保育学生さんや新卒保育士さんの中には、海外で保育士として働きたいと考えている方もいるのではないでしょうか。海外でも保育士として働くことはできますが、そのためには資格やビザなど必要なものがさまざまあります。今回は、海外で保育士として就職する際に必要となるものや働ける保育施設、海外勤務における注意点について説明します。
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■目次
海外で保育士として働くためには?
保育学生さんや新卒保育士さんの中には、「海外で保育士として働きたい」、「海外で保育士として働くにはどうしたらいいのか知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
実際、海外の保育施設で働いている日本人も多く、日本人向けの保育施設がある国も多数あるようです。そうはいっても、海外で保育士として就職するには、
- 資格
- 就労ビザ
- 語学力
- 学歴
などさまざまなものが必要になるでしょう。
今回は、海外で保育士として働く際に必要になるものや働くことができる保育施設、海外勤務をするときの注意点についてくわしく説明します。
海外で保育士として働くために必要になるもの
海外で保育士として働くためには、資格やビザだけでなく語学力や保育士としての実務経験なども必要になるようです。
まずは、保育士として海外で就職するために必要なものを紹介します。
資格
海外で保育士として働くためには、その国の保育士資格や幼稚園教諭免許が必要になります。
海外にも日本の資格で働ける施設があるかもしれませんが、その国の保育士資格が必要になるケースがほとんどのようです。また、日本の保育士資格を海外で書き換える場合、高い英語力やスキルを必要とする国も多いため、書き換えは難しいかもしれません。
海外で保育士資格を取得するためには、現地の大学や専門学校などに通うことになります。そのため、勤務したい国の保育施設について、事前にきちんと確認しておくことが重要といえそうです。
ほかにも、海外でも車通勤できるように、国際運転免許証(国外運転免許証)を取得しておくと便利かもしれません。日本で運転免許証を取得している方であれば、運転免許センターや警察署で必要な申請を行うことで国際運転免許証が発行できます。
就労ビザ
海外で保育士として働くためには就労ビザが必須となります。
保育士だけでなく報道の記者や芸能人、医師など、海外での就労や長期滞在を目的とする場合にも、就労ビザを取得しなくてはいけません。
そもそもビザとは、海外へ渡航するときに入国を許可してもらうための事前査証のことです。観光する場合も国によっては観光ビザが必要な場合がありますが、多くの国は日本のパスポートがあれば観光ビザの取得を免除しています。
就労ビザは国によって種類や取得方法が異なるため、日本にある各国の大使館や領事館に確認するといいかもしれませんね。就労ビザは観光ビザと違って発行されるまでに数か月かかることがあるため、早めに申請しておくといいでしょう。
語学力
海外で保育士として働く場合は語学力が必要になるでしょう。
駐在する日本人家族が利用する海外の保育園や幼稚園では、現地の言葉ではなく日本語で子どもたちや保護者とやり取りをすることが多いようです。
そう考えると語学力はあまり必要ないように思えますが、海外で暮らすためには現地の言葉がある程度話せないと、日々の生活で困る場面が出てくるかもしれません。そのため、日常会話ができる程度には語学力があることで、生活面でも楽になりそうですね。
学歴
海外で保育士として働く際、学歴が必要になることがあります。
学歴は就職するときの募集要項で求められたり、就労ビザを取得したりする際に必要になることもあるようです。また、国によっては社会的に学歴が重視されている場合もあるでしょう。
学歴があることで就職先の選択肢が広がることが考えられますし、就職先の待遇や給料での評価につながるかもしれませんね。
保育士としての実務経験
海外で保育士として働くにあたり、保育士としての実務経験は必要なものといえるでしょう。
海外の保育施設では、日本での保育士の実務経験を重視しているところと、あまり重視していないところがあるようです。そのため、一概に何年くらいの実務経験があればいいとは言えないものの、大体2年~3年程度は保育士としての経験があることが望ましいようです。
海外という慣れない土地で生活するだけでなく、保育士としての経験が全くないとその分覚えることが多くなるので大変ですよね。余裕をもって勤務するためにも、ある程度は保育士としての実務経験があったほうがいいかもしれません。
このように、海外で保育士として働くためには保育士資格や就労ビザ以外にも、語学力や学歴、保育士としての実務経験が必要になることがあるようです。
海外で保育士として働ける施設の種類
海外で保育士として働く際、どのような保育施設で働くことができるのでしょうか。
海外で保育士として働ける施設としては、
- 日本人向けの保育施設
- インターナショナルスクール
- 日本企業や外資系企業の企業主導型保育施設
- リゾート地のホテル内にある保育施設
などが挙げられるようです。
それぞれどのような施設なのか簡単に紹介します。
日本人向けの保育施設
日本人向けの保育施設としては、各国に駐在する家族が利用する保育園や幼稚園が挙げられます。
大企業など海外にも支社を持つ会社では、駐在員として従業員を国外に派遣することがあります。その際、現地の保育施設に通わせている保護者の方もいるかもしれませんが、日本人向けの保育園や幼稚園に通わせる方も多いようです。
そのため、日本人が多く派遣されている国のほうが、日本人向けの保育園や幼稚園の施設数が充実しているかもしれませんね。
インターナショナルスクール
海外で保育士として働ける保育施設として、インターナショナルスクールがあります。
国よっては、日本よりもインターナショナルスクールの数が多いところもあるでしょう。日本で運営されているインターナショナルの海外校で、求人を募集するケースもあるようです。
インターナショナルスクールでは、さまざまな言語を子どもたちに教えることがあります。また、現地の子どもや他国の子どもと、日本人の子どもが一緒に通う保育園や幼稚園もあるため、就職する際は高い語学力を求められるかもしれません。
日本企業や外資系企業の企業主導型保育施設
海外にある日本企業の支社や外資系の企業では、企業主導型保育施設として企業内に施設がある場合があります。
女性進出が盛んな国では、企業主導型保育施設が充実しているかもしれません。さらに、海外にある日本企業の支社や外資系の企業内にある保育施設ですので、日本人以外が利用することも考えられます。
子どもたちや保護者、ほかの職員と円満なコミュニケーションが取るためにも、ある程度の語学力は必要になるでしょう。
リゾート地のホテル内にある保育施設
企業内だけでなく、リゾート地にあるホテル内の保育施設でも働くことができるでしょう。
観光地やリゾート施設内にあるホテルでは、託児所や保育施設を完備しているところがあり、保育士として働くことができるかもしれません。ホテル内にある保育施設では、観光客が一時預かりとして利用することが多いようです。
このように、海外では日本人向けの保育施設、インターナショナルスクール、日本企業や外資系企業内にある企業主導型保育施設、リゾート地のホテル内にある保育施設などで保育士として働くことができるかもしれません。
国によって保育施設を利用する子どもの年齢にも差がありますし、教育の考え方の違いから保育園や幼稚園に通わせる保護者が少ない国もあるでしょう。そのため、自分が働きたい国では保育士の需要があり、保育施設の求人が安定しているか確認することが大切といえそうです。
海外で保育士として就職するときの注意点
保育士として海外で働くことはできますが、その際さまざまな注意点があります。
保育士として海外で就職するときの注意点についてくわしく紹介します。
海外で働くための費用の準備
海外で保育士として働くためには、国外に引っ越しして暮らすことになるでしょう。
その際、渡航時の飛行機代や住む物件を借りるための費用、日々の生活費以外にも、現地で保育士資格を取得する場合は学費も必要になるため、多額の費用がかかることが予想されます。また、現地ではどのようなトラブルに遭遇するかわかりませんし、医療保険制度も日本とは違うため注意が必要です。
海外で保育士として働く際は、事前に海外勤務にかかる総額を用意しておくのが一般的ですが、多額の費用を貯めるのは容易なことではないでよね。そのため、保育士の養成学校では、海外留学をして現地で保育士資格を取得するための奨学金制度を行っているところがあります。
奨学金制度の中には返金不要というものもありますし、現地の保育士資格を取得していることにより、海外で働く際の費用を抑えることにつながるため、活用してみるのもいいかもしれませんね。
海外の保育施設での給料や待遇
日本で保育施設に就職するときと同様に、海外で就職するときも就職先の待遇や給料は確認しておいたほうがいいでしょう。
海外でも保育施設ごとに給料や待遇に差があります。たとえば、保育士が住む物件を施設のほうで借り上げてくれるところもあるようなので、条件の良いところに勤めることで海外での暮らしが楽になるかもしれません。
また、給料が日本よりも低い額だったとしても、日本より物価が低い国であれば問題なく生活できそうですね。
勤めたい保育施設の求人倍率が高いことがある
保育士の需要が高い国でも、人気のある園はやはり求人倍率が高いようです。
そのため、自分が勤めたい保育施設に採用されない可能性もあるため、海外での就職は注意が必要になります。資金に余裕があれば、保育施設をゆっくり選ぶこともできるかもしれませんが、それでもなかなか就職できないと不安になりますよね。
採用率を少しでも上げるためには、保育士としての実務経験、語学力、保育に関する深い知識や資格などがあるといいでしょう。
必要なものや注意点をきちんと理解して、海外で保育士として働こう
今回は、海外で保育士として働くときに必要になるものや働ける保育施設、就職するときの注意点を紹介しました。
海外で働くためには就労ビザが必要となり、場合によってはその国の保育士資格や幼稚園教諭免許が必要になる場合があるようです。また、海外で暮らすためにはある程度語学力があったほうが勤務時もスムーズに対応できるかもしれません。
海外で働ける保育施設としては、日本人向けの保育園や幼稚園、企業内にある企業主導型保育施設などが挙げられますが、採用率を少しでもあげるために、保育士としての実務経験を積んだり、現地の保育士資格は取得したりすることも大切です。
海外の保育士資格を取得するために、学校によっては奨学金制度を利用することもできますので、必要な資格や費用をきちんと揃えて海外勤務に臨むといいかもしれませんね。