幼児クラス向けの室内で楽しめる運動遊びにはどのようなものがあるのでしょうか。体を思いきり動かして取り組めたり、友だちと協力し合ったりできる運動遊びのアイデアがわかれば、保育実習などで活かせるかもしれません。今回は、室内でできる幼児向けの運動遊びについて、ねらいや3歳児、4歳児、5歳児の年齢別のアイデアを紹介します。
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■目次
幼児クラスにおける運動遊び
3歳児、4歳児、5歳児の幼児クラスは、乳児期よりも行動範囲が広がり、友だちと協力し合いながら遊ぶことが増えてくる時期でしょう。
この頃の運動遊びの重要性について、文部科学省の幼児期運動指針では以下のような説明をしています。
一人一人の幼児の興味や生活経験に応じた遊びの中で、幼児自らが体を動かす楽しさや心地よさを実感することが大切である
出典:幼児期運動指針/文部科学省から抜粋
幼児期では、遊びのなかに運動を取り入れる、つまり日々の生活の中で「運動遊び」を実践することで、さまざまな体の動きを経験し、会得することが大切なようです。
3歳児以上になると、1歳児や2歳児のときよりも上手に走ったり飛び跳ねたりとさまざまな体を動かす遊びができるようになるでしょう。
バランス感覚が発達していくと、ぶら下がったりよじ登ったり、障害物を飛び越えたりとさらに難しい動きにチャレンジしたくなる子どももいるかもしれません。
では、幼児クラスでの運動遊びにはどういったねらいがあるのでしょうか。
幼児クラスでの運動遊びのねらい
幼児クラスでの運動遊びのねらいとして、以下のようなことが挙げられます。
- 遊びを通じてさまざまな運動刺激を受けることで、体の動かし方や力のコントロールのしかたを身につける
- 友だちといっしょに運動遊びを楽しむ中で、コミュニケーション力や社会性を身につける
- 成功体験から「やればできるんだ」という自信につなげ、自己肯定感を高める
このように、さまざまな運動遊びを通して身体能力を高め、運動の楽しさや喜びを知り、友だちとのコミュニケーション力を高めることが大切とされています。
室内で行う運動遊びに関しては、周囲の安全にも配慮しながらも子どもたちがのびのびと体を動かせるような工夫が必要になるでしょう。
ここからは、雨の日などに実施できる室内での運動遊びに視点を置きながら、3歳児・4歳児・5歳児の年齢別にアイデアを紹介していきます。
簡単なルールのある集団遊びの遊び方や保育学生さんの援助のポイントも交えているので、これから保育実習や入職を控えている方は参考にしてみてくださいね。
【3歳児向け】室内でできる運動遊びのアイデア
最初に3歳児クラスでの室内遊びに取り入れられる運動遊びのアイデアを紹介します。
マット遊び
室内遊びの定番ともいえるマットを使って運動遊びをする場合は、でんぐり返しに挑戦してみてはいかがでしょうか。
はじめはマットの感触などに慣れるために、寝転んだり、コロコロ転がったりします。
次に、両手をしっかりマットに置き、おへそを見るようにして後頭部をマットにつけて、でんぐり返しをしてみましょう。
保育学生さんが見本を見せたあと、一人ずつ回転していきます。
そのとき、保育学生さんはが回転する子どもの体に手を添えながら、補助をすることが大切です。
でんぐり返しができるようになると、転んだ際に受け身が上手になるともいわれているので、少しずつ運動遊びに取り入れてみてもよいかもしれませんね。
タオルを使った遊び
身近なアイテムの一つ、タオルを活用したクライミング遊びの例です。
保育学生さんが丈夫なタオルの端を両手で持って、胸のあたりでしっかりと動かないように固定します。
子どもがそのタオルの下端を持ち、大人の体を足場にしながらタオルをたぐり寄せてよじ登っていきましょう。
この遊びでは、足を踏ん張る力と手の力を同時に鍛えることができるかもしれません。
タオルは、さまざまな運動遊びに使える便利アイテムです。
このほかにも、タオルを丸めてボールにしたり、バスタオルの上に子どもを乗せてソリのように引っ張ったりと、いろいろな遊びに活用してみてはいかがでしょうか。
サーキット遊び
サーキット遊びとは、さまざまな道具を組み合わせたコースを設置し、周回しながら運動遊びが楽しめる活動です。
3歳児クラスで行うときはマットや跳び箱、フラフープ、ボールなどを活用するとよいでしょう。
1段から2段の跳び箱に乗ってジャンプするスポットやフラフープの輪の中を進むスポットなど、子どもが興味を持って「やってみたい」と思えるようにコースを工夫できるとよさそうです。
跳び箱の上からジャンプをする場合は、子どもの様子にあわせた段数を用意するとよいかもしれません。
転倒が考えられる箇所では、安全のため周りにマットを敷いておきましょう。
【4歳児向け】室内でできる運動遊びのアイデア
次に4歳児クラスでの室内遊びに取り入れられる運動遊びのアイデアを紹介します。
縄跳びを使った運動遊び
縄跳びを使った遊びでは、跳んだり、くぐったりなどの動きをして、体を柔軟に使って遊ぶことができます。
たとえば、保育学生さんが縄をへびのようにくねくね動かしてその縄に当たらないようにジャンプしたり、縄を2本使って縄に当たらないようにくぐったり、跳び越えたりするなど楽しみながら体を動かせるでしょう。
縄を2本使う場合、縄を持つ人が2人必要になるので、友だち同士で「5回やったら交代」など順番を決めて行うと、ルールを守る意識が育まれそうですね。
5mおしり走
5mおしり走は、子どもたちが手や足を使わずにおしりだけで前に進んでゴールまでの早さを競う遊びです。
かけっことしてやるほか、中間地点に三角コーンなどを設置して折り返しのコースにしたり、4人1組のリレー形式などにしたりするのも盛り上がるかもしれません。
おしりで進むのにはバランスも必要でなかなか難しいですが、ゴールしたときには最後までやり切ったという達成感を味わうことができるでしょう。
ボール運びリレー
ボール運びリレーとはボールを使ったチーム対抗戦リレーになります。
友だち同士で協力して遊ぶことができそうです。
用意するもの
- ボール
- 三角コーン
遊び方
1.6~10人ずつのチームを作る
2.二人一組になって、背中合わせになり腕を組む
3.背中にボールをはさんで、「よーい、どん」の合図でスタートする
4.三角コーンの中間地点で折り返し、スタート地点へ戻る
5.同じチームのメンバーにバトンタッチして、すべての組が早くゴールした方が勝ち
この集団遊びでは背中をあわせてボールを運ぶので、ボールの大きさを変えることで難易度が変わるでしょう。
また三角コーンをいくつかジグザグに置いたり、別の障害物を用意したりするなどしてコースをアレンジしてみても楽しいかもしれませんね。
【5歳児向け】室内でできる運動遊びのアイデア
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最後に、5歳児クラスでの室内遊びに取り入れられる運動遊びのアイデアを紹介します。
長縄を使った遊び
長縄を使って、室内で楽しく運動遊びをしてみましょう。
長縄を使って友だちみんなで跳んで楽しんだり、縄を2本使って縄に体が当たらないようにくぐって遊んでみたりと、さまざまな遊び方ができます。
ほかにも、床の上でくねくねさせた縄に当たらないように飛んでみても楽しいかもしれませんね。
長縄を室内で使用するときは、広いスペースを確保することや、周囲に物を置かないように注意して遊びましょう。
新聞紙ジャンプ
新聞紙ジャンプとは、折りたたんだ新聞紙を足元に置き、踏まないように子どもたちが向こう側にジャンプする遊びです。
最初は新聞紙を4分の1ぐらいの大きさに折りたたみます。
新聞紙を踏まないように、子どもたちに向こう側へジャンプしてもらいます。
子どもたちが慣れてきたら新聞紙を2分の1程度に転げたり、前後左右、いろいろな方向にジャンプしたりして遊び方をアレンジしてみるとよいでしょう。
新聞紙を踏むと転倒する可能性もあるので、この遊びを行うときは周囲にマットを敷くなどして、安全に配慮して行うとよいかもしれません。
ころころドッジボール
5歳児が集団遊びとして楽しめる、ころころドッチボールを紹介します。
通常の投げて遊ぶドッチボールとは違い、ころころドッチボールはボールを転がして相手に当てて遊ぶゲームです。
遊び方
1.子どもたちを2つの集団にチーム分けする
2.子どもたちが動ける範囲を決め、中央のラインを決める
3.中央ラインからはみださないように、相手に向かってボールを転がす
4.ボールに当たってしまった子どもは外野へ行く
5.制限時間を迎えたときに内野に残った人数の多いチーム、もしくは最後の一人が残ったチームの勝ち
遊ぶときのポイント
当てられた箇所によってセーフ・アウトというルールをしっかり決めておきましょう。
盛り上がってくると当てることに夢中になってしまうので、膝から下に当たった場合のみアウトなどきちんとルールを決めておくと、よりゲームを楽しむことができそうですね。
外野から相手チームの子どもにボールを当てると、内野に復活することができるなど、子どもの様子にあわせてルールをアレンジしてもおもしろそうです。
幼児クラスで楽しめる運動遊びを取り入れて室内で体を動かそう
今回は、3歳児・4歳児・5歳児の幼児クラスにおいて、室内遊びとして取り入れられる運動遊びのねらいや年齢別のアイデアなどを紹介しました。
運動遊びのアイデアをいくつか用意しておけば、雨の日などでも室内で思い切り体を動かして遊ぶことができるでしょう。
幼児クラスにおいては、バランス感覚などを養える遊びや友だちと協力しながら行う遊びなどを取り入れると、コミュニケーション力や自信を伸ばすことにつながるかもしれません。
子どもたちが保育学生さんや友だちと関わりながら楽しめるよう援助して、室内で体を動かす遊びをしてみてくださいね。