保育実習を控えた保育学生さんは、子どもたちが喜んで活動する遊びを知りたいと考えているかもしれません。3歳児、4歳児、5歳児など担当するクラスによって、できる遊びや取り入れたい遊びは異なりますよね。今回は、年齢ごとの主活動となる遊びや、指導案にも記入する配慮する点などについて紹介します。
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■目次
保育実習で子どもたちの注目を集める遊び
保育実習中に行う保育活動に、子どもたちが喜ぶ遊びをたくさん取り入れたいと考えている保育学生さんもいるのではないでしょうか。
子どもたちの注目を集める遊びには、
- 手遊び
- ゲーム
- 製作
- お絵かき
など、年齢ごとに夢中になるアイデアがさまざなあります。
保育学生さんが簡単に準備でき、子どもたちが楽しめる遊びを、年齢別にまとめました。
1歳児、2歳児クラス向けの遊びのアイデア
1歳児や2歳児クラスの子どもたちは、運動能力や言葉の発達などの成長の仕方によって、楽しめる遊びが異なるようです。
ここでは座ったままでもできる簡単な遊びを3つ紹介します。
手遊び
1歳児、2歳児クラスでは、保育学生さんといっしょに楽しむ手遊びが喜ばれそうです。1歳児の場合は向き合って遊ぶ他に、保育学生さんが膝に抱っこした状態で遊ぶのもよいかもしれません。
2歳児になると手指を上手に動かせるようになってくる頃なので、「キャベツの中から」のような、指を使う手遊びを取り入れてみましょう。
お絵かき遊び
お絵かき遊びが好きな子どもも多いですよね。1歳から2歳の頃の子どもは、思うままに線を描きながら、その子なりのお話を作って楽しんでいるようです。お絵かき遊びをするときは、保育学生さんが「きれいな色だね。お花かな?」などと声をかけてコミュニケーションを取るようにしましょう。
指導案を作成するときに、予想される子どもの姿と声のかけ方などを記入しておくと、落ち着いて対応できそうです。
ボール遊び
保育実習で1歳から2歳の子どもたちの主活動として運動遊びを計画するときには、ボール遊びを取り入れてみてもよいかもしれません。
1歳児の場合は、床に座って保育学生さんとボールを転がしあったり、ハイハイでボールを追いかけたりする遊びを楽しんでもらえそうですね。2歳児の場合は、ゆっくり走って行うサッカー遊びをするのもよいでしょう。布製やソフトビニールなどのやわからかいボールを使うと、安全に遊べそうです。
3歳児、4歳児クラス向けの遊びのアイデア
3歳児、4歳児クラスになると、友だちといっしょにできる簡単な遊びがたくさんあります。その中から、特に道具を準備する必要がなく、座りながらでもできる遊びを2つ紹介します。
イエス・ノーゲーム
イエス・ノーゲームは、質問をしたり答えたりしながら、友だちとのコミュニケーションを楽しむ遊びです。
遊び方
(1).初めに問題を出す順番を決めます。
(2).一番目の子どもが人や物を1つ思い浮かべます。
(3).思い浮かべられたら、周りの子どもたちが「食べられるものですか?」「この部屋の中にありますか?」「生き物ですか?」などの質問をしていきます。
(4).出題した子どもは、全てに「イエス」か「ノー」で答えます。
(5).解答がわかったら「答えは◯◯ですか?」と質問し、あっていたら次の人と交代します。
(6).1人ずつの時間を決めておき、正答が出ない場合は答えを教えてもらって次の人と交代するというルールにしておきましょう。
ポイント
- 初めに「イエス」と「ノー」の意味を伝える。
- 子どもが問題を考えるときに、食べ物や動物、キャラクターなど、クラスの友だちが知っている物を思い浮かべるように声をかける。
- 答えをこっそり聞いておき、必要に応じてヒントを出す。
- 何人もが一度に答えないように、手を挙げて指名されたら答えるなどのルールを作っておく。
- 当たったときには全員で拍手をするなど、遊びを楽しめる工夫をする。
お名前つけ遊び
お名前つけ遊びは、保育園にあるさまざまな物に面白い名前を考えてつける遊びです。この遊びを通して子どもの想像力が豊かになるようなので、保育実習の主活動に取り入れてもよいかもしれません。
「うさぎのぬいぐるみ」は「みんなでぎゅーってするお友だちのふわふわちゃん」「桜の木」は「お庭でいつも見守ってくれている、大きなさくらのおねえさん」などユニークな名前をどんどんつけていきましょう。友だちが発表するたびに盛大な拍手ができると、子ども同士のコミュニケーションにもなりそうですね。
子どもたちがつけた名前を保育学生さんがカードに記入すると、自分の考えを大切にしてもらえたと嬉しく感じてくれるかもしれません。
4歳児、5歳児クラス向けの遊び
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4歳児、5歳児クラスになると、簡単なルールが理解できるようです。保育実習の主活動として、食育遊びや知育あそび、集団での運動遊びなども喜ばれそうですね。
簡単食育遊び
この遊びの目的は「どんな食べ物が、どんな働きをするのかを知る」ことです。食育につながるという目的がはっきりとしている一方で、導入が簡単なので主活動に取り入れやすい遊びです。
手順と遊びの進め方を紹介します。
カードの準備
- 最初に食べ物の写真や絵のカードを準備します。
- 炭水化物の食べ物は黄色い枠、肉、乳製品のは赤色の枠、野菜や果物は緑の枠でそれぞれ囲みます。
- マジックやサインペン、クレヨンなど、はっきりした色の筆記具を使うとよいでしょう。
箱の準備
- 箱を準備します。
- 箱は黄・赤・緑の3色に分けておきましょう。
- 電車のような箱にするなどの工夫をすると、子どもたちが興味を持ってくれそうです。
準備ができたら、食べ物のカードを色別にしながら箱に入れてもらいます。その際、色の意味がわかるように、「黄色は、食べると力が出る食べ物です」「赤は、筋肉や骨、血、体を作ってくれる食べ物です」「緑は、風邪をひかないように守ってくれる食べ物です」などと声をかけましょう。
それぞれの食べ物がどのような働きをするのか、意識しながら色分けができますよ。
色ごとにクイズを出す
3色に分け終わったら、食べ物クイズを出してみましょう。
【例1】「黄色の問題です。(フランスパンのカードを出して)この食べ物は、どこの国の食べ物でしょうか?」(答え.フランス)
【例2】「赤色の問題です。(たまごのカードを出して)この食べ物のお母さんは誰でしょう?」(答え.にわとり)
【例3】「緑色の問題です。(かぼちゃのカードを出して)この食べ物を切ったら、中身は何色でしょう?」(答え.黄色)
このように、4歳児、5歳児クラスの子どもたちが興味を持ってくれるようなクイズをあらかじめ考えておきましょう。それぞれの食べ物にどのような効果があるのかを、子どもたちが遊びを通して自然に学べるようにすることが大切です。
いつもの給食でも声掛けを!
普段から食育を意識した話をすることが、子どもたちが食べ物を大切にする第一歩です。保育実習中の給食の時にも、「これを食べたら骨が強くなるね」など、子どもにわかりやすい言葉で伝えましょう。子どもたちも、きっと興味を持って聞いてくれるはずです。
おとぎ話作り
「おとぎ話作り」は、お話を一文ずつ考えて、友だちと協力しながら物語を作りあげていく遊びです。
最初の子どもが「むかしむかし、あるところにひとりの女の子が住んでいました」と話したら、次の子どもが「その女の子は一羽のにわとりを飼っていました」また次の子どもが「そのにわとりは、魔法のにわとりでした」と、お話を膨らませていきます。
子どもだけでつなげると、まとまらなくなる場合もあるので、間に保育学生さんが入って調整するようにしましょう。
子どもたちの豊かな想像力で、すばらしいおとぎ話が生まれるかもしれませんね。
手つなぎ鬼
手つなぎ鬼は、4歳児、5歳児クラスの子どもたちが集団で楽しめる運動遊びです。
保育実習中の主活動に取り入れ、子どもたちと思い切り体を動かしてみるのもよさそうですね。
遊びのルール
- 鬼ごっこで逃げられる範囲を決めます。安全に遊べるように、危険な保育道具などのない場所を選び、目印などを使って範囲を指定しましょう。
- 鬼ごっこが始まったら、決められた範囲内で鬼から逃げます。
- 鬼につかまったら、自分をつかまえた鬼と手をつないで追いかけます。
- 鬼が4人になったら2人ずつに分かれて追いかけます。
- 最後に1人残った子どもが勝ちです。
続けて遊ぶ場合は、勝った子どもが次の鬼になるというルールにしておくとよいかもしれません。また、最初の鬼には保育学生さんがなると、子どもたちが大喜びで逃げてくれそうです。
活動中に配慮すること
鬼ごっこのように子どもたちが夢中になる活動を行うときには、特に安全面の配慮を心がけましょう。遊ぶスペースが狭い場合などは「走らないで遊ぶ」「3人になったら1人と2人に分かれる」のようにルールを工夫するとよいかもしれません。
保育実習の指導案にも、安全面で配慮することや留意点を明記しておくと、活動中にもしっかりと意識でき、大きなケガを防ぐことにつながるでしょう。
ゲームを楽しむためのポイント
子どもたちがゲームを楽しむためには、一人ひとりがルールを守るということがポイントになります。
ルールをきちんと理解して、なかよく遊べるように、子どもにわかりやすくルールを説明しましょう。ボードにイラストを描いて説明するのもよさそうですが、保育学生さんが数人の子どもといっしょにやってみせると、さらにわかりやすいでしょう。ペープサートのようなアイテムを使ってもよいかもしれませんね。
もう一つの大切なポイントは、保育学生さんも子どもといっしょに楽しむということです。童心にかえって遊ぶことで、子どもたちとの距離が一気に縮まるのではないでしょうか。
保育実習のために遊びの引き出しを増やそう
今回は、保育実習の主活動などに取り入れる遊びについて紹介しました。
保育園の子どもたちは、保育活動での遊びを通して、知識を増やしたり先生や友だちとのコミュニケーションの取り方を学んだりしているようです。保育実習中にもさまざまな遊びを取り入れて、子どもたちに楽しんでほしいですよね。年齢や成長の様子によって子どもの遊び方が異なるので、1歳児や2歳児、3歳児、4歳児、5歳児向けなど、遊びの引き出しを増やして保育実習に臨みましょう。