小規模保育園とは何か知りたい保育学生さんもいるでしょう。0歳児~2歳児の子どもを少人数で預かる保育施設のことをいい、就職先の候補として人気があるようです。今回は、小規模保育園の特徴や種類とともに、給料や仕事内容など保育士さんの働き方も紹介します。あわせて働くときのメリット・デメリットもまとめました。
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小規模保育園とは
近年、認可保育園として認められるようになった小規模保育園は、通常の保育園とは異なり少人数で運営されるのが特徴です。 どんな施設なのか、内容や従来の保育園との違いをみていきましょう。
小規模保育園の概要
小規模保育園とは、0~2歳児を対象に、定員6~19人の少人数で運営される認可保育園のことです。
もともと認可外の保育園として運営されてきましたが、2015年の子ども・子育て支援新制度により、「地域型保育事業」の中の「小規模保育事業」として設定され、市区町村による認可を受けられるようになりました。
規模が小さく設置・運営がしやすいという特徴を活かして、地域における多様な保育ニーズにきめ細かく対応するという役割があります。
従来の認可保育園との違い
従来の認可保育園との大きな違いは「定員の少なさ」と、「乳児をメインで受け入れる」という点にあるでしょう。
園の定員が20人以上という従来の認可保育園の条件が緩和され、定員を満たせない僻地などの保育園でも認可を受けられるようになりました。
また、定員が少なく必要なスペースも小さいので、ビルの一室など狭い土地でも開園できるというメリットもあります。
他にも、一般的な認可保育園では一般的に生後6カ月、8カ月ころから受け入れる一方、0~2歳児を対象としている小規模保育園は、保護者が産休明けとなる生後2カ月から受け入れる園が多いようです。
小規模保育園の種類
小規模保育園には、規模によってA型、B型、C型の3つの類型に分けられます。
それぞれどのような基準や特徴があるのかをみていきましょう。
A型
A型は保育所の分園やミニ保育所に近い類型です。
配置基準は以下の通りです。
従来の保育士の配置基準である、0歳児3人に対し保育士1人、1~2歳児6人に対して保育士1人に1名プラスで配置され、ゆとりある職員配置となっています。 定員は6~19人と少ないものの、必要資格や保育室の面積などはきちんと設定されています。
B型
B型はAとCの中間型にあたる類型です。
配置基準は以下の通りです。
A型と同様に、職員数は従来の配置基準に1名追加、定員は6~19人となっています。
異なる点は、職員の半分が保育士資格を持っていれば運営できるという点でしょう。
有資格の職員が集まりづらい場合でも、無資格の補助人員で対応して保育をすることができるようですね。
C型
C型は家庭的保育(グループ型小規模保育)に近い類型と言えるでしょう。
配置基準は以下の通りです。
職員に求められる資格が「家庭的保育者」のみという点がA型・B型と大きく異なりますね。家庭的保育者とは、地方自治体が実施する研修を受講し、認定を受けた人材を言います。研修には基礎研修と認定研修の2つの種類があり、それぞれ座学と実習を受けることで取得することが可能です。
このように小規模保育園の種類は3つに分かれ、それぞれ異なる設置基準があるようですね。
小規模保育園での働き方や給料
小規模保育園の概要などはわかったものの、そこで働く保育士さんの働き方や給料などはどのようになっているのでしょうか。
具体的な特徴についてみていきましょう。
保育士さんの働き方や仕事内容
一般的に、接する子どもが乳児クラスのみになるだけで、保育内容は変わりないようです。幼児より未発達な乳児の子どもが楽しめるような遊びや、身の回りのお世話などをすることが求められるでしょう。
また、狭い敷地でも設置できる小規模保育園には、園庭がないところも多いので、戸外遊びとして近所の公園などに行くことも多いかもしれません。
子どもの人数が少ないので、個々の体調や状況に合わせて活動ができるという利点もありそうですね。
小規模保育園で働く保育士さんの給料
内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」の資料をもとに、それぞれの類型の小規模保育園の給与と一般的な認可保育園の給与を比較してみましょう。
平均額としては、一般の認可保育園のほうが高い現状にあるものの、小規模保育園の平均勤続年数が全体的に短いことが影響していると考えられます。
今後、長く勤続した保育士さんが増えるにしたがって平均給与が上がっていく可能性もあるでしょう。
また、小規模保育園の場合、比較的短い勤続年数で主任保育士といった管理職についているため、早くキャリアを積み上げたいという保育学生さんには向いているかもしれません。
出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】p11~12、7
小規模保育園で働くメリット・デメリット
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新卒保育士として、小規模保育園で働くときのメリットやデメリットを紹介します。
メリット
きめ細やかな保育ができる
小規模保育園では、子どもの人数が少なく一人ひとりに合わせた対応ができるでしょう。
体調の悪い子どもがいるので室内遊びにする、暑いので水遊びを行うなど活動の調整もしやすいようです。
子どもたちの状況に応じた柔軟保育をしたいと考える人にとっては適した施設と言えそうですね。
乳児の子どもとかかわれる
実習の経験から、幼児クラスよりも乳児クラスの子どもの担任がしたいと考える保育学生さんもいるかもしれません。
小規模保育園は0歳児~2歳児の乳児を受け入れているため、乳児の子どもとたくさんかかわることができます。
保育したい年齢が決まっている場合、小規模保育園に絞って就活するのもよさそうですね。
職員同士の連携がしやすい
小規模保育園では、職員の人数も少なくなるため、職員同士コミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
職員会議をわざわざ設けなくとも、行事の内容や日々の保育などを簡単な話し合いで決めることができるでしょう。
また、保育士さん一人ひとりの裁量が大きく、新卒保育士さんの意見でも採用されやすい環境にあるかもしれません。
残業・持ち帰り仕事が少ない
子どもの人数が少ない小規模保育園では、書類や製作物などが少なく、残業や持ち帰り仕事が必要ない場合が多いようです。
また、行事についても乳児のみであるため簡単に行われる園が多く、保育士さんの負担も少なくなるでしょう。
デメリット
休みが取りづらい
保育士の人数が少ないことで、休みが取りづらくなるというデメリットにつながるようです。
急な病気や用事のために休みが取っても、他の職員へ負担がかかってしまい肩身が狭くなるかもしれません。
また、同様に他の職員が休んだときのフォローが大変になるという懸念もあるでしょう。
休んだ職員の代わりに入れるフリーの保育士がいるなど、安心して休める環境が整っている園を探すとよいですね。
職員間で保育スキルに差がある
無資格の職員が多いB型やC型の小規模保育園では、保育士間で保育スキルに差がある園もあるようです。
資格を持っている保育士さんが無資格の職員のフォローに回るため、新卒保育士さんにも負担が出る場合も考えられます。
また、他の職員から保育スキルを学ぶ機会が少なかったり、有資格の保育士さんの責任が重くなったりすることもあるかもしれません。
研修の充実さや、若手ばかりでなくベテランの職員から学べる環境かを園見学などでチェックしておくとよいでしょう。
保育園のスペースが狭い
狭い敷地でも設営できるのが小規模保育園の強みですが、そのスペースの狭さゆえに業務に支障が出るかもしれません。
保育室の広さに関しては設置基準で充分なスペースがとれるよう決まっていますが、廊下や倉庫、職員室といった他のスペースが確保されづらいようです。
そのため、職員の更衣室が混雑する、廊下が狭く大きな家具などを移動しづらい、製作物や教材の保管場所が少ないなどの問題につながることも考えられます。
備品倉庫や更衣室など、仕事を円滑に進めるためのスペースをしっかり確保している園だと働きやすそうですね。
集団での保育ができない
小規模保育園の定員は6~19人となっており、それぞれのクラスの人数は数名程度となるでしょう。
そのため多人数で楽しむフルーツバスケットのような遊びは盛り上がらなかったり、運動会や発表会などの行事は縮小して行ったりすることが多いようです。
たくさんの子どもで遊ぶ一斉活動や、発表会の劇をしっかり指導したいという保育学生さんは物足りなく感じるかもしれません。
逆に、ゆったりと個々にかかわりたいという保育学生さんには向いていると言えそうです。
これらのメリット・デメリットをきちんと理解し、小規模保育園は自分に合っているかどうかを判断してみましょう。
小規模保育園とは何かを知って、就活の視野を広げよう
今回は、小規模保育園とは何か、特徴や働き方について紹介しました。
小規模保育園とは0~2歳児を対象に、定員6~19人の少人数で運営される認可保育園です。
従来は認可外の園として運営されていましたが、地域のさまざまな保育ニーズに応えることを目的に、2015年の子ども・子育て支援新制度によって認可されることが決まりました。
小規模保育園で働くには、きめ細やかな保育ができる、残業など保育士さんの負担が少ないなどのメリットがある一方、休みが取りにくいなどデメリットも存在するためよく検討することが大切です。
小規模保育園とは何かを知って、就活の視野を広げるのに役立ててみてくださいね。