企業で働く従業員の子どもを預かる企業内保育所。保育士さんの仕事内容や働くメリットを理解し、求人選びに役立てたい保育学生さんもいるのではないでしょうか。今回は、企業内保育所の特徴やメリット働くうえでの注意点などを紹介します。また、保育園選ぶときのポイントや求人状況についてもくわしくまとめました。
kornnphoto/shutterstock.com
■目次
企業内保育所とは
企業内保育所とは、従業員や地域の子どもを対象とした保育園のことです。
企業が社内やその近くで運営しており、主に従業員が育児休暇から復帰しやすい環境を整えたり、女性の社会進出をサポートしたりするために開設されるようです。
企業内保育所は二種類あり、事業所内保育園と企業主導型保育園に分かれています。それぞれの特徴について見ていきましょう。
事業所内保育園
事業所内保育は、国主導の子育て支援新制度によって創設された事業です。地域の待機児童を解消することを目的として作られ、従業員の子どもだけでなく、地域の子どもも利用することができます。
事業所内保育園は認可保育園に含まれるものの、小規模な形で運営されているのが特徴です。
定員は基本的に19名以下となっていますが、なかには20名以上の大規模な園もあるようです。利用対象年齢は0~2歳に限られているため、卒園後の子どもは連携施設に入ったり、ほかの保育サービスを使ったりする必要があるかもしれません。
企業主導型保育園
企業主導型保育園は、待機児童解消加速化プランの内容を受けて創設され、女性の活躍推進や、保育の受け皿の確保などを目的として作られた施設です。
企業主導型保育園は認可外保育園にあたるものの、子どもの対象年齢に規定はありません。
また、開園時間を自由に設定したり、複数の企業が共同で利用したりするなど自由度が高いので、園によって個性が出やすいと言えるでしょう。
保育士が企業内保育所で働くメリット
ここからは、保育士さんが企業内保育所で働くメリットについて見ていきます。
土日祝日に休める園が多い
企業内保育所は企業の就業時間に合わせて開園されるため、早朝や夜遅くの勤務がなかったり、土日祝日に休めたりするかもしれません。
しかし、園によって勤務時間はさまざまなので、事前に求人票やホームページなどを確認しておくとよいでしょう。
子どもとじっくり向き合いやすい
企業内保育所は小規模な施設が多いため、受け入れる子どもの人数は少ない傾向があります。一人ひとりの子どもとじっくり向き合い、関係を築いていきたい保育学生さんには向いているでしょう。
また、多様な年齢の子どもがいっしょに生活する異年齢保育となるので、その子どもに合った援助を行うなどの臨機応変さを身につけられるかもしれません。
業務負担が少ない傾向がある
企業内保育所の保育スペースは比較的コンパクトで、園庭やホールがない園も多いため、大規模な活動ができないこともあるでしょう。
保護者参観やお遊戯会なども、保護者が仕事中で参加できないことが多いため、あまり開かれないようです。
そのため、行事の飾りつけや書類作成などの業務が減ることから、一般の保育園で働く保育士さんより仕事内容が少なくなり、残業時間を減らすことにつながるかもしれません。
保護者と連絡を取りやすい
保護者は園の近くにいるので、子どもの体調がいきなり悪くなってしまったときも、スムーズに連絡を取ることができるでしょう。
また、お迎えの時間が大幅に遅れたり、予定の時間に登園しなかったりなどのトラブルも起きづらいというのも、メリットと言えるかもしれません。
福利厚生や給料が充実していることが多い
雇用主が企業であれば、保育士さんも一般従業員と同じ福利厚生を受けられる可能性があります。
また、ボーナスも一般の保育園より多くもらえたり、月給が高かったりするなど、給料面も充実していることがあるかもしれません。
保育士が企業内保育所で働くときの注意点
metamorworks/shutterstock.com
続いて、保育士さんが企業内保育所で働くときに、気をつける点について見ていきましょう。
企業の経営状態の影響を受けやすい
企業内保育所は企業が運営しているため、業績が悪ければ保育園の閉鎖につながったり、給料が下がったりすることが考えられます。
その反面、業績がよくなればボーナスの支給金額が上がるなど、よい影響が出る可能性もあるので、事前に雇用元の企業について調べておくことが大切です。
スキルアップしづらいことも
企業内保育所ではイベントが少なかったり担任制がなかったりするため、一般の保育園で行うような仕事内容をまんべんなく経験することは難しいかもしれません。
しかし、その分しっかりと子どもと向き合う時間をつくれるので、落ち着いた保育を行いたい保育学生さんには向いているでしょう。
園によっては夜勤があるかもしれない
企業内保育所は企業の就業時間にあわせて運営されるため、深夜も開園している院内などの保育所では、夜勤が発生する可能性があります。
夜勤を希望しない保育学生さんは、あらかじめ求人票を確認したり、面接のときに採用担当者と話し合ったりしておきましょう。
企業内保育所の求人状況と園探しのコツ
最後は企業内保育所の求人状況や、保育園を探すときのポイントについてまとめました。
求人状況
厚生労働省の資料によると、2019年3月時点で院内保育園を含む事業所内保育施設は全国に3402カ所あります。前年と比較すると約1600カ所が増えているので、それに伴い求人も増加することが予想されるでしょう。
福利厚生が整っている園が多く、昼勤だけでなく夜勤のある求人も見られるため、保育学生さんは自分のライフスタイルに合った求人を探すとよいかもしれませんね。
園探しのコツ
条件をしっかり確認する
企業内保育所を探すときは、求人票などで勤務時間をよくチェックし、夜勤を希望しない方は夜勤の有無も確認しましょう。
また園によっては経験者を求めている場合もあるため、「初心者歓迎」「新卒も歓迎」など書かれている園を探すと、新卒保育士さんも安心して働けそうですね。
見学をして雰囲気を確かめる
実際に園を見てみなければわからないことも多いので、保育学生さんは事前に園見学に参加することが大切です。
働く保育士さんや子どもの様子、職場の環境などを確認し、自分に合っているのかを確かめましょう。
就職サービスを利用する
就職サービスに登録すれば、コンサルタントが自分の要望に沿った企業内保育所を探してくれます。
給料や勤務時間について自分の代わりに園と相談してくれたり、ESの内容などを添削してもらえたりするので、活用してみるのもよいでしょう。
企業内保育所で働くメリットを理解し、自分に合った園選びをしよう
今回は、企業内保育所で保育士として働くメリットや、注意点について紹介しました。
一般の保育園で働く保育士さんより仕事内容が限られていたり、待遇面が充実していたりすることもあるので、保育学生さんによっては働きやすいと感じるかもしれません。
しかし、園によっては夜勤が発生する可能性があるなど注意点もあるため、保育学生さんは求人票や園見学を通じて、自分に合う職場かどうかを確かめましょう。
就活に不安がある場合は就職サービスも利用しながら、自分にぴったりの園を探してみてくださいね。