読み聞かせを予定しているものの、指導案に悩んでいる実習生さんも多いのではないでしょうか。絵本の読み聞かせは定番の保育活動ですが、ねらいや援助、環境構成を改めて考えてみると難しいですよね。今回は、実習で使える読み聞かせの指導案の書き方を紹介します。年齢別のねらいの例文や作成見本もまとめました。
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実習で読み聞かせをするときのポイント
保育活動の定番といえば、絵本の読み聞かせ。保育実習で行うため、指導案を書かなくてはならないという実習生さんも多いのではないでしょうか?
まずは、導入・展開・まとめの3つのシーン別に、読み聞かせのポイントを紹介します。
導入:子どもが落ち着いて絵本を楽しめる雰囲気作り
まずは導入として、子どもたちが落ち着いて読み聞かせを聞くことができる雰囲気作りを行います。
絵本の内容にちなんだ手遊びをしたり、絵本の表紙を見てお話をしたりして聞く姿勢が整うのを待つとよいでしょう。
ただし、子どもたちが集まって座っている状態からのスタートなど、聞く姿勢ができている状況であれば、「はじまりはじまり」といきなり絵本を読んでも問題ないかもしれませんね。
展開:読み聞かせの実践
続いて、いよいよ絵本の読み聞かせに入ります。
まずは、絵本のタイトルを読み上げましょう。幼児クラスであれば、著者名まで伝えてもよさそうです。
表紙をめくった見返しの部分もしっかり見せると、お話の世界に引き込まれるかもしれません。
読み聞かせは、子どもたちの様子や反応を見ながら読むことが大切。絵本の内容や子どもの表情に合わせて、抑揚をつけたりあえて淡々と読み進めたりと工夫してみましょう。
まとめ:余韻を楽しめるような締め
お話が終わったら、活動のまとめに入ります。読み聞かせの終わり方としては、一般的に「面白かったね、おしまい」と簡潔に締めてもよいとされるよう。
子どもから感想や振り返りが出るような絵本であれば、子どもの言葉を拾いながら「〇〇だったよね」と対話の時間を設けてもよいかもしれません。
また、裏表紙と表表紙がつながっている作品であれば、絵本を開いて表紙をじっくり見てみるのも一つの楽しみ方と言えますね。
【項目別】読み聞かせの指導案の書き方
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続いて、指導案のくわしいポイントを紹介します。
- ねらい
- 環境構成
- 予想される子どもの姿
- 保育者の援助
の4つの項目別に書き方をまとめました。
ねらい
読み聞かせのねらいはさまざまですが、共通しているのは以下のポイントと言えます。
- 読み聞かせを通して関心や創造力を育む
- 絵や言葉を通して絵本の世界観を味わう
- 保育者や友だちといっしょに絵本の楽しさを共有する
ただし、絵本の題材に合わせて想定されるねらいが異なることに留意しましょう。
例えば、友だち同士の交流を描いた作品であれば「物語のよさを味わい、思いやりを持って友だちとかかわる大切さに気づく」といったねらいが考えられます。
『読み聞かせを通じて子どもたちにどんなことを感じ取ってほしいか』を考えて絵本を選んでみるとよいかもしれません。
環境構成
続いて、子どもたちが読み聞かせに集中できるような環境構成を考えてみましょう。
実習生の位置
読み聞かせをする際、保育者は壁を背にして座ることが一般的です。
これには、背後にあるものに目線がいき、子どもたちの気が散ってしまうことを防ぐ意図があるよう。
実習先のクラスでも、なるべく装飾物が少なく、目線が奪われにくい環境を探してみましょう。
子どもの位置
読み聞かせをする場合、子どもたちには扇状もしくは何列かに分かれて座ってもらうことで、絵本が見えやすくなるようです。
また、必要に応じてござや椅子などを用意すると、落ち着いて絵本に集中できるかもしれません。
一方、床やござに座る場合、導入をしている間に子どもたちがだんだん前に寄ってきてしまうことも。その場合は、読み聞かせを始める前に実習生さんが一歩後ろに下がることもポイントとなるでしょう。
室内環境
部屋の明るさや雑音といった室内環境にも配慮することが大切です。
読み聞かせを行う前に扉や窓などを閉めておくと、音に悩まされずに済むでしょう。
日光の差し込み具合や照明の明るさによっては、光が反射して絵本が見えにくくなることもあるよう。西日が気になる場合などは、カーテンを引いておくのもよいかもしれません。
予想される子どもの姿
絵本を見ていて、気になることを質問したり、セリフを真似して言ったりする姿が見られるでしょう。
ときには、立ち上がろうとしたりおしゃべりをしたりと、集中していない子どももいるかもしれません。
子どもの年齢や性格をもとにそうした姿を予想して、適切な援助を考えておくとよいですね。
保育者の援助
絵本の読み方に加え、導入・まとめにおける声かけの仕方なども援助の一つと言えます。
声かけの内容や方針を具体的に考えてみましょう。
また先述した通り、子どもの姿に対する援助を指導案で考えておくことで、スムーズな援助につながります。
「この場面では子どもの反応を拾う」「集中していない子には目線を送る」など、設定したねらいや絵本の内容に合わせて考えておくとよいですね。
【年齢別】読み聞かせの指導案の例文
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読み聞かせのポイントや指導案の書き方がわかったところで、具体的な例文を紹介します。
0歳児から5歳児まで年齢別にまとめました。
0歳児・1歳児
0歳児や1歳児クラスでは、オノマトペを使った短い文章の絵本や、はっきりとした色遣いの絵本が人気のようです。
食べ物や身につけるものなど、身近な題材が出てくるお話だと関心を持ってくれるかもしれません。
ねらい
- 言葉の持つ響きや絵を味わいながら読み聞かせを楽しむ。
環境構成
- 実習生も床に座り、子どもと同じ目線で楽しめるようにする。
- クッションを用意したり、マットを敷いたりして落ち着ける環境を作る。
予想される子どもの姿
- 絵を指差したり、言葉を真似ようとしたりする。
- 読み聞かせの最中に身体を動かしたくなる子どもがいる。
保育者の援助
- 子どもたちの反応に合わせて、読む速さやページをめくるスピードを工夫する。
- 子どもたちの気づきやよろこびに共感し、優しい表情で読み聞かせる。
0歳児・1歳児クラスは、まだみんなでずっと座って絵本を見ることが難しい年齢と言えます。
無理に「座って聞いてね」と促すよりも、お話が途切れないように読み続けることで、子どもたちも絵本の世界に集中できるかもしれません。事前に担当の保育士さんに相談しておくと安心ですね。
2歳児・3歳児
2歳児や3歳児クラスでは、繰り返しのある短いお話や、絵探し要素のある絵本など参加型で楽しめるものがよいかもしれません。
また、身近な生活習慣を題材にしたもののほか、子どもたちの好きな動物や乗り物、忍者などが出てくるものなどもよろこんでもらえそうですね。
ねらい
- 期待感を持って絵本を楽しみ、展開や言葉の面白さを味わう。
環境構成
- 座る場所がわかり、集中して話を聞けるよう、椅子を並べておく。
- 子どもから見えやすいよう絵本を見せる位置を工夫する。
予想される子どもの姿
- 絵本の内容を楽しみ、感じたことや思ったことを口に出して言う。
- 友だちと場所の取り合いになったり、言い合いをしたりする子どもがいる。
保育者の援助
- 友だちに話しかけるなど集中できない様子の子どもには、実習生の側に来るよう声をかける。
- 読み終わったあとに、子どもの余韻や感想をしっかり受け止める。
絵本を読むときの環境については、普段の様子を観察して判断するとよいでしょう。椅子に座った方が落ち着く場合、床座りに慣れている場合などクラスによって異なるかもしれません。
また、子どもの言葉に相槌を打ちながら読むのか、静かにお話を進めるのかといった点もあらかじめ考えておくとスムーズですね。
4歳児・5歳児
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4歳児や5歳児では、起承転結のある少し長めのお話も楽しめるようになる頃と言えます。登場人物に感情移入できるような絵本を取り入れてみるのもよいでしょう。
また、言葉遊びなどをよろこぶ子どもも多いようなので、文字や言葉の面白さを味わえる題材を選んでもよいですね。
ねらい
- 保育者や友だちといっしょに物語の世界を楽しみ、想像を膨らませたり、やり取りの面白さを味わったりする。
環境構成
- ござを敷いて座る場所を示しておく。
- 日光が絵本に反射しないようカーテンを閉めて部屋の照明を明るくする。
予想される子どもの姿
- 感じたことを言葉にしたり、面白い表現を真似たりする。
- 周囲の友だちに話しかける子どもがいる。
保育者の援助
- 子どもの発言や反応には笑顔で頷きながら読み進める。
- 友だちに話しかける子どもには目線を合わせるとともに、続くようであれば声をかける。
4歳児や5歳児になると集中して話を聞ける時間も長くなってきます。
子どもたちの様子や普段読み聞かせている作品を参考にして、絵本を選ぶとよいでしょう。
また、環境構成や絵本の始め方については、実習先のクラスでの方法を取り入れると、子どもたちも落ち着きやすいかもしれません。
【見本】読み聞かせの指導案の作成例
実習の読み聞かせは指導案作りが重要!
今回は、保育実習に活かせる読み聞かせの指導案の書き方を解説しました。
読み聞かせには「子どもたちの想像力や思考力を育む」というねらいがありますが、子どもの姿や読む絵本によって工夫してみるとよいでしょう。
3歳児以下では繰り返しの短いストーリーが楽しめる絵本、4歳児・5歳児では少し長めの物語など、年齢に合わせて題材を選ぶこともポイントと言えます。
紹介した見本や例文を参考に、読み聞かせの指導案作りに活かしてみてくださいね。
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