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公立保育士とは?仕事内容や給料など私立保育士との違いやメリット・デメリット

公立保育士とは、公務員試験に合格し、公立の保育園や児童福祉施設などで働ける保育士のことをいいます。保育学生さんの中には、公立保育士の仕事内容や給料、待遇などについてくわしく知りたい方もいるのではないでしょうか。今回は公立保育士とは何かや私立保育士との年収などの違い、メリット・デメリットを紹介します。

子どもたちと先生

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公立保育士とは?

公立保育士とは、公立の保育園や児童福祉施設などの保育施設に勤務する保育士のことで、別名を公務員保育士といいます。


保育士には、都道府県や市区町村などが運営する公立保育園で働く公立保育士と、社会福祉法人やNPO法人、株式会社などが運営する私立保育園で働く私立保育士がいます。


公立保育士と私立保育士で大きく違う点は「地方自治体に採用された公務員でもある」ということでしょう。



公立保育士になるには


公立保育士となるためにはどういった条件があるのでしょうか。


公立保育士になるためには、前提として受験時に保育士資格を取得しているか、または次年度4月までに取得見込みであることが必須条件です。


そのうえで、地方公務員の一般行政職職員採用試験に合格しなければ、公務員保育士にはなれないので注意しましょう。


一般行政職職員採用試験の受験資格や選考方法、試験内容などは各自治体によって異なりますので、採用を希望する自治体に確認することが必要になります。



公立保育士が活躍する勤務先


公立保育士の場合、指定の保育園に応募するのではなく、自治体の管轄内にあるいずれかの児童福祉施設で保育士として勤務することになります。そのため、配属先が保育園になるとは限らないようです。


実際に公立保育士はどのようなところに配属され、活躍しているのでしょうか。
公立保育士の勤務先として、以下のような公立施設が挙げられます。


  • 保育園
  • 認定こども園
  • 乳児院
  • 児童養護施設
  • 児童発達支援センター
  • 保健センター
  • 子育て世代包括支援センター
  • 母子生活支援施設
  • 障害児のための福祉施設
  • 児童館などの児童厚生施設

このように、公立保育士が活躍する場所はさまざまあるようです。


このほか、現場ではなく保育士の加配や入所事務など保育運営や児童福祉全般を扱う統括的な事務方の部署に配属されることもあるかもしれません。


このような配属は、近年社会問題となっている待機児童問題など地域全体が抱える課題に対する、保育士視点での取り組みを期待されてのことだと考えられています。



公立保育士と私立保育士との違い

では、公立保育士と私立保育士とでは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。 仕事内容や給料、待遇の違いを、それぞれの特徴とあわせて紹介します。



保育内容


公立保育園は保育の質がほぼ均一化されており、同じ自治体内ならどの公立保育園を選んでもレベルに差のない保育を行えるとされています。


一方、私立保育園は経営母体や園長先生の考え方によってさまざまな取り組みをしているところもあり、保育方針も園ごとのカラーが濃いといえるでしょう。


安定した保育方針の下で仕事がしたいという人には、公立保育士が向いているかもしれません。



働き方や仕事内容


保育方針に沿った保育を行うという点では、公立保育士も私立保育士も働き方や仕事内容に大きな差はないといえるでしょう。


園が独自で行なっているプログラムがあれば、それにあわせた計画や実行が必要になるかもしれません。


勤務時間については、公立保育園は私立保育園に比べて開園時間が短く、長時間の延長保育や休日保育を行なっていないところが多いので、勤務時間や休日はしっかり決められているのが特徴です。



給料


常勤の公立保育士と私立保育士の平均月収と年収(賞与込)を、2019年度の幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果をもとに比べた表を見てみましょう。


公立保育士給料

このように、公立保育士と私立保育士の平均月収・年収に大きな差はないように見えますね。しかし、公務員保育士は昇給が見込めるほか、主任保育士などの役職に就くとさらに給料がアップするようです。


つまり、長く勤め、キャリアアップをしていくほど、給料に差が出てくるといえるでしょう。



待遇


公立保育士は、福利厚生も地方公務員と同じように受けられるようです。有給、育休や産休など制度も整っているので、比較的休暇が取りやすいでしょう。


私立保育士の福利厚生は、勤務する保育園によってさまざまなようなので、就職を検討するときはよく確認しておくとよいかもしれません。


出典:幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果/内閣府 2019年度



公立保育士として働くメリット

子どもを抱っこする先生

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次に、公立保育士として働く場合のメリットを紹介します。
公立保育士として働くことを検討している保育学生さんは参考にしてみてくださいね。



給料や待遇が充実している


公立保育士の給料は国の制度によって定期的に昇給することが決まっているため、勤続年数や役職によって昇給率が高いことが大きなメリットの一つです。


賞与(期末手当・勤勉手当)や退職金も確実に支給されるなど、収入も安定するでしょう。また、福利厚生の内容は、自治体によって異なりますが、特に出産や育児に関する待遇は、多くの一般企業よりも充実しているとされています。


民間企業の育休が原則1年間である一方、公立保育士を含む地方公務員は、最長3年間の育休を取得することが可能です。


地方公務員の福利厚生には、出産・育児関連以外にもさまざまなものがあります。
「育児などのプライベートと、保育士としての仕事をしっかり両立させたい」「安定して働きたい」と考えている方にとって、待遇面のよさは大きなメリットといえるでしょう。



安定した働き方ができる


公立保育園は、国が定める基準をクリアしている認可保育園なので、園児数に対して配置される保育士の数も定められた基準を上回るよう配置されています。


そのため、保育士不足による残業なども少なく、比較的余裕をもって働ける傾向にあるかもしれません。


また、私立保育園の場合は経営のために園児を集める必要があり、他の園と差をつけるために特色のある教育や保育カリキュラムを導入し、その方針にあわせて保育士さんが技能を身につけ、指導に当たるところもあります。


一方で公立保育園は、勤務先が変わったとしても保育方針が安定しているので、保育士さんにプラスアルファの能力が求められることが少ないというところもメリットといえるかもしれません。



失業のリスクが少ない


公立保育士は地方公務員であるため、景気に左右されることは基本的にはありません。
もし勤務していた保育園が民営化や統廃合によりなくなることがあったとしても、失業することはないでしょう。


自治体内の違う園に行くか、保育士が足りていれば役場勤務になるか、いずれにしても配属先が変わるだけということになります。失業のリスクが少ないので、安心して働けるかもしれません。



公立保育士として働くデメリット

最後に、公立保育士のデメリットを紹介します。



採用は狭き門


公立保育士になるための公務員試験には、受験条件が設けられている場合があります。


たとえば「30歳以下」「その市町村に住んでいること」などが決まっているケースもあるので、必ず確認しておきましょう。


公務員保育士は常に人気があり求人の競争倍率はかなり高いとされています。
また、公務員試験に合格しても、公立保育園で欠員が出なければ、公立保育士として働けないことに注意が必要です。


「採用試験に合格すること=採用候補者名簿に1年間登録すること」であるため、合格後1年以内に配属先が決まらなかった場合、採用試験を再受験しなければなりません。採用までにはさまざまな条件をクリアする必要があるようですが、そもそも欠員や増員を見越しての採用ですので、「合格したけど結局働けなかった」というケースはめったにないようです。


受験を検討するのであれば、しっかりとした事前確認や対策をしておくとよさそうですね。



異動がある


公立保育士は公務員なので、異動があります。一般的に3~4年ほどで配属先が変わることが多いようです。


そのため、以下のようなことが起こることも考えられます。


  • 異動先が希望の配属先ではなかった
  • 通勤時間が長くなってしまった
  • 関わった子どもたちを卒園まで見届けられない

配属先の希望を聞いてくれるケースもあるようですが、それが実際に叶うとは限りません。


しかしどこに配属されたとしても、保育士としての経験やキャリアアップにつながると考え、目の前の子どもへの保育を大切にできるとよいですね。



公立保育士とはなにか、特徴やメリットを把握して受験を検討しよう

今回は、公立保育士とは何かや私立保育士との違い、メリット・デメリットについて紹介しました。


公立保育士は倍率が高く、採用は狭き門であるとされていますが、給料や福利厚生の充実という面においてメリットが大きいでしょう。異動があるなどデメリットはあっても、公務員として長く安定して働ける点は魅力的かもしれませんね。


受験資格などもしっかりチェックして、公務員保育士の採用試験の受験を検討してみてはいかがでしょうか。

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