保育園で行う色水遊びは、子どもたちからの人気が高い遊びの一つです。透明な水に絵の具やクレープ紙を使って色をつけたり、作った色水を混ぜたりして変化を楽しんでもらえるので、実習で取り入れたいと考える保育学生さんもいるのではないでしょうか。今回は、色水遊びのねらいややり方、実習で使える色水遊びのアイデアなどを紹介します。
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色水遊びとは
色水遊びは、プラカップやペットボトル、ポリ袋に入れた水に絵の具などを混ぜて着色したり、その色がついた水同士を混ぜて色の変化を楽しんだりする遊びです。
たっぷりの水に絵の具を少し入れると薄い色、絵の具を増やすと濃い色になるなどを、子ども自らが体験することで遊びながら学ぶことができます。
色水遊びのねらい
シンプルに色水作りを自由に楽しむことが、色水遊びの大きなねらいの一つです。
無色透明の水に自ら色を加えることで変化を与えたり、またその変化の様子を楽しんだりすることなどがねらいとして子どもたちに期待されます。
他にも一色だけの美しさ、または混ぜた色の美しさを知ることや、それによる感動や気づきを与えることもねらいに含まれるでしょう。子どもたちの色彩感覚を豊かにするため、というのもよさそうですね。
子どもたちの自由な発想を活かして、自分たちで遊びを展開できるような環境を用意しておきたいですね。
色水遊びに使える素材
色水遊びに使える素材は、以下のようなものが挙げられます。
- 絵の具
- 食紅
- 草花などの植物
- クレープ紙
- 花紙
季節や年齢にあわせた素材選びが大切でしょう。素材によって色の出方なども変わるので、いくつかの素材を用意して比べてみても面白いかもしれませんね。
では、実際に保育園で行われている色水遊びの導入方法や実践例を見ていきましょう。これから実習や入職を控えているという保育学生さんは、参考にしてみてくださいね。
実習に役立つ、色水遊びの導入方法
色水遊びの導入方法のアイデアを紹介します。
色をテーマにした絵本を使う
色に関する絵本の読み聞かせをすることで、子どもたちに色への興味を持ってもらうのもよいでしょう。
色の名前が出てきたり、色を混ぜると違う色になることがストーリー仕立てになっていたりとさまざまな絵本があります。
色の違いや面白さを視覚的に捉えられることで、実際の色水遊びで絵本の世界を再現してみるなどイメージと実際の色とのつながりも学べるかもしれませんね。
混色クイズを出す
紫色や緑色など2色以上を混ぜておいた色水を子どもたちに見せ、「これは何色と何色を混ぜるとできるでしょうか?」と保育士さんがクイズを出します。
子どもたちから次々と予想が出てきたとしても、導入の時点で答えは言わず、「じゃあ色水遊びでこの色を作ってみよう!」と子どもたち自身がやってみることを促します。
実際に水遊びをしたときに、答えとなる色が出せたら、どのように混ぜればその色になるのか、みんなで共有してみましょう。
色水を使ったマジックをする
絵の具を使ったマジックで、色水遊びへの導入をしてみるのも面白そうです。
どうなっているのか不思議に思うきっかけを作ることで、色水への興味を引けるかもしれません。材料はペットボトルと絵の具と水だけなので、簡単に取り入れられるでしょう。
参考記事:「水の色が変わる不思議なお水の手品!/保育士バンク!」
次に、上記で紹介した色水遊びに使える素材の中から、絵の具と植物に視点を置いた色水遊びの実践例を紹介します。
色水遊びの実践例
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実際に保育士さんが実践する色遊びのアイデアを2つ紹介します。
素材によって対象年齢ややり方が異なるので、実習先や入職先での担当クラスの子どもに合った遊び方を参考にしてみてくださいね。
絵の具を使った色水遊びのアイデア
はじめに、絵の具を使った基本的な色水遊びのアイデアを紹介します。材料も少なく簡単にできるので、1歳児クラスから取り入れられるでしょう。
用意するもの
- プラカップなどの空容器
- 絵の具
- 水
スペースを広く確保し、色水を作るコーナーと色水で遊ぶコーナーに分けて、子どもたちが遊びを広げられるような環境を用意しておきましょう。
絵の具は、混色遊びを楽しめるよう、白・赤・青・黄のみでもよさそうです。
容器はプラカップの他、バケツやタライ、ペットボトル、卵の空き容器など、形の違う容器を用意するとごっこ遊びなどのときに遊びの幅が広がるかもしれませんね。
やり方
1.容器に水を入れる
2.絵の具を入れてよく混ぜ、色水を作る
3.色水を使って自由に遊ぶ
絵の具の量や水の量を変えて、どのように色が出るのか観察して楽しむことができる、基本的な色水遊びのやり方です。
保育士さんからあまりアドバイスなどはせず、子どもたちの感性に任せて自由に混色を楽しめるよう見守りましょう。
ポイント
1歳児クラスで行う場合は、子どもが絵の具に触らないよう、保育士さんがペットボトルなどの密閉容器に絵の具と水を入れてから、子どもといっしょに混ぜて色が変化する様子を楽しむなどの工夫をすることがポイントです。
2歳児以上のクラスでは、子ども自身で色水遊びができるよう準備し、保育士さんもいっしょに色の変化を楽しみながら遊びます。
「こういう色が作りたいのにできない!」と遊びにつまっていたら、適度に援助してくださいね。
植物を使った色水遊び
次に、自然の植物を使った色水遊びのアイデアを紹介します。
いろいろな色にふれて楽しむというより、普段外で目にしている花や葉っぱから色を出せることを学んだり、絵の具とは違った自然の色の美しさにふれることがねらいとしています。
特定の草花を摘んで色を出したり、それを使って別の遊びに発展させたりするため、4歳児~5歳児向けの遊びといえるでしょう。
色水遊びに適した草花
以下の花は色が出やすいとされ、一般的によく色水遊びに使われているようです。
- 朝顔(青、紫)
- オシロイバナ(黄色、紫)
- ホウセンカ(ピンク、赤、紫)
- つゆ草(青)
- サルスベリ(ピンク、紫)
保育園の園庭などにある草花などを摘んで集めてみましょう。
また草花だけではなく、野菜でも色水遊びが楽しめます。にんじんやピーマン、パプリカ、などの色の強い野菜を材料にすると色がしっかり出やすいようです。
用意するもの
- 材料となる植物
- ビニール袋
- 水
- プラカップや卵のパックなどの空き容器
- すり鉢、すり棒
すり鉢とすり棒は、水に入れただけでは色の出にくい植物をすりつぶすときに使います。
すり鉢などの用意が難しい場合は、まな板などの固くて平らなものを用意しましょう。その上で、植物を石でこするのも上手にすりつぶす方法の一つです。
やり方
1.屋外で朝顔などの草花を集める
2.材料となる植物を種類ごとに分ける
3.必要に応じてすりつぶしてからビニール袋に入れる
4.ビニール袋に水を少し入れる
5.色が出るように強めにもむ
6.色水ができたら自由に遊ぶ
ポイント
絵の具を使った色水遊びと異なる点は、植物を集める必要があること、そして色が出るようにもんだりすりつぶしたりして色を自分で抽出することです。
絵の具ではすでにある色を使って遊びますが、植物を材料にした場合は子ども自身で色を作り出すところがポイントです。
すりつぶすのが子どもだけでは難しい場合があるので、必要に応じて保育士さんが援助しましょう。自然の植物からどのような色水ができるのか、いっしょに楽しみながら実践してみてくださいね。
上記で紹介した絵の具や植物を使った色遊びの応用として、
- 色水を使ってジュース屋さんごっこをする
- 書道に使う半紙やコーヒーフィルターを色水で染める
- 色水を使って絵を描く
といったことをしてみても面白いかもしれません。
子どもたちの反応を見ながら、遊びが発展するような援助ができるとよいですね。
色水遊びをするときの注意点
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最後に、色水遊びをするときの注意点について紹介します。
色水を口に入れないよう配慮する
子どもが色水を口に入れないよう注意しながら見守りましょう。
ジュース屋さんなどのごっこ遊びにおいても、本当に口に入れたがる子どももいるかもしれません。
2歳児など低年齢のクラスで行う場合は、念のため絵の具の代わりに食紅やクレープ紙を使用するなど、万が一口に入れても大丈夫な素材を使いましょう。
汚れない工夫をする
色水遊びするときは、衣服の汚れを防ぐために、予め汚れてもいい服などを用意してもらうよう保護者の方にお願いしておくとよさそうです。
また環境の準備として、園庭やビニールプールの中などで行ったり、室内に大きめのビニールシートや新聞紙を敷いておいたりするなどの工夫も大切です。
色水が壁や床についた場合は、乾ききる前に掃除をすることを意識しましょう。
子どもたちと色水遊びを楽しもう
保育園で行う色水遊びについて、ねらいや導入方法、遊び方などを紹介しました。
子どもにとって色水遊びは単に楽しい遊びである一方で、自分自身で体験しながら色彩感覚などを磨くことができる、保育的観点から見ても大切な遊びといえるでしょう。
保育士さんは子どもの感性を十分に伸ばせるように、環境づくりと適切な声かけを意識したいですね。今回紹介した遊び方などを参考に、保育園での色水遊びを楽しんでみてはいかがでしょうか。