最近は、新卒で入職してから2、3年目の保育士さんが年長クラスの担任を任されることもあるようです。小学校入学へとつながる5歳児の大事な1年間で、どのように子どもたちの保育をすればよいのでしょうか。今回は、年長クラスの担任になったときに役立つ、目標例やかかわり方のポイントなどを紹介します。
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担任として知っておきたい年長クラスの特徴とは?
保育園で最高学年となる年長クラス。基本的な生活習慣が身につき、身の回りのことを自分で行うようになるでしょう。
そんな年長クラスの担任は、2~3年程度経験を積んでから任されることが多いようです。
担任保育士となったときのために、まずは年長クラスの5歳児の特徴や発達の目安を押さえておきましょう。
身体的な特徴
文部科学省の資料では、2018年の5歳児の男女別の平均身長と平均体重について以下のように示しています。
男子 | 女子 | |
---|---|---|
平均身長 | 110.3cm | 109.4cm |
平均体重 | 18.9㎏ | 18.5㎏ |
また厚生労働省の資料によると、5歳から6歳にかけて体重が約2kg程度増加し、身長が約6cm~7cm程度伸びるようです。体重に比べて身長の伸びが大きいことが分かります。
ただし、これはあくまでも調査による数値であり身体の大きさには個人差があるので、目安として考えておきましょう。
運動機能の特徴
5歳児になると運動機能がさらに発達し、複雑なバランスを取れるようになる子も出てくるようです。
目安として、スキップをしたり平均台の上を歩いたりと、全身を上手に使いながらバランスを取る運動ができるようになるでしょう。他にも、縄跳びやボール遊びなど重心を移動させて遊ぶ動きも楽しむようになると言われています。
精神・知能的な特徴
5歳児は、自分の思いや気持ちを言葉で表現するようになるようです。遊びのなかで友だちと協力したり、イメージを共有しながら取り組んだりする姿が見られるかもしれません。
また、時間や数、大きい小さいといった概念を理解し、興味を持つ子どももいるでしょう。他にも、担任の先生が話している内容を理解し、長期間記憶できるようになるといった発達も見られるようです。
年長クラスの5歳児の特徴をふまえたうえで、次から具体的にどのように担任としてかかわっていけばよいのか紹介します。
年長クラスの目標の例
年長クラスの担任になった際、どのような目標を設定すればよいのでしょうか。厚生労働省が示す保育所保育指針を参考に目標例を考えました。
基本的な生活習慣を身につけ、自ら選択して行動できる
5歳児は、毎日の生活において身の回りのことが一通りできるようになると言われています。
そこで、保育園で過ごす1日の生活に見通しを持ち、次に何をするとよいのか動けるようになることを目標にしてみましょう。
時間の感覚もだんだんと身につくようになるので、給食の時間、歯磨きの時間など1日の流れを理解できるようになるかもしれません。園生活を自分たちで進めていこうとする力を育てることをポイントに据えるとよいでしょう。
友だちを思いやる気持ちを持って協力しながら取り組む
年長クラスの子どもたちは、友だちと共通のイメージを持って行動するようになるでしょう。
そこで、友だちや仲間を大切に思いやる気持ちをもち、集団での生活を楽しむことを目標にするとよいかもしれません。
クラスのなかで役割を分担したり自分たちでルールを作ったりできるような活動を取り入れれば、子ども同士のコミュニケーションも活発になり、社会性を育むことにつながりそうですね。
年長クラスの担任としてのかかわり方のポイント
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次に、年長クラスとしてどのようなポイントを意識して子どもたちとかかわるとよいのかまとめました。
子どもの主体性を大事にする
特に年長クラスでは、子どもたちが園での生活やクラスの活動に意欲的に取り組めるよう主体性を大切にするようにしましょう。
そのため、担任はあれこれと指示を出したり決めたりせずに、子どもたち自身で決めようとする姿勢を尊重することがポイントです。
たとえば、運動会や生活発表会で何をするのかなどを積極的に考えて発言してもらい、子どもが中心となって決めていくとよいかもしれません。
担任の先生は助けを求められたら援助をしたり、話し合いが滞っているときにヒントを与えたりして、基本的には子どもの力だけで進められるようサポートするとよいですね。
子どもたちの自信を育むようにする
子どもたちの自信を育めるようにすることも大切なポイントです。
そのためには、一つ目で挙げた子どもたちの主体性を尊重することが大切になります。
「先生に任せてもらった」という経験が子どもたちの自信になり、目的に向かって意欲的に取り組もうとする気持ちを育むことにつながるかもしれません。
うまくできたことややり遂げたことに対して具体的に褒め、日頃から子どもたちの自信を養えるように接するとよいですね。
小学校入学を視野に入れる
年長クラスは、小学校入学を意識して1年間を過ごすことが大切になります。
時間を意識した生活を心がける
小学校は時間割が決められており、時間に沿って行動することが求められます。
そのため、保育園でも時間を意識して園生活を過ごすようにしてみましょう。
たとえば、「給食は30分間だよ」「〇時になったらお部屋に戻るよ」など、子どもたちに活動内容と時間を合わせて伝えるようにするとよいかもしれません。
文字や数字に興味を持てる活動を取り入れる
読み書きは入学してからきちんと教えてもらうことができますが、自分の名前を書くなど文字や数字に親しむ活動を取り入れておくとよいでしょう。
まだ文字や数字への興味が薄い子もいるかもしれないので、自然と関心を持てるように工夫するとよいかもしれません。たとえば、家族や友だちにお手紙を書く、みんなで園長先生にメッセージを書くといった活動を行えば、抵抗感なく文字に慣れ親しむことができそうですね。
話を聞く力を伸ばす
小学校は担任の先生やお友達のお話を静かに聞くことが大切になる場面もあります。
そのため、子どもの「話を聞く力」を伸ばすことが重要になるでしょう。担任として子どもたちの話をしっかりと聞くようにし、また誰かが発言しているときはみんなで聞くということを日頃から伝えていくことが大切かもしれません。
「自分が話しているときにきちんと聞いてもらうという」という経験をすることで、相手の話を聞くことの大切さを理解することにつながりそうですね。
保育園の年長クラス向けの遊び
最後に、年長クラスの子ども向けの遊びを紹介します
戸外遊び
5歳児は複雑な動きができるようになるため、思い切り身体を動かして楽しめる遊びを取り入れるとよいでしょう。以下に遊びの例をまとめました。
- ドッジボール
- 鬼ごっこ
- リレー
- 縄跳び
- 鉄棒/登り棒
ボールや縄跳びなど、道具を使って取り組むアイテムにも積極的にチャレンジして、子どもたちの運動機能の発達をサポートできるとよいですね。
室内遊び
5歳児は集団遊びに親しみルールを理解して遊ぶようになるため、室内遊びにゲーム性のあるアイデアを取り入れるとよいでしょう。以下に遊びの例をまとめました。
- フルーツバスケット
- 伝言ゲーム
- ジェスチャーゲーム
- ごっこ遊び
- 製作
フルーツバスケットは基本の遊び方から発展させてアレンジルールを楽しめるので、子どもたちが主体的に遊びを進められるでしょう。
また、伝言ゲームやジェスチャーゲームはチームでの協力が大切になるので、社会性やコミュニケーション能力を育むことにつながるかもしれません。
年長クラスの担任としての接し方を知っておこう
今回は、年長クラスの担任になったときに知っておきたい発達の特徴やかかわり方のポイントなどを紹介しました。
年長クラスの5歳児は、基本的な生活習慣が身につき、ある程度のことは自分たちでできるようになります。
そのため、「やりたい」という気持ちを損なわないように、できるだけ子どもたちが主体的に動けるようサポートしましょう。また小学校入学に向けて、日頃から時間を意識したり読み書きなどに親しんだりできる活動を取り入れることも大切です。
年長クラスの担任としてどのように保育すればよいのかを押さえ、入職後に役立ててみてくださいね。