絵本専門士とは。資格の取り方や依頼される仕事の内容など

絵本専門士とはどのような職業なのか、気になっている保育学生さんもいるのではないでしょうか。絵本専門士になるにはどのような資格が必要かを知っていると、仕事の選択肢も広がりそうですね。今回は、絵本専門士の資格の取り方や依頼される仕事と、絵本専門士になるために行なうとよいことを紹介します。

赤ちゃんに絵本を読んでいる女性

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絵本専門士とは

絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識、技能、感性を備えた専門家のことです。

近年、日本では子どもの読書活動を充実させることが大きな課題になっています。特に絵本は子どもたちの言語力や理解力、感性などを発達させ、豊かな人間形成をもたらすために重要と考えられているようです。そのために、絵本の専門家を養成することが必要となり、独立行政法人の国立青少年教育振興機構による資格の制度が始まりました。

今回は、絵本専門士の資格の取り方や仕事についてまとめました。

出典:絵本専門士とは/独立行政法人 国立青少年教育振興機構

出典:独立行政法人とは/総務省

絵本専門士の資格の取り方

絵本専門士になるには、どのように資格を取得するのでしょう。国立青少年教育振興機構の資料を元に、資格の取り方を紹介します。

絵本専門士養成講座を受講する

絵本専門士の資格を取得するには、国立青少年教育振興機構で行う養成講座を受講する必要があります。この講座では絵本専門士になるための3つの領域を身につけることとなっているそうです。3つの領域とは

  • 知識を深める
  • 技能を高める
  • 感性を磨く

以上で、30コマの授業と終了課題で構成されています。

養成講座では、絵本に関わる多様な領域の専門家などを講師として招き、講義や演習などさまざまな形で授業を行なっているようです。他にも授業前後に取り組む課題やディスカッションなどがあり、絵本専門士になるには全ての授業で一定の成績を修めることや、終了課題で絵本専門士として必要な資質・能力を満たしていると評価されることが必要とされています。

受講対象者

絵本資格士の養成講座を受講するためには、絵本に関する一定の知識や経験を備えていることが必要になります。受講対象者となるのは、以下となっています。

  • 子どもや絵本に関係する資格を有する者
  • 絵本に関わる実務について、原則として3年以上の経験を有する者
  • 絵本に関わる活動に携わり、原則として3年以上の経験を有する者
  • 絵本学や児童文学、美術について研究実績を有する者

保育士の資格を持っている方や、絵本の読み語り活動を3年以上行なった方、大学院で児童文学の研究をした方などが対象になるようです。

受講を希望する場合は、期日までにフォームから申し込みます。1次選考から2次選考へと進み、2次選考で受講が決定すると受講に関する案内が届くそうです。なお、受講には受講料がかかります。

養成講座のカリキュラム

絵本専門士の養成講座では、次のような内容のカリキュラムを用意しているそうです。

  • 絵本や子どもに関する知識
  • おはなし会やワークショップを運営する技能
  • 豊かな感性

授業内容には「絵本各論」や「絵本を紹介する技術」、「絵本と出会う」といった魅力的な科目が計画され、絵本資格士になるために必要な能力などを修得できるようになっています。講座は1コマ90分から120分で、授業時間全体では50時間程度になるようです。

出典:絵本専門士養成講座/独立行政法人 国立青少年教育振興機構

出典:第7期絵本専門士養成講座/国立青少年教育振興機構

出典:第7期絵本専門士養成講座時間割/国立青少年教育振興機構

絵本専門士としての仕事内容

子どもに絵本を読んでいる保育士

milatas/shutterstock.com

絵本専門士になると、どのような仕事をすることになるのでしょう。絵本専門士に依頼される主な仕事を紹介します。

読み聞かせやおはなし会

絵本専門士になると、図書館や保育園などで行われる読み聞かせの会やおはなし会の依頼が来るようです。子どもたちにさまざまな絵本を紹介する仕事は魅力的ですよね。読み聞かせやおはなし会は、地域活動の場や医療機関などから依頼されることもあるようです。

ワークショップの企画・実施

絵本に関するワークショップの企画・実施も絵本専門士としての仕事になります。養成講座でブックトークの技術や絵本の編集、書評・紹介文の書き方なども学ぶので、それらを活かしてワークショップを企画するのもやりがいがありそうですね。

研修会の講師

絵本専門士に依頼される仕事には、研修会の講師もあるようです。保育士さんのための絵本研修会などを定期的に行なっている保育園もあるかもしれません。絵本のすばらしさを広げ、読書の好きな子どもを育てるためにも、大人のための研修会は大切な仕事と言えるでしょう。

読み手への指導

近年、保育園や学校では保護者の方やボランティアによる読み聞かせ活動が増え、子どもたちによりよい読み聞かせをするために、読み方の指導を絵本専門士に依頼することがあるようです。依頼を受けたときには、読み方とともに絵本専門士養成講座で学んだことも伝えられるとよいですね。

絵本専門士になるために行うとよいこと

保育学生さんが絵本専門士になろうと考えた場合、卒業までにどのようなことを行うとよいのでしょう。学生のときにできることを紹介します。

絵本について深く研究する

保育士養成校や大学の勉強の合間に、絵本について深く研究する時間を持ちましょう。日本の絵本や世界の絵本について幅広い知識を持つことも必要かもしれません。絵本に関係するサークルに入ったりイベントに参加したりすると、楽しく学べそうですね。

大学で認定絵本士の単位を習得する

国立青少年教育振興機構では、若い人に絵本への関心をもってもらい、活動に参画してもらうために、大学や短大などの授業の中で学ぶことのできる「認定絵本士養成制度」を創設したそうです。

この制度では、学校の教育課程に位置づけられた授業科目の中で、絵本専門士養成講座カリキュラムに関するガイドラインに基づいた講座を開設し、学生がその講座が含まれた授業科目の単位を習得することにより、認定絵本士の称号を得ることができます。

認定後は学んだ知識や技能を活かして活動し、一定の実務や実践経験を積み、資質や能力がふさわしいと認められると「絵本専門士」と認定されることになるようです。大学で認定絵本士の単位を修得しておくと、将来絵本専門士として活躍できそうですね。

読み聞かせボランティアなどに参加する

絵本の読み聞かせの技術は、研修に参加したり実践経験を積んだりすることで高まるようです。絵本専門士を目指そうと考えている学生さんは、絵本に関するボランティアなどに参加して技術を磨きましょう。絵本専門士の方の仕事の様子を見ることも、大切な経験になりそうですね。

出典:認定絵本士養成講座/国立青少年教育振興機構

絵本専門士の資格や活動について理解しよう

今回は、絵本専門士とはどのような職業で、どのような仕事をするのかを紹介しました。

絵本専門士になるには、絵本専門士養成講座を受講して資格を取得する必要があります。受講するためには、保育士の資格を取得したり絵本に関する活動を3年以上行うといった条件があるようです。絵本専門士になって子どもたちのために仕事をしたいと考える場合は、資格の取り方や活動内容について理解しておきましょう。

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