初めての担任で4歳児を持つという新卒保育士さんもいるでしょう。身体も心も大きく成長する年中さんの子どもたちの成長を支え、興味と関心を広げていけたらよいですよね。今回は、4歳児の子どもの特徴や、担任をするうえで意識することを紹介します。保育士としてのかかわり方のポイントや、いっしょに楽しめる遊びもまとめました。
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■目次
年中担任が知っておきたい4歳児クラスの特徴
幼児クラスのなかでは真ん中の年齢にあたる年中組の4歳児さん。
3歳児の頃よりも友だちのとのかかわりが深まったり、手先が器用になったりと成長を感じる場面もたくさんあるでしょう。
一方、30名に対し保育者1名と配置基準が上がることから、大変だと感じる新人保育士さんもいるかもしれません。
そんな年中クラスを担任するうえで、保育士さんが知っておきたい4歳児の特徴を紹介します。
運動能力の特徴
まずは、運動能力の特徴を見ていきましょう。
2つの動きを合わせた運動ができるようになる
ジャンプしながら縄を回す縄跳びができたり、走りながらボールを投げたりといった2つの動きを同時に行う動作ができるようなる頃のようです。
また、鉄棒での前回りや片足跳び、前転など、身体の動きが巧みになり、いっそう運動遊びが活発になる子どもが多いでしょう。
ただし、一人ひとりできることには差があるため、「やってみたい」と意欲を育むことが重要になります。
4歳児を担任する保育士さんは、できる・できないといった結果ではなく、がんばろうと挑戦する意欲を認めながら、身体を動かす楽しさを伝えていくことが大切です。
手先が器用になり、複雑な操作にも挑戦するように
4歳児頃には手先の巧緻性も育まれ、紐を結んだり、箸で上手にものをつまんだりといった動きも見られるかもしれません。
また、はさみを使うときに、はさみを動かして切るのではなく、紙を動かして切るという動作ができるようになる子ども出てくるようです。
担任の保育士さんは、子どもたちの様子を見ながら、道具の上手な使い方を教えていくとよさそうですね。
情緒面や認知能力の特徴
4歳児の子どもの心や認知能力の育ちにはどのような特徴があるのでしょうか。
「自分が」の世界から周囲に目が向くようになる
3歳児までは、自分の興味のあるものと向き合ったり、今その場にいる友だちと遊びを共有したりする姿が多いですよね。
4歳児になると自分と他人の区別がはっきりしてきて、徐々に周囲の状況にも目が向くようになるようです。
そのことから、「○○ちゃんといっしょがいい」と友だちを気にするようになったり、「~されたらいやだから、人にしない」と相手の立場を想像して行動できるようになったりするでしょう。
自制心や自尊心といった力も徐々に育まれていくようですが、気持ちのバランスを取れず、「ダメだとわかっていたけどやってしまった」「できそうだけど、失敗したら恥ずかしいからやらない」と揺らぐ姿もあるかもしれません。
保育士さんはそうした子どもたちの心の動きを受け止めて、子どもの思いを尊重しながらも、物事の善悪や友だちとの接し方を繰り返し伝えていきましょう。
気の合う友だちができる一方、気持ちがぶつかり合うことも
4歳児になると、より友だちの存在を意識し、「気の合う仲良しの子」と遊ぶことをよろこぶ子どもが増えるようです。
友だちの存在が気になる一方、まだうまく気持ちを伝えられず、トラブルに発展する場面もあるかもしれません。
担任の保育士さんは、子どもの様子を見守り、子どもたちの仲介役となったり、伝え合いを見守ったりと臨機応変に対応することが求められるでしょう。
年中クラスの子どもには以上のような特徴がみられますが、発達には個人差があるのであくまで目安として参考にしてくださいね。
4歳児クラスの年間目標の例
4歳児の子ども向けに、年間計画に立てる目標の例を紹介します。
相手の気持ちを想像し、決まりを守る大切さを知る
相手の立場に立つことを理解し始める4歳児では、ルールや決まりの大切さを知り、守ろうとする姿勢を育むことが大切だと言えます。
担任になったら、友だちや家族とのかかわりを題材にした絵本などを取り入れて、相手の気持ちを知ることの重要性や、約束を守って遊ぶことで楽しく過ごせることを教えられるとよいですね。
友だちとのかかわりをよろこび、イメージを共有して遊ぶ
友だちといっしょに遊ぶことの多い4歳児クラスでは、子ども同士でイメージを共有しながら遊べるよう目標を立ててみましょう。
担任の保育士さんは、ごっこ遊びや表現遊びなどを通して、友だちと同じイメージ持って遊ぶことの楽しさを伝えていきましょう。
年中担任として4歳児にかかわるときのポイント
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ここでは、年中クラスの担任として4歳児の子どもにかかわるときのポイントをまとめました。
自分でやり方を考えられるような声かけをする
3歳児よりも自立心が高まる年中クラスでは、子どもが自分で考えながら生活できるよう、声かけを工夫するのもよいかもしれません。
例えば工作中に「紙がうまくくっつかない」と子どもが悩んでいるときには、すぐにやり方を教えるのではなく、どうしてそうなるのかいっしょに考えることが大切です。
ヒントを出したり、他の方法を試せるよう促したりと、子どもが試行錯誤する過程を支えていきましょう。
ケンカやトラブルでは、落としどころをいっしょに考えていく
子ども同士の仲が深まっていく年中さんですが、友だちが気になるゆえに、ちょっかいを出したり言い合いになったりと、トラブルになることも多いかもしれません。
担任の保育士さんは、子どもたちの気持ちを汲み取りながら、お互いの伝え合いを援助し、相手の気持ちに気づけるよう言葉を補っていくことが求められます。
子どもが友だちのことを尊重し、思いを伝え合いながら活動できるよう、様子を見ながら繰り返しかかわっていきましょう。
友だちと協力したり一体感を感じたりできる遊びを取り入れる
年中クラスでは、友だちといっしょに活動する楽しさを味わえるよう、一体感を感じられる集団遊びを取り入れていきましょう。
簡単なルールのある遊びや、クラスみんなでなりきって遊ぶ表現遊びなどを取り入れるとよいかもしれません。
4歳児の子どもが「いっしょに遊ぶと楽しいな」と感じられるよう、さまざまな活動を実践してみてくださいね。
年中クラスで4歳児が楽しめる遊びの例
最後に、年中クラスの子どもたちが楽しめる保育活動の例をまとめました。
運動遊び
4歳児にぴったりな運動遊びを紹介します。
- 円形ドッジ
- 縄跳び
- しっぽ取り
- バナナ鬼
ボールや縄跳びなど道具を活用した遊びや、友だちとの協力プレイを楽しめるバナナ鬼は、4歳児の子どもが夢中になってくれるかもしれません。
簡単なルールのある遊び
年中クラスで楽しめるルールのある遊びの例です。
- フルーツバスケット
- じゃんけん列車
- ボール送り
- ジェスチャーゲーム
なかでも、オニの言葉をよく聞いて行動するフルーツバスケットは、話を聞く能力の育ちにもつながるため、子どもの様子に合わせて取り入れるとよさそうですね。
室内遊び
年中クラスの室内遊びに活用できる遊びの例をまとめました。
- ままごと
- お絵かき
- 陣取りゲーム
- コマ回し
- 折り紙
手先の器用さを育む遊びや、友だちとイメージを共有して遊べるままごとなどを取り入れてみましょう。
4歳児の担任は、友だちとのかかわり合いを深めていこう
今回は、4歳児の特徴や、年間目標の例、年中クラスを担任するときのポイントを紹介しました。
4歳児になると、自分でできることが増え、友だちとの関係性が深まることが多いでしょう。
友だちといっしょに遊びたい気持ちがあるぶん、ぶつかりあってトラブルになることもあるようです。
保育士さんは、子どもたちの気持ちを汲み取りながら、相手の気持ちに気づけるよう言葉にして伝えていくことが求められます。
年中クラスを担任するポイントや4歳児の特徴をおさえて、子どもの社会性の芽生えを育めるとよいですね。