レポートや論文を作成する際、話し言葉を使っていないか気になる保育学生さんもいるのではないでしょうか。話し言葉と書き言葉を使い分けることができると、レポートも書きやすくなりそうですね。今回は、話し言葉と書き言葉の違いや文章の例、資料の引用の仕方や構成の立て方といったレポートの書き方などを紹介します。
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■目次
レポートや論文で指摘される「話し言葉」の特徴
近年、SNSなどの普及によって簡単に文章を書けるようになり、友人とのやりとりやブログなどを日常的に利用している学生さんも多いようです。そのため、レポートや論文を話し言葉で書いてしまうこともあるかもしれません。
実際、学校でのレポートを提出したときに、先生から「話し言葉になっている」と書き方や文体について指摘された経験のある保育学生さんもいるのではないでしょうか。
そもそも話し言葉とは日常生活で実際に話される言葉を指します。話し言葉は会話をする場面で使うため、文法的に整わなかったり省略されたりしても理解されることが多いでしょう。会話のなかでは言葉を省略する「こそあど言葉」も頻繁に使われますよね。
一方、書き言葉はレポートや論文などに用いられる言葉で、一般的に規範的であらたまった表現になるようですが、具体的に話し言葉とはどのような違いがあるのでしょうか。
話し言葉と書き言葉の違い
話し言葉と書き言葉の違いがわかると、レポートを書きやすくなるかもしれませんね。
ここでは主な違いを3つ紹介します。
副詞
副詞は形容詞や動詞を修飾する言葉です。保育学生さんも「とても」「すごく」「いつも」などをよく使っているのではないでしょうか。これらは普段の会話で使用する話し言葉になります。レポートを書く場合は「非常に」「常に」といった書き言葉を使いましょう。副詞の書き言葉は、普段の会話には使わない、かしこまったよそゆきの言葉と考えるとよいかもしれません。
接続詞
接続詞は単語と単語、文章と文章をつなぐ言葉です。「それで」「でも」「だから」などは話し言葉で、日常の会話のなかにも頻繁に使われますよね。レポートや論文では「従って」「しかし」「そのため」などのあらたまった書き言葉を使うと、専門的な内容にもふさわしい文章になるでしょう。
助詞や助動詞
助詞や助動詞は名詞や動詞に付属し、叙述の意味を補う言葉です。主な助詞としては「は・が・の・に・を」が挙げられるでしょう。話し言葉では「私、できた」のように、助詞を省略することもあるかもしれません。
助動詞は「です」「ます」「そうだ」などの文末につけることが多い言葉です。「です」などはていねいな言葉として話し言葉でよく使われますよね。レポートに書く場合は「である」「と言われている」のような書き方をするとよさそうです。
話し言葉にならない、レポートや論文の書き方
学校の先生や保育実習を行う園などに提出するレポートは、どのように作成するとよいのでしょう。話し言葉にならない、レポートの書き方をまとめました。
結論に導く構成を立てる
レポートや論文を書くときは、テーマに沿った内容になるように構成を考えましょう。序論や導入文からさまざまな事例や考察を通して結論に導くように構成を立てると、書き始めてから迷うことが少ないかもしれません。構成の段階で、文末の助動詞をどのような形にするか、使いたい副詞や接続詞などをメモしておくと、レポート全体が話し言葉になりにくくなりそうです。
引用は正しく行う
レポートや論文を書くときには、自分の考えの根拠を示すためなどに引用を使うことがあります。著作物には著作権があるので、自分で書いたようにレポートに入れることはできません。ただし、学校に提出するレポートには引用が認められているので、条件を満たす正しい方法で行いましょう。
基本的な引用の条件は、以下のようになります。
- 引用している部分と自分の文章とが、はっきりわかるようになっていること
- 書き換えなどせずに、原文通りに引用すること
- 公開されている著作物からの引用であること
- 出典を明記すること
引用の前文には「次のように述べている」のように、書き言葉を使って説明をしましょう。引用した文献の書き方は先生によって形式が異なるので、レポート提出前に確認するとよいかもしれません。
話し言葉と書き言葉の違いを意識する
レポート作成の際は話し言葉と書き言葉の違いを意識しながら書くと、文体が統一されて読みやすくなるでしょう。特に文章中に使う副詞や接続詞は、話し言葉と書き言葉が混ざらないように気をつけることが大切です。また、文末につける助動詞が「です」「ます」になったり「である」になったりしないように、提出前に再確認をするとよいかもしれません。文中に「これ」「それ」などの言葉を入れすぎないように気をつけましょう。
レポート作成時に使いがちな話し言葉の例
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レポートを作成するときには、ていねいに書こうとして話し言葉になってしまうケースもあるようです。話し言葉で書いた文章と書き言葉で書いた文章を、例として紹介します。
例①
話し言葉の場合
保育園で毎日行なっている手遊びには、いろいろな効果があるようです。運動能力や知能の発達などは、代表的なものかもしれません。ほかにも、リズム感が身につくという効果もあるそうです。
書き言葉の場合
保育園で日常的に行われている手遊びには、さまざまな効果があるそうだ。代表的なものとして、運動能力や知識の発達などが挙げられる。また、リズム感が身につくという効果もあるようだ。
例②
話し言葉の場合
子どもたちにリレー遊びの指導をするときには、初めにバトンの渡し方を教えるとよいと思います。どうしてかというと、リレー遊びで一番難しい動きだからです。バトンを渡す練習では、最初に止まったまま渡せるように間を空けて並ばせます。子どもが慣れてきたら1歩歩いて渡す練習をするとよいと思います。
書き言葉の場合
子どもたちにリレー遊びの指導をする場合、バトンの渡し方から教えるとよいだろう。なぜなら、リレー遊びで最も難しい動きだからである。バトンを渡す最初の練習は、子どもたちが止まった状態でできるように間を空けて並ばせて行い、慣れたら1歩歩いて渡す練習に進めるとよいだろう。
例③
話し言葉の場合
最近、共働き家庭が多くなってきたので、早朝や夕方過ぎまで子どもを預ける家庭が増えてきています。私立の幼稚園ではだいたい8割が、公立の幼稚園でも半数以上が預かり保育を行なっているそうです。だから、時間外保育を行うために保育ボランティアや保育アルバイトをする学生が多くなりました。
書き言葉の場合
近年、共働き家庭が多くなり、早朝や夕方以降まで子どもを預けることが増えてきている。私立幼稚園では約8割が、公立幼稚園では半数以上が預かり保育を行なっているようだ。そのため、時間外保育を行う保育ボランティアや保育アルバイの学生が多くなってきたといえるだろう。
レポートにふさわしい表現をするためのポイント
先生に提出するレポートや論文には、ふさわしい表現を使いたいですよね。レポート作成のためのポイントを3つ紹介します。
小論文を数多く読む
レポートにふさわしい表現を身につけるために、小論文をできるだけ多く読むようにしましょう。ほとんどの小論文は書き言葉を使って書かれているので、さまざまな文章を読むことで、話し言葉と書き言葉の違いが自然に身につくようです。どれを読めばよいか迷う場合は、新聞の社説などがよいかもしれません。
辞書を利用する
レポートを作成するときには、こまめに辞書を引くようにすると、正しい言葉使いで文章を書くことができるようになるでしょう。国語辞典の他に、社会人向けの文章の書き方のテキストなども使いやすいかもしれません。学校によってはレポート作成の手引書などもあるようなので、自分にあうものを選び、積極的に利用しましょう。
語彙を豊かにする
書き言葉を使ってレポートを作成する場合、豊かな語彙力があるとさまざまな言い換えができそうです。話し言葉は会話を通して自然に身につきますが、レポートに使う語彙を豊かにするためには、読書の時間を確保するとよいかもしれません。読書の時間がないという学生さんは、3分で読める物語のような短文の本を探してみましょう。
話し言葉と書き言葉の違いを意識したレポートを
今回は、レポートを作成する際の、話し言葉と書き言葉について紹介しました。
レポートや論文を書く場合は、副詞や接続詞が話し言葉になっていないか気をつけるとよいかもしれません。レポートには引用文が入ることもありますが、前後の文章を書き言葉にするとスムーズな流れの書き方になるようです。学校に提出するレポートは、話し言葉と書き言葉の違いを意識して、質の高いものを作成するようにしましょう。