保育園では、日々の保育や行事など、歌を教える機会がたくさんあります。初めて聞いてもらう曲や発表会で歌うときなど、指導の仕方に悩む場面もあるかもしれません。今回は、保育園での歌の教え方を、選曲、導入など工程に沿って紹介します。また、声かけのしかたや歌詞の伝え方など、指導のポイントもまとめました。
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子どもに歌を教える意味やねらい
保育園や幼稚園では、今月の歌を決めて毎月教えたり、イベントでは行事にちなんだ歌を取り入れたりと、歌を大切にしていることが多いですよね。
保育学生さんも、部分実習で弾き歌いの指導をしたり、入職後に子どもに歌を教えたりすることがあるかもしれません。
保育園で子どもといっしょに歌を歌うことには、このような意味があるようです。
- 音の持つよさを感じながら歌う心地よさを味わう
- 友だちと声を合わせて歌うことで一体感を感じる
- 歌詞の面白さやリズムの楽しさを味わい、友だちと分かち合う
- 歌を通して季節を感じたり、行事に親しみを感じたりする
子どもが音楽に親しみを感じるとともに、歌うことを楽しめるような指導が大切になるでしょう。
のびのびと歌を楽しむ機会を作れるよう、教え方を工夫していけるとよいですね。
子どもへの歌の教え方~導入編~
ここでは、初めての歌を子どもに覚えてもらうための導入を紹介します。
1.子どもに合った歌を選曲する
保育園で取り入れる歌には、子どもがリズムに乗って歌いたくなるような、アップテンポの曲や、親しみやすいメロディーの曲を選ぶとよいでしょう。
また、オバケや忍者など、クラスの子どもが興味を持っている題材や、面白い歌詞がある曲を選ぶのもよいかもしれません。
また、子どもが自然に、きれいな声で発声できるのは「ミファソラ」の音階であると言われています。
メロディーが高すぎたり低すぎたりする曲や、音階のアップダウンが激しい曲は子どもたちが歌うには適さないかもしれませんね。
2.子どもの興味を引き出す
子どもが意欲を持って歌を楽しめるよう、歌への興味を引き出せるきっかけ作りをしていきましょう。
耳で歌詞を聞いただけでは、イメージがつかない子どももいるかもしれません。
絵本やペープサートを活用して、歌へのイメージを膨らませられるとよいですね。
3.まずは保育学生さんが歌ってみる
保育学生さんの弾き歌いやアカペラで、どんな歌であるかを聞いてもらいましょう。
心を込めて楽しそうに歌うことで、子どもたちも惹きつけられるかもしれません。
子どもに印象づけるため、最初はサビから歌うのもよい方法でしょう。
「この歌は楽しそうだな」「いっしょに歌いたいな」と意欲を引き出すことで、サビ以外の部分も自然に覚えていけそうですね。
4.子どもといっしょに少しずつ歌う
一度歌を聞いてもらったら、子どもといっしょに少しずつ歌の練習をしていきましょう。
節ごとに区切って、歌詞の内容や意味を説明しつつ歌えば、子どもたちも覚えやすくなりそうですね。
そのあとは、最後に全部続けて歌ってみて、おさらいをしましょう。
また、2番、3番まであるような長い曲の場合、歌を覚えているうちに飽きてしまう子どももいるかもしれません。
その際は、何日かに分けて少しずつ教えていくと、楽しみながらスムーズに覚えることにつながりそうです。
子どもへの歌の教え方~歌い方編~
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次に、歌い方をより深めるための教え方のコツを紹介します。
優しい発声で歌えるように教える
大きながなり声ではなく、優しい声で歌えるような声かけが大切になります。
「大きな声で歌おうね」と声をかけると、声を張り上げてしまいかねないため、「お口をしっかり開けてね」と指導をするとよさそうです。
もしがなり声になっているときは、「みんなのお声、かいじゅうさんみたいじゃないかな」「声がとげとげしているよね」など気づきを促すことが大切でしょう。
そして、「まあるい、優しい声で」「にこにこの声で」と声の出し方を教えていけるとよいですね。
歌の持つイメージを膨らませる
歌のよさを感じてもらい、子どもの感性や表現力を養うためには、歌の持つイメージを子どもたちに伝えていく必要があるでしょう。
そのためには、歌詞の意味や場面を説明する他にも、「これって何をしているのかな」「どんな気持ちになったかな」と子どもたちに問いかけてみることが大切かもしれません。
子ども同士で感じたことを共有する機会を作ることで、表現の深まりにつながっていきそうですね。
難しい箇所は部分的に練習する
子ども向けの童謡の中にも、歌詞やメロディーが難しい部分があるかもしれません。
声が小さくなったり、もぞもぞと歌っていたりするときには、その部分を繰り返し練習することで自信につなげていきましょう。
保育学生さんがお手本を見せながらゆっくりと歌う、歌詞の意味を説明するなど教え方を工夫すれば、子どもにとってもわかりやすくなりそうです。
子どもへの歌の教え方のポイント
最後に、子どもに歌を教えるときのポイントをまとめました。
視覚的な要素を取り入れる
歌詞の内容がイメージできるよう、ペープサートや絵カードなどを見せながら歌うとよいでしょう。
保育学生さんが考えたオリジナルの振りをつけて歌えば、歌詞を覚えやすくなったり、歌のイメージが湧いて来たりしそうです。
また、4歳児や5歳児など文字が読める年齢であれば、歌詞を書いていつでも見られるよう保育室に貼っておくのも有効かもしれませんね。
聞き取りやすい声で歌う
子どもに正しく歌を伝えるためにも、まずは保育学生さんが聞き取りやすい声で正しく歌うことが大切になります。
歌手のような歌声でなくても、口をしっかり開け、お腹から声を出して歌うことで、聞き取りやすい自然な歌声になるようです。
また、ピアノの音量や、保育学生さんの体の向き、子どもの立ち位置にも配慮すると聞こえやすくなりますよ。
歌が楽しいと思える雰囲気作りを行う
保育園の子どもたちが、歌うことのよさやよろこびを感じられるような、楽しい雰囲気作りをすることも大切なポイントです。
子どもたちが正しい歌詞や音程を覚えることにこだわりすぎず、「歌うのは楽しい」「みんなで声を合わせると心地よい」という感覚を味わえるよう、明るい雰囲気で指導しましょう。
保育学生さん自身が「楽しいな」「いい歌だな」と感じながら歌うことで、子どもたちも楽しんでくれるかもしれませんね。
歌の教え方のコツを知って、子どもといっしょに歌に親しもう
今回は、保育園での歌の教え方を、選曲、導入など指導のポイントとともに紹介しました。
初めての歌を教えるときには、子どもの興味を引き出すとともに、段階的に練習していくとスムーズかもしれません。
また、保育学生さんが聞き取りやすい声で歌うことや、歌が楽しいと思える雰囲気作りをすることも大切なポイントです。
歌の教え方を知って、保育園の子どもと歌を楽しみましょう。