保育学生の中には、幼稚園実習とはどのようなものなのか知りたいと感じている方もいるかもしれません。今回は、実習前の目標設定や名札、自己紹介などの準備から、実習中の日誌の書き方について紹介します。あわせて、実習後に学んだ感謝の気持ちを込めて贈るプレゼントやお礼状の例文もまとめているので参考にしてみてくださいね。
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幼稚園実習とは
幼稚園実習とは、幼稚園教諭になるために、事前に学内で学んだ知識や技術を実際の現場で活かしながら、子どもたちとの関わりの中で教育者としての在り方を学ぶ体験のことをいいます。専門性に触れながら教育技術や関心を高める機会となるため、幼稚園教諭になる際に必要な経験となるでしょう。
幼稚園実習は「教育実習」と呼ばれ、一般的には幼稚園の教育実習時間は約4週間となっています。教育実習は、4週間続けて行う他、2週間ずつや1週間と3週間に2期に分けて行うなど、学校によってそれぞれ異なるそうです。
主に前半の実習では「観察・参加・部分実習」が行われ、幼稚園教諭の動きを見ながら学ぶことや補助的な立場で参加することがあり、活動の一部分を実習生がメインとなって進めることもあるようです。後半の実習では前半の実習に加え「責任実習」があり、一日全ての流れをメインとなって行うそうです。
今回は、幼稚園実習とはどのような流れで進んでいくのか紹介します。
幼稚園実習に行くまでの流れ
幼稚園実習に行く前はどのような準備が必要なのでしょうか。実習に行くまでの流れをまとめてみました。
幼稚園実習に行くまでの流れ①実習先を決める
まず実習に行く前は、実習先の幼稚園を決めることになります。実習先を決めるにあたり、学校の先生や先輩、友人に相談したという意見があったり、他にもインターネットで調べるなどの方法があるようです。
実習先を選ぶときは、どのような形態で行っているかや特徴をポイントに探してみるといいかもしれません。具体的に見ていきましょう。
形態
幼稚園の形態には、幼稚園教諭が主体となった一斉保育や、子どもたちが自ら展開していく自由保育、年齢が異なる子どもたちで編成している縦割り保育などがあるようです。どのような幼稚園の様子を知りたいかや学びたいかによって、行きたい園も変わってくるかもしれません。
特徴
幼稚園によって、モンテッソーリやシュタイナーなどの特徴的な教育方針を実践しているところもあるようです。このような教育方針を学びたい場合は、相談や検索をする際に特徴を伝えると見つけやすくなるかもしれませんね。
幼稚園実習に行くまでの流れ②オリエンテーション
実習先の決定後、実習生自身が幼稚園に行き、事前の打ち合わせを行います。このことをオリエンテーションといいます。
オリエンテーションは、実習生自ら電話連絡をしてアポイントメントを取るそうです。幼稚園や学校の予定とすり合わせながら日程を調整していくといいでしょう。
オリエンテーションでは、幼稚園生活の流れや服装、持ち物などの説明があるようです。オリエンテーションの際に、部分実習や責任実習の有無や回数、何度目の実習かなどを伝えておくと、幼稚園側も実習の予定が立てやすいかもしれません。メモを取ったり、わからないことは質問したりして、実習に備えられるといいですね。
幼稚園実習に行くまでの流れ③事前準備
幼稚園実習に行くときは、どのような準備が必要なのでしょうか。また、どのような準備をしておくといいのか、具体的に見ていきましょう。
学校で学んだことを復習する
学校で学んだことを実践するのが実習となるため、今までどのようなことを勉強したのかを復習してから臨むといいでしょう。手遊びやピアノの弾き歌い、子どもの年齢にごとの発達を復習しておくだけでなく、取り入れたい活動や挑戦したいことを事前に考えておくと安心できるかもしれません。
自己紹介の用意する
幼稚園の子どもたちは実習生が来ることに対し、どのような人が来るのか緊張や不安を感じることもあるかもしれません。子どもたちの注目を引きつけられるよう、キャラクターの名札や自己紹介用のスケッチブックを用意しておいたという意見もあるようです。
身だしなみを整える
実習に行くときの服装はどのようなものを着たらいいのかと気になる保育学生もいるかもしれません。オリエンテーションのときに特に指定がない場合は、ポロシャツやTシャツにジャージなど動きやすい格好を意識するとよさそうです。学校の指定ジャージを着てもいいかもしれませんね。常に1着は着替え用として実習に持って行くことや洗い替え分を考えてみると、必要枚数がわかりそうです。
また、髪色や髪型も幼稚園や学校によって決まりがあるでしょう。今の髪型や髪色が気に入っている場合も、派手な髪での実習は「◯◯学校の△△さん」と見られ、学校の印象や今後の実習受け入れなどに関わることもあるかもしれません。特に指定されていない場合も、髪色は暗めにしておくと安心のようです。
幼稚園実習をする中で意識したいこと
幼稚園実習に行くまでの流れを説明しましたが、保育学生になって初めて行く実習が幼稚園実習の方もいるのではないでしょうか。実習中はどのようなことを意識するといいのかまとめてみました。
笑顔で積極的に関わる
幼稚園の先生方は、実習生が子どもと笑顔で関われているかや、積極性があるかを見ているようです。実習生自身が楽しそうに子どもたちと関わることで、周りの子どもたちも実習生と話してみたいと思うきっかけになるかもしれません。また、自分がどのように動いたらいいかわからないときは、積極的に「何かお手伝いできることはありますか」と指導担当の先生に訪ねてみると意欲的な印象につながるでしょう。
はじめの頃は緊張してしまうかもしれませんが、笑顔や積極性を心がけてみると幼稚園の先生にも熱意や意欲が伝わりそうですね。
学びたいことを明確にする
実習を通して学びたいことを明確にすることで、一日一日の視点や行動が変わってくるかもしれません。幼稚園での仕事を知る中で、園生活を知ったり子どもたちへの理解を深めたりする以外にも、幼稚園の役割を学ぶなど、事前に立てた目的や目標をもとに一日を通してどのようなことを学びたいのかを意識してみるとよさそうです。
また、実習は社会についてや自分が働く上での基準や条件を知る機会にもなるでしょう。幼稚園の規模や保育方針など、自分が就職先を選ぶときの比較基準となるかもしれません。
疑問に感じたことは質問する
一日を過ごす中で疑問に感じたことはメモを取り、話せる時間や子どもたちが帰宅後に質問ができるようにしておくといいでしょう。
一日を振り返り日誌を書く中でも疑問を感じることがあるかもしれません。メモをとるときは、子どもの様子や先生からの指導、気づいたことなどを書き留めるようにしておくとよさそうです。
幼稚園実習における実習日誌の書き方
実習日誌は一日や実習自体を振り返るのに大事なものといえそうですが、実際はどのように記入するといいのかわからないと感じる方もいるのではないでしょうか。実習日誌が、部分実習や責任実習の計画を立てるためのヒントや現場に出たときの助けになるよう、具体的に記録できるといいかもしれません。
大きくまとめて実習日誌は3項目に分かれており、項目別にまとめてみました。
あわせて、実習日誌を書くときに意識するといいことも紹介します。
はじめに
実習日誌の上部にあたる部分で、日付や天気、入ったクラスとともに、実習の目標やねらいを書く欄があります。目標やねらいは前日や以前の考察や反省を踏まえて書くことになるため、初日以外は翌日分を前の日に記入するといいでしょう。1日の実習の記録を全て書いたあとに、翌日の目標やねらいを書く流れを作るといいかもしれません。
実習中の記録
実習の記録には、時間、活動、環境構成に加え、子ども・幼稚園教諭・実習生の動きなどがあり、学校によって定められている形式をもとに書き進めていくようです。環境構成には言葉とともに図を入れるなどわかりやすく記入すると、後日見返したときや読み手にも伝わりやすいかもしれません。
毎日の記録は、気づきや学んだことなどのメモを参考にしながら書くことになるため、実習中のメモは大切となりそうです。
まとめ
最後に一日を振り返っての感想や考察、反省を記入する箇所があります。1日を通して感じたことや気づいたこと、目標やねらいに対してどのくらい達成できたのかなどを具体的に書いていくといいでしょう。また、その反省を踏まえて明日はどのように取り組みたいかを明確にできるといいかもしれません。
実習日誌を書く上で意識したいこと
実習の目標やねらい、記録など実習日誌を書くとき、どのようなことに気をつけるといいのでしょうか。記録を書く上で意識したいことについて、見ていきましょう。
語尾の統一
日誌を書くときは「である調」か「ですます調」を統一するといいでしょう。学校で日誌の書き方の説明を受けることもあるようですが、記入している間に突然語尾が変わってしまうことがないよう、意識しながら書くとまとまりのある内容になりそうです。
言葉遣い
幼稚園教諭が子どもに対して行う行動について、「~させる」「~してあげる」と書いてしまいがちですが、幼稚園教諭は子どもに何かを強要しているわけではなく、子どもの意思を尊重するような関わりや声掛けをしているため、「~を促す」「~と声をかける」などと書くといいでしょう。
また、話し言葉にならないよう気をつけるといいかもしれません。「じゃなくて」「~してたら」と書く場合は「ではなく」「~していると」などと書くとよさそうです。話すときは「ら」を抜いて話しがちですが、「ら」抜き言葉にならないよう気をつけることも大切かもしれませんね。
子どもの様子を書くときに「~たり、~するなどして…」と使う場合もあるかもしれませんが、「~たり、~たり」と二度重ねて使うことが文法のようなので確認しながら書き進めていきましょう。
全体の量
実習日誌は、毎日8割以上を埋められるように意識して書くといいでしょう。実習が進むにつれ日誌が思うように書けないと感じることもあるかもしれません。朝の会など毎日の中で決まっている活動は、どのように書いていいのかわからないと感じることもあるようです。
見る視点や声のかけ方を変えてみると、同じ活動の中にも変化を見つけられるかもしれませんね。
幼稚園実習を終えるにあたり
幼稚園実習の最終日を終えたら実習が終わりではないようです。実習を終えるとき、どのようなことをするといいのでしょうか。
感謝を伝える
実習最終日には、クラスの子どもたちに感謝を伝えるとよさそうです。子どもたちにプレゼントやメッセージを贈りたいときは、指導担当の先生に確認を取るようにしましょう。
プレゼントは、自分に負担がない程度で材料や渡すものを決めるとよさそうです。購入したものやお金をかけたもの、食べ物は避け、手作りのものを贈ると温かみが増すかもしれませんね。クラスの子どもたちには、折り紙を使ってコマや手裏剣、メダルにメッセージを添えて感謝を伝えたという意見もあるようです。
反省や感想をまとめる
実習日誌には、最後のまとめとして反省や感想を記入する欄があるのではないでしょうか。実習の最終日には、反省や感想を職員全員に向けて発表する場を設ける園もあるようです。
反省や感想は、「実習前に感じていたこと」「目標に対する成果や反省」「学んだこと」「今後の目標」の4つの構成から書くとわかりやすいかもしれません。具体的な例文を紹介します。
例文1
実習前、幼稚園では一日の予定と時間配分を一ヶ月や一週間の単位であらかじめ決めており、スケジュール通りに進めていると思っていました。実際、実習をしてみると予定していたスケジュールの活動だけではなく、天候や気温、子どもたちの様子などに配慮して、スケジュールが動いていると学びました。
実習の前半は、一日の流れを掴むことにばかり気を取られ具体的な目標が立てられずにいましたが、少しずつ子どもたちの様子が見られるようになったときに、目標をより具体的にすることができるようになってきました。より具体的な目標が立ったことで、どのような支援や声かけができるかを考えて行動するようになったと思います。
子どもたちに実際に接してみて、今まで学校で学んできたことだけでは通用しないことがわかりました。座学が参考になった部分もたくさんありましたが、一人ひとりにあった援助や声のかけ方を心がけることが大切だと感じました。年齢だけでなく、同じクラスの子どもによっても援助や声をかけるタイミングは違うことがわかりました。見守ることで自立を促し、必要なところで手を差し伸べることで、子どもの気持ちを受け止めながら援助することにつながるのだと実感することができました。
次回の実習では、一人ひとりにあった援助や声のかけ方をさらに学んでいきたいと思います。加えて、活動をするときの環境の作り方についても注目していきたいです。お忙しい中、実習日誌を丁寧に見ていただきありがとうございました。今回の実習で学んだことを、今後の実習や就職したときに活かしていきたいです。
例文2
私は以前の実習で保育園に行き、2回目の実習となる今回の幼稚園実習では、縦割り保育の運営について学びたいと思っていました。実習をしてみて、異年齢の子どもたちがいるクラスでは、どのような声かけや援助をするといいのかを学ぶことができました。
クラスには3歳児から5歳児までの子どもたちがいて、はじめはどのように声をかけたらいいのか戸惑う場面がありました。4歳児と同じことを3歳児に伝えるとうまく伝わらないというこという体験をし、声のかけ方を変えなくてはならないこと実感しました。
実習をしていくなかで、子どもたちと接するときは学年にあわせた声かけを意識していました。また、年齢にあった声かけだけでなく、一人ひとりの発達にあった声のかけ方をすることも学びました。他にも、同じ活動を設定する際はどの年齢に合わせるといいのか気になっていましたが、4歳児の発達を目安に考えていたり、学年によって援助や難易度を変えたりしていることがわかりました。
年上の子が年下の子たちに教えるだけでなく、年下の子の行動で年上の子どもたちが気づく場合もあることがわかり、相互関係ができていることも縦割り保育の魅力だと感じました。
幼稚園教諭が子どもに教えるだけでなく、子ども同士でも気づき、教えあうということを学びました。今後の学校生活や実習では、子ども同士の関わりについても勉強を深めていきたいと思います。2週間お世話になりました。ありがとうございました。
このように感想や反省を4つの構成に整理しながらまとめることで、実習を通して学んだことを自分自身でも明確にできそうですね。また、指導担当の先生にも、幼稚園実習でどのような経験や勉強ができたのかを伝えられるかもしれませんね。
お礼状を送る
実習を終えたあとは、感謝の気持ちを伝えるために実習園にお礼状を送るといいでしょう。お礼状は実習最終日もしくは翌日に郵送できるといいかもしれませんね。
お礼状は前文、主文、本文、末文、後付けの順で書くという定型があるようです。具体的な例を見てみましょう。
例文1
拝啓
ようやくしのぎやすい季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はいつもの日々に戻り、勉学に励む毎日を過ごしております。
先日はお忙しいところ、貴重なお時間を頂戴しご指導下さり、本当にありがとうございました。短い期間ではありましたが、子どもたち、先生方と学校では学ぶことができない大変貴重な体験をさせていただきました。
はじめは緊張して子どもたちの対応に慣れていない私でしたが、子どもたちから声をかけてくれたときは大変嬉しく感じました。実習をする中で、一人ひとりと向きあうことの大切さや環境構成の立て方を学ぶことができました。実習中は至らない点ばかりではありましたが、今回の実習を通して子どもたちとともに成長や喜びを感じた体験を忘れずにがんばっていきたいと思います。本当にありがとうございました。
園長先生をはじめとする先生方に実習中の暖かいお言葉や丁寧なご指導をいただき、本当に感謝しております。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和◯年◯月◯日
◯◯大学◯◯学部 氏名
◯幼稚園 園長
◯◯◯◯様
職員の皆様
例文2
謹啓
春の風が快い季節となりましたが、園長先生や皆様はお変わりなくお過ごしのことと存じます。
この度はお忙しい中、二週間にわたり幼稚園実習を受け入れてくださりありがとうございました。
短い期間ながら、実際の現場に立つことで多くの学びや気づきを得ることができました。さまざまな年齢の子どもたちと接する機会がありましたが、年齢によっての対応は大きく異なることがわかりました。実際に子どもの姿を見ることで、どこまで子どもを見守るべきかや援助したらいいのかを学ぶ機会となり、より一層子どもの成長に携わりたいという思いが強くなりました。今回の経験をもとに今後も勉学や実習に励んでいきたいと思います。
重ねてこの度貴園での教育実習を受けられたことに感謝いたします。末筆ではございますが、貴園と園長先生を始めとした先生方のさらなるご活躍をお祈りしております。
謹白
令和◯◯年◯月◯日
◯◯大学◯◯学部 氏名
◯◯幼稚園
◯◯園長先生
職員の皆様
園長先生や指導担当の先生、実習園の先生方に感謝の気持ちを伝えられるよう、反省や感想を活かして具体的な内容を入れ込みながら書くといいでしょう。また、丁寧な字で書くことを意識することで、より感謝の気持ちが伝えられるかもしれませんね。
復習をして幼稚園実習に備えよう
今回は、幼稚園実習について紹介しました。
幼稚園実習とは、幼稚園教諭になるために、事前に学内で学んだ知識や技術を実際の現場で活かしながら、子どもたちとの関わりの中で教育者としての在り方を学ぶ体験です。実際に子どもたちや幼稚園教諭の姿を見ることで自分の身につけられる機会となるでしょう。見学または参加しながら行う中で自らの教育観を持てる体験にもなるかもしれませんね。
実習前に学びたいことに加え、自己紹介の内容を考えたり、服装や名札を用意したりすると安心できそうです。実習中は目標やねらいを明確にし、それに対してどのような行動をや気づきを得たのか、学んだことを日誌に記すと後で見返したときにも役立つでしょう。また、感想や課題を具体的に書くことも大切といえそうです。
幼稚園実習を通して得たものは、実習をさせていただいた園のおかげだということを忘れずに、感謝の気持ちが伝わるような手作りのプレゼントやお礼状を送れるといいかもしれませんね。