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保育実習や入職後に役立つペープサートの作り方。作るときのポイントや演じるコツ

ペープサートの作り方や演じ方について知りたい保育学生さんもいるのではないでしょうか。いくつかアイテムを用意しておけば、保育実習や入職後の自己紹介などで役立つかもしれませんね。今回は、ペープサートの魅力やねらい、作るときのポイント、簡単なものや仕掛けのあるペープサートの作り方を紹介します。

ペープサートの様子

mamaza/shutterstock.com



保育の現場で活躍するペープサートとは

ペープサートとは、「paper puppet theater(紙人形劇)」を語源とした和製英語で、紙に絵を描いて切り抜いたものに、割り箸などの棒をつけて動かして演じる人形劇のことです。


ペープサートは江戸時代からあった「立ち絵」をもとに永柴孝堂氏が考案したものといわれており、現在は全国に保育教材として普及しているようです。


ペープサートはどういった魅力から、広く親しまれているのでしょうか。



ペープサートの魅力


ペープサートの魅力として、以下のようなことが挙げられます。


  • 単体で表現された絵が動いたり変化して、子どもたちの注目を集めやすい
  • 子どもの興味や関心に合わせて内容を変えられる
  • 語りかけなど、子どもとのコミュニケーションを取りながら楽しめる
  • 登場人物に感情移入がしやすく、子どもたちの想像力を育む
  • 背景などが必要なく場所を選ばずに演じられるので、屋内野外でのイベントにも適している

このように、ペープサートにはさまざまな魅力があります。
幅広い年齢の子どもを対象に絵本を読み聞かせするときには、内容によって難しすぎたり反対に幼すぎたりと悩むこともあるかもしれません。


ペープサートなら、子どもたちの表情を見ながらセリフを言い換えるなど臨機応変に対応できるので、年齢を選ばず楽しめるのが最大の魅力でしょう。
子どもの興味や関心にあわせストーリーを自由に変えられるのも、ペープサートのよいところといえそうですね。



ペープサートのねらい


次に、ペープサートのねらいを見ていきましょう。 ペープサートのねらいとして、以下のようなことが挙げられます。


  • 劇の物語や音楽を通して、言葉や表現力を育む
  • (保育士さんが演じる場合)次の行動に興味をもち、イメージや期待感を膨らませる
  • (子どもが演じる場合)想像力を広げ、自分の世界を言葉や動きで表現する

事前に準備した場合は舞台があることもありますが、導入など即興でやった場合は特に、絵本のような背景がありません。そのため、子どもたちは背景を想像しながら話を楽しみます。それが子どもたちの想像力を育てるきっかけになるかもしれませんね。


またペープサートの作り方は簡単なので、子どもたちも作ることができるでしょう。 先生から子どもたちへ見せる人形劇だけではなく、子ども同士や、子どもたちから先生へ、自由な表現で演じて見せる機会を作るのもよさそうです。



ペープサートが活躍する保育の場面

では、ペープサートは保育の現場でどのように活躍するのでしょうか。使うと効果的な場面を紹介します。



自己紹介


ペープサートは、保育実習や入職後、初めて会う子どもたちへ自己紹介をするのに役立つアイテムの一つです。


自画像を描いた紙人形が名前や自己紹介をしゃべるように演じたり、名前の頭文字をつかった言葉遊びやクイズをしたりと、アイデアもさまざまあるでしょう。



導入


保育活動の中で、次の行動に移る前の切り替えや導入としてもペープサートは役立ちます。


子どもたちがなかなか前の行動から気持ちを切り替えにくいときでも、ペープサートを登場させることによって視覚的に働きかけ、注目を集めやすくなるでしょう。


そのときに、次の活動(遊びや製作、季節の行事など)にまつわる導入にすると、子どもたちの期待も高まるかもしれません。



やり方やルールの説明


子どもたちへ手本を見せたいときやルール説明をしたいときにも、ペープサートは効果的といえるでしょう。


たとえば、食育として人形が野菜を食べることで元気になる姿を演じる、かくれんぼのルール説明として複数の人形を使って演じるなど、保育士さんが実際に手本を見せるのが難しい場合でもペープサートを使うことによって子どもにも伝わりやすくなるかもしれませんね。



ペープサートを作るときのポイント

では、実際にペープサートを手作りしたいとき、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。作るときのポイントを見ていきましょう。



年齢や発達に合った題材にする


子どもの年齢や発達にあったペープサート・題材を選ぶのも大切なポイントです。


0・1・2歳児(乳児クラス)向けには、言葉遊びなど一定のリズム感が楽しめるものや変化がわかりやすいものを題材に選ぶとよいでしょう。


3・4・5歳児(幼児クラス)向けには、少し展開のある物語や子どもたちとさまざまな掛け合いを楽しめる題材を用意するとよいかもしれません。


絵本をもとにした題材を選ぶ際は、成長の段階に応じてストーリーの内容や全体の長さを参考にしながら選ぶようにしましょう。その他にも、擬音語や擬態語が多い作品などを選ぶと、子どもたちと言葉や動作でいっしょに楽しむことができるのでおすすめです。



作りたい題材によって材料を選ぶ


作りたい題材によって、ペープサートの材料を選ぶのも大切になります。
たとえば、以下のようなポイントを意識して、題材によって材料を選ぶとよさそうです。


  • シンプルなペープサートは画用紙を使う
  • 仕掛けのあるものは頑丈にするため厚紙を使う
  • 乳児向けには直接触れることも考えて柔らかいフェルトを使う
  • 子どもといっしょに簡単なペープサートを作るときは折り紙にする
  • 汚れや折れ曲がりから防ぐため仕上げにラミネートする

ラミネートを準備しておけば、ペープサートに細かいパーツがあっても脱落しにくく、より頑丈に仕上げられるかもしれませんね。



ペープサートの作り方

ここからは、簡単なペープサートと仕掛けのあるペープサートの作り方を紹介していきます。実習や入職を控えている保育学生さんは参考にしてみてくださいね。



簡単なペープサート


まずは簡単なペープサートの作り方です。仕掛けやアレンジを加える場合にも、この作り方がベースとなるでしょう。


用意するもの

  • 画用紙
  • ペンやクレヨン
  • 割り箸
  • はさみ
  • のり
  • テープ

作り方

【1】画用紙に登場人物のイラストを描く
【2】色がはっきり見えるように、ペンやクレヨンなどで色塗りをする
【3】登場人物の形にあわせて切り抜く。このとき、イラストの周りに余白を残して切るようにする
【4】割り箸を用意し、2枚の絵で割り箸を間に挟むようにして、のりやテープなどで固定すればできあがり


画用紙に描くイラストの大きさは、見せる子どもたちの人数によって調整しましょう。 子どもの人数が少なく、舞台から近い距離で見せる場合はだいたい手のひらサイズ、距離がある場合は直径約20cm以上のサイズを大きさの目安にするとよいかもしれません。


イラストは舞台から離れている子どもにもしっかり見えるように、はっきりとした色使いで色を塗りましょう。黒いペンでイラストをフチ取るとより絵が見やすくなります。



仕掛けのあるペープサート


次に、基本の作り方の応用となる、仕掛けのあるペープサートの作り方です。
ここでは、動画に沿って「パタパタ人形」の作り方を説明していきます。


参考:パタパタ人形の作り方


用意するもの

  • 紙皿
  • 割り箸
  • はさみ
  • ペンやクレヨン
  • テープ

画用紙より固い紙皿(厚紙でも可)を使うことによって、パタパタと動く人形の動きもスムーズになりそうです。作りたい人形の数に応じて、さまざまな色のペンやクレヨン、割り箸などを用意しておきましょう。


パタパタ人形の作り方

【1】紙皿に好きな動物のイラストを左右対称で描き、はさみで切り抜く
【2】腕の中央で内側に折ってから、そのまま腕部分を上下に折って折り目をつける
【3】開いて、先ほど腕の中央で折った折り目を山折りにする
【4】裏側に、割り箸の先が腕部分より上になるようにしてテープで2カ所固定する
【5】余った紙皿の余白から、2cm×4cmの長方形のパーツを切り抜く
【6】長方形のパーツを、イラストの腕より下の割り箸を挟むようにして固定すればできあがり


割り箸を上下に動かすことで、イラストの動物が両手をパタパタと動かす可愛らしい人形になります。


紙皿に動物のイラストを描くときは、腕よりも胴体を小さく描くことがポイントです。それにより動きがより大きく見えるかもしれません。


劇の内容をアレンジすれば、0歳児クラスから全学年で取り入れられるでしょう。
何種類かの人形を作っておき、演じたい題材によって内容を変えても面白そうですね。



ペープサートを演じるコツ

最後に、ペープサートを演じるときのコツを紹介します。



舞台を活用する


ペープサートの世界観をより深いものにしたいときは、布やダンボールなどで舞台を作るのもよいかもしれません。舞台として、背景・前景(近景)を用意すると本格的になるでしょう。


演じ手は舞台の裏に隠れて、操っているところが子どもたちからは見えないようにすると、よりペープサートに惹きつけることができるかもしれません。
舞台は2人以上の保育士さんで演じる大掛かりな人形劇をしたいときにもおすすめです。



子どもからの見え方を意識する


ペープサートの見え方を事前に確認しておくことも演じるうえで大切になります。


人形が傾かないように持つ、話している方のペープサートだけ動かすなど、子どもたちに見えやすく演じることも重要なコツといえるでしょう。


子どもたちの目線からどのように見えるか、鏡の前で練習したり、他の保育士さんに見てもらったりして確認しておくとよさそうです。



子どもにも参加してもらう


子どもたちが飽きないように最後まで楽しんでもらうためには、「子どもたちが参加できるポイント」を作ることもコツの一つです。


たとえば、話の中で主人公のキャラクターを「がんばれー!」と応援してもらうように促したり、保育士さんから子どもに質問やクイズを投げかけたりするなどするとよいでしょう。


子どもも参加することで、よりペープサートの世界観を一体となって楽しむことができそうですね。



子どもを惹きつけるペープサートを保育に活かそう

今回は、ペープサートの魅力やねらい、手作りするときのポイント、簡単なものや仕掛けのあるペープサートの作り方、演じるときのコツを紹介しました。


ペープサートは仕掛けも舞台の作り方も、また演じ方も決まったものがありません。 その分保育士さんも自由に演じ、園児側もイメージを膨らませながら楽しめるのが最大のよさといえるでしょう。


自由な発想を活かして、保育士さんオリジナルのやり方を取り入れながら子どもたちといっしょにペープサートを楽しんでみてくださいね。

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