保育士の採用試験における論文の書き方。作文との違いや例文、就活中の対策

保育士の採用試験において小論文や作文が課される場合、書き方や対策について知りたい保育学生さんもいるかもしれません。基本的な構成やテーマ例などを知っておけば、実際の試験で役立ちそうですね。
今回は、採用試験においての小論文や作文の書き方、例文、チェックポイント、就活中にできる対策について紹介します。

書類を書く女性

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保育士の採用試験における論文とは

そもそも論文とは、作文や小論文のことを指します。
書き手の考えを書き、それを読み手に伝えようとする点では、論文も作文も同じであるといえるでしょう。

保育園での採用試験でも、園にあった保育士を採用するために、作文や小論文の作成を取り入れているところがあります。

論文の試験においても、面接や実技試験などのように、一定の時間内にその場で書き上げるパターンや事前課題として面接までに準備するパターン、応募の際に履歴書などと共に提出するパターンなどがあるようです。

採用する側である保育園の方が作文や小論文で知りたいのは、以下のようなこととされています。

  • 人間性
  • 考え方
  • 表現力
  • 一般常識
  • 保育士としての資質

このような点を作文や小論文からチェックし、保育学生さんが園の方針に沿った考え方をもつ人か、長くいっしょに働きたいと思える人であるかどうかなどの適性を見ているようです。

では、作文と小論文にはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。

作文と小論文の違い

作文と小論文の違いを、それぞれの特徴も交えて紹介します。

作文

作文とは、テーマに対して自分の思いや感じたことを書くものです。
自己PRに近く、自身の経験や体験をもとに書けるテーマが多いのが特徴といえるでしょう。

具体的なエピソードを交えながら、人柄が伝わるような文章にすることがポイントとなります。

小論文

小論文とは、テーマに対して自分の意見を伝えるものです。
問われていることに対しての意見を述べ、相手を説得する文章のことをいいます。

自分の意見を、根拠から結論まで導くことが重要なポイントといえるでしょう。

保育士の採用試験で論文を書くときのポイント

作文と小論文の違いを押さえたところで、実際に保育士の採用試験で書くときに共通となるポイントを紹介します。

丁寧に書く

まずは文字を丁寧に書くことが最初に意識するポイントとなります。

保育士さんは、おたよりや連絡帳など、手書き文書の作成も多いことでしょう。
読みやすい丁寧な字で書かれていることは、好印象を与えることにつながるかもしれません。

また、正しい日本語や文法を使って書くこともポイントです。
立派な主張であっても、ぞんざいな言葉使いだったり誤字脱字があったりすれば減点対象となるかもしれません。

「ら抜き言葉」や「い抜き言葉」などの話し言葉にならないよう、言葉遣いにも注意しながら、丁寧に書き進めましょう。

一貫性をもった文章にする

一貫性のある文章を書くことも重要なポイントになります。
論文のテーマに対する自分の結論が、文中で述べることと矛盾しないように注意しましょう。

面接でも同じテーマについて質問されることがあるかもしれないので、自分の思う意見に一貫性を持って、結論や根拠を述べることを意識するとよさそうです。

また、文体においても、「です・ます調」か「だ・である調」かの一貫性をもたせることが大切になります。

テーマや結論はシンプルにする

テーマや結論はシンプルにすることを意識しましょう。
あれもこれもと話を盛り込んで、伝えたいテーマを踏み外して脱線してしまうということのないよう注意が必要です。

論文では、意見を述べるときに「~と思います」という表現は極力避けるとよいでしょう。そういった文末は、読む人が「この意見に自信がないのかな」と感じるかもしれません。学生さんのもつ意見に自信を持って、「~です」とシンプルに言い切りましょう。

原稿用紙の使い方を意識する

文字数は800字程度(400字の原稿用紙2枚分)と指定される場合が多いようです。
指定の文字数の8割は書くように意識しましょう。

マス目付き原稿用紙の場合、段落の初めは1マス空ける、句読点なども1マス分使うなど、基本的なルールを守って書くことが大切です。

段落の初めを1文字分下げるのは、罫線の用紙でも同様です。

保育士の採用試験における作文の書き方

ここからは、保育士の採用試験における書類選考について、作文と小論文にわけて書き方を解説します。

まずは、作文の書き方から見ていきましょう。

作文のテーマ例

作文のテーマ例として、以下のようなことが挙げられます。

  • 保育士を目指したきっかけ
  • どんな保育士になりたいか
  • 今までの経験をどう保育士に活かしたいか
  • 保育士になってしたいこと
  • この園でやってみたいこと

このように、作文では保育士になりたいと思ったきっかけや、入職後の目標などについてのテーマが多いようです。

作文の文章構成の基本と例文

作文は、起承転結に沿って文章を構成することが基本といわれています。

〈作文の簡潔な例文〉

テーマ:「保育士を目指したきっかけ」
【起】小さい頃は寂しがり屋だった。
【承】毎日親の迎えが遅く、寂しい思いをしていた。
【転】先生がいろいろな遊びを提案してくれて、迎えまでの時間も楽しめるようになった。
【結】自分もそんな風に子どもに寄り添える先生になりたい。

この例文のような流れで、学生さんのもつ具体的なエピソードや思いを伝えてから、それをどのように保育の仕事に活かしていきたいかを目標を絡めて書けるとよさそうです。

保育士の採用試験における小論文の書き方

次に、保育士の採用試験における小論文の書き方について、くわしく紹介します。

小論文のテーマ例

小論文のテーマ例として、以下のようなことが挙げられるでしょう。

  • 保育現場に求められていることは何か
  • 児童虐待問題について
  • 幼児教育の重要性とは
  • これからの保育士の役割で重要なことは何か
  • 子どもを育むために、保育士はどのようにあるべきか
  • 地域子育て支援に貢献するために何ができるのか

小論文のテーマについては、選択制の場合もあるようです。
採用試験において頻出するテーマを事前に調べておき、自分なりの意見を考えておくことも大切といえるでしょう。

小論文の文章構成の基本と例文

小論文は、「序論・本論・結論」という構成が基本といわれています。

基本構成

  • 序論:テーマや述べたいことの紹介
  • 本論:述べたいことの根拠や、そこに至る過程など
  • 結論:述べたいことやテーマを再度主張する
    「だから~なのです」といった論文のゴール

この構成に沿って書いていきましょう。

小論文の簡潔な例文

テーマ:「保育士に求められているものとは」
【序論】私は、子どもの気持ちに寄り添うことだと考える。

【本論】たとえば、子ども同士が喧嘩して、どちらか一方の子どもが泣いているとき、「この子はどうして泣いているのだろう」「一方の子どもは何を伝えたかったのだろう」と考えて状況を整理する。
そしてどちらの子どもにも気持ちを尋ねたり、共感して代弁したりすることで、解決へと導くことができるのではないか。

【結論】そのため、子ども一人ひとりに目を配り、大人の目線だけではなく子どもの目線でも物事を捉え、気持ちに寄り添うことで安心感や信頼感につながると考える。

このように、まずは自身の考える結論を先に簡潔に述べてから、その根拠を述べていきます。結論へと向かう道筋がぶれないように書いていくのがポイントとなるでしょう。

保育士の採用試験で論文を書き終えたら

保育士の採用試験で作文や小論文を書き終えたあとにチェックするポイントを紹介します。

誤字脱字がないか

論文を書き終えたら、まずは誤字脱字がないかよく確認しましょう。
漢字の使い方や送り仮名など細かく見て、修正できそうなところがあればします。

また、文体に統一性があるか、主語が抜けていないかなどもあわせて確認しておくとよさそうです。

適切に句読点が打てているか

一つの文章に多くの文字があると、文章全体が読みづらくなります。
読み手に語りかけるようなイメージで、適度に読点を打ってあるか確認しましょう。

 

読点の位置で誤解を与えてしまうケースもあるので、適切な位置にあるかも見ることが大切なポイントです。

個性のある文章か

論文を書く上で最も重要なのは、文章から伝わって来る応募者の「個性」といわれています。

個性は「自己PR」ともつながるため、保育士になりたいという志望動機にも直結した思いであることが望ましいでしょう。

書き終えたあとに読み返したときに、学生さんの個性が伝わる文章になっているかも確認するとよさそうです。

保育士の採用試験に向けた論文の書き方対策

最後に、保育士の採用試験に向けての論文対策について紹介します。

情報を集めて意見を考える

常に保育に関する情報にアンテナを張っておき、その出来事に対して自分の意見を考えるようにしておくとよいでしょう。

その情報の事実に基づいて、背景や自分の意見、その結論を導く根拠などをまとめる練習をしておくと、どのような場面で問われてもスムーズに自分の意見が伝えられるようになるかもしれません。

テーマに沿って論文を書く練習をする

集めた情報のなかから、テーマを決めて実際に作文や小論文を書いてみましょう。

具体的に書くためには、そのテーマに対する自分の思いやそのきっかけを「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」の5W1Hを意識して箇条書きで書き出します。

そこから、作文や小論文の基本の構成に沿って内容を考えていき、800字程度にまとまるように意識しながら書きましょう。

論文を客観的に評価してもらう

論文を書き終えたら、家族や友人などできるだけ複数人に読んでもらい、表現や内容に違和感がないか率直な意見をもらうとよいでしょう。

学生さん自身では気づかなかった点や改善点などが見つかり、よりよい論文が書けるようになるかもしれません。

論文の書き方を把握して、保育士採用試験に臨もう

今回は、保育士の採用試験で行われる論文の書き方や注意点、書き終えたあとのチェックポイント、論文対策について紹介しました。

採用試験における作文や小論文からは、保育学生さんの人間性や保育士としての資質を見るようです。保育に関する情報を集めて論文を書く対策を就活中にくり返し行っておけば、採用試験本番においてどのようなテーマが与えられたとしても落ち着いて対応できるかもしれません。

作文や小論文の基本的な構成などの書き方を把握したうえで保育士採用試験に臨み、保育学生さんの人間性が伝わるような文章が書けるとよいですね。

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