保育実習や学校の授業のレポートの書き方について知りたい学生さんもいるのではないでしょうか。保育士になってからも、研修を受けたときなどにレポートを書くことがあるので、基本的な書き方がわかると安心ですね。今回は、大学などに提出するレポートについて、書き方の例も含めながら紹介します。
The_Molostock/shutterstock.com
レポートとは
レポートとは、大学の授業や研修などで出された課題に対し、事実や考察を織り交ぜながら結論を導くように書くものです。保育実習後にレポートを提出するようにと言われた学生さんもいるかもしれません。
レポートを書く場合、調査してわかった事実や体験してわかった事実と、それに基づく自分の考えを論理的に説明することになります。大学では小論文を提出することもありますが、小論文は文献を参考に自分の考えを道筋を立てて説明するという点がレポートと異なる部分といえるでしょう。
今回は、保育学生さんのためのレポートの書き方を紹介します。
レポートの書くときの流れや書き方
レポートの書き方は大学の先生などから指示されることもあるようです。ここでは一般的なレポート作成の流れをまとめました。
書く内容を精査する(取捨選択)
レポートの課題が出されたら、どのような内容にするかを考え、大まかなテーマを決めましょう。
レポートは実際に調査したことや体験をしたことを元にして書くので、書き始める前に結論まで導くための道筋を立てておく必要があります。課題が出されてから書き始めるまでの手順を紹介します。
資料や記録を読む
最初にテーマに沿った文献と資料を探して入手します。 インターネットで探すか、学校の図書館に足を運ぶとよいでしょう。
学校の図書館には、保育や子育てに関する専門性の高い資料が揃えられているようです。 必要な箇所に付箋を貼ったりメモを取っておいたりすると、あとで記事を書くときに便利かもしれません。
インターネットから情報を集める際は、記事の内容に信憑性があるか、発信元をきちんと確認しましょう。先生によっては、ネット上の記事を載せてはいけないということもあるので、事前に確認することが大切です。
書くことを決める
レポートは、テーマへの問題提起から始まり、事実を収集して自分なりの答えを書く課題です。 文献や資料などのリサーチが終わったら、どのような内容を書くかを考えましょう。
その際、保育学生さんが ボランティアや保育実習などで体験したことをできるだけ盛り込めると、結論に導きやすいかもしれません。レポートは「テーマに対し、自分が出した結論」を誰かに説明する課題なので、資料や体験したことのなかから、考察しやすいものや深く掘り下げられそうなことを選んで書くようにしましょう。
悩んだときは文献や体験記録などを繰り返して読むことで、だんだんと書く筋道が見えてくるようです。
下書きをする
書くことが大まかに決まったら、次は下書きをしていきます。 指定された文字数に収まるように、全体の構成を決めてから下書きをしましょう。
文字数をオーバーしてから削るのは難しいので、「あれも書こう、これも書こう」と欲張りすぎないことがポイントです。 参考文献のリストもこの時点で作っておくと、レポート作成がスムーズにできるかもしれません。
本文を書く
レポートは「序論(問題提起)→本論(事例や資料とそれに基づく考察)→結論」に沿って文章を構成するのが基本です。序論のなかに結論をひとこと加えておくと、読み手にわかりやすいかもしれません。簡単な例を挙げながら 、書き方を具体的に説明します。
例:テーマ「子どもの運動能力低下と、遊び環境の変化について」
序論
「近年、子どもの体力と運動能力の低下が問題になっている。私はこの問題の背景に、子どもたちの遊び環境の変化が影響していると考えている」
このように序論にテーマの問題提起と結論を書くと、読みやすく分かりやすいレポートになりそうですね。
本論
「文部科学省が行なっている調査によれば、昭和60年頃から現在に至るまで、子どもの運動能力は低下傾向が続いているらしい。昨今では子どものスイミングや運動の習い事が盛んになっているにも関わらず、なぜこのような結果が出たのだろうか? 調査が開始された昭和60年と現代では、子どもたちの遊び環境が大きく変化している。『(書籍名)』という資料によれば~」
本論では、このように自分が結論を導いた根拠を書きましょう。保育実習などで体験したことや保育士さんの意見なども入れると、より具体的になるかもしれません。自分の意見と、それを裏付ける資料を織り交ぜながら書くと客観性のある文章になりそうですね。
結論
「今回の調査の結果、子どもが健やかに育つことと遊びには、深い関係があることが分かった。保育を学ぶ者として、今後子どもと関わる際には、可能な限り成長につながる遊び環境を提供していきたい」
結論では自分の考えを改めてまとめましょう。調査を踏まえた上で、今後自分がどうしたいかという展望も書かれていると、より好印象なレポートになりそうです。
推敲
結論まで書き上げた後は、誤字脱字がないかしっかり見直しをします。 文字数が決まっている場合は、短くてもその8割以上、長くてもプラス1割にまとめるとよさそうです。
文章表現に不安がある場合は、辞書や文献で確認しましょう。パソコンの校正ツールを使って誤字脱字チェックをする方法もあるので、活用してみてもよいですね。
レポート作成の例【保育実習のレポート】
polkadot_photo/shutterstock.com
保育士養成校や大学などの課題で保育実習のレポートを作成する場合、どのような内容を入れるとよいのでしょう。例を挙げて紹介します。
実習をした園の紹介
保育実習のレポート作成では、序論のなかに実習した園の保育方針を簡単に入れておくと、自習中のできごとなどを説明しやすいかもしれません。
保育方針の元、現場の保育士の方たちが意識していることなどをヒアリングして書いてみましょう。
事例
保育実習のレポートの場合も、事実を元に自分の考えを書くことが大切です。読み手に内容が伝わりやすくなるように、事例を挙げて客観的で丁寧な文章にしましょう。レポートに書く事例の主なものを紹介します。
できごと
保育実習のレポートに書く事例として、保育活動のなかで気になったできごとが挙げられます。どのような状況でどのようなことが起きたのかを、先生にわかるように具体的、且つ簡潔に書きましょう。
詳しく書きすぎると反ってわかりにくくなることもあるので、提出前に第三者に読んでもらうとよいかもしれません。
子どもの様子
子どもの様子を書く場合は、主観が入らないように意識して書きましょう。特に担当した子どもについては自分の感情が入りやすいので、実習記録も客観的に書いておくことが大切です。
レポート作成の際には、記録を読みながら当時の状況を冷静に分析するとよさそうです。
保育士の対応の仕方
子どもに対する保育士の方の対応の様子は、子どもの様子にリンクさせながらレポートの事例に挙げましょう。対応の仕方に園の保育方針なども絡めると、保育士の方の行動の意味が先生に伝わりやすいかもしれません。
保育士の方から聞き取り調査をした内容なども織り込めると、さらに具体的でわかりやすい事例になりそうですね。
自分が考えたこと
できごとや子どもの様子、保育士の方の対応の仕方といった事例を挙げたら、それぞれについて自分が考えたことを考察として書きます。
その際、「このような事例から自分はこのように考える」というように、根拠がはっきりわかるように書くと客観的で論理的な説明になるでしょう。
保育実習で学んだこと
保育実習のレポートの結論には、保育実習で学んだことを簡潔に書きましょう。
本論で挙げた事例や考察を簡単にまとめ、保育士の方たちが普段意識していることなども入れると、保育学生さんが学んだことが伝わりやすいかもしれません。保育方針で共感したことなども含めて書いてみましょう。
今後への抱負
レポートの最後に保育実習を体験した上での抱負を書くと、実習の意義や保育士になりたいという意欲が伝わりやすいようです。
実習中に保育士としての目指す姿を見つけ、自分の将来像を率直に書いてみましょう。
レポートを書くときの注意点
レポートを書くときには、いくつかの注意点やルールもあるようです。主なものを3つ紹介します。
書き言葉を使う
大学などへ提出するレポートには、話し言葉でなく書き言葉を使うようにしましょう。特に話し言葉でよく使われる「ら抜き」言葉や「い抜き」言葉の使用は控えることが大切です。
また、接続詞や副詞も「でも」ではなく「しかし」のように、レポートにふさわしい言葉を使うとよいようです。助動詞は、レポートの内容によって「だ・である」か「です・ます」のどちらかの文末を選び、最初から最後まで統一して書きましょう。
また、「~と思う」などの文末はレポートにはふさわしくないと考えられるので、「~と考える」「~と考えられる」に書き換えが必要です。
引用のルールを守る
他人の著書や資料を引用する際は、必ず「 」で区切って引用部分がわかるようにしましょう。レポートの巻末には引用部分について出典を記載することになります。先生によって引用を認める割合や記載の仕方が異なるので、事前に確認しておきましょう。
事実と主張を分けて論理的に書く
レポートを書くときには、事実と主張を分けて書くようにしましょう。読み手である先生に、どの部分が事実でどの部分が主張になっているかがわかるようにすることが大切です。
「このような事実から」といった言葉を工夫して使うと、区別しやすく論理的な文章になりそうですね。
保育実習などのレポートは論理的な書き方で
今回は保育学生さんが大学などに提出するレポートの書き方について紹介しました。
レポートの課題が出されたときには、問題提起から事例や資料に基づく考察を加え、結論に導くように構成を考えることが大切です。保育自習のレポートを作成する場合は、保育士さんの対応の仕方や直接聞いた言葉など、具体例を織り交ぜるとよいかもしれません。
保育士になって研修報告などのレポート作成で困らないためにも、論理的な書き方を身につけておきましょう。