保育園には、行政が運営している「公立保育園」と、社会福祉法人や学校法人などの団体や企業が運営している「私立保育園」があります。
保育士として保育園で働こうと考えたとき、大きく分けてこの2つの選択をすることになります。
これから保育士として就職先を探す皆さんにとっては、そのメリットやデメリットもしっかり知っておきたいですよね。
両方見ていきましょう。
◆保育士さんにとって「私立保育園」で働くメリット
〇保育・教育方針で選べる
私立保育園は運営母体がさまざまなので、当然、保育・教育方針もさまざまです。
キリスト教・仏教などの宗教系、シュタイナー教育、モンテッソーリ教育、知育系、体育系、自然体験系、はだし教育などなど、教育方針やプログラムが多種多様です。
中には、対称的にのんびりとした印象の私立保育園もあります。
それらの中から最も自分に合ったタイプの私立保育園が選べるという点がメリットの一つです。
〇施設が整備されている
私立保育園は、比較的施設の整備などの点で努力していることが多いです。
新しいオモチャや遊具を設置していたり、こだわりのある施設の場合もあります。
また、冷暖房完備、空気清浄機完備という園も多いなど、働く環境が良いというメリットがあります。
〇イベントが楽しい
私立保育園では、特色のある大規模なイベントをしている園も多いです。
そのため、子どもたちがイベントのために活気にあふれ、保育士は子どもたちと一緒になって目的を持って保育できます。
こういったやりがいがある点も私立保育園のメリットの一つです。
また、もしもそういったイベントが好きじゃない場合は、対称的にイベントが少ないという園もあるので、自分に合う私立保育園を探すことも可能です。
〇若い先生が多い
私立保育園は公立保育園と比べ、若い先生がとても多いです。
活気にあふれている点もメリットと言えます。
特に若い保育士にとっては、同年代の仲間に恵まれることは嬉しいことだと思います。
〇スキルアップできる
私立保育園は公立保育園と比べ、さまざまな特色があり、保育士として勉強になることも多いです。
スキルアップをしたい人には大きなメリットになります。
〇比較的採用されやすい
現在公立保育園には採用枠がほとんどないと言われています。
その点、私立保育園は保育士の募集が多いので、比較的採用されやすいというメリットがあります。
〇転勤がない
公立保育園に勤める保育士は、数年単位での転勤があります。
その点、私立保育園に勤める保育士は基本的に転勤がありません。
長く同じ園に勤められることもメリットの一つです。
◆保育士さんにとって「私立保育園」で働くデメリット
就職してからギャップを感じないためにも心得ておきたい、「私立保育園」で働くデメリットも見ておきましょう。
〇特色に差がある
私立保育園は、経営のためには園児の数を確保する必要があります。
園の特色を出すなど、さまざまな工夫をしています。
そのため、経営者である園長の方針によっては、その色が濃すぎ、就職してから「自分が思っていたより特色が強すぎた・・・」ということもあるようです。
園の方針と合わないと辛くなるというデメリットがあります。
また、私立保育園によっては、無理に他の私立保育園と違った特色を出そうとして、中途半端な内容になっている園もあります。
「園の特色に惹かれて張り切って就職したけど、がっかり・・・」ということもあるようです。
私立保育園は、運営者によって全く方針が違うため、特色に差がありすぎるという点もデメリットだと思います。
〇イベントで忙しすぎることも
公立保育園と比べ、私立保育園は特色のある大規模なイベントをしている園が多いです。
そのため、実はイベントに追われて、ゆったりした保育ができないということもあるようです。
日常の保育だけでもあわただしい保育の現場ですから、イベントの多さがデメリットになる場合もあります。
〇派閥があることも
親族経営の私立保育園では、園内で派閥がある園もあるようです。
公立保育園と比べると、内情に大きくバラつきがあることがデメリットといえるかもしれません。
〇ベテランの先生が少ない
私立保育園は職員の入れ替わりが多い園が多く、ベテランの保育士が少ない傾向があります。
頼れる存在が少ないことにデメリットを感じる人も多いかもしれません。
〇勤務時間が長いことも
私立保育園は、早朝保育・延長保育・休日保育などのサービスが充実している園が多いです。
保護者にとっては嬉しいサービスですが、保育士としては勤務時間が長くなりがちです。
〇異動がないと困ることも
私立保育園に勤める保育士は基本的に転勤がありません。
長く同じ園に勤められる反面、人間関係で苦労した場合、異動がないことがデメリットに変わるかもしれません。
これらは、実際に就職してみないと、デメリットになるか分からないものばかりですよね。
私立保育園で働く一番のデメリットは、私立保育園が多様すぎて就職先の選択が難しい、ということではないでしょうか。
◆私立保育園での勤務時間はどれくらい?事例で解説!
私立保育園で働く保育士の勤務はシフト制です。
園によって早出や遅出など、細かく組まれています。
勤務時間は、早出担当でも、定時で終わり、その分早く帰宅できることは珍しいです。
書類などが溜まっていると、その分終わるのも遅くなり、勤務時間も長くなります。
例えば勤務時間は12時間を超えたり、かなりの長時間労働になります。
反対に公立の勤務時間は定時で終わるのがほとんどで、公立保育園の方が早く帰れる印象です。
〇私立保育園の勤務時間、内容について
私立保育園の保育士の勤務内容は、保育以外に書類書き、行事の準備、職員会議などがあります。
書類とは、『年間カリキュラム』『月案』『週案』『日案』『クラス便り』『個人成長記録』連絡ノート、などたくさんの種類と量があります。
しかし公立では、保育指針に基づいて決められたカリキュラムを元に週案をたてるため、月案はありません。
書類などの量は公立の方が少ないようです。
また、私立保育園では書類の処理後、各クラスで決めた案や行事について職員会議で話合うこともよくあります。
職員会議は定期的なものから、行事前や、緊急に行うものなどさまざまです。
私立保育園では職員会議はほとんどの場合子どもたちのお昼寝時に行うことが多いです。
朝に朝礼という形で簡単な会議を行うこともあります。
〇行事における勤務時間、内容について
私立保育園の行事は公立と違い、それぞれ園の方針により、力を入れているところが多いです。
また、私立保育園では低年齢児でも複数の種目に参加するなど、子どもたちの指導も多くなっています。
一年を通して行事のために、少しずつカリキュラムに組み込んで指導しているのです。
運動会では子どもたちの指導以外にも準備として、プログラムの作成、入退場門の製作、
運動会で使用する小道具の製作や安全点検などの環境づくりがあります。
音楽会、生活発表会では、使用する楽器の点検や発表会で使用する小道具の作成、安全点検があります。
これらの準備は保育中にはできないので、すべて子どもたちが帰宅したあとで行うことが多く、行事前の勤務時間は普段に比べさらに長くなってしまうことが多いです。
〇私立保育園の仕事量について
私立保育園は公立のように転勤がなく、一度職場に慣れれば、職員同士協力しあい、結束を強めることができます。
その団結が子どもたちの保育をスムーズに行うことができると言っても過言ではないと思います。
このように私立保育園と公立保育園では、勤務時間や勤務内容、仕事量に差があり、
それぞれメリット、デメリットがあるということ理解していくことが大切です。
また、担任を持ったクラスによっても、勤務時間、仕事量は変わってきます。
例えば乳児の担任は複数担任で、書類書きなど仕事量を分担できますが、幼児クラスの一人担任では一人で仕事をこなさなければなりません。
保育園全体の行事の準備などは複数担任が担当することもありますが、各クラスでの仕事はこのように差があるのが現実です。