幼児の遊びの幅を広げられるボール遊び。保育に取り入れたいけれど、どのように遊べばよいか悩む保育学生さんや新卒保育士さんもいるでしょう。ボールを使えば投げたり転がしたりさまざまな動きを味わえますよね。今回はボール遊びのねらいや、楽しめる遊び方についてまとめました。注意点やボールを選ぶ方法も紹介します。
T.TATSU/shutterstock.com
保育でボール遊びをするねらい・効果
多様な遊び方があり、蹴ったり投げたりすることで子どもの育つ力につながるボール遊び。保育園では、屋外だけでなく室内遊びでも取り入れることがあるでしょう。
まずは、保育にボール遊びを取り入れるねらいや期待できる効果を紹介します。
保育のねらい
まずは、ボール遊びのねらいを解説しましょう。
ボール遊びを通してさまざまな動きを経験する
ボールを投げたり蹴ったりすることで、腕や脚などさまざまな部分の動きを身につけることができるでしょう。
多様な運動を体験できるため、遊びの中で自然と体力をつけることにもつながりそうです。
友だちとのかかわり方を知る
ボール遊びにはキャッチボールのように、複数人で行う遊びも多くあります。
友だちとのかかわり方を学べるため、協調性やコミュニケーション力を育めるかもしれません。
ボール遊びによって期待できる効果
次に、ボール遊びによって期待できる効果をまとめました。
反射神経が身に着く
ボールの動きに合わせて体を動かすことで、反射神経が養われるでしょう。
反射神経を身につけられれば、転びそうなときにバランスをとれるなど、ケガを防ぐことにも役立つかもしれません。
距離感覚・方向感覚を養う
保育者や友だちに向かってボールを投げることで、少しずつ距離や方向を自分ではかることができるようになるかもしれません。
年齢に合わせて距離を調整したり、「ここにボールを投げてごらん」と声をかけたりして距離や方向感覚を養えるとよいですね。
想像力を培う
ボールがあればさまざまな遊び方ができるため、自分の想像を膨らませて好きなように遊ぶことが可能です。
また、ボールが跳ねたり転がったりする姿にびっくりするなど、子どもはさまざまな感情を経験できるでしょう。
保育で使うボールの選び方
続いて、保育に向いているボールの選び方を紹介します。
子どもの年齢にあった大きさを選ぶ
ボールを用意するときは、子どもたちの手で投げたり転がしたりしやすいサイズを選びましょう。
大きすぎると扱いづらく、小さすぎると誤飲の可能性があるため、子どもたちの年齢にあわせた遊び方ができるボールを準備することが大切です。
布・ポリエチレンの素材を選ぶ
しっかり掃除できるボールを選べば、清潔さを保つことができるでしょう。
洗濯や拭きとりしやすい、布・ポリエチレンの素材を準備するとよいかもしれません。
子どもの興味を引きやすい色を選ぶ
せっかくボールを準備しても、子どもが使ってくれなくては意味がありません。
子どもが魅力を感じるように、カラフルなボールやキャラクターがついているボールを選びましょう。
【年齢別】保育で楽しめるボール遊び
milmed/shutterstock.com
続いて、ボールを使った遊び方を年齢別にまとめました。
1歳~
1歳頃から自分で歩き始める子どもも出てくると言われているため、簡単なボール遊びを取り入れてみるとよいかもしれません。
1歳児や2歳児と遊ぶときは、軽くボールを転がしたり軽く蹴ったりしてかかわってみましょう。
コロコロ―キャッチ遊び
子どもと向かい合わせになり、子どもにボールをキャッチしたり転がしたりしてもらう遊びです。
1歳児や2歳児の場合、ボールが予想外の方向へ飛ぶこともあるかもしれませんが、「ボールがあっちに行ったね」「上手にキャッチできたね」など、コミュニケーションを取りながら遊びましょう。
ボール蹴り
子どもを座らせ、転がしたボールを足で蹴ってもらうゲームです。
慣れたら立った状態で行ってみるのもよいですね。2歳児くらいになると、少しずつサッカーのまねをする子どもも出てくるかもしれません。
3歳~
ボールの扱いに慣れてくる3歳児頃では、ボールを投げたり蹴ったりする距離を遠くしてみるといった遊びを取り入れてもよいでしょう。
室内と屋外の遊びに分け、具体的にまとめました。
室内
まずは、3歳頃から行えるボールを使った室内遊びを解説します。
<玉入れ>
段ボールやかごなど、大きな入れ物へボールをシュートさせる遊びです。
子どものペースに合わせながら、距離感や入れ物の大きさを変えてみてもよいでしょう。
<ペットボトルボーリング>
ペットボトルをボーリングのピンに見立て、ボールを転がして倒すゲームです。
ペットボトルの数を変えることで、難易度を自由に調整できます。
屋外
次に、3歳頃から行えるボールを使った屋外遊びをまとめました。
<バウンドパス>
幼児がボールを上手につかめるようになってきたら、ボールをバウンドさせてキャッチしてもらいましょう。
慣れたらノーバウンドでのキャッチを練習することで、キャッチボールへとつなげられるかもしれません。
<足キャッチ>
少し距離を空けて向き合って座り、足から足へボールを渡し合うゲームです。足でボールをはさみ、相手の場所までお尻を使って進みます。
足のこまかな動きを体験できるため、子どもの成長を促せるかもしれません。
5歳~
簡単なルールを理解できる時期と言われているため、友だち同士の遊びを中心に行うと楽しめるかもしれません。
室内と屋外で楽しめるボール遊びをそれぞれ紹介します。
室内
まずは室内でのボール遊びを解説しましょう。
<ドッジボール>
1.長方形の中央に線を引いた、2面のコートを用意する
2.2チームに分け、それぞれのチームで内野と外野を決める。外野は相手チームのコートの外側に立つ。
3.お互いに相手チームの内野を狙い、ボールを投げる。ボールに当たってしまったら外野になる。
4.内野がいなくなってしまったチームの負け。
保育士さんは外野としてゲームに参加したり、声かけをしたりすることでゲームが円滑に進むかもしれません。
ケガを防ぐためにも、やわらかくて大きいボールを使うとよいかもしれませんね。
<ドリブル>
ボールを連続して床や地面につき続ける遊びです。
数を数えながらつくことで、向上心を育てたり数字を覚えたりできるかもしれません。
屋外
次に5歳児頃の幼児が楽しめる、屋外でのボール遊びを紹介します。
<玉だしゲーム>
1.適当な大きさの円を描き、中央にボールを置く
2.別のボールを転がして、円の中のボールを押し出す。転がしたボールは円の外に出てはいけない。
子どもの育つ力に合わせ、ボールの個数や大きさを変えるとより楽しめるでしょう。
<後ろ投げ>
子ども同士が対面で立ち、一人が後ろ向きになってボールを投げる遊びです。
予想外の方向へボールが飛ぶこともあるものの、お互いにうまくキャッチボールするための工夫を行うなど、協調性が育まれるかもしれません。
保育でボール遊びをするときの注意点
最後に保育でボール遊びを取り入れるときに、気をつけるポイントを解説します。
ケガに気をつける
遊びに夢中になりケガや事故に遭うことも考えられるため、道路など危険な場所の近くではボール遊びを行わないようにしましょう。
室内遊びの場合も、机や椅子など物の近くで遊ぶことは控えたほうがよいですね。
子ども同士がぶつかって転ぶ可能性もあるので、充分に広い場所を準備しましょう。
体調管理に気をつける
遊ぶときは水分や休憩をこまめに取るなど、子どもの体調を気遣う必要もあります。
子どもの様子をこまかく観察し、元気がないなどの異変を感じたときはすぐに対応を行いましょう。
誤飲を防ぐ
スーパーボールなど小さいボールは誤飲の危険性があるため、遊びに取り入れるときは注意が必要です。
子どもの年齢や成長に配慮したボールを使いましょう。
ボール遊びのねらいや得られる効果を知って保育に役立てよう
今回は、ボール遊びの種類を年齢別に紹介しました。
ボール遊びは反射神経や距離感覚、方向感覚を養うことにつながります。特に幼児クラスなどではボールの扱いにも慣れてくるので、年齢に合った遊びを取り入れることで、子どもの育つ力をサポートできるかもしれません。
ボール遊びのねらいや室内と屋外それぞれの遊び方を理解し、日々の保育に活かしてみてくださいね。