首都圏を中心に70以上の保育園や学童クラブを運営するHITOWAキッズライフ株式会社。こちらのグループ園が注力している取り組みの一つに、絵本プロジェクトがあります。
今回は、男性保育士のてぃ先生がグループ園のひとつである太陽の子東五反田保育園を訪れ、代表取締役の大井安治さんと園長の河田さんにお話を伺いました。日本トップクラスの絵本保有数を誇る保育園では、子どもたちと絵本をどのように繋いでいるのでしょうか。
絵本の表紙を見せて手に取りやすく
大井さん「太陽の子保育園では、『絵本日本一プロジェクト』を行っています。全園で約40,000冊の絵本を保有し、子どもたちが色々なジャンルの本に触れて育つことができる場を設けているのです」
河田さん「東五反田保育園では、子どもたちが絵本を自由に手に取ることができるように環境構成を工夫しています。平置きの絵本ラックに収納することで、まだ文字が読めない子どもたちも表紙の絵を見て気に入った本を手に取ることができます。緑色が好きな子は、緑色の表紙の絵本をたくさん集めてみたり……一人ひとり違った楽しみ方をしているようです」
てぃ先生「背表紙しか見えない収納の仕方だと、子どもたちはどんな絵本なのか分からないですものね。それでは、読みたいという気持ちも起こりにくいですよね」
幅広いジャンルの絵本に出会える場所
たくさんの絵本がある中で「良い絵本」を選ぶことは簡単なことではありません。絵本日本一プロジェクトでは、絵本ナビの編集長 磯崎 園子が 「気持ち、心を動かす7つのテーマ」というコンセプトを大切にして、子どもたちにおすすめの絵本を選びました。グループ園には選書された7,500冊が導入されているそうです。
河田さん「グループ園同士で絵本を定期的に交換し、年間を通して子どもたちがたくさんの作品に出会えるようにしているんです。担任が読み聞かせの絵本を選ぶとき、自分が好きなジャンルに偏ってしまいませんか?でも、ここでは自分の興味や好み以外の絵本にも出会えるので、子どもたちに様々な作品を紹介できる良さがあるんです」
絵本がたくさんある環境を気に入って就職を希望する学生の方もいるのだとか。
河田さん「絵本は高価なので、自分でたくさん購入するのは大変です。太陽の子保育園ではたくさんの絵本に出会うことができるので、学生さんや保護者の方がこの環境を気に入って来てくださることが多いんです」
絵本の世界を美味しく表現
てぃ先生「読み聞かせをする時には、どんな工夫をしていますか」
河田さん「お話会を定期的に開催し、地域の方が自由に参加できるようにしています。お子さん連れでいらっしゃるお母さん方もいて、読み聞かせの後に保育園を見学することもあるんです。読み聞かせを通じて、地域の方々との繋がりが生まれ、保育園が身近な場所になればいいなと思います。また、絵本だけでなく、ダンボールシアターやパネルシアターを活用して子どもたちがお話を楽しむことができるよう工夫しています」
子どもたちが大好きなお話は、目と耳だけでなく、「口で味わう」こともできるようです。
河田さん「『おべんとうバス』『しろくまちゃんのホットケーキ』『はらぺこあおむし』など、絵本に登場する食べ物をモチーフにしたメニューを給食やおやつに取り入れています。東五反田保育園は0歳から2歳までの子どもたちしかいないので、できることは限られてきますが、食べることを楽しんでもらいたいと考えて取り組んでいます」
お話のその先。「もしも」の世界を考えてみよう
てぃ先生「絵本にたくさん触れることができる保育園、素敵ですね。僕は自分の保育の中で、子どもたちが絵本を”考える”ことができるよう働きかけています」
絵本を読んで楽しむことに加え、子どもたち自身が物語について自ら考えることができるようになってほしいと考えるてぃ先生。自身が働く保育園で、こんな取り組みをしているそうです。
てぃ先生「『おおきなかぶ』の読み聞かせをしている時、子どもたちに向けて『もしも、ねずみちゃんが手伝ったのにかぶが抜けなかったらどうしよう?』と問いかけてみました。すると、『ロケットで引っ張る』とか『違う仲間を呼んでくる』とか、色々なアイデアが出てきて、子どもたちのディスカッションが始まったんです」
大井さん「いいアイデアだと思います。考える力は、生きる力ですからね。保育はケアをする場面が多いので、つい大人が子どもに教えてあげようとすることが多くなってしまうんですよね」
てぃ先生「子どもたちの考える力を育む取り組みとして、他にも『ifのディスカッション』という活動もしています。『もしも人間が空を飛べるようになったら?』というif を僕が投げかけて、みんなでその時のことを考えるんです。空を飛んで保育園に行く、という考えが出たかと思えば、お空が人だらけで危ないのでは?と危惧する意見も」。
てぃ先生「そこで、お空の警察官がいたらいいよね、というアイデアが出てきたりします。あくまで”もしも”の話ですが、もしかしたら20年後は、人が空を飛ぶのが当たり前になってるかもしれません。この子たちが、大人でも考えつかないようなテクノロジーを発明する可能性だってあります。だから僕たち保育者は、子どもたちが楽しむだけではなく、自ら考える力を持てるようにアプローチしていくべきだと思います」
保育者には、絵本と子どもたちを繋げる役割があります。単純に良い絵本を読み聞かせるだけではなく、絵本の並べ方や、物語の世界と食事を繋げる仕掛けづくり、そして、てぃ先生が取り組んでいる「考える活動」など、保育者の工夫次第で色々な働き掛けができそうですね。
(構成:佐藤愛美)
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