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【例文あり】保育実習日誌の「考察」の書き方。反省や振り返りのまとめ方

保育実習の日誌には、反省や感想とともに「考察」を書く必要があります。『例文があれば助かるのに…。』と悩む保育学生さんも多いかもしれません。今回は、保育実習日誌の考察の書き方を徹底解説!振り返りや反省点を踏まえてわかりやすくまとめるコツや例文も紹介しているので、記録や書類を書くときの参考にしてみてくださいね。

実習日誌の考察を書く保育学生

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保育実習の日誌にある「考察」とは

保育実習日誌における「考察」とは、実習中の出来事について自分なりに考えたり分析したりして、わかったことや気づいたことをまとめるものです。


実習目標に対する振り返りをする「反省」や、思ったことを主観的に記述する「感想」とは異なり、子どもの姿や保育士さんの援助といった事実をもとに客観的に分析してわかったことを書くのが特徴です。


なお、保育実習日誌のフォーマットによっては、記述欄の名前が「考察と反省」「感想・考察・反省」などとされており、明確な書き分けが求められない場合もあるようです。


実習担当の先生は考察を読んで「この学生さんはこんなことに気づいたんだな」と理解し、指導上のアドバイスに反映していることでしょう。そのため、日誌の「考察」は実習担当の先生とのコミュニケーション材料とも言えそうですね。


そんな重要性の高い「考察」の書き方をマスターして、保育実習を振り返り日誌にまとめましょう!



保育実習の日誌における考察の書き方

反省や感想との違いがわかったところで、次は考察の書き方を紹介します。保育実習日誌における考察は以下の流れを意識して書くとよいかもしれません。


事実を述べる

②事実からわかることを考察する

結論をまとめる


それぞれ項目別に見ていきましょう。



①事実:印象に残っている場面を簡潔に書く


まずは、保育実習を通して印象に残っている子どもの姿や、保育士さんの関わりについて記載しましょう。


<例>

自由遊び時間にAちゃんとBちゃんがお絵かきをしていたときのことです。
使ったペンのキャップを外したまま散らかしていたので、私は「きちんとしまおうね」と声をかけました。


2人は声をかけられるとキャップを締めるのですが、夢中になるとすぐにペンを散らかしてしまいます。私は繰り返し注意しましたが、なかなか2人にわかってもらえませんでした。


上記のように、実際にあったことをわかりやすく記述します。



②考察:わかったこと、気づいたことを挙げる


次に、①で挙げた事実に対して、わかったことや気づいたこと、考えたことを客観的に述べます。


<例>

なぜ私の声かけが届かなかったかには、2つの原因が考えられます。


1つ目は、声かけの内容が抽象的だったことです。
「使っていないペンは、キャップを締めてペン立てに入れようね。新しいペンを出すときは、今使っていたものをペン立てに片づけてからにしよう。」と具体的に教える必要があったと考えます。


2つ目は、どうして片づける必要があるか理由を伝えなかったことです。
「キャップを締めないとペンが乾いて描けなくなる」「出しっぱなしにしているとペンがなくなってしまう」など理由を伝えれば、子どもたちも片づけの大切さに気づいてくれたかもしれません。


事実をもとに分析したことや自分なりに深く考えたことを書きましょう。


このとき、「もっと~しようと思った」「困ってしまった」だけで終わるなど、主観的な感想にならないよう注意します。


”どうしてそう考えたのか”という理由や背景を深掘りして、読んだ人が納得できるような書き方をすることが考察のポイントと言えますね。



③結論:今後につなげられる内容をまとめる


考察をもとに、結論として今後につながる内容を簡潔にまとめましょう。


<例>

そのため、子どもたちに注意の声かけをするときは、必要な理由とあわせて具体的な指示をすることを心がけるべきだと考えました。


例のように、次回似たような状況になったとき、どのようなことを意識するとよいのか考えてみるとよいかもしれません。反省や振り返りを踏まえれば、まとまりやすくなりそうです。



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保育実習の日誌における考察の例文

実習日誌の考察を書く保育学生

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実際の保育実習日誌では、考察欄が感想や反省といっしょに設けられていることが多いようです。反省と考察を織り交ぜて、2つの例文をまとめてみました。



例文1:目標に対する振り返りをまとめた考察


初日では緊張から"笑顔で関わる"ことが意識できなかったため、2日目の今日は「多くの子どもたちと笑顔で関わる」ことを目標にしていました。


笑顔で話しかけるよう心がけていると、徐々に子どもたちが話しかけてくれたり、遊びに誘ってくれたりして、保育者が笑顔でいると子どもは親しみやすいのだと感じました。


目標は達成できたものの「子どもを注意するときの表情の変化」という新たな課題が見つかりました。


長い木の枝を持ち歩いていたAくんに、危険がないように遊んでほしいと伝えたのですが、怒っていると感じて欲しくなかったため笑顔で声をかけました。
しかし、笑顔で話したためかうまく伝わらずに、Aくんは同じようにまた歩き始めました。


その後、◯◯先生がAくんに真剣な表情で伝えている姿を見たことから、その後も◯◯先生の様子を意識して見ていると、話す内容によって表情を変えていることに気づきました。


明日は伝える内容によって表情を変えることを心がけるとともに、さらに2つのことを意識していきたいと思います。


1つ目は、子どもに気持ちを伝えるため、表情や反応を大きく変えて、大げさに反応することです。
2つ目は、子どもから表情がよく見えるよう、目線をあわせて話をすることです。


明日はこの点を目標に、積極的に子どもたちと関わりたいと思います。


まずは「多くの子どもたちと笑顔で関わる」という目標を示して、反省に対する振り返りをしています。


続いて、「子どもを注意するときの表情の変化」という話題に移り、実際にあったことをもとに考察をしています。


最後に、「 明日は伝える内容によって表情を変えることを心がけるとともに、…」として、考察から得られた結論をまとめ、反省を活かした目標を立てている例文です。



例文2:保育士さんの動きに対する気づきをまとめた考察


今日は3歳児の製作の進め方を学びたいと考え、保育者の動きを意識して見ていました。


折り紙をはさみで切ってのりで貼るという製作でしたが、活動の進め方や安全への配慮をよく観察できたと感じます。
その際、気づいたことが3つあります。


まず1つ目に、保育者は全員から見える位置に立ち、子どもに確認してよく見える位置までずれるよう声をかけてから約束事や製作の流れを確認していました。


2つ目に、個人のロッカーにあるはさみを一斉に取りに行くのではなく、机のグループごと取りに行くよう促していました。
これは、一斉に取りに行ってケガをしないための配慮だと気がつきました。


3つ目に、子どもたちの集中力が途切れないよう、クラスの半数ほどがはさみを使い終わる頃にのりを配り始めるという進め方も大切だと感じました。


このように、製作では安全面への注意と、子どもの意欲を保つための配慮が必要だとわかりました。そしてこれらに配慮するには、子どもたち一人ひとりの様子だけでなく、全体の進行状況を見ながら進められるよう目を配る必要があると感じました。


部分実習でははさみを使った製作を計画しているため、今回の気づきを活かし、全体に配慮しながら進められるよう指導案を立てたいと思います。


この例文でも、まず最初に「3歳児の製作の進め方を学びたいと考え、…」と目標への振り返りを書いています。


そのうえで、「気づいたことが3つあります」として考察に移り、最後に結論として「 製作では安全面への注意と、…ための配慮が必要だとわかりました」とまとめていますね。




保育実習の日誌で考察がグッと書きやすくなるポイント

笑顔の保育学生

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日誌をまとめやすくするには、自身が学んだことを整理する必要があるでしょう。


そこで、学んだことを振り返りやすくするためのコツを、


  • 保育実習の最中に見ておくポイント
  • 日誌の書き方で注意するポイント

の2つに分けて紹介します!



保育実習中に意識するポイント


日誌の考察欄を書くためには、保育実習中にどのようなことを意識するとよいのでしょうか。


子どもの姿をよく見ておく

保育実習中には、子どもたちがどんな遊びに心が動いたのか、目を輝かせていたのかなど、子どもの興味や関心を見逃さないようにしましょう。


子どもたちの行動や発言のなかにも、学びや気づき、心の変化が隠されていることがあるため、意識して見ておくとよいかもしれません。


また、保育者は子どもたちの興味をヒントに保育を展開していく場合もあります。

子どもの一人ひとりの表情や反応を細かく意識して見ていると、保育者になったときに子どもたちにあった活動を選ぶことにもつながりそうです。


保育士さんの働きかけから、意図やねらいを想像する

保育者が考えた活動や声かけには、目的やねらいがあるはずです。


例えば自分でズボンを履くことを促したいときには「◯◯くんならできるよ」「先生といっしょにやってみようか」と伝えたり、同じ内容でも年齢や子どもの様子によって声のかけ方を変えたりしているかもしれません。


先輩保育士さんがなぜこの活動を選んだのか、声をかけたことによって子どもはどう感じるかなど、働きかけのしかたや内容をもとに意図などを見つけてみましょう。


気づきや学びをメモしておく

保育実習中に気づいたことや考えたことは、簡単にでもメモを取っておくとよいかもしれません。


特に、実習担当の先生に質問したことや、いっしょに振り返りをした内容については、考察を書くための大切なヒントになるでしょう。



日誌の作成中に意識するポイント


いざ保育実習日誌の「考察」を書くときは、どのようなことを意識すべきでしょうか。具体的な書き方のポイントを見ていきましょう。


まずはその日の目標に対する振り返りや反省を整理する

考察を深めるためにも、その日の実習目標をもとに振り返りを行い、反省点を整理しましょう。


そのためには、その日に取っておいたメモを見ながら1日の流れを振り返り、印象に残った出来事や子どもの言葉、保育者の関わりを思い出してみるとよいかもしれません。


記憶に残っている場面をもとに考察を書くことで、自分なりの分析や解釈ができるかもしれません。


自身の気づきを入れる

日誌の考察欄では、その日の出来事のみを書くだけでなく、その瞬間自分はどう感じたのか、何に困ったのか、どうしようと思ったのかを考えることでより内容を深めることができます。


子どもの様子や保育者の関わり、自身の行動から得られた気づきや発見を掘り下げて、理由や原因を考えてみることが大切になるでしょう。


気づきを書き残しておくことで、実習担当の先生も実習生さんがどんな視点で観察しているのかを把握することができそうです。


表記の仕方に注意する

感想や反省などを書いていると、つい話し言葉になりがちなようです。


保育実習の日誌では、トイレ関係のことは「排泄」としたり、子どもに「~させる」ではなく「~と促す」「~と声をかける」「~に誘う」としたり、書き方を意識しましょう。


また、保育者の働きかけに関しても「よくできたので褒めた」と書きたくなりますが、「頑張りを認め、励ました」といった書き方で表記するとよいかもしれません。



上記で紹介した書き方やポイントを頭に入れて保育実習に参加すれば、日誌の考察欄が書きやすくなるでしょう。



それでも書けないときは…?


悩む保育学生

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「それでも考察が書けない!」「頑張って書いたつもりだけど添削で指導を受ける…」とお悩みの実習生さんもいるかもしれません。


考察が書けない場合を2つのケースに分けて対処法をまとめました。


「考察じゃなくて感想になっている」と指導された

思ったことを主観的に書く感想と違い、考察では事実からわかったことを客観的に書く必要があります。


そのためには、実際の出来事に対して「なぜそうなったのか?」「どうすればよかったか?」と分析を深めることがポイント。


そのうえで、


①子どもの姿、保育士さんの動き=事実

②自身が考えたこと・わかったこと・気づいたこと=考察

③考察のまとめ・今後に活かせる部分=結論


という基本の書き方をもとに、まずは1~2行ずつ簡単にまとめてみましょう。


うまく考えがまとまらない!

保育実習をしているとさまざまな場面に出会い、たくさんの気づきを得られます。しかし、書きたいことが多く自分の考えがまとまらない…ということも。


そうしたときは、特に印象に残った場面に絞って書くことで、考察をまとめやすくなるかもしれません。エピソードをたくさん挙げるのではなく、最も書きたい場面を1つ選ぶことがポイントです。


まずは書きたいことを箇条書きにしてみるのも効果的でしょう。そのうえで、優先順位を付けたり、文章の流れを考えたりするのもよいですね。



保育実習での学びを振り返りながら日誌の考察を書こう

今回は、保育実習日誌にある「考察」の書き方を紹介しました。


日誌の考察は、実際にあった出来事をもとに、気づいたことを客観的に書くことがポイントです。実際は、反省や感想と記入欄が同じであることも多いため、目標やねらいに対しての振り返りや反省も盛り込むとよいでしょう。


保育園生活にはさまざまな配慮や子どもたちの心の動きが隠れているため、保育実習中は保育者の行動や発言、視線を意識してみるといいかもしれません。


例文の書き方を参考に、保育実習の振り返りや反省を活かして考察を書いてみてくださいね。



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