保育士さんが住む物件の費用を負担してもらえる、住宅手当の制度。住宅手当について詳しく知りたい保育学生さんもいるのではないでしょうか。今回は住宅手当の種類を説明します。また、いつまで支給されるかなど保育士さんが住宅手当をもらうときの条件やいくらぐらいもらえるのかといった手当の内容についてもまとめました。
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■目次
保育士がもらえる住宅手当とは
住宅手当とは、保育士が住む住宅に対する家賃の補助制度や社宅制度の総称を意味します。
保育士さんの待遇改善を目的として、住居にかかる費用を国や自治体、または保育園の運営主体が補助することで保育士の仕事を続けやすくするといったメリットがあるようです。
保育士さんの住宅手当の制度が広まった背景には、厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業」が関係していることが考えられます。
この制度は、待機児童問題の改善を目的として、保育士さんの離職防止や働き方の改善を目指した施策です。
国や自治体が一部費用を負担し、保育士さんが住むための物件を保育園の運営主体が借り上げるといった形で保育士さんの支援を推進しています。
保育士がもらえる住宅手当の種類
住宅手当にはいくつかの種類があり、保育園の運営主体によってさまざまな形で手当を行なっているようです。
住宅手当の種類ごとに、いくら負担してもらえるのかといった相場とあわせて紹介します。
家賃補助
保育士さん自身の名義で契約している物件の家賃に対して、補助金が支給される制度です。
家賃額に対する割合の金額での支給や、毎月定額で支給を行なうなど運営する園によっていくらもらえるかという支給額は変わるようです。
就活バンク!に掲載されている求人では、月々8万円の家賃補助を支給している保育園などがあります。
自分が想定する家賃と支給額とを比較し、生活費をやりくりできる額の補助を設けた園を選ぶことが大切と言えるでしょう。
借り上げ社宅
厚生労働省が推進している保育士宿舎借り上げ支援事業をもとにした住宅手当となります。
保育園の運営主体がアパートなどを借り上げて、保育士さんに安い費用または無料で物件を貸し出しています。
保育士宿舎借り上げ支援事業では、月の補助額の上限が8万2000円となっていますが、地域や保育園の運営主体によって補助額には違いがあるようです。
就活バンク!に掲載されている求人では、保育士さんの月々の負担金を1万円で借り上げ社宅を提供している保育園などがあります。
引っ越しの際にかかる、敷金や礼金などについても保育園に負担してもらえるため、引っ越し費用を安くしたいと考える保育学生さんにぴったりなのではないでしょうか。
寮
保育園の運営主体が所有しているアパートやマンションなどに保育士さんが安い費用で住むことができます。
就活バンク!に掲載されている求人では、園近くの寮に住むことができる幼稚園などがあります。
寮の場合は勤務先の園の近くに住むことができるため、通勤にかかる負担が少なくてすむことが特徴と言えそうです。
このようにさまざまな制度があるため、いくら支給額があればよいかを想定し、自分の暮らし方に合った住宅手当の制度を設けている保育園を選ぶことが大切になりそうですね。
保育士が住宅手当をもらうための条件
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保育士さんが住宅手当をもらえる条件や、いつまで支給されるのかといったことについてみていきましょう。
住宅手当つきの求人を探す
住宅手当つきの保育求人を探し、制度の内容をみていきましょう。
保育園が存在するエリアによって支給金額が異なるようです。
一般的に都内など、家賃が高額になるエリアでは支給金額が増えるケースが多いようです。
求人票を見比べながら、就職したいエリアにぴったりな住宅手当を実施している保育園を探しましょう。
支給される勤続年数について
厚生労働省「保育士宿舎借り上げ支援事業」によると、支給には保育士さんの勤続年数に制限があることがわかります。
この制度では、採用された日から10年以内の保育士さんが住宅手当の対象となっています。
国の施策ではこのように勤続年数での制限がされており、それに則っている園がある一方、独自の支援制度を行なっている園や自治体もあるようです。
反対に、勤続年数による制限を設けていない自治体もあります。
いつまで支給されるかについては、自分の勤務する自治体や園の制度を確認しておくと安心ですね。
結婚後や同棲について
新卒として入職し、働き続けるなかで過生活環境が変わることもあるでしょう。
国や自治体の制度では、結婚や同棲に関する制限は設けていません。
しかし保育園の運営主体によっては、単身者のみの支給・結婚相手の住宅手当の有無による・2人入居不可などの規定を設けている場合もあるようです。
自分の応募する園の求人を読むとともに、不安な場合は採用担当者に確認するのがよいかもしれません。
保育士として働くうえで住宅手当をもらうメリットと注意点
保育士さんが住宅手当をもらうときのメリットや、注意しておきたいことを紹介します。
メリット
家賃面での負担を抑えられる
一人暮らしを計画している保育学生さんの場合、家賃の負担を抑えられることは大きなメリットと言えるでしょう。
住むエリアや物件によって家賃は異なるため、自分の住みたい物件の家賃と照らし合わせながら住宅手当を選んでいくとよさそうです。
通勤に便利
借り上げ社宅制度や寮制度といった住宅手当を受けるにあたって、勤務する保育園の近くに住むことができるので通勤が楽になることが挙げられるでしょう。
通勤時間が短縮されることにより、早く帰宅してゆっくり身体を休めたり、もしものことがあった際にすぐ保育園に駆けつけたりすることができそうです。
引っ越し費用がかからないことも
住宅補助を実施している保育園などでは、敷金・礼金の他にも引っ越し費用を負担している園もあるようです。
他にも上京する保育学生さんに対して10万円の補助を支給するなど独自の制度を設けている園や自治体もあります。
引っ越しの際にもお金がかかってしまうので、こういった制度が利用できると助かりそうですね。
注意点
住宅手当が縮小する可能性も
厚生労働省「保育関係予算の概要【2019(令和元)年度補正予算案・2020(令和2)年度予算案】 」の資料によると、借り上げ社宅に関する手当が支給される条件や補助金額の一部縮小が検討されているようです。
具体的には、以下のような条件に対して見直される予定となっています。
- 待機児童数が少ない地域では、対象となる勤続年数が10年以内から5年以内となる
- 全国一律だった補助金額の上限(8万2000円)が地域の実勢に合った金額に見直される
対象となる勤続年数が5年となる場合は、以下の条件を満たす地域のようです。
- 直近2か年の4月1日時点の待機児童数が連続して50人未満、かつ、直近2か年の1月の保育士の有効求人倍率が連続して全国平均以下の市区町村
- 待機児童数が50人未満(前年度)から50人以上(事業実施年度)となった場合で、かつ、直近2か年の1月の保育士の有効求人倍率が連続して全国平均以下の市区町村
待機児童数が少なく、保育士の有効求人倍率が全国平均以下の地域では補助が縮小されるそうです。
この取組は待機児童問題・保育士不足の解消を目的としているため、このような条件が追加されたと考えられるでしょう。
これから住宅手当を利用しようと考えている保育学生さんはこれらの補助の縮小を鑑みて、計画的に勤務先を選ぶ必要がありそうですね。
好きな物件を選べないことも
借り上げ社宅制度を利用した際は、保育園の運営主体が契約した物件を指定されるため自分で物件を選ぶことができないでしょう。
自分で物件選びをこだわりたいという保育学生さんは、家賃補助などを実施している園を選ぶとよいかもしれません。
エリアによっては生活費がかさむ可能性も
都会にあたるエリアなどでは、物価が高く家賃以外の生活費が想定以上にかさんでしまうケースもあるでしょう。
食費や移動費などを計算し、計画立ててからエリア選びをすることで安定した暮らしを送れそうです。
出典:保育関係予算の概要 【2019(令和元)年度補正予算案・2020(令和2)年度予算案】 /厚生労働省
保育士の住宅手当について知り、保育求人探しに活かそう
今回は保育士がもらえる住宅手当について、いくらもらえるかという金額の相場や、いつまでもらえるのかなどの条件について紹介しました。
住宅手当には家賃補助、借り上げ住宅、寮といったさまざまな制度があり、保育園の運営主体や自治体によって支援の内容も異なっています。
住宅の費用が抑えられるため、一人暮らしをしたい新卒の保育学生さんにとって便利な制度ですが、支援が縮小する可能性があったり好きな物件が選べなかったりと注意点もあります。
保育士がもらえる住宅手当についてきちんと把握して、保育士の求人探しに役立ててみてくださいね。