保育士の求人の選び方。新卒として就職するうえで重要になるポイント

保育学生さんや就活生さんのなかには、保育士の求人の選び方で悩んでいる方もいるのではないでしょうか。新卒保育士として就職先を見つける際に、注目して見るべきポイントがいくつかあるようです。今回は、保育士の求人の選び方について重視するべきポイントや、就職先を選ぶ前にやっておくといいことを紹介します。

ファイルを手に悩んでいる女性

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保育士の求人を選ぶときに重視するポイントとは?

保育施設によって保育方針や労働条件などは異なります。そのなかで、どのような基準で就職先を選べばいいのか悩んでいる保育学生さんもいるのではないでしょうか。

新卒保育士の求人の選び方では、以下の3つを意識するといいかもしれません。

  • 保育施設
  • 労働条件
  • 職場環境

まずは、保育施設の種類や方針について見ていきましょう。

保育士の求人の選び方①保育方針や施設の種類

新卒保育士として働くための求人の選び方として、保育方針や施設の種類に着目することが重要といえるでしょう。
見るべきポイントを具体的に説明します。

保育方針(教育方針)

保育方針や教育方針は、就職する園を選ぶうえで一つのポイントといえるかもしれません。

保育方針は、園の根本となる保育理念を達成するための基準を示したもので、園によって内容が異なります。保育学生さんや就活生さんの中にも、自分が求める保育観などがあるのではないでしょうか。

自分が理想とする保育観と就職先の保育理念や方針にギャップが生じてしまうと、保育をしているなかで違和感を覚えることも考えられます。
就職先の保育方針と自分が求める保育観に相違がないか事前に確認することで、新卒保育士として入職した際も園の方針に沿って保育にあたることができそうです。

公立・私立の区分

保育施設には公立と私立があるため、どちらがいいのか悩む方もいるのではないでしょうか。
公立と私立には以下のような違いがあるため、きちんと特徴をつかんだうえで検討することが大切になります。

公立

公立の施設は自治体が運営しています。保育施設ごとに子どもの保育や教育に差が出ないように、年間のカリキュラムをもとに月案や週案を決めていることが特徴といえるでしょう。

また公立の場合、園によっては異動があるため、1つの園で長く働けないケースもあるようです。しかし、正規の職員は地方公務員となるので、公立の施設のほうが給料や待遇が安定していることが魅力かもしれません。

私立

私立は学校法人や民間企業が運営しています。アートや漢字教育など、園独自の保育や教育を行っているのが特徴です。

さらに私立の施設では、延長保育を行っている園もあります。そのため、通常の保育時間以降に保育にあたることになるため、勤務時間が長くなることが考えられるでしょう。
公立に比べると異動が少ないようなので、同じ園で長く働けることも特徴の一つかもしれません。

給与や待遇に安定を求める方であれば公立のほうが働きやすい環境といえそうです。しかし、モンテッソーリ教育など独自のカリキュラムを行っているところに魅力を感じる方は、私立のほうが向いているかもしれません。

公立と私立にはそれぞれ異なる特徴があるため、どちらか自分に合っているかよく考えて就職先を選ぶといいでしょう。

保育施設の種類

保育施設の種類は、大きく分けて認可保育施設と認可外保育施設があります。

認可保育施設は、保育園以外にも幼稚園や認定こども園などが挙げられます。
一方、認可外保育施設には認証保育園やベビーホテル、企業主導型保育施設などがあります。

ほかにも、障害児施設や乳児院などさまざまな児童福祉施設がありますが、施設によって受け入れる子どもの年齢、子どもの定員数、開所時間が異なるため、自分の保育方針やライフスタイルに合った施設はどれなのかを明確にしてから、選ぶようにしましょう。

関連記事:「保育士資格や幼稚園教諭免許が生かせる就職先とは。選び方や保育園以外の選択肢/就活バンク」

保育士の求人の選び方②労働条件

労働条件は、勤務時間や給与、福利厚生など人によって求める内容が異なるでしょう。
そのため、自分の中の優先順位をあらかじめ決めておくと、選びやすいかもしれません。

労働条件を見るときのポイントをくわしく紹介します。

給与

給与は生活するうえで必要なものになります。そのため、就職先を選ぶうえで優先順位を高く設定している保育学生さんや就活生さんもいるのではないでしょうか。

そこで、注意したいのが求人票に記載されている項目の見方です。
給与は月給や給料(基本給)と表記されることがあります。給与と月給は同じ意味で基本給+手当のことですが、給料の場合は手当を含まないため間違えないように気をつけましょう。

さらに、残業代が支払われるかどうかもきちんと確認する必要があります。
みなし残業(固定残業代)として、残業代込みの給与を支払っている園もあるかもしれないので、求人票に記載されている表記の意味をきちんと知っておく必要があるでしょう。

賞与

賞与の有無も、求人を見るときにはきちんと確認しておきたいポイントといえそうです。

求人票で賞与の有無を確認せずに入職すると、後で不満を抱く原因になるかもしれません。
賞与は給料によって変わってくるので、給料何カ月分で合計するといくらになるのか、あわせて確認しておくと安心ですね。

労働時間

労働時間の長さを優先して、就職先を考える方も少なくないでしょう。

園によっては延長保育を行っていたり、シフト制を導入していたりする場合があるため、労働時間はさまざまかもしれません。自分の希望に合った働き方をするためにも、労働時間の条件を確認しておきましょう。

中にはフレックスタイム制といって、日々の出勤時間と退社時間を自分で決められる保育施設もあるようです。フレックスタイム制のくわしい内容を知りたい方は、厚生労働省「フレックスタイム制とは」の資料を参考にしてみてくださいね。

年間休日

お休みの数も、働くうえで重要なことといえそうです。

そもそも年間休日とは、年間にどれくらい休めるのか表した数字で、ほとんどの場合求人票に記載されています。園によって年間休日の数字は異なり、120日以上というところもあれば、100日以下というところもあるでしょう。

厚生労働省「平成31年就労条件総合調査の概況」の資料によると、2018年度の1企業あたりの年間休日数は平均で108日となっています。

年間休日数は土日がお休み、もしくは完全週休2日制の場合は104日となり、祝日もすべて休みの場合は120日前後となるため、就職先を選ぶときはこの数字を目安にしてみるといいかもしれません。

福利厚生

福利厚生が充実しているかを気にされる方もいるでしょう。

福利厚生には社会保険のように国で義務付けられているものと、住宅手当や交通費のように保育施設が独自で実施しているものの2つに分けられます。

保育施設が独自に導入している福利厚生として、引っ越し手当や早出手当が挙げられます。
保育士さんの働きやすさにも関係してくるので、求人を選ぶときは福利厚生が充実しているかも見ておくといいでしょう。

通勤時間

就職先を選ぶときに通勤時間を重視する方もいるかもしれません。

保育園や幼稚園に通勤する際、家と勤務先の距離が遠いと行き帰りに時間がかかるため、残業で帰りが遅くなった場合などは大変だと感じることがあるでしょう。

また通勤時間の兼ね合いでプライベートの時間が取りなかったり、休息する時間が短かったりすると、心身ともに疲労の原因になることも考えられます。そのため、保育士として働くうえで園への通いやすさは重要といえそうです。

関連記事:「就活で失敗しない求人票の見方。給与、休日、昇給などを見るときのポイント/就活バンク」

保育士の求人の選び方③職場環境

新卒保育士として働く際、職場環境を確認しておくことが大切といえるでしょう。
職場環境を確認するときのポイントを紹介します。

職場の雰囲気

職場環境で意識して見ておくべきところに職場の雰囲気が挙げられます。

職場の雰囲気を知るための方法として、園見学や保育実習などがあるでしょう。その際に、職員同士が和気藹々と話しているか、職員の中に自分と年齢が近い人がいるか、保育活動をしているときの子どもたちの表情などを見ておくと、職場の雰囲気が掴むことができそうですね。

キャリアアップなどのサポートの充実さ

保育士として働きながら、将来的にキャリアアップをしようと考えている保育学生さんや就職先さんもいることでしょう。

キャリアアップができる環境であれば仕事のモチベーションにつながり、役職に就くことで処遇改善も期待できるかもしれません。
また研修制度が充実しているところであれば、保育士としての専門性やスキルを高めながら働くことができそうですね。

業務効率化へ対する取り組み

業務効率化に取り組んでいる保育施設に入職することで、保育士として働いた際の業務負担が軽減されるかもしれません。

業務効率化の取り組みの一つにICTシステムが挙げられます。
ICTシステムとは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器を活用して園の情報を管理・共有することです。

保育園や幼稚園などでは、あらゆる事務作業を手書きで行っているところもあるでしょう。
手書きで行うと、時間がかかるだけでなく、残業につながるケースも少なくないため、保育士一人ひとりの負担が大きくなることが考えられます。

ICTシステムを導入している保育施設であれば、保育士さんが手書きで行う事務作業の大半をパソコンで簡単に行なうことができます。それにより、業務時間の短縮、残業への負担削減につながるかもしれません。

このように、保育士の求人を選ぶときに見るべきポイントとして保育施設、労働条件、職場環境が挙げられます。どこを重視するかは人それぞれですが、事前に園見学や保育実習などで園の様子を確かめて、きちんと情報収集をしっかり行うようにしましょう。

保育士の求人を選ぶ前にやっておくべきこと

パソコンを見て笑顔の女性

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保育士としての就職先を選ぶ前に、やっておくといいことがいくつかあります。
具体的に見ていきましょう。

求人票に記載の表記について意味を理解する

求人票に使われている表記の意味を正しく知ることで、入職後にギャップを感じにくくなるかもしれません。

たとえば、求人票の休日・休暇の箇所で混同されやすい、週休2日制と完全週休2日制を例に挙げると、週休2日制は毎週2日休めるのではなく、1カ月に2日休める週が1週以上あるという意味になります。
一方、完全週休2日制は週に2日必ず休めるという意味になりますので、休日の日数にも差が出てきます。

求人票に記載されている表記の理解が曖昧だと、実際に入職したあとにお休みの数が違ったと感じる場合があるかもしれません。求人票は保育施設によって書き方が異なるので、事前に表記の意味を正しく理解して、自分の条件に合った園を選びましょう。

園見学・保育実習に参加する

保育学生さんや就活生さんの就職活動では、園見学や保育実習に参加することがあるのではないでしょうか。

園見学や保育実習に参加することで、園のホームページだけでは分からない職場の雰囲気や施設内の様子を確認することができるでしょう。
その際、以下の点を意識するとよいかもしれません。

  • 保育方針(教育方針)が自分の求めている保育観と合っているか確認する
  • 子どもや職員、保護者のやり取りや話しているときの雰囲気を見る
  • 職場環境が整っているか(園庭や遊具の設備、室内の清潔感など)を把握する

園に通う子どもたちだけでなく、保育士さんを含めた職員が楽しそうに働いていれば、職員同士のあたたかい雰囲気も伝わってくるでしょう。職員の人間関係が円満な保育施設であれば、新卒保育士さんとして就職後も働きやすくなりそうです。

園の情報収集を行って比較する

就職活動をするなかで自分の求める園がほぼ明確になっている、もしくはなかなか就職したい園を絞り込めないという場合もあるかもしれません。

どちらにしても、気になっている園の情報を集めて、比較検討してみることが大切になります。自分が重視している部分と一致している箇所が多いところや、働くうえでの優先順位を満たしている園を探すことで、入職先の候補が絞りやすくなりそうですね。

選び方のポイントを抑えて、新卒保育士の求人を確認しよう

今回は、新卒保育士の求人の選び方として、重視すべきポイントと選ぶ前に行っておくといいことを紹介しました。

保育施設は保育園や幼稚園などさまざまな施設があるため、就職先を選ぶときに迷うことがあるかもしれません。そのときは、園の保育方針や施設の種類、労働条件、職場環境と自分が求めているものを明確にすることが大切といえそうです。

自分の理想とする条件を明確にしたうえで、求人票を見たり、園見学に行ったりして新卒保育士さんとして働く場所を検討していきましょう。

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