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幼児の終わりまでに育ってほしい10の姿とは。入職後に役立つ内容の解説や捉え方

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を10の項目にわけた、「10の姿」。 2017年の幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園・保育要領の改正に伴い施行されたものです。 今回は、「10の姿」についての具体的な内容や事例、保育において意識するポイントを紹介します。

保育園、幼稚園の子どもの写真

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幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿とは

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の2017年の改定に伴いつくられたもので、2018年4月より施行されました。


「10の姿」とは「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を10個の項目で示したもので、小学校入学前までに養っておきたい姿を具体的な視点から捉えた内容です。


これは、幼稚園、保育所、認定こども園共通の指針とされています。
幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」の視点は、以下となっています。


<10の姿の視点>

1.健康な心と体

2.自立心

3.協同性

4.道徳性・規範意識の芽生え

5.社会生活と関わり

6.思考力の芽生え

7.自然との関わり・生命尊重

8.数量・図形、文字等への関心・感覚

9.言葉による伝え合い

10.豊かな感性と表現


以前は、いわゆる5領域のねらいに基づいて指導してきましたが、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を具体的にすることで、小学校教員へ子どもの姿の共有しやすくする、という目的もあります。


改めて、5領域とはどのようなものなのか、5領域と10の姿には違いがあるのかを見ていきましょう。



5領域ってどんなもの?


5領域とは、保育園や幼稚園における、保育・教育目標の1つです。


5つの領域の内訳は、


  • 健康
  • 人間関係
  • 環境
  • 言葉
  • 表現

となっており、園生活を通じて子どもたちがさまざまな体験を積み重ねることで、他者と関わりながら5つの領域に向かうことをねらいとしています。


そのねらいと5つの内容を踏まえて保育をすることで、子どもたちの発達をより的確に捉えることにつながると考えられています。



5領域と10の姿に違いはある?


では5領域と10の姿に違いはあるのでしょうか。くわしく説明していきます。


5歳児修了時までに育ってほしい姿として示された10の姿は、従来の5領域で促したい資質や能力を具体的に表したもので、5領域とは別個の目標ではありません。


図で表すと、以下のようになります。


5領域 5領域とつながる10の姿
健康 1.健康な心と体
人間関係 2.自立心
3.協同性
4.道徳性・規範意識の芽生え
5.社会生活と関わり
環境 6.思考力の芽生え
7.自然との関わり・生命尊重
8.数量・図形、文字等への関心・感覚
言葉 9.言葉による伝え合い
表現 10.豊かな感性と表現

つまり10の姿は、5領域で示されている内容を「細分化」したものといえます。


保育園や幼稚園では5歳児になってから急に10の姿へ移行するのではなく、3歳児、4歳児で5領域を取り入れているときから10の姿も意識することで、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿により近づくことでしょう。


10の姿の目的や、5領域との関係がわかりましたが、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿には、どのような内容と具体的な事例があるのでしょうか。


文部科学省の資料を参考にしながら、1つずつくわしく解説していきます。


出典:「新幼稚園教育要領のポイント」p8~11/文部科学省

出典:「幼稚園教育要領」p11~18/文部科学省

出典:「幼稚園教育要領解説」p1~8、45~68/文部科学省



10の姿の視点:1.健康な心と体

おむつを交換してもらう子どもの写真

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10の姿の1つ目の視点は、「健康な心と体」です。



健康な心と体が示す視点の内容や事例


視点の内容 園生活の中で、充実感と満足感をもって自分のやりたいことに向かって、心と体を十分に働かせながら取り組み、見通しを持って自ら健康で安全な生活を作り出していけるようになる
具体的な事例 ・心と体を十分に働かしながら、充実感や満足感を持つことで、いろいろな場面に応じて体を動かして運動するようになる

・健康な生活に関わる人々に接したり、社会の情報を取り入れるなどして、自分の健康に対する関心を高め、体を大切さに気づくようになる

・遊びや生活を通して、危険な場所、危険な遊び方、災害時などの緊急時の避難行動の仕方を理解し、状況に応じて安全な行動がとれるようになる

・衣服の着脱、食事、排泄などの生活に必要なことが分かり、自分の力で行う判断しようとしたり工夫したりするなどして、意欲や自信を持って自分でするようになる

この視点は、人が生きていく中で基礎となる部分です。
健康な心と体がなければ、友だちとコミュニケーションをとったり、自然の中で思い切り遊んだりすることもできないでしょう。


子どもたちは、園内のさまざまな場所を遊び場として活用しながら、意欲に応じて体を動かしたり、手足を使った遊びを楽しんだりします。


その中で、自然と安全に対する配慮ができるようになったり、必要なときに休憩をとるようになったりしていくかもしれません。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、子どもたちの健康な心と体を育むために、健康的な生活のために必要なことを、子どもたちといっしょに考えてみたり、実際にやってみたりすることが大切です。


保育士さんがすべて援助するのではなく、少しだけ手伝う、見本を見せるなど、本人ができたという実感をもてるようにかかわることを意識しましょう。


関連記事:【10の姿】健康な心と体とは。子どもの姿や保育士の援助、具体例と視点/保育士就活バンク!



10の姿の視点:2.自立心

10の姿の2つ目の視点は「自立心」です。
自立心が示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



自立心が示す視点の内容や事例


視点の内容 身近な環境に主体的に関わり、いろいろな活動や遊びを生み出す中で、自分の力で行うために考えて、自分でしなければならないことを自覚して行い、諦めずにやり遂げる
具体的な事例 ・先生や友だちと共に学んでいく中で、自分の力でできることを考え、自分でしなければならないことを自覚して行うようになる。

・自分のアイデアや意見を先生や友だちに認められることで、できないことをできるように工夫したり、先生や友だちの助けを借りたりして、くじけずにやり抜くようになる。

・自分から遊びを生み出すことにより、難しいことでも自分なりに考えたり工夫したりして、満足感や達成感を味わうようになる。

・家族、友だち、先生、地域の人々などに、自分の感情や意志を表に出して共感してもらうことにより、自分のよさや特徴に気づいて自信を持って行動するようになる

自立心は、身のまわりの環境に積極的に関わることで、子どもたち自身がしなければならないことを理解し、諦めずにやり遂げることで育まれていきます。


他人の指示ではなく、自ら工夫したり考えたりすることで、主体性をもって行動するようになっていくでしょう。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、子どもたちの自立心を育むために子どもたちが自分で考え、行動できるように、必要なことをわかりやすく教えるとよいでしょう。


ただし、子どもは一人ひとり発達のスピードが異なるため、個別にフォローすることも重要です。


関連記事:【10の姿】「自立心」とは。視点の内容や保育士の援助の仕方、具体的な事例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:3.協同性

10の姿の視点の3つ目は、「協同性」です。
協同性の示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



協同性が示す視点の内容や事例


視点の内容 友だちと互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的を実現するために考えたり、工夫したりすることで、充実感をもってやり遂げるようになる
具体的な事例 ・友だちと積極的に関わり、様々な出来事を共有しながら、友だちの異なる思いや考えなどに気づき、自己を意識しながら行動するようになる

・友だちとの関わりが深まると、相手に分かるように伝えたり、相手の気持ちを理解して自分の思いや言い方を考えたり、気持ちを我慢するなどしながら、より分かり合えるようになる

・友だちとの関わりを通して、互いの考え方の違いや互いのよさが分かると、学級全体などで楽しみながら遊びを進めていくようになる

・みんなで目的や願いを共有すること中で、話し合ったり、考え方を1つにまとめたり、自分の役割を考えて行動したりするなど、折り合いを付けながら問題を解決し、達成に向けて協力する楽しさや、充実感を得ながらやり遂げるようになる

子どもは友だちと関わる中で、嬉しい、悲しい、悔しいといったさまざまな感情を味わうでしょう。


ときには喧嘩しながらも共に成長し、互いの思いや考えなどを共有することで、次第に共通の目的を持つようになっていくかもしれません。



保育士さんが意識すること


保育士さんは子どもの考えや思いを受け止め、互いのよさや考えを認め合う手助けをすることが大切になります。


共通の目的を達成するために必要なことや困難な状況を想定しつつ、適度にサポートすることが大切になるでしょう。


関連記事:【10の姿】「協同性」とは。具体的な視点の内容と保育士の援助、遊びの実践例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:4.道徳性・規範意識の芽生え

横断歩道を渡る子どもの写真

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10の姿の視点の4つ目は、「道徳性・規範意識の芽生え」です。
道徳性・規範意識の芽生えの示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



道徳性・規範意識の芽生えが示す視点の内容や事例


視点の内容 してよいことや悪いことが分かり、相手の立場に立って行動するようになり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、決まりを守る必要性が分かり、決まりを作ったり守ったりするようになる
具体的な事例 ・自分で考えようとする気持ちを持ち、してよいことや悪いことが分かることで、より適切なこと意識しながら行動するようになる

・友だちなどの気持ちを理解し、気持ちに共感したり、自分の行動を振り返ったりして、相手の気持ちを大切に考えながら行動するようになる

・友だちとより楽しくなる遊ぶための決まりのあることが分かり、ルールを守ったり、必要に応じて作り替えたりして、工夫しながら守るようになる

・みんなで共有して使う物が分かり、自分や友だちと折り合いをつけて大事に扱うようになる

この視点は、自分の気持ちを抑え、友だちと折り合いをつけることで、ルールの必要性を理解するようになることを目的としています。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、友だちに自分の気持ちを受け止めてもらったり、自分の行動を振り返って謝ったりと、気持ちを切り替える子どもを認め、励ますことを意識するとよいでしょう。


遊びや生活の中で、してよいことや悪いことがわかると、子どもは考えながら行動したり、相手の立場に立って考えたりするようになるでしょう。


関連記事:【10の姿】「道徳性・規範意識の芽生え」とは。保育士の援助の仕方や具体事例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:5.社会生活との関わり

10の姿の視点の5つ目は、「社会生活との関わり」です。
社会生活との関わりの示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



社会生活との関わりが示す視点の内容や事例


視点の内容 社会生活との関わりが示す視点について、家族を大切にしようとする気持ちをもち、地域の人々と関わることで、自分が役に立つことの喜びを感じて、地域に親しみを持つようになる
具体的な事例 ・両親や祖父母など、家族から愛されていることに気づくと、家族を大切にしようとする気持ちを持つようになる

・小学生・中学生、高齢者や働く人々など、地域の人々とのふれ合いの中で、自分から親しみの気持ちを持って接し、自分が役に立つ喜びを感じるようになる

・四季折々の地域の伝統的な行事などへの参加することで、自分たちの住む地域のよさを感じ、育んできた文化や生活などの豊かさに気づくとこで、より親しみを感じるようになる

・公共施設を訪れるとこで、それがみんなの物であることが分かり、大切に利用するようになる

園内外のさまざまな環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報を役立てながら活動するなどして、社会とのつながりを意識するようになることを目的としているようです。


子どもは、保育園や幼稚園での集団生活によって、保育者やクラスの友だちと信頼関係を築いていき、さらに別のクラスの幼児やその保護者と関わるなどして、家族を大切にしようという気持ちが芽生えるようになるでしょう。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、子どもが状況に応じて考えて行動しようとする姿などを認めたり、クラスの話題にして共有したりするなどするとよいでしょう。


そのような体験が園内の幼児クラスや未就園児、保護者などとの関係につながることがあるため、子どもたちの行動にしっかり目を配ることが大切です。


関連記事:【10の姿】「社会生活との関わり」とは。具体内容や保育士の援助、実践事例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:6.思考力の芽生え

10の姿の視点の6つ目は、「思考力の芽生え」です。
思考力の芽生えの示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



思考力の芽生えが示す視点の内容や事例


文部科学省の資料によると、思考力の芽生えが示す視点について以下のように説明されています。


視点の内容 身近な事象に積極的に関わり、物の性質や仕組み等を感じ取ったり気付いたりする中で、思い巡らし予想したり、工夫したりなど多様な関わりを楽しむようになるとともに、友達などの様々な考えに触れる中で、自ら判断しようとしたり考え直したりなどして、新しい考えを生み出す喜びを感じながら、自分の考えをよりよいものにするようになる
具体的な事例 ・身近な環境に積極的に関わることで、発見することを楽しんだり、考えたり、振り返ったりして、それを別の場面で活用するようになる

・さまざまな環境に関わる中で、より深い興味を抱いて、不思議に思ったことなどを探究したりするようになる

・日々の遊びが深まる中で、展開を予想したり、確かめたり、振り返ったりして興味や関心を深めるようになる

・友だちなどのさまざまな考えに触れることで、自分の思いや考えなどを考え直したりして、新しいことを生み出す喜びを感じるようになる

・身近な物や用具などの特性や仕組みを生かしたり、物の性質や仕組みについて気づいて、楽しみながら使うようになる

このように子どもは周囲の環境に積極的に関わることで、さまざまなことに気づいたり、考えたりします。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、子どもの好奇心や探究心を引き出すような状況をつくるとともに、子どもたちそれぞれの考え方を受け止めることが大切です。


友だちのさまざまな考えに触れることで、自分とは異なる考えがあることに気づき、物事をいろいろな方向から考えたり、よさを感じられたりするようになっていくことでしょう。


関連記事:【10の姿】「思考力の芽生え」とは。視点や内容、保育士の援助の仕方と実践例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:7.自然との関わり・生命尊重

10の姿の視点の7つ目は、「自然との関わり・生命尊重」です。
自然との関わり・生命尊重の示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



自然との関わり・生命尊重が示す視点の内容や事例


視点の内容 自然との関わり・生命尊重の視点は、自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取ることが身近な事象への関心の高まりにつながり、好奇心や探究心を持って言葉などで表しながら、自然への愛情や畏敬、つまり尊重の念を持つようになる
具体的な事例 ・自然に触れて感動する体験を通じ、好奇心や探究心を持って言葉などで表しながら、科学的な視点や、自然への愛情や畏敬の念などを持つようになる

・同じものでも季節により変化するものがあることが分かり、変化に応じて遊びや生活を変えるようになる

・自然現象を遊びに取り入れたり、自然の不思議さをいろいろな方法で確かめたり、身近な自然現象への関心が高まるようになる

・生き物と共に遊んだり、世話をしたりする中で、生命の不思議さや尊さに気づき、命あるものとして大切にする気持ちを持って関わるようになる

自然や生命に関わることは、聞いて覚えるものではなく五感で感じるものとされています。


身近な動植物を命あるものとして心を動かし、親しみを持って接し、いたわり大切にする気持ちを持つようになるようです。


園内外の身近な自然に触れることで感動したり、自然の変化を感じて好奇心や探究心を持ったりすることで、関心を持つようになっていくでしょう。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、子どもたちの好奇心や関心がさらに高まるよう、命にまつわることを話題として取り上げたり、継続的に生き物の観察を行い、子どもたちといっしょに調べたりするとよいでしょう。


自然について気づいたことや、考えたことを言葉などで表現することで、さらに自然に触れて遊ぶようになるかもしれません。


関連記事:「10の姿」自然の関わり・生命尊重とは。保育士の援助の仕方や事例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:8.数量・図形、文字等への関心・感覚

玩具で遊ぶ子どもの写真

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10の姿の視点の8つ目は、「数量・図形、文字等への関心・感覚」です。
数量・図形、文字等への関心・感覚の示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



数量・図形、文字等への関心・感覚が示す視点の内容や事例


視点の内容 遊びや生活の中で、数量などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりして、必要感からこれらを活用するようになり、数量・図形、文字等への関心・感覚が一層高まるようになる
具体的な事例 ・遊びや生活の中で、自分たちに関係の深い数量、長短、広さや速さ、図形の特徴などに親しむようになる

・必要に応じて数えたり、比べたり、組み合わせたりすることを通して、数量・図形等への関心・感覚が高まるようになる

・遊びや生活の中で見ることがある、標識や文字が人と人をつなぐ役割を持つことに気づくようになる

・自分で読んだり、書いたり、使ったりすることによって、文字や数字などへの関心や感覚が高まるようになる

この視点では、日々の生活の中で、身近にある数字や文字に興味をもち、標識や図形に親しむ体験を重ねることを目的としているようです。


遊びの中で、多い・少ないなどの量を計って比べたり、数を数えたりする体験を通して、子どもはその役割に気づいていくでしょう。



保育士さんが意識すること


数量や文字などについては、正しい知識を得ることが目的ではなく、遊びや生活を通して親しみをもつことが大切になります。


そのため保育士さんは、子ども一人ひとりの数量や図形、標識や文字などの出会いや関心の度合を把握し、その知識の深まりに応じて親しめるように工夫しながら、環境を整えるとよいかもしれませんね。


関連記事:【10の姿】「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは。遊びや援助の実践事例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:9.言葉による伝え合い

10の姿の視点の9つ目は、「言葉による伝え合い」です。
言葉による伝え合いの示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



言葉による伝え合いが示す視点の内容や事例


視点の内容 言葉を通して保育者や友だちと心を通わせ、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身につけるとともに、言葉による表現を楽しむようになる
具体的な事例 ・相手の話の内容を注意して聞くことで、自分の思いや考えなどを相手に分かるように話したり、話し合ったりするなどして、言葉を通して保育者や友だちと心を通わせるようになる

・イメージや思いを巡らしたことなどを言葉で表現することを通して、遊びや生活の中で文字が果たす意味や必要性が分かり、必要に応じて文字を読んだり、書いたりするようになる

・絵本や物語などに親しみ、未知の世界の事柄について興味を持って聞き、言葉の持つ音の美しさや意味の面白さなどを友だちと共有し、必要に応じて言葉での表現を楽しむようになる

・園生活の中で新たな環境との出会いによって、新しい言葉や表現への関心が高まり、それらの獲得に楽しさを感じるようになる

子どもは保育士や友だちと心を通わせ、絵本などに親しみをもつことで、豊かな言葉や表現が育まれていくといいます。


この視点では、相手に伝わるように工夫しながら言葉で伝え、相手の話もしっかりと聞いて理解する、という経験を重ねることで、言葉による伝え合いを楽しむことを目的としているようです。



保育士さんが意識すること


保育士さんは、状況にあわせて子どもたちの思いが伝わるようにサポートするとともに、さまざまな言葉に出会う機会をつくることが大切といえるでしょう。


こうした言葉での伝え合いは、言葉を選んで伝えようとすることにつながり、相手の話を聞くことの必要性も気づかせてくれるかもしれませんね。


関連記事:【10の姿】「言葉による伝え合い」とは?具体的な内容や視点につながる事例/保育士就活バンク!



10の姿の視点:10.豊かな感性と表現

アジサイを観察する子どもの写真

Purino/shutterstock.com


10の姿の視点の10個目は、「豊かな感性と表現」です。
豊かな感性と表現の示す視点の内容や事例について見ていきましょう。



豊かな感性と表現が示す視点の内容や事例


視点の内容 豊かな感性と表現の視点はみずみずしい感性で、日々の生活の中で心動かす出来事に触れ、感じたことや思ったことを自分なりに表現したり、友だち同士で表現する過程を楽しんだりして、表現する喜びや意欲が高まるようになる
具体的な事例 ・みずみずしい感性で、美しいものや心を動かす出来事に触れ、さまざまな表現を楽しみ、感じたり考えたりするようになる

・遊びや生活の中で感じたことや考えたことなどを音や動きなどで楽しんだり、思いのままにかいたり、つくったり、演じたりなどして表現するようになる

・友だちといっしょに話し合いながら、目的に向かって工夫をして、創造的な活動を生み出していくようになる

・自分の表現が保育士や友だちに受け止められる経験を積み重ねることで、動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだり、友だちといっしょに表現する過程を楽しんだりして、表現する喜びを感じて意欲が高まるようになる

子どもは日々の生活の中で心を動かすことに触れることで、自由な感性で想像を膨らませながら自分の気持ちのままに表現を楽しむようになるでしょう。



保育士さんが意識すること


一人ひとりの感じた個性を大切にし、友だち同士で表現する工夫や創作を楽しむことにより、子どもが「やりたい!」と積極的に行うようになることが理想といえるでしょう。


そのためにも、保育士さんは子ども一人ひとりの表現する喜びを大切にし、その子らしい表現方法を育んでいけるように、アイデアが生み出しやすい環境を整えるとよいでしょう。



関連記事:【10の姿】「豊かな感性と表現」とは。視点につながる保育士の援助の仕方や事例/保育士就活バンク!


ここまで、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿について、それぞれの視点の説明や具体的な事例を紹介しました。


最後に、保育において10の姿をどのように捉えればよいのか、意識すべきポイントを説明します。


出典:「幼稚園教育要領解説」p11~18/文部科学省

出典:「『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』を踏まえた教育課程の編成や指導計画在り方」p11~12/文部科学省

出典:「幼児理解に基づいた評価」p153/文部科学省

出典:「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」/文部科学省

出典:「幼児教育部会における審議の取りまとめ」p14~23/文部科学省



保育において10の姿を捉えるときのポイント

10の姿は、あくまで5歳児の後半までの成長の方向性であって、目指すべき完璧な姿ではないとされています。


では、保育において10の姿を捉えるとき、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。



遊びや他者との関わりの中で習得していく


10の姿は幼稚園の先生や保育士さんが厳しく教えるようなものではないとされています。しかし、園生活の中で子どもたちに「勝手に育つ姿」ではありません。


保育士さんが子どもの発達する様子をしっかりと観察したうえで、協同性や道徳性、規範意識などを友だちと遊ぶ中で協力し合い、互いを思いやることで「自然に」習得できるよう援助していくことが大切です。


そうした友だちとの遊びをはじめ、保育士さんや地域の人たちと関わることで、社会や地域とつながりを持つことにもなります。その中で10の姿の育ってほしい部分を伸ばしていくことがポイントといえるでしょう。



目標とするのではなく、振り返りで考える


10の姿をねらいや目標に掲げて保育を行うのではなく、今まで通りの様式の教育過程や保育課程(全体的な計画)を、10の姿の視点で振り返るのがポイントです。


子どもの育ちを見て、「どの部分が10の姿とつながっているかな」と考え、指導要録・保育要録への記入や保護者・保育者への伝達をすることが大切になるでしょう。


ねらいや5領域に基づく保育内容が「具体的な目標」だとすると、10の姿は「理想」です。
目標の達成をくり返すことで、理想に近づいている、と考えるとよいかもしれません。


「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は「卒園時の具体的な姿」になります。
たとえば、乳児クラスのうちから10の姿を意識しすぎると、あまりに高度で普段の保育ができなくなるかもしれません。


今まで通り、5領域のねらいをもとに子どもたちの年齢や時期、状況に合った保育を積み重ねていき、10の姿の視点で振り返ることを意識していきましょう。



小学校以降も育んでいく全国共通の視点であることをふまえる


各園での教育課程や全体的な計画は、幼稚園教育要領や保育所保育指針に沿って作られています。そして、子どもの発達過程もふまえて書かれています。


園によって多少の違いはありますが、教育課程や全体的な計画に書く0歳から5歳までの姿が、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」につながる具体的な姿といえるでしょう。


その中の5歳児のところに書いてあるのが、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の具体的な例です。


これまでは、それぞれの園で独自に「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(につながる姿)」を書いていたということになります。


それが、今回の改訂で、幼稚園教育要領、保育所保育指針に「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が明記されました。
つまり全国共通の視点が明確化されたということです。


10の姿は卒園までに身につけるべきものではなく、小学校に入学したあとも継続して育んでいくものとされています。


その視点を基準に話をすることで、小学校の先生に申し送りをする際に子どもの様子を共有しやすくなるのではないでしょうか。



10の姿が幼児期のゴールではない

今回は、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」について紹介しました。


10の姿は、5領域を細分化した保育・教育指標の1つであり、子どもの成長のゴールではなく、日々の生活の中で自然と育まれていき、身につけていく目安となるものです。


そのため、保育者が個別に教えるのではなく、子どもたちに必要な体験が得られるように、環境を整えていくことが大切になります。


小学校の先生に申し送りをする際にも、10の姿を視点の基準とすることで、子どもの育ちつつある姿を共有しやすくなるとよいですね。