3歳児の製作遊び。ねらいや季節ごとのアイデア、指導案を書く時のポイント

保育実習で3歳児クラスを担当した際、製作を取り入れたいと考えている保育学生もいるのではないでしょうか。時期によってできることも異なるので、季節ごとのアイデアを知ってくと役立てられるでしょう。今回は、3歳児クラスの製作アイデアについて、ねらいや指導案を書く時のポイントとあわせて紹介します。

お絵描きする女の子

MIA Studio/shutterstock.com

3歳児にとっての製作遊びとは

3歳児になると、自由遊びの時間にお絵かきをしたり、紙ヒコーキを折ったり、粘土で遊んだりする姿が見られるようになり、製作ではハサミやのりなどの道具を使ったりすることもあるかもしれません。

また、製作を自由に書いたり作ったりして、表現する喜びを味わえるようになり、始末の仕方や遊んだ後の片付けなどを、自分で考えてやろうとすることもあるでしょう。

さらに運動機能が育ち、繰り返しの面白さを感じて、「こうするとこうなる」と予想して動くことができるようになるなどの、イメージや創造性が発達する頃かもしれません。

そんな3歳児の製作遊びには、以下のようなねらいが挙げられます。

  • 製作遊びを通して表現することを楽しむ
  • 製作遊びを通して表現することを育む
  • 製作に使う道具に興味を持ち、正しく使おうとする
  • 自分で作った作品で遊ぶことをよろこぶ

このようなねらいもふまえて、のりやはさみなどの道具を用いりながら、自分のイメージしたものが形になるようなアイデアを取り入れるとよいかもしれません。

しかし危険への判断が難しい頃でもあるので、保育士さんは子どもといっしょに行動しながら、道具の使い方や身の回りの安全性を教えていきながら、3歳児の特徴を生かした製作遊びを取り入れられるとよいですね。

今回は、3歳児にぴったりな製作遊びを紹介します。

【季節別】3歳児向けの製作遊びのアイデア

保育実習でできる3歳児の製作のアイデアを紹介します。

シール模様のこいのぼり

<用意するもの>

  • こいのぼりの形に切った画用紙(3種類ぐらいの色)
  • シール(多めに)
  • 新聞紙(机に敷いておく)

活動前には、新聞を机に敷き用意しておくとよいでしょう。

<作り方>

1.こいのぼりとシールを配ります。

2.こいのぼりにシールを貼ってもらえばできあがりです。

<援助と配慮>

こいのぼりの目と尾びれは、先に書いておくとわかりやすいかもしれません。
シールを配る前に、1人ずつシールを分けておきます。

なかには、すぐに作り始められない子どももいるかもしれないので、様子を見ながらいっしょに作るなどの対応をするとよいでしょう。

ちぎり絵のあじさい

<用意するもの>

  • アジサイの形に切った画用紙
  • 折り紙2分の1にしたものを2枚ずつ(色違いで)
  • のり(2人で1つ)
  • 手拭きタオル(のりを使ったあと拭く用)
  • 新聞紙(机に敷く)

のりの感触が嫌だと感じる子がいるかもしれないので、強制せずに子どもの様子を確認してからいっしょにやるなど対応するとよいでしょう。

また、手についてのりをすぐに拭けるように水で濡らした手拭きタオルを用意しておくとよいですね。

<作り方>

1.保育士さんは画用紙で、アジサイを作ります。

2.折り紙をちぎります。

3.ちぎった折り紙にのりをつけ、あじさいの画用紙に貼るとできあがりです。

<配慮と援助>

折り紙は小さすぎると、のりで貼るときに大変になってしまうので、「〇枚ぐらいにちぎろうね」などと伝えるとわかりやすいでしょう。2つ工程あるため、子どもたち全体の状況を見つつ、進めていくとよさそうです。

のりを使ったことがない子どもたちの場合は、丁寧にのりの使い方を教えるとよいかもしれません。のりを使うときは、子どもたちに「お母さん指」や「1を出して」などわかりやすく伝え、指を使ってのりを付けることも伝えましょう。

はじき絵の花火

<用意するもの>

  • クレヨン
  • 画用紙
  • 絵の具
  • 絵の具用の筆
  • 水(絵の具をとくための)
  • 絵の具を入れる容器
  • 新聞紙(机に敷く)

<作り方>

  • クレヨンで、花火をかきます。
  • 上から絵の具で色を塗るとできあがりです。

<援助と配慮>

花火をどうかけばよいのかわからない子もいるかもしれないので、保育学生さんが見本を見せると子どもたちも書き始めやすくなるでしょう。クレヨンで濃くかくと、上から絵の具をはじくので、きれいに仕上がるようです。

絵の具の筆を使ったことがない子がいるかもしれないので、その時はいっしょに筆を持って教えるとよいかもしれません。絵の具になれていない場合の対応として、花火をかけた子から、何人かずつ絵の具を塗るようにすると、目の届く範囲で子どもたちの様子がわかりやすそうです。

紙皿を使ってひまわり作り

<用意するもの>

  • 紙皿
  • 折り紙
  • のり
  • タオル(手をふく)
  • 新聞紙(机に敷く)

<ポイント>

ひまわりの花びらになるところは、事前に色を塗って花びらの形に切っておくと子どもたちも、想像がしやすくなるでしょう。

ちぎる折り紙の大きさは、小さすぎるとのりで貼り付けるときに細かくなって複雑なので、保育学生さんが見本を見せると作りやすくなるのかもしれません。

<援助と配慮>

急に始めるのではなく戸外に出たときにでも、子どもたちとひまわりを実際に見ることもよさそうです。

説明を聞いてすぐに作り始められる子や、作り出せない子がいるもいるので、子どもたちの様子を見ながら、個別にも援助できるようにするとよいかもしれません。

のりを使うことを嫌がる子どもがいるかもしれないので、いっしょに作るなど臨機応変に対応するとよいでしょう。

紙皿を使ったハロウィンリース作り

<用意するもの>

  • 折り紙
  • 紙皿
  • リボン
  • キリ
  • はさみ
  • のり

活動前に紙皿の真ん中を切り抜いて、リボンを通せる穴をあけておきましょう。

<作り方>

1.保育士さんは、折り紙でかぼちゃやおばけ、コウモリなどを作っておきます。

2.真ん中を切り抜いた紙皿と、折り紙で折ったものを配ります。

3.かぼちゃやおばけ、コウモリなどを紙皿の周りにのりで貼り付けます。

4.穴を開けたところにリボンを通して結ぶとできあがりです。

<配慮と援助>

ハロウィンを知らない子がいるかもしれないので、絵本などを使って導入するとよいかもしれません。

リースにつける飾りは、オレンジ色や黒色、紫色の折り紙を好きなように貼り付けるだけでもハロウィンらしくなるでしょう。

子どもたちが好きなように貼り付けハロウィンの製作を楽しめるとよいですね。

<援助と配慮>

あらかじめ、人数分のかぼちゃやお化けなどを作っておくとよいでしょう。星形に切った折り紙やいろいろな素材を使うと自由に表現ができそうです。

リボンの色を何種類か用意しておくと子どもたち一人ひとり違う作品になるでしょう。

七五三の千歳あめ袋作り

<用意するもの>

  • 千歳飴を入れる袋
  • 野菜スタンプ
  • スタンプ台
  • 新聞紙(机に敷いておく)
  • タオル

<作り方>

1.保育士さんは、画用紙で千歳飴を入れる袋を作っておきます。

2.レンコン、ピーマン、オクラ、アスパラを持ちやすいように切っておきます。

3.千歳飴の袋を配ります。

4.袋に野菜スタンプを押せばできあがりです。

<配慮と援助>

この製作について説明するときに、「この野菜なんだ?」と子どもたちに問いかけて、何を使ってスタンプをするのかをわかりやすく伝えると活動に入りやすいのかもしれません。

いつも食べている野菜の断面を知らない子もいるので、見本で押すとわかりやすくなりそうです。嫌がっている子には無理せず、様子を見ながら声をかけたり、いっしょに作ったりしてもよいでしょう。

喜んでスタンプし始める子どももいるかもしれないので、スタンプやスタンプ台を多めに用意して楽しんで活動ができるとよいですね。

クリスマスツリー

<用意するもの>

  • 画用紙
  • 折り紙
  • ハサミ
  • のり
  • 新聞紙(机の敷いておく)
  • タオル(手を拭く)
  • クレヨン

<作り方>

1.保育士さんは、折り紙が三角形になるようにハサミで切る直線を事前に書いておきます。

2.折り紙を配ります。

3.ハサミで折り紙を切ります。

4.切った折り紙をクリスマスツリーのように少しだけ重ねてのりで貼ります。

5.星をツリーの上に貼ります。

6.木の幹と鉢を書くとできあがりです。

<配慮と援助>

ハサミをまだ上手に使えない子もいるかもしれないので、全体の様子を見ながらも個別に教えるようにしましょう。

ハサミで切り終わった子は、席を立たずに待っているようにとあらかじめ伝えておくとよいかもしれません。

切った折り紙の全体にのりをつけると、はがれにくくなりますよ。

<援助と配慮>

ハサミを使うときの注意をしっかり伝えてから、製作活動に入るとよいかもしれません。折り紙を持つ手の位置まで気をつけましょう。

のり付けも、作り始められない子には、そばについたり、どうしても作れない場合には実習担当の保育士さんと相談してから、活動の後で時間を作ったりしながら対応するとよいかもしれません。

雪遊びの絵

<用意するもの>

  • 画用紙
  • クレヨン
  • 絵の具
  • 絵の具を入れる容器
  • 筆を洗う水とバケツ
  • 新聞紙(机に敷く)

<作り方>

1.画用紙を配ります。

2.クレヨンで絵を描きます。

3.白い絵の具で雪を降らせたり、雪だるまを書いたりするとできあがりです。

<配慮と援助>

始めにクレヨンで絵を描いた後に絵の具で雪を塗ることを伝えます。

子どもたちには、白いクレヨンはできるだけ使わないようにすると、白い絵の具を塗ったときに絵がはえるでしょう。

<援助と配慮>

書き出せない子は、見守り、声掛けをするなど対応していきましょう。
絵の具を使う場合は、できた子から1つのテーブルで絵の具を塗る準備をしておくとよいかもしれません。

絵の具の筆を最初に持つときは、いっしょに持つとよいでしょう。

子どもたちのなかには、絵の具を塗るのが楽しくてたくさん塗る子や少ししか塗らない子などさまざまいるかもしれません。保育学生さんは、絵の具で絵を表現できたことを共に共感できるとよいですね。

時間になっても書き終わらない子がいた場合は、実習担当の先生に確認したうえで書き上げるまで待つなどの対応を考えるとよいかもしれません。

3歳児の製作遊びにおける指導案のポイント

絵の具を手のつけてお絵かきする女の子

MIA Studio/shutterstock.com

3歳児クラスの製作遊びをするときに、どのようなことがポイントをおさえて指導案をかくとよいのでしょうか。

「ねらい」と「目標」は違うことを意識する

一般的に、ねらいは製作に興味を持つことや自由に書いたり楽しんで作ったりして表現することといえるでしょう。

それに対し目標は、製作を完成することなので、それぞれを書き分けて書くことを意識するとよいかもしれません。

「子どもの活動」では子どもの姿を想像する

年齢に合った製作の活動をするのが前提ですが、普段の保育士さんや子どもたちの様子をきちんと観察しておくと製作遊びをしたときの子どもの姿が書きやすくなるかもしれません。

「この製作をしたら子どもたちは楽しめるかな?」と考えたり「保育士がこんな言葉がけをしたら、こんな反応をしてくれるかな?」と予測をしたりしたことを指導案に書きましょう。

保育士の配慮や援助と準備をすること

部分実習で製作をする場合、実習担当の先生に子どもたちの様子や好きな事、ハサミやのりはどのくらい使っているのかをきちんと確認するとよいでしょう。

事前に材料を用意したり、作り方を確認したりするとよいかもしれませんね。

3歳児が楽しめる製作遊びを保育実習に取り入れよう

今回は、3歳児の製作遊びについて、取り入れる際のポイントや具体例、援助する点や配慮すべきことなどを紹介しました。

保育実習で取り入れるときは、6月、7月、8月の夏の製作や、9月、10月は秋の製作など季節に合ったものにするとよいかもしれません。

3歳児の子どもたちができることを担当の保育士さんと相談して、製作の内容を決めて部分実習に臨めるとよいですね。

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