員・設備・運営等の項目ごとに基準を設け、立入調査等により適正な保育が行われているかチェックしているのです。
また、認可外保育園の中には、国の認可は受けていないものの自治体が定めた独自の基準を満たした保育園などもあります。

認可外保育施設の種類

認可外保育施設にはさまざまな形態がありますが、認可保育施設ではまかなえない保護者の保育ニーズに対応するために、主に次のような形態の施設が多くありのす。

出典:「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」/厚生労働省

自治体助成施設

「自治体助成施設」あるいは「地方単独保育事業」と呼称される認可外保育園があります。認可基準は満たしていないものの、地方自治体が定めた基準を満たした保育施設で、都道府県や市町村が運営費等の補助金を受けている保育施設を指します。
このタイプの認可外保育園は地方によって呼び方が異なります。

・東京都の場合は「保育室」「認証保育所」
・神奈川県の場合は「認定保育施設」
・大阪市の場合は「ベビーセンター」
・さいたま市の場合は「ナーサリールーム」 など

出典:認証保育所について/東京都福祉保健局

事業所内保育施設(認可施設の事業所内保育事業とは異なる)

事業所内保育施設と呼ばれる認可外保育園とは「事業所内保育所」や「事業所内託児所」とも呼ばれ、事業所内または事業所の近隣に用意された、育児中の従業員向けの託児施設のことを指します。
一般的に、利用はその会社の従業員に限られており、小さな子どもを育てながら職場復帰を志す従業員が安心して働けるようにすることを目的に設置される認可外保育園です。

院内保育施設

病院、診療所において、その職員の児童を対象にお預かりしている認可外保育施設をいいます。事業所内保育施設と同様の役割を果たします。

ベビーホテル

ベビーホテルと呼ばれる認可外保育園とは、以下の条件に当てはまるものを言います。

・夜8時以降も保育事業を行っている施設
・利用児童数のうち半数以上が一時預かりの児童である施設
・宿泊を伴う保育サービスも行っている施設

1975年前後から設置数が増え、1時間から1昼夜に至るまで,保護者の要望に応え柔軟に対応する点が特徴の認可外保育園です。

その他の認可外保育施設

ベビーホテルにも、事業所内・院内保育施設にも該当しない施設のことです。託児所、プリスクールやインターナショナルスクール、さまざまな教育を取り入れた幼児園などは、認可外保育施設になります。

認可外保育施設指導監督基準とは

認可外保育園は認可保育園とは違って、定められた設置基準を満たしているという認可を受けてはいません。
しかし、その提供するサービス(子どもの命を預かり、保育サービスを提供する)の特質上、自治体がその管理・運営に関与する仕組み・基準が制定されています。
例えば、認可外保育園を設置した場合、認可を受けなくても、所轄庁(都道府県)に届出を提出することが義務付けられています。(2002年の児童福祉法改正により)
また、所轄庁の「指導監督」に従う必要があります。

出典:認可外保育施設指導監督基準/内閣府

保育に従事する者の数及び資格(1日に保育する乳幼児の数が6人以上の施設)

認可外保育園は、認可保育園と同等の基準で保育士を配置することを求められます。
保育に従事する者の概ね3分の1以上は、保育士又は看護師の資格を有する者であることが必要です。
保育に従事する者は常に2人以上配置されていることが必要です。

保育士の名称の不正使用の禁止

保育士でない者が「保育士」という名称を使用したり、「保母」「保父」など紛らわしい名称を使用することは禁じられています。
保育士という名称は保育士資格を有するものが独占的に使用することになっています。
保育園が保育士資格を有していない者を保育士と誤認させるような表現を用いて、児童の募集を行った場合は、事業者が名称独占違反で罰金を課される場合があります。

保育室等の構造設備及び面積に関する基準(1日に保育する乳幼児の数が6人以上の施設)

認可外保育園は乳幼児の保育を行う保育室の他、調理室、便所を備えていなければなりません。
保育室の面積は流用児1人あたり1.65平米以上である必要があります。
1歳未満の乳児の保育を行う場所は、安全性確保の観点から、幼児の保育を行う場所と区画されていなければなりません。
可能であれば、乳児と幼児の保育スペースは別部屋であることが望ましいとされています。
それが不可能な場合はベビー・フェンス等で区画されていれば構いません。

その他の基準

認可外保育園の保育室は採光、換気、安全が確保されている必要があります。
乳幼児ベッドを使用する場合、同一のベッドに2人以上の乳幼児を寝かしつけることは禁じられています.便所は保育室・調理室と区画されており、幼児20人につき1以上の数が必要です。
消火用具、非常口、その他必要な設備の基準が設けられています。
非常災害に備え、定期的な避難・消火訓練が必要となります。

認可外保育施設の運営

認可外保育園の運営主体は多種多様です。個人であっても、法人であっても認可外保育園を設立することができます。

さまざまな運営法人が経営している

運営主体は株式会社、有限会社、合同会社、NPO法人、宗教法人、特定非営利活動法人、個人など様々な主体によって担われています。また、病院や商業施設の運営会社が運営主体になることも多いようです。

運営の届出、運営報告、情報公開が必要

届出

認可外保育施設を設置した者は、事業開始日から1カ月以内に都道府県知事への届出が必要になります。また、届出事項の変更・事業の休廃止の際にも1カ月以内に都道府県に届出が必要です。

自治体へ運営報告

認可外保育施設の設置者は、毎年、施設の運営状況を都道府県知事に報告する必要があります。定期報告の内容としては、次のような内容を所定の報告書にまとめて報告します。

・施設の名称及び所在地
・設置者の氏名及び住所又は名称及び所在地
・建物その他の設備の規模及び構造
・施設の管理者の氏名及び住所
・開所している時間
・提供するサービス内容及び当該サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
・乳幼児の人数
・入所定員
・職員配置及び勤務の体制 など

利用者への情報公表と提供

自治体は、認可外保育施設の設置者からの毎年の運営状況報告、報告徴収、立入調査等により得た情報をとりまとめ、関係市町村長に通知するとともに、公表することが義務付けられています。
また、認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書を交付した施設はインターネットで利用者に公表しています。
施設の運営者は、利用者に、以下の情報を提供するよう求められています。

・施設の概要やサービス内容の提示義務
・利用者に対する契約内容等の説明
・利用者に対する契約書面の交付義務

出典:認可外保育施設の質の確保・向上について/内閣府

認可外保育園の保育料

認可外保育園の保育料は、認可保育園とは金額も払い込み先も大きく異なっています。

保育料の払い込み先

認可保育園は保育園に支払うのではなく自治体に毎月支払いますが、認可外保育園は直接園の方へ支払います。
認可外保育施設の保育料は、設置者が自由に設定できるため、施設によってさまざまです。
また、保育料以外にミルクやおむつ、帽子や給食などの備品も別途料金がかかります。

認可保育園と認可外保育園の保育料の差

認可保育園は保育の必要認定などの区分によって、入園できるのに厳しい基準が設けられていますが、認可外保育園は保護者の理由に関係なく、子どもを預けることができき、直接その施設に申し込みをします。認可保育園のように自治体が保育料を負担していないため、認可保育園より保育料は高い傾向にあります。
しかし、保育園不足が深刻化している中、認可保育園の増設だけでは待機児童問題の解決に結びついていかないのが現状で、認可外保育園に補助金をだし、保育制度の充実を図ろうとする自治体独自の制度や、企業主導型保育事業の導入などがあります。

認可外保育施設の幼児教育・保育無償化の対象範囲

認可外保育施設の幼児教育保育無償化の対象範囲
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無償化の対象となる子ども

待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設等を利用せざるを得ない「保育の必要性の認定」が確認された3~5歳の子どもと、非課税世帯の0~2歳の子どもに関しては、代替え的な措置として、無償化の対象とするよう定められています。
保育の必要性の認定を受けるためには、各自治体の窓口に申請し、家庭の状況に応じての確認が必要になります。

出典:幼児教育・保育の無償化概要/内閣府

無償化の対象となる認可外保育施設(無認可保育施設)

児童福祉法の規定に基づく届出が出されている認可外施設が無償化の対象

児童福祉法上、都道府県等に届出を行い、国が定める認可外保育施設の基準を満たすことが必要です。無償化の対象となる施設は、この届出がなされていることが前提かつ、指導監督の基準を満たすことが必要です。

指導監督の基準を満たさない認可外施設には5年間の猶予期間

待機児童問題により、やむを得ず指導監督基準を満たさない施設を利用する児童が存在することを踏まえ、基準を満たしていない場合でも無償化の対象とする、5年間の猶予期間を設けることになっています。

認可外保育施設での幼児教育・保育無償化の対象範囲

無償化の対象となる子ども

待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設等を利用せざるを得ない「保育の必要性の認定」が確認された3~5歳の子どもと、非課税世帯の0~2歳の子どもに関しては、代替え的な措置として、無償化の対象とするよう定められています。

対象外となる子ども

「保育の必要性の認定」が確認されない3~5歳の子どもについては、認可保育施設の利用は無償化の対象にはなりません。

出典:「幼児教育の無償化について」/内閣府

認可外保育施設の無償化の内容

認可外保育施設の無償化は、3~5歳の子どもは認可保育所における保育料の全国平均額(月額3.7万円)までの利用料を補助されます。
住民税非課税世帯の0~2歳児の子どもたちについては、月額4.2万円までの利用料が補助されます。
支払い方法は、現物支給と償還払いにするかは、利用者の申請に基づき一括して清算することができる「償還払い」が基本となるようです。実情に合わせ、補助額を差し引いた利用料のみを請求する「現物支給」になる地域もあるようです。

出典:幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ」/内閣府

認可外保育園の保育士の給料や求人待遇

認可保育園の保育士の給料

自治体助成施設や企業主導型保育施設以外の認可外保育園では、自治体からの補助金がないため、認可保育園に比べると給料が低い場合もあります。しかし保育料は認可外保育施設が裁量をもって決められるため、認可保育園以上の設備を持ち、給料や福利厚生が手厚い保育園もあり、運営法人や経営企業によって大きく差があるのが現状です。
そのため、就職活動時には、希望園の情報収集や求人票をしっかりと確認する必要があるでしょう。

認可保育園の求人待遇

認可外保育園は開設時間の長さやさまざまな形態の園に合わせた勤務時間や待遇など、働き方が選べる選択肢の広さに特徴があります。正職員以外に契約社員・派遣・パートなど多くの形態での求人があります。開設時間の長さから、さまざまな時間帯でシフトを用意している園も多いです。
また、無資格や未経験での募集も認可保育園に比べると多く募集しているため、未経験から実務経験を積みたい人にとってのチャンスも多いでしょう。

認可外保育園は認可保育園では補えない保育ニーズをフォローしている

認可外保育園は、認可保育施設では補えない保護者のニーズの受け皿として、重要な役割を果たしています。そのため、現在では国や自治体によって指導監督基準が定められ、現在では認可保育園とは違う教育や施設を充実させた認可外保育園も増えています。保育方針も運営主体ごとに個性が豊富にあるようです。就職活動の際には、各園の特色をしっかりと事前に情報収集しておきましょう。

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