半紙などを複数の色で染め上げ、きれいな彩りを楽しむ染め紙製作。あじさいや朝顔などの作り方を覚え、日々の保育や保育実習に活かしたい新卒保育士さん、保育学生さんもいるでしょう。今回は、染め紙製作のアイデアや、半紙の折り方などをくわしく紹介します。あわせて、ねらいや注意点なども具体的にまとめました。
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■目次
染め紙製作の概要やねらい
絵の具を溶かした水にコーヒーフィルターなどの薄い紙を浸し、できあがった柄を味わう染め紙。好きな色に浸したり、絵の具を混ぜたりしながら遊べるので、子どもの想像力や表現力を育むことにもつながるかもしれません。
そんな染め紙製作について、概要やねらいを紹介します。
染め紙とは
半紙やコーヒーフィルターなど身近な薄い紙を色づけ、自由に彩りながら楽しむ遊びです。
紙の折り方を変えて色水に浸せば多様な模様に仕上がるため、自分の好きな柄のあじさいや朝顔などを製作することができるでしょう。
染め紙のねらい
続いて、染め紙のねらいについて見ていきましょう。
半紙を好きな色で彩り、染めることを楽しむ
半紙やコーヒーフィルターを色水につけることで、色が染まっていく様子を楽しむことができるでしょう。
マジックやクレヨンなどでお絵かきするときとは異なり、徐々に色が変化していく様を見て、子どもは引き込まれるかもしれません。
染め紙で作ったきれいな色を味わう
さまざまな色の絵の具で半紙を色づければ、できあがった模様を味わうことができるでしょう。
巻きつける輪ゴムの個数や、半紙の浸し方、折り方によって柄が変わるので、多様な色合いを楽しめるかもしれません。
半紙に色をつけたり色の変化を味わったりして、表現することを楽しむ
半紙やコーヒーフィルターを自在に染め上げることで、表現する楽しさを感じられるでしょう。
色の濃淡やにじみ方などを味わい、「こんな柄も作ってみたい」という好奇心も生まれるかもしれませんね。
染め紙製作のアイデア:植物・生き物
ここからは、染め紙で作れる植物や生き物のアイデアについて紹介します。
あじさい
用意するもの
- 紫色、ピンク色、青色などの絵の具
- 半紙数枚
- 緑色の画用紙1枚
- 浅めの容器数個
- 黒色のマジック
- 輪ゴム数本
- 水
- ハサミ
- テープ
作り方
1.絵の具をそれぞれ容器に入れ、水に溶かします。
2.半紙をそれぞれ四角形や三角形に折り、輪ゴムを好きな場所で留めます。
3.(2)の角をそれぞれ好きな色で染めます。
4.(3)を破れないように広げ、ハンガーなどにかけてしっかり干します。
5.(4)を半分に切り、丸めたティッシュや紙を入れて包みます。
6.緑色の画用紙を半分に折り、折り目が葉の真ん中になるように、葉の形をかきます。
7.(6)の線をハサミで切り、マジックで葉の筋をかきます。
8.(5)と(7)をテープで留めて、できあがりです。
ポイント
紫色やピンク色、青色など、実際のあじさいの色を使うと本格的な見た目に仕上がるでしょう。
壁に貼るときは下記の動画のカエルを作り、いっしょに飾ってみると楽しそうですね。
参考動画:折り紙でかわいいカエルを作ってみましょう!/保育士バンク!
朝顔
絵の具で作る朝顔
<用意するもの>
- コーヒーフィルター数枚
- 紫色、ピンク色、青色などの絵の具
- 緑色の画用紙
- ストロー数本
- 浅めの容器数個
- 輪ゴム数本
- 水
- テープ
- ハサミ
- 黒色のマジック
<作り方>
1.コーヒーフィルターの左右を中央に向かって折り、重ねた後でさらに半分に折ります。
2.(1)の染めたくない部分に輪ゴムを巻きつけます。(朝顔の白い部分)
3.容器に絵の具を入れて水で溶かし、(2)を浸します。
4.(3)の輪ゴムを取ってゆっくり開き、ハンガーなどにかけて乾かします。
5.(4)の口を開き左右を内側へ向かって折り込み、底の部分をねじります。
6.(5)のねじった部分をストローの中に入れ、テープで留めます。
7.緑色の画用紙を半分に折り、折り目側が葉の真ん中になるように、葉の形をかきます。
8.(7)の線をハサミで切り、マジックで葉の筋をかきます。
9.緑色の画用紙を細長く切り、ストローなどに巻きつけてクルクルとした形にします。(ツル)
10.(6)にツルを巻きつけ、ツルに(8)の葉をテープで留めればできあがりです。
<ポイント>
ひとつの朝顔に絵の具を何色か使ったり、輪ゴムを複数巻きつけたりして、オリジナルの朝顔を作ってみてもおもしろそうです。
また導入として、夏の戸外活動で本物の朝顔を観察すれば、連続性が生まれて遊びに引き込みやすくなるかもしれません。
マジックで作る朝顔
<用意するもの>
- コーヒーフィルター1枚
- ピンク色と青色の水性マジック
- 浅めの容器数個
- 画用紙1枚
- 水
- えんぴつ
- ハサミ
- のり
<ポイント>
水性マジックで円をかき水でにじませるだけなので、絵の具を使うより手軽に行えそうです。
ピンク色や青色以外にも、黄色やオレンジ色などさまざまな色を取り入れれば、色鮮やかな朝顔ができあがるでしょう。(詳しい作り方はこちら)
いちょう
用意するもの
- コーヒーフィルター数枚
- 黄色、赤色などの絵の具
- 浅めの容器数個
- 水
- ホチキス
ポイント
コーヒーフィルターを染めた後で半分に折り、好きな形に切れば、いちょうだけでなく紅葉などさまざまな形の葉を作れるでしょう。
またコーヒーフィルターをすべて浸すのではなく、角をちょっとずつ浸すことで柄のついた葉に仕上がります。壁に画用紙などで作った幹を貼り、子どもが作った葉をそれぞれつけて、大きな木を作成してみてもよさそうです。(詳しい作り方はこちら)
赤とんぼ
用意するもの
- コーヒーフィルター1枚
- 太めのストロー1本
- 白い画用紙1枚、黒い画用紙1枚
- 赤色、オレンジ色などの絵の具
- 浅めの容器数個
- 水
- ハサミ
- テープ
- のり
作り方
1.容器に絵の具を入れて水で溶かし、コーヒーフィルター1枚を浸します。
2.(1)をハンガーなどにかけて乾かします。
3.コーヒーフィルターの接着部分が羽の内側になるように、重ねたまま2枚分の羽を切ります。(広げたら羽が4枚になります。)
4.(3)の山折り部分を下にし、ちょうどよい長さに切ったストローを(3)の真ん中にテープで貼ります。(ストローの先が、羽の上に少し出るように貼ります。)
5.白い画用紙と黒い画用紙を丸く切り、目を作ります。
6.(4)をひっくり返し、飛び出たストローの部分に(5)を貼って目を作ればできあがりです。
ポイント
コーヒーフィルターの余った部分で小さな羽を作ることで、小さな赤とんぼに見立てられるでしょう。
また羽を1色だけにせず、赤色やオレンジ色など秋らしい色の絵の具にちょっとずつ浸せば、きれいな模様をつけることができそうです。
染め紙製作のアイデア:バッグや飾り
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次は、染め紙で作るバッグや飾りなどの作り方や、折り方を解説していきます。
バッグ
用意するもの
- 半紙1枚
- B5の画用紙1枚
- 好きな色のリボン
- 好きな色の絵の具数種類
- 浅めの容器数個
- 水
- のり
- ハサミ
- パンチ
ポイント
夏は上記で紹介したあじさいを飾ったり、秋は紅葉やいちょうを付けたりすれば、季節に合わせたバッグを作ることができるでしょう。
また幼児クラスの場合、子どもが染め紙の上からクレヨンなどでお絵かきして、好きなデザインのバッグに仕上げてもよいですね。(詳しい作り方はこちら)
ちとせあめ袋
用意するもの
- 半紙数枚
- 好きな色の折り紙数枚
- 好きな色の絵の具数種類
- 好きな色のリボン
- のり
- パンチ
- 黒いペン
- ハサミ
作り方
1.半紙を四つ折りにし、さらに三角形に折ります。その後、三角形の頂点側を丸く切ります。
2.容器に絵の具を入れ、水で溶かしてから(1)を浸します。半紙をゆっくりと広げ、新聞紙の上などでよく乾かしましょう。
3.画用紙の長辺が4等分になるようペンでマークを付け、マークを目印にハサミで切ります。
4.(3)の紙のうち1枚を縦半分に折り、袋の口になる短辺以外をのりで留め、袋状にします。
5.袋の口の部分を1㎝程度の幅にじゃばら折りにし、4つの山を作ります。
6.(5)の中心にパンチで穴を開けます。
7.(2)で作った半紙を好きなように貼ります。折り紙も正方形に切り、飾りつけしましょう。
8.(6)の穴にリボンを通し、結んでリボンの形に見えるよう形を整えます。
9.飾りつけしていないほうの面の上部に、穴あけパンチで2つの穴を開け、リボンを通します。(持ち手)
10.穴からリボンが抜けないように、袋の内側で結び目と作ってできあがりです。
ポイント
3歳児や5歳児などの幼児クラスで取り入れれば、七五三を知っている子どももいるため盛り上がりやすくなるかもしれません。七五三の時期に合わせて、新卒保育士さんや保育学生さんが作って渡したり、子どもが自分で作ったりしてみてもおもしろそうですね。
またちとせあめ袋に「七五三」という文字を入れたり、和紙を貼ったりすると本格的に仕上がるでしょう。
てるてるぼうず
用意するもの
- キッチンペーパー数枚
- 好きな色の絵の具数種類
- 好きな色の折り紙数枚
- 輪ゴム数本
- 段ボール
- 浅めの容器数個
- 水
- テープ
- 黒いペン
作り方
1.キッチンペーパーを適度な大きさに切り取り、半分に何度か折って細長い形にします。その後、四角形の形に折りたたみましょう。
2.容器に絵の具を入れ、水で溶かしてから(1)の角を好きなように浸します。
3.(2)をゆっくりと広げ、ハンガーなどにかけて干します。
4.キッチンペーパーが乾いたら中央部を少しつまみ、輪ゴムで縛ります。
5.段ボールを丸く切り取り、好きな色の折り紙を上から貼ります。(てるてるぼうずの顔)
6.(4)で縛った部分を上にし、(5)で作った顔をテープで貼りつけます。
7.黒いペンで顔をかき、てるてるぼうずの形になるよう全体を整えてできあがりです。
ポイント
好きな色のリボンをてるてるぼうずの首元に結んだり、折り紙をハートなどに切り取って飾ったりしても楽しめるでしょう。
段ボールが用意できない場合は、画用紙や折り紙などを代わりに使ってもよさそうです。
こいのぼり
用意するもの
- 半紙1枚
- 好きな色の絵の具数種類
- 黄色の折り紙1枚、白色の折り紙1枚、黒色の折り紙1枚
- タコ糸
- 輪ゴム数本
- 浅めの容器数個
- 水
- のり
- テープ
作り方
1.半紙を何度か折って細長い形にしてから三角形や四角形の形に折りたたみ、染めたくない部分に輪ゴムを巻きつけます。
2.容器に絵の具を入れ、水で溶かしてから(1)の角を好きなように浸します。
3.(2)をゆっくりと広げ、ハンガーなどにかけて干します。
4.半紙をのしわをよく伸ばし、裏にしたい面を上にして置きます。
5.(4)の上辺を1㎝ほど折り、のりしろを作ります。
6.のりしろにのりをつけ、半紙を半分に折って貼りつけます。
7.(6)の尾ひれにしたい方を三角形に切り取ります。(尾ひれ)
8.黄色の折り紙、白色の折り紙、黒色の折り紙を丸く切り、半紙へ順番に貼って目を作ります。
9.こいのぼりの口部分にタコ糸をテープで貼ればできあがりです。
ポイント
半紙を三角形の形に折るなど工夫を行い、どのようなデザインに仕上がるのか考えながら作ってみてもおもしろそうです。
遊び方に慣れたら半紙のサイズを変え、お母さんやお父さん、子どものこいのぼりを作ってみましょう。
染め紙を製作するときの注意点
最後は染め紙で製作遊びを行うときの、注意点についてまとめました。
汚れてもよい服装を準備する
染め紙で遊ぶときは洋服に絵の具がついてしまう恐れがあるので、事前に保護者へ伝えて汚れてもよい服装を準備してもらうことが大切です。
保育学生さんの場合は、担当の保育士さんから保護者へ連絡してもらうように、事前にお願いしておきましょう。
誤飲に気をつける
絵の具で色がついた水を見て興味を持ち、なめたり飲んだりする子どもも出てくるかもしれません。
保育士さんや保育学生さんは「飲むのはバツだよ」とあらかじめ伝え、遊んでいるときも目を離さないように心がけましょう。
半紙などがやぶれないように援助する
染め紙では色水に浸した半紙をゆっくりと広げる工程がありますが、子どもはうまく力加減ができず、半紙が破れてしまう可能性があります。
せっかく色をつけた半紙が破れてしまうと子どもはショックを受けてしまうかもしれないので、保育士さんや保育学生さんは「ゆっくり開こうね」と声かけしたり、代わりに開いたりするなどの援助をしましょう。
保育で行う染め紙製作のアイデアを知り、あじさいや朝顔などを作ろう
今回は、保育に取り入れやすい染め紙製作のアイデアや、ねらいを紹介しました。
染め紙は半紙やコーヒーフィルターがゆっくりと染まる様子や、多様な色づき方を楽しめる遊びです。
夏はあじさいや朝顔、秋は紅葉やいちょうなどを製作し、季節感を味わいながら遊べるとよいかもしれません。絵の具やカラーペンを使えば手軽に楽しめるため、乳児クラスでも幼児クラスでも取り入れやすいでしょう。
染め紙製作のアイデアを知り、保育実習や日々の保育に活かしてみてくださいね。