保育実習などにおいて、手形を活用した製作を取り入れてみたいと考える保育学生さんもいるのではないでしょうか。さまざまなモチーフにアレンジすることで、季節ごとの壁面飾りやプレゼントなどに活用できるかもしれません。今回は、手形の製作をするねらいや援助するときのポイント、季節ごとのアイデアを紹介します。
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■目次
保育園で手形の製作をするねらい
手形は、手のひらに絵の具やインクをつけて紙にスタンプするだけで簡単にとれるため、0歳児からの製作活動に取り入れやすいと言われています。
保育園では、手形を成長の記録として誕生日カードや敬老の日のプレゼントなどに貼ったり、季節ごとの製作物にアレンジしたりと、さまざまな方法で活用しているようです。
では、手形の製作はどのようなことをねらいとして行うのでしょうか。
例として、以下のようなことが挙げられます。
- 絵の具の感触を楽しむ
- 紙に手形を押すおもしろさを知る
- 色の認識をする
- 絵の具の特徴を学ぶ
- 手形を活用したお絵かきや製作などを楽しむ
手形の製作を通して、子どもたちが絵の具の感触や手形を使った製作の楽しさを知ることをねらいとしているようです。
保育学生さんが援助するときは、「絵の具はなんだかぬるぬるしているね」、「色のついた手で紙に触ったら、形が残っておもしろいね!」など子どもの発見に共感するような声かけを意識するとよいでしょう。
保育園で手形の製作をするときのポイント
実際に保育園で手形の製作をするとき、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
汚れ防止対策をしておく
手形の製作では絵の具やインクを使うため、床や机などに汚れ防止対策をしておくことが大切です。
絵の具を手につけるときに飛び散ったり、子どもが色のついた手で台紙以外にも触ったりすることがあるかもしれません。そのため、台紙の周りに新聞紙を敷いたり、床にビニールシートを敷いたりするなど、保育室が汚れないように対策しておくとよいでしょう。
また、絵の具は水を含ませすぎると垂れやすくなります。手形用の絵の具は少量の水で伸ばしておくか、スタンプ用のインクで代用すると、汚れ防止につながるかもしれません。
子どものそばについて援助する
手形をとるときは、必ず保育学生さんまたは保育士さんが子どものそばにつきましょう。
乳児クラスの子どもにとって、絵の具を手につけるときに動かないでいることや、手のひら全体を紙に押しつけることが難しい場合もあるかもしれません。そのため、子どもをしっかりと抱っこしながら行なったり、子どもの手のうえから学生さんがギュッと押さえるようにして手形をとったりと、個人の様子に応じて援助することが必要になるでしょう。
幼児クラスの場合は、絵の具の正しい使い方や手順の説明などをしながら、自分でやってみようとする姿をそばで見守るようにするとよいかもしれません。
終わったらすぐに手をきれいにする
手形をとったあとは、すぐに手をきれいにすることを意識しましょう。
0歳児や1歳児の場合、絵の具のついた手を口に入れようとすることもあるかもしれません。また、絵の具は乾くと洗っても落ちにくくなることが考えられます。そのため、手形をとる前におしぼりを準備しておき、終わったらすぐ手を拭けるようにしましょう。その後手洗いをすれば、汚れも少なくスムーズに落とせそうです。
手形製作のアイデア~春~
ここからは、手形製作のアイデアを春夏秋冬の季節ごとに紹介します。
まずは、春らしいモチーフにアレンジする手形製作です。
桜の木
手形を桜の木に見立てた製作アイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- 筆
- ペットボトル
製作のポイント
動画では腕まで絵の具をつけてから手形をとっていますが、難しい場合は手のひらのみでとり、幹の部分は学生さんや子どもがかき足してもよいでしょう。
桜の花のスタンプも同時に楽しめるとよいですね。(詳しい説明はこちら)
大きなこいのぼり
手形をウロコに見立てた、大きなこいのぼりの作り方です。
用意するもの
- 画用紙
- 折り紙
- 絵の具
- はさみ
- のり
作り方
1.画用紙を貼りあわせ、大きなこいのぼりを作ります。
2.画用紙や折り紙などでこいのぼりの目を作って貼ります。
3.子どもの手に絵の具を塗り、画用紙に手形をとります。
4.子どもたちの手形が乾いたら、縁取るようにしてはさみで切り抜きます。
5.手形を大きなこいぼりのウロコとして貼ったらできあがりです。
こいのぼりの台紙は、クラスの子どもの人数に応じて大きさを調整するとよいでしょう。手形をさまざまな色の絵の具でとれば、カラフルなこいのぼりができあがりそうですね。
手形製作のアイデア~夏~
次に、手形を夏らしいモチーフにアレンジする製作アイデアを紹介します。
タコとイカ
赤色と青色の手形から、タコとイカを作ってみましょう。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- テープ
- マジック
- はさみ
- のり
作り方
1.片手ずつ赤色と青色の絵の具をつけて、画用紙に手形をとります。
2.手形が乾いたら、周りを縁取るようにはさみで切り抜きます。
3.赤色と青色の画用紙で、タコとイカの頭部分を作ります。
4.手形の画用紙を(3)で作った頭部分にのりで貼り合わせます。
5.タコとイカ、それぞれにマジックで顔をかいたらできあがりです。
タコとイカの頭部分は、子どもの様子に応じて学生さんが作るか、もしくは子どもが作るようにしましょう。壁に水色のPEテープを何本か貼って海に見立て、そこに子どもたちのタコとイカを貼ると、夏らしい壁面飾りになりそうです。
カニのうちわ
夏祭りなどで活躍するうちわに、かわいらしい手形のカニをかくアイデアです。
用意するもの
- うちわ
- 画用紙
- 絵の具
- クレヨン
- はさみ
- カッター
- のり
作り方
1.赤色の絵の具を子どもの両手につけます。
2.画用紙に、横向きの手形をとります。
3.(2)の手形の付け根部分とくっつけるようにして、もう片方の手形も同じように横向きにとります。そうするとカニの形ができあがります。
3.手形が乾いたら、クレヨンでカニの顔や好きな絵をかきます。
4.うちわにのりを塗り、カニがうちわの中央になるようにして画用紙を貼ります。
5.のりが乾いたら、うちわからはみ出た部分の画用紙をはさみやカッターで切り取ったらできあがりです。
手形をとるときは、学生さんがカニの形になるよう意識して子どもの手を置いたり、紙の位置を調整したりすることがポイントです。カニの周りのデコレーションは、子どもが絵やシールなどで自由に飾りつけられるよう援助するとよいでしょう。
手形製作のアイデア~秋~
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次に、秋らしいモチーフの手形製作の例を紹介します。
トンボ
手形をトンボの羽に見立てた、秋らしい製作アイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- マジック
- はさみ
- のり
作り方
1.画用紙でトンボの目と胴体の部分を作ります。
2.絵の具を子どもの手につけ、画用紙に手形をとります。
3.手形が乾いたら、周りを縁取るようにしてはさみで切り取ります。
4.台紙となる画用紙に、(1)で作ったトンボの胴体と目の部分をのりで貼りつけます。
5.(3)の手形をトンボの羽に見立てるようにしてのりで貼りつけたらできあがりです。
子どもに好きな色の絵の具や画用紙を選んでもらうようにすれば、カラフルなトンボができあがるでしょう。トンボの目玉は、子どもがかいたり黒い丸シールを貼ったりすると、よりオリジナリティが出そうです。
みのむし
みのむしの体のイガイガを、手形で表現するアイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- のり
- はさみ
- クレヨン
作り方
1.好きな色の絵の具を手につけ、画用紙に両手分の手形をとります。
2.手形が乾いたら周りを縁取るようにしてはさみで切り取り、2枚を少しずらすようにしてのりで貼り合わせます。
3.みのむしの顔の形を画用紙から丸く切り取り、クレヨンで顔をかきます。
4.(2)で作ったみのむしの体部分を、顔部分とのりで貼り合わせたらできあがりです。
2枚の手形をずらして貼り合わせることで、みのむしの体のイガイガ部分によりボリューム感をもたせることができるでしょうできあがった作品の裏に毛糸をつけて保育室の天井から垂らして飾れば、風に揺れるかわいいみのむしを表現できるかもしれません。
手形製作のアイデア~冬~
最後に、手形を活かした冬らしいモチーフの製作アイデアを紹介します。
クリスマスのトナカイ
手形をトナカイの角に見立てた、クリスマスシーズンにぴったりの製作アイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- クレヨン
- シールやモール
- はさみ
- のり
作り方
1.茶色もしくは黄土色の画用紙でトナカイの顔と耳のパーツを作り、台紙となる画用紙にのりで貼ります。
2.子どもの両手に茶色の絵の具をつけ、角となる位置に手形をとります。
3.クレヨンでトナカイの目や鼻などをかき、シールなどでデコレーションをしてできあがりです。
トナカイの顔パーツを画用紙に貼るときは、手形をとる余白を考慮して、少し下の方の位置にしておくことがポイントです。トナカイのそばにサンタの絵をかいたり、光沢のあるシールやモールなどでデコレーションしたりすれば、よりクリスマスらしい作品になりそうです。
雪だるま
雪だるまの手袋を、手形で表現する製作アイデアです。
用意するもの
- 画用紙
- 絵の具
- クレヨン
- シール
- はさみ
- のり
作り方
1.白い画用紙で雪だるまの胴体部分を作り、台紙に貼ります。
2.子どもの両手に絵の具をつけ、好きな色の画用紙に手形をとります。
3.手形が乾いたら、周りを手袋の形になるようにしてはさみで切り取ります。
4.(1)の雪だるまに、(3)で作った手袋をのりで貼り合わせます。
5.雪だるまの顔をクレヨンまたはシールなどで表現してできあがりです。
手形を楽しむだけでなく、周りに白い絵の具で指スタンプをして雪を表現すると、より冬らしい作品になるかもしれません。
絵の具や手形を押す画用紙を好きな色から選べるようにすれば、オリジナリティのある雪だるまに仕上げることができそうです。
手形をさまざまなモチーフにアレンジして製作を楽しもう
今回は、保育園での手形の製作のねらいや春夏秋冬のアイデアなどを紹介しました。
手形の製作には、絵の具の感触を楽しむねらいがあるようです。その形を活かして季節ごとのモチーフにアレンジした製作をすることで、行事などに親しむきっかけにもなるかもしれません。
保育実習で取り入れる場合は、子どもたちに手形をとるおもしろさや楽しさが伝わるような援助ができるとよいですね。