最年長児となった5歳児の子どもたちが卒園に向けてスタートを切る4月。初めての月案作成に悩む新卒保育士さんもいるのではないでしょうか。今回は、5歳児クラスで使える4月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいのほか、健康、言葉、人間関係など5領域別の活動内容や配慮、月反省の書き方もまとめました。
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■目次
4月の5歳児クラスの特徴とは?
4月の5歳児クラスでは、進級したことから「お兄さん、お姉さんなんだ」と自覚と意欲にあふれる時期かもしれません。
この頃の5歳児クラスには、以下のような特徴があるでしょう。
- 年長になったことによろこびや意欲を感じている
- 係活動や身の回りのことに意欲をもって取り組む
- 年下の子どもといっしょに遊んだり、何か教えようとしたりする
5歳児の子どもたちには、期待感や自信をもって取り組んだり、少し緊張していたりといった姿が見られるかもしれません。
新卒保育士さんは、子どもたちの意欲を刺激するような言葉がけとともに、達成感を味わえる機会を作ってやりがいにつなげることを大切にできるとよいですね。
保育園・幼稚園生活において最後の1年、子どもの力を伸ばし、よい思い出を作るためにも、年度初めからしっかりと月案を立てていきましょう。
【4月】5歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
4月の月案では、月初めの子どもの姿を書いたり、3月末の姿を書いたりと、園によって書き方はさまざまのようです。
3月末から4月の初めに見られる5歳児の姿の文例を紹介します。
- 年長クラスになることに期待を抱き、意欲をもって生活している
- 年下の友だちにも優しく教えたり、お世話をしたりしようとする
- 友だちと遊ぶなかで、自分たちでルールを考えたり、決まりを守ったりして遊ぶ姿がある
進級に対する意欲や、同学年・年下の子どもとのかかわりに焦点をあててみると、子どもの姿がよくわかりそうです。
文例を参考に、園の決まりに合わせて取り入れてみましょう。
【4月】5歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
4月の5歳児にぴったりなねらいを考えて月案に記入しましょう。
今月のねらい
生活面にかかわる「養護」と遊び面にかかわる「教育」にわけて、ねらいを紹介します。
養護のねらい
- 新しい環境や保育者に慣れ、落ち着いて過ごす
- 生活の流れがわかり、年長としての自信をもって身の回りのことを進んで行う
教育のねらい
- 5歳児になったことをよろこび、友だちや保育者とともに好きな遊びを楽しむ
- 春の植物や生き物に興味をもち、自らかかわろうとする
5歳児クラスでは、年長児としての自信や意欲をもって行動することをねらいに設定するとよいでしょう。
ねらいを考えるときは、5領域はもちろん、「10の姿」も参考にするとより保育の質を高めることにつながりそうです。
活動内容
ねらいをもとに、子どもに経験してほしい具体的な活動内容を書いていきましょう。
健康
- 手洗い場やトイレの使い方がわかり、友だち同士で教え合いながら正しく使おうとする
- 気温や体温の変化に応じて衣類を調節しようとする
人間関係
- 新しい保育者や友だちとのかかわりをよろこび、いっしょに過ごすうれしさを味わう
- 生活のルールや係の役割に関心をもち、主体性をもって取り組もうとする
環境
- 新しい玩具や教材に興味をもち、積極的に遊びに取り入れる
- 園庭にある春の自然に興味をもち、名前を覚えたり図鑑で調べたりする
言葉
- 新しい友だちの名前や誕生日に興味をもち、数字や文字への関心を高める
- 遊びや活動のなかで、自分の言葉で思いを伝えたり、話し合ったりする
表現
- 絵本や歌を通して春の自然に興味をもち、のびのびと表現することを楽しむ
- 季節の歌を歌うなかで、友だちと声を合わせて歌う心地よさを味わう
言葉での自己表現や、周囲の友だちとのかかわりが上手になる頃かもしれません。
文例を参考に、新しいクラスや友だちに親しみをもったり、季節の変化に関心をもったりできるよう活動内容を考えられるとよいですね。
【4月】5歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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次に、4月のねらいや活動内容に合わせて保育士さんの配慮や援助の文例を紹介します。
健康
- 身の回りのことを自ら行う姿をしっかりと認め、意欲につなげていく
- 気温や体調によって活動内容を調整し、無理なく過ごせるよう配慮する
人間関係
- 自己紹介遊びをしたり、名前を使ったゲームを行ったりと、友だちの存在や名前に親しみをもてる活動を取り入れる
- 友だちとかかわって遊ぶ楽しさを感じられるよう、ルールのある集団遊びを展開していく
環境
- 春の植物や生き物に興味をもてるよう、絵本や図鑑を用意しておく
- こいのぼりの製作を通してこどもの日の行事に親しめるよう、由来や意味を伝えていく
言葉
- クラスの集まりなどで発表する機会を取り、大勢のなかで発言することに慣れられるよう配慮する
- 誕生表や写真つきの名簿などを用意して、友だちの存在を通して数や文字に親しめる機会を作る
表現
- 絵本や歌を通して、春の自然や行事に親しむきっかけを作る
- こいのぼりやかぶとの意味を紹介し、子どもの日の願いを知ってお祝いする雰囲気作りをする
身の回りの自然や文字などに興味を示すようになる5歳児頃には、子どもの関心を引き出せる環境作りが大切になります。
4月には、毎日の集まりや活動を通して、友だちとのかかわりを育んだり、5歳児としての意欲や自信を味わえるようにしたりと工夫してみましょう。
【4月】5歳児の月案の文例:家庭連絡・行事・食育
4月の5歳児クラスでは、月案の家庭連絡、行事、食育欄にどのようなことを書くとよいのでしょうか。
家庭連絡
- 5歳児クラスで必要になる持ち物や用意などについて丁寧に伝えていく
- 1年の行事予定を伝え、親子行事への参加を促す
行事や特別な活動が増える5歳児クラスでは、4月のうちから保護者の方にお願いをしておくと、今後の進め方もスムーズかもしれません。
行事予定
- 入園式
- 避難訓練
- 進級お祝い会
- お花見散歩
食育
- 配膳や片付けのしかたを丁寧に伝え、自分でできるよう配慮する
- 季節の料理や食材について伝え、食への関心を育んでいく
5歳児クラスになると、給食の配膳や片付けも自分で行うようになるかもしれません。
4月のタイミングでしっかりと教えられるよう、月案で計画しておきましょう。
【4月】5歳児の月案の文例:反省・自己評価
4月の5歳児の月案では、どのような点を反省・自己評価に役立てるとよいか、文例をまとめました。
養護
- 心細い気持ちや不安になる気持ちに寄り添い、安心できる場作りや声かけをしていけた
- 身の回りの準備や係活動の役割について丁寧に伝え、できたときの達成感を育んでいけた
教育
- ルールのある集団遊びや自己紹介ゲームを通して、友だちとの交流の機会を確保した
- 春の自然にふれる活動を取り入れ、図鑑や絵本を通して知識や関心を深めていけた
5歳児クラスでは子どもたちの人数が多い分、新卒保育士さんは子どもの様子を見るのが大変かもしれませんが、1日に1人ずつでも観察しておくと、反省や振り返りがスムーズにできるでしょう。
係や遊びのなかでの活動へ意欲や、友だちとのかかわり方を中心に反省を書いていけるとよいですね。
月案に活用できる4月の5歳児保育のポイント
最後に、4月の5歳児保育に活かせるポイントをまとめました。
月案の作成時に意識しておくことで、より保育の質を高められるかもしれません。
進級したよろこびや達成感を味わえるような言葉がけをしていく
4月の5歳児クラスでは、「憧れの年長さんになった」という思いから、いつも以上に身の回りのことを頑張ったり、小さい子のお世話をしようとしたりといった姿が見られるかもしれません。
まずは、進級したことをしっかりとお祝いし、どんな5歳児さんになりたいかインタビューするなど、しっかりと見通しをイメージできるような援助をしていきましょう。
子どもが自発的に頑張る姿を見かけたときは、しっかりと認めていくことで、さらなる意欲や自信を育めそうです。
係や役割などを取り入れるときは丁寧に指導する
年長である5歳児になると、飼育している動物の世話や園の掃除などを任されるようになり、誇りをもつとともに、不安を感じる子どももいるでしょう。
そのような意欲や不安といった情緒の変化を受け止め、まずは保育士さんがいっしょに行い、やり方を丁寧に伝えることが大切です。
そのうえで、できたことに関してはたくさん褒めて励まし、子どもの自信や達成感につなげていけるとよいですね。
浮足立つ気持ちを理解し、思いがけないトラブルやケガに注意する
進級して環境が変化したことや、憧れの5歳児になったというよろこびは、気持ちがそわそわしたり、自分の能力以上のことに挑戦したりといった面に表れるかもしれません。
そうなると、普段は起きないようなトラブルやケガにつながってしまうことも考えられます。
浮足立っている状況を把握し、クラス全体に目を配って危険がないよう、いつも以上に注意して見守ることが大切ですね。
文例を知って4月の5歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、4月の5歳児クラスで活用できる月案の文例を紹介しました。
進級を祝い、年長である5歳児としての意欲や自信を育むとともに、役割や係を任せる
ときは丁寧に導入して教えていくことが大切になるでしょう。
また、友だちの名前や誕生日を知れるように表を作ったり、春の自然や生き物を調べられる図鑑を用意しておいたりといった環境構成も重要です。
保育園の月案の文例を知って、4月の5歳児クラスの運営に役立ててみてくださいね。