お泊り保育の計画を立てるとき、どのような遊びを取り入れたらいいか悩む新卒保育士さんもいるのではないでしょうか。子どもにとってさらに楽しいものにするためには、お泊り保育ならではのイベントを考えるとよいでしょう。今回は、お泊り保育のねらいやイベントアイデア、新卒保育士が考えるときのポイントを紹介します。
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■目次
お泊り保育のイベントとは
お泊り保育は、年長さん(5歳児)が夏に行うことのある、保育園の行事の一つです。そこで初めて親元を離れて宿泊体験をするという子どももいるかもしれません。
園舎にお泊りするにしても、園の外の施設でお泊りするにしても、家族以外と寝泊りするというのは子どもにとっては楽しみでもあり、同時に不安を伴う体験でしょう。
だからこそ、心細さや寂しさをできるだけ感じさせないよう、お泊り保育では子どもたちが楽しめるさまざまなゲームやレクリエーションなどのイベントを取り入れるのが一般的となっています。
では、お泊り保育のイベントには、どのようなねらいや目的があるのでしょうか。まずは、お泊り保育におけるイベントのねらいや行うタイミングについて見ていきましょう。
お泊り保育でイベントをするねらい
お泊り保育でイベントをするねらいとは、次の3つのこととされています。
普段とは違う体験で成長し、達成感を味わう
普段とは違う環境での体験を通して、子どもが成長し、達成感を味わうことがねらいの一つです。
お泊りというシチュエーションはもちろん、イベントを通して普段とは違う体験をすることで新たな発見や感覚を知り、子どもは成長するかもしれません。
その中で、子どもがやりきったという達成感も味わえたらよいですね。
仲間意識や協調性を育む
イベントを通して、友だちとの仲間意識や協調性を育むことができるでしょう。
お泊り保育を経験する年長さんは社会性を学んでいく時期です。
お泊り保育において友だちと協力する遊びや製作などのイベントをすることで、普段と違う環境の中、友だちと協力する楽しさや大切さを学んでくれるかもしれません。
楽しい時間を過ごすことで自信をつけ、自立につなげる
保護者と離れて楽しい時間を過ごすことで自信をつけて、それが自立につながることもお泊り保育のイベントを通して目指す大きなねらいでしょう。
家にいれば保護者がやったり手伝ってくれたりすることを、基本的には一人で行っていきます。
その中で「自分でできた」という感覚は自信につながり、家庭やその後の保育の中で以前より自立した姿を見せてくれるかもしれませんね。
お泊り保育でイベントをするタイミング
お泊り保育でイベントをするのは、実際にどのタイミングなのでしょうか。
お泊り保育では、だいたい午後3時ぐらいに集合して開会式などを済ませたあとから、夕食の準備が始まるまでの1~2時間が日中の活動の時間となります。
この時間を使って、子どもたちとざまざまなイベントやレクリエーションを行って楽しみます。
お泊り保育のイベントのねらいやタイミングを押さえたところで、ここからは実際にお泊り保育で実践できるイベントアイデアを紹介していきます。
イベントへの導入や隙間時間のアイデア
まずは、イベントへの導入や隙間時間にできるゲームのアイデアを紹介します。
絵本の読み聞かせ
イベントの導入として、お泊まり保育にまつわる絵本の読み聞かせをしてみてはいかがでしょうか。
それにより子どもたちの不安を軽くし、「お泊まり会は楽しいんだ!」と前向きなイメージをもてるかもしれません。また、食事や冒険、就寝など次のイベントに関わる絵本を読んでみてもよいでしょう。
ストップゲーム
「だるまさんがころんだ」のように、ピアノや音楽がなっている間だけ動けて、音が止まったら自分も止まるという、室外・室内ゲームです。
これを利用して1カ所に集合したり片づけをしたりすると、子どもたちも楽しみながら取り掛かることができるかもしれませんね。
言葉探しゲーム
ランダムに並べられた50音の中から、お題として出された文字を探して言葉を完成させる室内ゲームです。
カードの準備を事前にしておけば、用意も片づけもすぐにできるので取り入れやすいでしょう。
参考記事:「【動画】文字をさがせ!暗号ゲーム/保育士バンク!」
【ジャンル別】お泊り保育のイベントアイデア
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ここからは、お泊り保育のイベントアイデアを、以下のジャンルにわけて紹介していきます。
- 仲間と協力して楽しむイベントアイデア
- 見て、体験して楽しむイベントアイデア
- 達成感を味わうイベントアイデア
以上のジャンルにまつわるアイデア例を1つずつくわしく見ていきましょう。
新卒保育士さんなどは参考にしてみてくださいね。
仲間と協力して楽しむイベントアイデア
まずは、仲間と協力して楽しむイベントアイデアです。
宝探し
園内に隠された宝物を見つける、宝探しゲームはいかがでしょうか。さまざまなヒントをもとに、子どもたちが楽しく宝物を探せるように準備しましょう。
チームや友だちと協力して見つけることで、仲間意識や協調性の芽生えにつながるかもしれません。
怪盗からの挑戦状や絵本のキャラクターからの手紙という形で、子どもたちが架空の世界に入りつつみんなで楽しめるような準備をしておくのも面白そうですね。
スタンプラリー
園内や園外でのスタンプラリーも定番のイベントです。チームになって、園や園の近くに隠されたチェックポイントを探して、ゴールを目指しましょう。
チェックポイントにはなぞなぞのような問題や保育士さんなど担当者が立って課題を出すなど、あちこちにみんなで走り回るような楽しいスタンプラリーにすることがポイントです。
ゴール地点に折り紙のメダルやおやつなどの景品があると、より子どもたちもわくわくするかもしれません。
園外で行う場合は、下見をしてからの施設選びや安全性を考慮した上で企画することが大切です。
ジェスチャーゲーム
ジェスチャーゲームもレクリエーションの一つとして盛り上がるかもしれません。
最初は先生のジェスチャーをみんなで当てて準備運動をしたら、グループ分けをしてリレー形式で遊びましょう。グループ全員が正解して、早くゴールできたチームの勝ちです。
数回に分けて、この回のテーマは動物、次は職業、その次はスポーツなど、大枠のテーマを決めてある程度正解しやすくすることで、ゲームを円滑に進めることができそうです。
たとえば、動物なら犬、うさぎ、ゴリラ、ゾウなどで、スポーツなら野球やサッカー、卓球、水泳などが挙げられるでしょう。
ルールとして、例えば制限時間30秒以内に答えられなかったら自動的にパスにするなどを決めておくと、スムーズに進められそうですね。
見て、体験して楽しむイベントアイデア
次は、見て、体験して楽しむイベントアイデアです。
夜の探検
少し暗くなってきたら、夜の探検にチャレンジするのもおすすめです。
子どもに怖い思いをさせてしまわないように、明るい歌や手遊びで導入して、楽しい雰囲気で実施しましょう。
園や周辺を探検し、昼間との見え方の違いを楽しむ程度の気持ちで臨むとよいかもしれませんね。
保育士さんの出し物
園の保育士さんたちで企画してペープサートや手品のような出し物をしてみてもいいでしょう。
保育士さんたちには準備などの負担はかかりますが、普段はなかなか見ることができない先生たちの出し物に子どもたちも喜ぶかもしれません。
なかでも、コインが消えるマジックは、2~3分ほどの短時間ででき、練習もほとんど必要ないので気軽に取り入れやすいでしょう。
参考記事:「【動画】消えるコインマジック 不思議!コインが消えちゃった!?/保育士バンク!」
キャンプファイヤーやキャンドルサービス
キャンプファイヤーやキャンドルサービスをするのもよいかもしれません。大きな炎や暗い中で揺れるロウソクの火はとても幻想的でしょう。
いつもとは違う雰囲気の中、火を囲んで定番の歌を歌ったり、踊ったりして楽しく過ごす時間が、子どもの思い出に残る体験になるのではないでしょうか。
火を扱うときは、子どもたちが火に触れない距離を保つ、キャンドルを倒さない位置に置くなど周囲の安全確保や子どもたちへの注意を忘れないようにしましょう。
達成感を味わうイベントアイデア
最後に、達成感を味わうイベントアイデアです。
料理(クッキング)
子どもたちが自分で作れるメニューを考え、夕食や朝食作りをしてみるのはいかがでしょうか。
夕食はカレーやサラダがよいでしょう。自分たちでお米を研いで、野菜を切って……自分で作った食事はいつも以上に美味しく感じるはずです。
お泊り保育当日に、突然カレー作りは難易度が高いので、普段の保育に包丁を使った食育を取り入れ、経験しておくことがポイントです。
朝食はホットドックやサンドウィッチなど、手軽に楽しみながら作れるメニューにするとよさそうです。「自分で作れた!」という経験は、大きな自信につながるかもしれませんね。
記念品製作
お泊り保育の記念品製作に取り組むのもよさそうです。
例として、以下のようなものが挙げられます。
- フォトフレーム
- ランタン
- キャンドル
- 大型壁面
- メダル
子どもたちがお泊り保育をして楽しかった、やりきったという思い出をふとした瞬間に思い出すことができるような記念品が製作できるとよいですね。
製作の参考として、以下の作り方を③参考にしてみてくださいね。
参考動画:「メッセージを書いてプレゼント♪動くフォトフレーム/保育士バンク!」
参考動画:「ペットボトルで手軽にステンドグラスを作ろう/保育士バンク!」
表彰式
お泊り保育の締めくくりとして、表彰式を行います。
解散の前に賞状やメダルを渡して、お泊り保育をやりきった子どもを褒めましょう。
保護者と離れてお泊りする前には、楽しみばかりだけでなく不安な気持ちもあったかもしれません。しかしそれを乗り越えてお泊り保育をやりきったことで、子どもは何らかの形で成長しているでしょう。
そんな子どもたちの成長や頑張りを褒めるのも、一番身近で過ごした保育士の役割かもしれませんね。
ここまで、お泊り保育のイベントアイデアを紹介してきました。
最後に、新卒保育士がお泊り保育のアイデアを考えるときの注意点を紹介します。
新卒保育士がお泊り保育のイベントアイデアを考えるときの注意点
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新卒保育士さんがお泊り保育のイベントを考えるとき、どういったことに注意すればよいのでしょうか。
子どもの目線でイメージする
お泊り保育のイベントを計画するときは、体験することを子どもの目線でイメージすることが大切です。
自分が子どもの立場でイベントに参加したとき、危ない、怖い思いをしないか想像してみましょう。
園外でのイベントを行う場合は、子どもが迷子にならないよう馴染みのある場所を選ぶ、クッキングの場合は、子ども向けの包丁やまな板を用意して安全を確認しておくなど、少しでもリスクを減らす工夫をしておくとよさそうです。
ゆとりを持ったスケジュールにする
イベントを計画するときは、時間にゆとりをもったスケジュールにしておきましょう。
当日は予定通りうまくいかない、トラブルで中断するといった不測の事態も起こり得ます。イベント一つひとつをしっかりとやりきるために、長めの時間をみておくことが大切です。
もし、逆に時間が余ってしまったというときは、先に述べたようなちょっとしたゲームや出し物をするとよいかもしれませんね。
イベントアイデアを参考に、お泊り保育を成功させよう
今回は、お泊り保育のイベントのねらいやゲームなどのアイデア、新卒保育士さんが考えるときの注意点について紹介しました。
お泊り保育を通して子どもの成長が見えることに、やりがいを感じている保育士さんも多いようです。計画したイベントによって子どもたちが楽しかったと笑顔になることで、準備の苦労も報われるかもしれません。
さまざまなイベントアイデアを参考にして、お泊り保育を成功させられるとよいですね。