【保育士資格を活かして働ける場所~後編~】施設の種類や仕事内容を知って就活に活かそう

保育園以外にも、児童厚生施設や助産施設など、保育士資格を活かして働ける場所はさまざまあります。前編に続き今回は、児童養護施設や児童発達支援センターなどの資格を活かして働ける場所【後編】を紹介します。保育園や幼稚園で預かる0歳~就学前の子どもよりも幅広い年齢の子どもを対応している施設も多くあるため、就職先を検討する際の参考にしてみてくださいね。

先生と子どもたちの写真

milatas/shutterstock.com

保育士資格があれば就職先の幅は広がる?

前回、「【保育士資格を活かして働ける場所~前編~】」として、保育士資格を活かして働ける、児童厚生施設、助産施設、乳児院、障害児入所施設、母子生活支援施設の施設ついて紹介しました。

5つの施設だけみても、保育士資格があれば、保育園や幼稚園などの保育所以外にも活かせる場所があることがわかったのではないでしょうか。

今後の就活に役立てるためにも、保育園以外で資格を活かすことのできる施設がどこなのかを知り、視野にいれておくと、就職先の幅が広がることはもちろん、保育以外の知識を身につけることにもつながるでしょう。

今回は、後編として

  • 児童養護施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童家庭支援センター

以上の5つの施設を紹介します。

保育士資格を活かして働ける場所:児童養護施設

保育士資格を活かして働ける場所として児童養護施設が挙げられます。
施設の特徴や仕事内容についてくわしく見ていきましょう。

児童養護施設の特徴

児童養護施設は乳児を除いて、18歳未満の保護者のない子どもや虐待されている子どもが対象となり、生活指導や学習指導するだけでなく、家庭環境を整えながら日々の生活を送る施設です。退所した子どもに対しては相談に乗ったり、自立のための援助を行ったりすることもあります。

主な対象者は乳児を除いた18歳未満となっていますが、事情によっては0歳児から利用できますし、子どもの発達条件や必要性がある場合は20歳まで入所することが可能です。

児童養護施設の仕事内容

児童養護施設は対象となる子どもの年齢の幅が一般的な保育所に比べて広く、虐待や家庭環境の背景がさまざまなので、心のケアも含めた家庭環境の対応に保育士資格を活かすことができそうです。

また、児童養護施設は子ども同士の関係にも配慮が必要となり、社会性や協調性を身につけながら自立できるように指導することもあるでしょう。

出典:社会的養護の施設等について/厚生労働省

出典:社会福祉施設等調査の概況p18/厚生労働省

出典:児童養護施設運営指針p5~6/厚生労働省

保育士資格を活かして働ける場所:児童発達支援センター

保育士資格を活かして働ける施設として、児童発達支援センターとそれ以外の児童発達支援事業がありますが、障害を持つ子どもとその家庭を支援することは共通しています。
ここでは、児童発達支援センターの特徴と仕事内容について説明します。

児童発達支援センターの特徴

児童発達支援センターは、児童福祉法などの理念に基づいて、障害のある子どもがその地域で適切な支援を受られるようにすることを目的とした施設です。施設を利用する障害をもつ子どもの支援だけでなく、その家族を対象とした支援などを行っており、身体や精神に障害がある未就学児を対象にしています。

福祉型、医療型の2つに分かれていて、福祉型は障害をもつ子どもが自宅から通い、日常生活における基本的動作の指導、独立して生活するために必要な知識技能の付与、集団生活へ適応するための訓練を行っています。

一方の医療型も障害をもつ子どもに自宅から通ってもらい、日常生活における基本的動作の指導、独立して生活するために必要な知識技能の付与や集団生活に適応するための訓練などを行い、治療を行うことを目的とする施設です。

児童発達支援センターの仕事内容

児童発達支援センターでは、保育所などの施設と連携、および移行の支援を行うことがあるので、保育士資格がある方も国の保育指針における養護のねらい、そして内容を理解する必要があります。

以下が仕事内容になりますが福祉型、医療型でほとんど違いはないようです。

  • 日常生活における基本的な動作の指導
  • 知識技能の付与
  • 集団生活への適応訓練
  • 地域の障害児やその家族への相談受付
  • 保育所などへの訪問支援
  • 障害児を預かる施設への援助や助言
  • 児童発達支援、および治療を提供(医療型児童発達支援センターの場合のみ

保育士資格がある方は主に障害のある子どものサポートをしたり、保育所などへ訪問支援をすることもあるでしょう。さまざまな障害をもつ子どもにも対応するため、質の高い保育士の配置が必要とされています。

出典:障害児支援の強化についてp7~8/厚生労働省

出典:児童発達支援ガイドラインp6~7、p10~16/厚生労働省

出典:第3回障害児支援の在り方に関する検討会「主な検討課題」への意見p4/厚生労働省

保育士資格を活かして働ける場所:児童心理治療施設

保育士資格を活かして働ける場所として児童心理治療施設があります。
施設の特徴や仕事内容にくわしく見ていきましょう。

児童心理治療施設の特徴

児童心理治療施設は、家庭環境や学校において人間関係のズレやつまずきなどの理由から、日常生活に支障をきたしている子ども対して、心理治療や生活指導を行う施設です。対象となるのは心理的、もしくは情緒的、環境的に周囲と合わないと感じている子どもで、年齢は小学生や中学生を中心に20才未満となっています。

保護者のもとから通ってもらいカウンセリングを受けることもできますが、短期間での宿泊もできるので自分の心を見つめ直したり、心を養ったりすることもできるようです。

児童心理治療施設の仕事内容

児童心理治療施設ではカウンセリングなどの心理治療だけでなく、学校教育や生活指導も行われています。保育士資格がある方は子どもたちといっしょに遊んだり、動き回ったりして集団行動を体験してもらい、友だちと遊ぶ楽しさや自信を取り戻せるような支援を行います。

また、短期間でも宿泊する場合は親元を離れることで寂しがる子どももいるため、不安を取り除くために話し合うこともあるでしょう。児童心理治療施設には精神科医やセラピスト、児童指導員などの職員もいるため、協力しながら子どもたちの成長と自立を促しています。

出典:社会福祉施設等調査の概況p18/厚生労働省

出典:児童心理治療施設/独立行政法人 福祉医療機構

保育士資格を活かして働ける場所:児童自立支援施設

子どもと遊ぶ先生の様子

milatas/shutterstock.com

児童心理治療施設は保育士資格を活かして働ける場所の一つです。
児童心理治療施設の特徴や仕事内容を具体的に説明します。

児童自立支援施設の特徴

児童自立支援施設は不良行為を行った、または行う恐れがある子ども、家庭環境などの理由によって生活指導が必要な子どもに入所してもらう、もしくは保護者の下から通ってもらう施設です。子どもの状況に応じて指導と自立を支援し、退所した子どもについても相談や援助を行っています。

不良行為とは、盗みや覚せい剤の吸引といった刑法や特別法に触れる行為のことをいいます。また、自宅での喫煙、飲酒など犯罪につながる恐れがあると行為も含まれます。児童自立支援施設の対象年齢は18歳になるまでの子どもですが、入所している子どもは12歳から15歳の子どもが多いようです。

児童自立支援施設の仕事内容

児童自立支援施設での主な仕事は、子どもの発達段階に応じて食事や睡眠、排泄、服装、掃除といった基本的な生活習慣や生活技術を支援をします。

基本的には子どもたちに自主的に行ってもらい、問題がある行動をした子どもに対しては叱ることもあるでしょう。ほかにも、保護者や児童相談所など関連施設とも連絡を取り合うことがあるようです。

中学生や高校生に対応していない施設もあり、対応の難しい年長の子どもの自立支援ができる人材が必要とされているため、保育士資格を役立てられるかもしれません。

出典:社会福祉施設等調査の概況p18/厚生労働省

出典:児童自立支援施設運営指針p5~6、p12~16/厚生労働省

出典:児童養護施設等についてp24/厚生労働省

保育士資格を活かして働ける場所:児童家庭支援センター

保育士資格を活かして働ける場所として児童家庭支援センターがあります。
施設の特徴や仕事内容についてくわしく紹介します。

児童家庭支援センターの特徴

児童家庭支援センターは子ども自身、母子家庭やその他の家庭、地域住民からの相談に対応しており、助言や指導を行っています。また、児童相談所や児童福祉施設などの施設と連携して、総合的に援助を行う施設でもあります。

児童相談所をサポートするような施設となっており、市町村の要請によっては技術的な助言や必要な援助を行います。

児童家庭支援センターの仕事内容

児童家庭支援センターは、近年虐待に関する相談が急増しているため、児童相談所をサポートする拠点となっています。

仕事内容としては子育てに関するさまざまな相談に対応したり、里親支援を行ったりしています。さらに、保護を必要する子ども、もしくはその保護者に対して指導を行うこともあるため、保育士資格を活かして働くことができるでしょう。保護施設ではありませんが、状況によっては一時的に子どもを保護するケースもあるようです。

このように、保育士資格を活かして働ける場所としては、保育園以外にも前編で紹介した助産施設や乳児院、障害児入所施設など多くの種類があります。保育士資格を取得することで就職先の選択肢が増えるため、自分に合った施設を見つけられるかもしれませんね。

出典:社会福祉施設等調査の概況p18/厚生労働省

出典:児童家庭支援センターに関する資料p8、p20/厚生労働省

出典:児童家庭支援センター/独立行政法人 福祉医療機構

保育士資格を活かせる施設を知って就職先の選択肢を広げよう

後編の記事では、児童養護施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターの5つを紹介しました。

保育士資格があれば、働ける場所はさまざまあります。そのため、就活にも役立てることができるでしょう。

それぞれの施設の特徴や仕事内容を把握することはもちろんですが、自分がどんな施設で働きたいのか、自分の求めている保育、仕事がどういったことなのかをきちんと明確化することが大切です。

保育園以外で保育士資格を活かせる場所についても視野にいれながら、就活を進めていきましょう。

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