小麦粉粘土は、1歳児など低年齢からでも安心して遊べる保育教材の一つです。感触遊びや色付けなど幅広く楽しめるうえ、材料の調達や作り方も簡単なので新卒保育士さんや実習生さんでも気軽に取り入れられますよ。今回は、小麦粉粘土の遊び方を紹介します。指導案に活かせるねらいや導入、配慮の例もまとめました。
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■目次
保育園で楽しめる小麦粉粘土とは
小麦粉粘土とは、文字通り「小麦粉を材料にした粘土」です。
油粘土よりもベタベタとせず簡単に手作りができて、そのままでも、色をつけても楽しめるので、保育活動において人気の粘土遊びの一つかもしれません。
まずは、小麦粉粘土の特徴から見ていきましょう。
作り方や材料の用意が簡単
小麦粉粘土は身近にあるもので簡単に準備ができるので、雨天時など急な保育活動の変更に対応するときにも取り入れやすいでしょう。
材料もスーパーなどで手に入れやすく、作り方の手順も少ないので、子どもたちといっしょに粘土を作るところから楽しめるかもしれません。
誤飲の心配が少ない
保育活動でよく使われる油粘土は、誤飲の関係から1歳児、2歳児クラスでは取り入れることができません。
しかし小麦粉粘土は、材料が食品なので万が一口にいれた場合でも大きな危険がなく、1歳児クラスから扱うことができるのが最大の特徴といえるでしょう。
食育につながる
小麦粉から粘土なる様子を子どもたちといっしょに楽しめば、食育にもつながるかもしれません。
材料を入れて混ぜていくと少しずつ固まっていったり、水を入れすぎるとゆるくなったりと形状の変化を体感することで、素材から料理になるまでの工程も知るきっかけになるでしょう。
長期保存はできない
小麦粉粘土は食品が材料であるため、油粘土などのように長期保存することはできません。基本的に遊ぶのはその場だけということを子どもたちに伝えておきましょう。
もし作った粘土を各自持ち帰りたい場合は、ラップなどでくるんでからファスナー付のビニール袋などで密閉します。
そのうえで冷蔵庫に保管すれば2日~3日は遊ぶことができるという旨を保護者の方に伝えるとよさそうです。
保育における小麦粉粘土遊びのねらい
保育園で楽しむ小麦粉粘土遊びには以下のようなねらいが挙げられます。
小麦粉粘土の感触を知り、手先を使う遊びを楽しむ
柔らかさを調節できる小麦粉粘土は幼い子どもの手でも扱いやすいため、こねたり、成形したりする中で手指を存分に使いながらその感触を楽しめるでしょう。
手先が敏感な1歳児頃に取り入れることで、指先の感覚を育むとともに、情緒の安定につながるかもしれません。
色付きの小麦粉粘土で混色などを楽しみながら、色彩感覚や創造性を育む
食紅を利用してさまざまな色の粘土を作れば混色も楽しめることから、「赤と青を合わせたら紫になる!」といった色彩感覚も養えるかもしれません。
また、色付きの粘土を組み合わせれば、動物や食べ物などさまざまなものに見立てる想像力も身についていきそうですね。
完成形を目指して形作ることで、遊びの中で見通す力をつける
3歳児以上など幼児クラスになると、作りたい形をイメージしながら遊べる子どもも増えるでしょう。
小麦粉粘土での造形遊びを通して、「何を、どういう順番で組み合わせればいいのか」を考えながら計画的に形作りをする力が育まれそうです。
色の違う粘土を組み合わせたり、適切なタイミングで道具を使ったりと、製作を通して先の見通しを立てる力も備わっていくかもしれませんね。
このようなねらいの例文を参考に、保育指導案を作成してみましょう。
小麦粉粘土の作り方と基本的な遊び方
ここからは、小麦粉粘土の作り方を紹介していきます。
導入から作り方の手順、保育士さんの援助や配慮についてくわしく説明するので、指導案を書くときの参考にしてみてくださいね。
小麦粉粘土遊びの導入
まずは小麦粉粘土遊びの導入例を紹介します。
<小麦粉粘土遊びの導入例>
- パンや麺類など小麦粉を使った食べ物が出てくる絵本を読む
- 保育士さんが小麦粉に水を入れ、形が変わるところを見せて子どもの興味を引く
小麦粉というものが、普段自分の身の回りでどう扱われているのかやどのような食品となっているのかを知ることで、子どもたちの関心を得ることができるかもしれません。
また、実際に小麦粉の形状が変わるところを見ることで、「なぜだろう?」「不思議だな」という好奇心も湧くでしょう。
子どもたちが実際に「触ってみたい!」と思えるような導入ができるよう、指導案で計画しておくとよいですね。
小麦粉粘土の作り方
次に、動画に沿って小麦粉粘土の作り方を説明していきます。
用意するもの
- ボウルなどの容器
- 小麦粉 350g
- 水 120cc
- 油 少量
- 着色用の食紅など 適量
小麦粉と水の量がだいたい3:1の割合であればまとまるようなので、必要な量に応じて準備しましょう。
一般的に販売されている食紅の色は赤・黄・緑などですが、青色も用意すると混色の幅が広がるかもしれません。
食紅ではなく絵の具でも着色ができますが、その場合は子どもが粘土を口に入れないよう十分注意しましょう。
上記の材料の他に塩を少々入れてもよさそうです。塩には防腐効果があるので、より長く保存できるかもしれません。
作り方の手順
1.小麦粉に水を少量ずつ加えながらこねます。
2.油も加えてさらにこねていきます。
3.ちょうどいい固さになったらできあがりです!
水が多いと柔らかくなるので、子どもが扱いやすい硬さに調整するとよさそうです。
白い小麦粉粘土ができたら、食紅などを加えてカラフルな粘土も作ってみましょう。色が混ざりあう様子も楽しめるかもしれません。
練り上げておいたものを子どもに渡すのか、小麦粉が変化していく様子を見てもらうのかといった点についても指導案で計画しておくとスムーズですよ。
保育士さんの援助
小麦粉粘土遊びをするときの保育士さんの援助では、以下のことを意識するとよさそうです。
- まずは小麦粉粘土をかたまりで提供して、子どもたちがどのように反応するかを見守る
- 粘土の感触を嫌がる子には無理強いせず、保育者が傍について少しずつ与え、ゆっくりと慣れるよう進めていく
- 後から道具を出し、基本的な使い方を伝えたあとは子どもたち自身で遊び方を広げられるような援助をする
- 時間が経つと粘土が硬くなることもあるので、水を足す、一度こね直すなど、子どもが扱いやすい状態を維持できるようにする
このように、保育士さんは子どもの主体性に任せながら見守ることが大切なポイントになります。
偶然できた色や形の面白さにも共感し、「これを使ったらくだもの屋さんができるかもしれないね」などといった言葉かけをして、さらに遊びが深まるような援助できるとよいですね。
遊ぶ前に確認しておくポイント
小麦粉粘土を保育活動に取り入れる前に、以下のポイントを確認しておきましょう。
指導案にも活かせる内容なので計画の参考にしてみてくださいね。
小麦アレルギーに配慮する
小麦アレルギーのある子どもは、小麦粉粘土でもアレルギー反応が出てしまう場合があります。担当クラスの中でアレルギーのある子どもがいないか必ず確認しましょう。
アレルギー児がいる場合は、その子だけ使わないようにするのではなく、クラス全体で使わないように配慮することが大切です。
小麦粉粘土の代わりに米粉でできた粘土を使用するなど、別の素材で遊びを楽しめるとよいですね。
また、粉の成分が飛んでいくことも想定し、他のクラスの保育士さんにも相談をしてから実施するようにしましょう。
環境を整える
小麦粉粘土遊びのなかで、粉が飛び散ったり、粘土がテーブルにくっついたりするかもしれません。
汚れ防止のため、テーブルにビニールを敷くなどの対策をしておくとよいでしょう。
また、小麦粉粘土遊びをするときは、お菓子の空き容器や紙皿、ヘラ、抜き型などのいろいろな道具を事前に準備しておくのも大切なポイントになります。
さまざまな道具によって遊びの幅が広がることで、見立て遊びやごっこ遊びにもつながっていくかもしれませんね。
【年齢別】保育に活かせる小麦粉粘土の楽しみ方
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最後に、年齢別に小麦粉粘土の遊び方の例をまとめました。
1歳児・2歳児向けと3歳児・4歳児・5歳児向けの2つに分けているので、担当クラスに合わせて取り入れてみてくださいね。
1歳児・2歳児
1歳児や2歳児クラスで遊ぶときには、何かを作ることを目的とするのではなく、粘土をちぎったり、こねたりと手指をたくさん使って自由に感触を楽しむことが大切です。
そこから引っ張ったりたり転がしたりするうちに、自分の操作で形に変化が生まれることに気づくでしょう。
そうすることでイメージするものを造形する楽しさにつながっていくかもしれません。
援助するときは、「こっちの方が大きいね」「伸ばしたら細くなったね」「赤くて丸い、さくらんぼみたいだね」など、比較概念や色・形に関心が湧くような言葉かけを積極的にすることを意識しましょう。
3歳児・4歳児・5歳児
3歳児以降のクラスでは、テーマを与えるか自分でテーマを決めるよう促し、好きなものを作ってみれば、立体的に組み立てる想像力が身につくかもしれません。
そこから、小麦粉粘土を使った見立て遊びやごっこ遊びを楽しめるでしょう。
子どもたち同士で分担して物を作り、レストランや八百屋さん、おもちゃ屋さんなどをしてみても面白そうですね。
また、粘土で造形したものを、120℃~150℃に熱したオーブンで15分程度焼くと、そのまま作品にもできます。
熱して加工すれば、飾ったりおもちゃとして使ったりできるので、その場だけではなく長く楽しめるのも小麦粉粘土のよいところと言えるでしょう。
小麦粉粘土を保育に取り入れて、感触遊びを楽しもう
今回は、小麦粉粘土の作り方や年齢別の遊び方に加えて、指導案に使えるねらいや配慮、導入の例を紹介しました。
小麦粉粘土は食品を材料にしているため1歳児頃から楽しむことができ、創造力や発想力を伸ばすアイテムの一つです。
保育に取り入れるときは、子どもたちの感性に任せて見守ることが大切なポイントになるかもしれません。
作り方や遊び方を参考にしながら、保育実習や入職後に小麦粉粘土遊びを取り入れて、子どもたちといっしょに楽しんでみてくださいね。