保育士試験の免除される内容を知りたい就活生の方もいるのではないでしょうか。大学で幼稚園教諭の免許を取得した場合などに、どのような科目が免除されるのかがわかると、試験勉強もしやすいですよね。今回は、実技試験などの免除科目や、試験を免除してもらう場合の申請方法などについて紹介します。
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保育士試験における「免除」とは
保育士は国家資格となっているので、資格を取得するためには保育士試験を受ける必要があります。保育士試験には9科目の筆記試験と3科目の実技試験があり、実技試験は2科目を選択することとなっています。
保育士試験を受ける場合、一般的には全ての科目を受験することになりますが、所持している免許などによって免除される科目があります。保育士を目指す方にとって、受験する科目が少なくなると合格しやすいかもしれませんね。
今回は、厚生労働省と一般社団法人 全国保育士養成協議会の保育士試験を受ける方への資料をもとに保育士試験の免除される内容についてまとめました。
出典:幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例/厚生労働省
保育士試験の免除内容と対象者
保育士試験の免除内容は、受験する方が所持している資格や免許によって異なります。免除の対象となる方と免除科目を紹介します。
幼稚園教諭
大学などで幼稚園教諭の免許を取得してある場合、保育士試験で免除される科目がいくつかあります。筆記試験や実技試験など、それぞれについてまとめました。
筆記試験
幼稚園教諭の免許を持っている方は、「保育の心理学」と「教育原理」の2科目が免除されます。
また、指定保育士養成施設において、筆記試験に対応する教科目を履修した場合、免除される筆記試験科目があります。このときの免除科目は、指定保育士養成施設から発行される「幼稚園教諭免許所有者保育士試験免除科目専修証明書」に記載されているそうです。証明書が発行される前に免除科目を知りたい場合は、教科目を修得した学校に確認してみましょう。
実技試験
幼稚園教諭の免許を所有している方は、「音楽に関する表現」「造形に関する表現」「言語に関する表現」全ての実技試験が免除されます。なお、幼稚園教諭の免許には1種・2種・専修がありますが、どの免許でも筆記試験や実技試験の免除科目は変わりません。
幼稚園教諭免許所有者における特例
幼稚園教諭の免許所有者には「保育士資格取得特例」という特例制度があります。
認定こども園制度への円滑な移行を目的として設けられたこの制度は、幼稚園教諭の免許状を持ち、幼稚園での実務経験が3年以上かつ4320時間以上ある方が対象となります。この制度の対象となる方は、「保育の心理学」「教育原理」に加え「保育実習理論」の筆記試験も免除されます。
さらに、対象となる方が保育士養成施設で特例教科目である8単位全てを修得した場合、保育士試験は全科目免除になります。8単位を習得しない場合も、習得した単位によって筆記試験の科目が免除されるそうです。
この特例制度による保育士試験には期限があるので、受験する際は事前に確認しましょう。
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士
社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士のいずれかの資格を持っている方は、「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の3科目が免除されます。また、幼稚園教諭の免許所有者と同様に、指定保育士養成施設において筆記試験に対応する教科目を履修した場合、免除される試験があります。
筆記試験や実技試験に対応する科目などを履修し修得することで、試験の一部または全部が免除されることになるようです。この場合、「社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士保育士試験免除科目専修証明書」の提出が必要になります。
免除科目について知りたい場合は、教科目を修得した学校に確認してみましょう。
筆記試験の科目合格者
保育士試験の筆記試験は科目ごとに合格する仕組みになっています。合格した科目については合格年も含めて3年間有効となっているので、その間は試験科目が免除されます。ただし、「教育原理」と「社会的養護」の試験については、両科目とも6割以上取らないと合格と認められないことになっているようです。
出典:保育士試験を受ける方へ/一般社団法人全国保育士養成協議会
出典:幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例/厚生労働省
保育士試験の免除科目の申請方法
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保育士試験に免除科目がある場合は、受験の申請の際に免除の申請も行うことになっています。免除科目の申請方法を紹介します。
1.受験申請の手引きを取り寄せる
保育士試験を受験する際は、まず初めに受験申請の手引きを取り寄せましょう。手引きに申請書や受験料の振込書、専用封筒などが同封されています。手引きには申請方法などが詳しく書かれているので、早めに取り寄せて内容をしっかり読みましょう。
2.免除科目の確認をする
申請書を作成する前に、自分の免除科目について確認しましょう。修得した科目について知りたい場合は、単位を履修した大学などに問いあわせるとよいようです。3年以内に合格した科目がある場合は、試験結果通知書で有効期限かどうかを確認することも大切です。
3.申請をする
受験申請書が整ったら、免除に必要な書類を揃えて申請します。必要書類は取得している免許や資格によって異なるので、申請の手引きをよく見て準備しましょう。幼稚園教諭の免許所有者と、幼稚園教諭免許状を持ち指定保育士養成施設で履修した方などでは提出する書類が異なるので、免除対象者と必要書類の表を丁寧に確認すると安心です。
3年以内に合格した科目のある方は、申請書の「合格した科目の再受験」欄にチェックを入れ、「一部科目合格通知書」や「筆記試験結果通知書」をコピーしていっしょに提出します。通知書の管理IDが異なる場合は、事前に保育士試験事務センターまで連絡をしましょう。
保育士試験で免除の申請をするときのポイント
保育士試験の免除科目の申請をする際、どのようなことに気をつけるとよいのでしょう。申請をするときのポイントを紹介します。
申請の期日を守る
保育士試験は例年、前期と後期の2回あり、それぞれで申請の期日が決められています。期日をすぎると申請を受けつけてもらえないので、早めに申請をするように心がけましょう。
特に免除科目のある方の場合は、免許状や登録証のコピーや専修証明書の原本、前回の試験の通知書などの必要な書類があるので、期日を守れるように事前に準備をしておくとよいかもしれません。
筆記試験の免除期間延長制度の確認をする
筆記試験の合格科目の免除期間は3年間とされていますが、期間が最長5年まで延長される制度があります。
この制度では、対象施設において対象期間内に一定の勤務期間及び勤務時間、児童等の保護に従事した場合に延長申請をすることができるようです。
対象となるのは、
- 児童福祉施設
- 認定こども園
- 幼稚園
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 放課後児童健全育成事業
など15施設が指定されています。条件に当てはまる場合は、受験の申請をする際に免除されるかどうかを確認しましょう。
保育士試験を受ける際は免除内容を確認しよう
今回は、保育士試験における免除科目について紹介しました。
保育士試験には9科目の筆記試験と3科目の実技試験がありますが、大学などで幼稚園教諭の免許を取得した方は、筆記試験の一部と実技試験全部が免除されることになっています。
また、社会福祉士などの資格を持っている場合や、指定保育士養成施設で科目を修得した場合などにも、一部の科目が免除されるようです。保育士試験を受ける際は、自分の持っている資格や3年以内に合格した科目があるかなど、免除内容を確認してみましょう。