保育実習や幼稚園実習が辛くて、涙が出そうな夜を過ごしている保育学生さんもいるでしょう。実は辛いと感じているのは自分だけではありません。今回は、先輩たちに聞いた辛い体験TOP5と、それぞれに合わせた対処法、うまくいかなかった日の立て直し方までを紹介します。実習全体の流れは▶ 保育実習とは(全体ガイド)をご覧ください。

実習が辛いのは自分だけじゃない!約4割の学生が同じ壁にぶつかっている
「自分だけがうまくできていないのかもしれない」と感じている保育学生さんは多いでしょう。
厚生労働省が保育士養成校の学生を対象に行った調査(令和2年度)では、「実習で保育をすることに自信を持てなかった」と答えた学生は40.4%にのぼります。
「実習日誌を書くことが負担だった」という回答も22.8%ありました。
つまり、辛いと感じるのは特別なことではありません。
まずは、実際に実習を経験した先輩たちに聞いた、よくある辛い体験TOP5を見てみましょう。
【1位】他の実習生には優しいのに、私にだけ厳しい気がする
【2位】日誌が終わらず、毎晩3時間しか眠れない
【3位】先生に聞きたいのに、声をかけるタイミングがわからない
【4位】責任実習で頭が真っ白になり、何も話せなくなった
【5位】ストレスで肌が荒れて、食欲もおかしくなった
このように実習で辛い思いをしている方は少なくありません。
実際に保育士バンク!インタビューでは、保育士さんからこのような声が届きました。
実習自体は楽しかったんですが、家に帰って一人になることやリフレッシュするのが難しい環境の中で毎日出勤というのは、メンタルにもきつかったです。
初めて実習に行ったときに、それだけじゃないよねってリアルを知りました。教科書で学ぶような綺麗な言葉だけでは、現場は回らないのかなと思いました。
実際に現場に立つと、緊張してしまったりどんな風に動けばよいのかわからなくなってしまったりする方も多いようです。
幼稚園実習と保育実習、辛さの種類は少し違う?気持ちのチェックリスト
同じ「実習」でも、幼稚園と保育園では辛さのポイントが少し異なります。
| 項目 | 保育実習(保育所) | 幼稚園実習 |
|---|---|---|
| 体力面 | 乳児の抱っこ・おんぶ・食事や排泄の援助が続く | 集団での活動が多く、声を出し続ける場面が多い |
| 書類面 | 年齢別の発達を踏まえた記録が求められる | 園のカリキュラムに沿ったねらいの設定に悩みやすい |
| 責任実習面 | 生活面の援助が中心で、一日の流れが長い | 主活動を任される場面が多く、進行の緊張が大きい |
※上記は一般的な傾向をまとめたもの(園によって異なる)
保育園と幼稚園では子どもの保育・教育時間なども異なるため、実習の辛さが違うという声は多いものです。
以下のチェックリストを活用して、自分の気持ちを整理して対処法を見つけることも大切です。
気持ちを整理するチェックポイント
当てはまるものにチェックしたら、
対処法をタップしてジャンプ
項目名(青色の文字)をタップすると、対応する対処法までジャンプします
今日から変えられる!辛さをやわらげる5つの対処法
ここからは、それぞれの悩みに合わせた対処法を紹介します。
日誌は「型」を決めて完璧を目指さない
日誌を毎回ゼロから考えると、それだけで時間が足りなくなってしまいますよね。
あらかじめ「事実→保育士さんの意図→自分の気づき→次にやること」という型を決めておくと、書く速度が上がるでしょう。
pickup:日誌が終わらない夜の応急処置
どうしても間に合わないときは、以下の順番で優先度をつけてみてください。
① 提出必須の欄を先に埋める
時系列や環境構成など、空欄だと指導が受けられない箇所を最優先にする。
② 考察は1エピソードに絞る
すべての場面を書こうとせず、心に残った1場面だけを深く書く。
③ どう書けばいいのか先輩に相談する
睡眠3時間で翌日ミスを増やすより、書けなかった部分は後日相談する。
日誌は「学びを残すもの」であって、「眠らずに埋めるもの」ではありません。
指導案も同じように「型」を決めておくと、迷う時間を減らせることも!
指導案の書き方はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
また、メモの取り方を工夫しておくと、日誌に書く材料も集めやすくなります。詳細は▶ 保育実習のメモの取り方の記事を参考にしてください。
質問は「確認形式」にすると聞きやすい
「どうすればいいですか」とあいまいに尋ねると、忙しい保育士さんの手を止めてしまう場合があります。
「〇〇は△△のように進めてよろしいでしょうか」などというように、自分の考えを添えた確認形式にすると、短時間で答えてもらいやすくなるでしょう。
そもそも何を確認すべきか迷う場合は、オリエンテーションの段階で聞いておくとスムーズです。詳細は▶ 保育実習オリエンテーションの記事をご覧ください。
わからないことは自分でも調べる
うまく対応できなかったことや疑問に感じたことは、教科書や本などを使って調べるようにしましょう。
年齢ごとの発達の違いや活動のねらい、かかわりの注意点などは、頭に入れておくだけでスムーズに動けるかもしれません。
部分実習・責任実習に不安がある場合は、事前にどんなものか調べておくと見通しが立てやすくなります。詳細は▶ 責任実習の記事をご覧ください。
友だちと連絡を取って励まし合う
同じように実習期間中の友だちと連絡を取ることで、気持ちが軽くなることもあります。
ただし、SNSに実習での出来事を書き込むのは控えましょう。
自分の書き込みから園の情報が流出し、トラブルに発展するおそれがあります。
メッセージアプリや電話など、閉じた場でのやりとりにとどめておくと安心ですね。
「期間限定」と考えて、ご褒美を用意する
実習期間はずっと続くわけではありません。
「今日を乗り越えたら好きなお菓子を食べる」「実習が終わったら友だちと思い切り遊ぶ」など、先に楽しみを用意しておくとモチベーションにつながるでしょう。
うまくいかなかった日の立て直し方は?実習はできないことがあって当たり前!
ミスをしてしまった日や、注意を受けた日の夜がいちばん苦しいものです。
そんな日をどう立て直すか、順番に見ていきましょう。
まずは事実だけを書き出す
落ち込んでいるときは、実際の出来事より自分の評価が大きく膨らんでしまいます。
「何が起きたか」だけを紙に書き出してみると、思っていたより小さな出来事だったと気づくこともあるでしょう。
翌日、短く一言だけ伝える
先輩の保育士さんと気まずい雰囲気のまま翌日を迎えると、不安になることもあるでしょう。
朝のうちに「昨日はご指導ありがとうございました。今日は〇〇に気をつけます」と短く伝えるだけで、空気が変わることがありそうです。
「向いていない」と「今日できなかった」を分けて考える
1日の失敗と、保育士としての適性はまったく別のものです。
実習はできないことを見つけて練習する場であって、完成度を採点される場ではありません。
今日できなかったことは、伸びしろが見つかったということだと受け止めるようにしましょう。
限界がきた時…「保育士に向いていない」と決めつけないで
対処法を試しても、「もう無理かもしれない」「保育士になるのを辞めてしまいたい」と感じることもあるでしょう。
そのときにいちばん避けてほしいのは、自分だけで結論を出してしまうことです。
こんな状態なら、すぐ誰かに相談を
・眠れない日が続いている
・食事がとれない、体重が急に変わった
・園に向かう前に涙が止まらない
・実習のことを考えると体が動かなくなる
まずは学校の実習担当の先生に連絡してください。
実習の中断や日程の調整、園との間に入ってもらうなど、学生だけでは動かせないことを動かせる立場にあります。
自己判断で無断欠席をしてしまうと、単位や次回の実習に影響する場合があるため、必ず先に相談することが大切です。
また、実習園との相性が合わなかっただけというケースも少なくありません。
「この園が保育のすべてではない」と考えることで、気持ちが少し軽くなることもあるでしょう。
「保育士に向いていないかも」
という相談をいただくこともあります。
保育実習・幼稚園実習が辛いときのよくある質問
Q. 実習を途中でやめたらどうなりますか?
自己判断で行かなくなってしまうと、園にも学校にも連絡がつかない状態になり、事態が複雑になってしまいます。
体調や気持ちの状態を正直に伝えれば、日程の変更や中断など、選べる方法を一緒に考えてもらえることがあります。
Q. 実習中に体調を崩したら休んでもいいのでしょうか?
保育の現場では、体調不良のまま出勤すると子どもに感染させてしまうリスクがあります。
朝の早い時間に、園と学校の両方へ連絡を入れましょう。
Q. 看護実習や教育実習と比べて、保育実習は辛いほうですか?
保育実習は日誌や指導案の負担が大きい一方、看護実習には別の緊張感があります。
他の人と比べて「自分の辛さはまだ軽い」と我慢する必要はありません。
Q. 実習で怒られてばかりで、保育士に向いていない気がします。
指導が多いのは、それだけ伸びる余地があると見てもらえているということでもあります。
また、実習園の一人の先生の評価が、保育士としての適性のすべてを決めるわけではありません。
出典: 保育の現場・職業の魅力向上検討会(第5回)参考資料1/厚生労働省実習の辛さは「合わない園」を見抜く力にもなる
辛い実習を経験すると、「保育の仕事自体が向いていないのかもしれない」と感じてしまうかもしれません。
けれど、実習で感じた違和感には意味があります。
「子どもへの声かけが強い園だった」「質問しにくい雰囲気だった」という気づきは、自分が働きたい園を選ぶときの判断材料になります。
就職先を選ぶときに、その視点はきっと役に立つでしょう。
そんなときは、たくさんの園が一度に集まるイベントに足を運んでみるのもひとつの方法です。
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