絵の具を塗った紙を半分に折り、転写させて楽しむデカルコマニー。簡単に保育に取り入れられるため、実習や入職後に実践してみたい方も多いでしょう。今回は、デカルコマニーのやり方や、ちょうちょやてぶくろなど製作に使えるアレンジ方法を紹介します。指導案に役立つねらい・導入の例や、気をつけるポイントもまとめました。
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■目次
保育で楽しめるデカルコマニーとは
デカルコマニーとは、フランス語の動詞「décalguer(転写する)」を意味する用語で、画家であるオスカー・ドミンゲス氏が創始した絵画技法のことを指します。
乳児から幼児まで幅広い年齢で楽しめるデカルコマニーについて、くわしく見ていきましょう。
デカルコマニーってどんな遊び?
デカルコマニーは、絵の具を塗りつけた紙を半分に折り、絵の具を転写させて行います。
保育の現場では、画用紙などの半分に絵の具を塗ったり、スタンプのようにポンポンと絵の具をつけたりして、画用紙を折りあわせて転写させる方法で行うことが多いでしょう。
紙を開くと模様が左右対称になり、予想だにしない絵が完成することは、子どもたちにとって楽しい絵画遊びとなるかもしれません。
デカルコマニーの特徴
デカルコマニーでの製作では、自由に置いた絵の具が、紙を重ねあわせることで作り手の意図や予想とは反する不思議な模様になります。
そのため、作り手の「無意識」が表出する芸術技法でもあると言われています。そうした面白さがあるのがデカルコマニーの最大の特徴と言えるでしょう。
デカルコマニーを実践するにあたって、特別な技術や道具は不要です。筆を持つ必要もないので、指先の動きが発達していない年齢でも簡単に楽しめる技法と言えますね。
保育におけるデカルコマニーのねらい
芸術的な絵の具遊びを気軽に楽しめるデカルコマニーですが、保育に取り入れるには以下のようなねらいがあるようです。
- 自由に表現することの楽しさを味わう
- 紙を開くときにどんな模様になっているか期待をもつ
- 色が滲んだり、混ざったりする様子を楽しむ
- 完成した模様から、想像力を膨らませる
- 友だちと模様を見せあって違いを楽しむ
保育士さんはこのようなねらいに基づき、子どもがのびのびと絵画製作できる環境を整えることが求められるでしょう。
また、仕上がった作品に対して必ず肯定的な言葉かけをするなど、子どもが楽しさや自信を感じられるような援助を意識するとよいですね。
保育にデカルコマニーを取り入れるときのポイント
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では、実際にデカルコマニーを保育園で行うとき、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
絵の具を塗ったら時間を置きすぎないようにする
デカルコマニーをする際、絵の具を塗ってから時間が経ってしまうと、乾いて模様がつきづらくなります。
また、半分に折りたたんだまま放置すると、絵の具が乾いてくっついてしまい、開くときに破れてしまう可能性もあるでしょう。
スムーズに製作を進められるよう、必要な道具や環境を用意してから行うとよいですね。
さまざまな色の絵の具を準備する
デカルコマニーを行う際は、子どもが自由に色を選べるよう、さまざまな色の絵の具を準備するとよいでしょう。
たくさんの色を使うことで、紙を折りたたんだ後に色の混ざりあいを楽しめます。
また、一度作った模様の上に、再度別の色を使った模様を重ねてみると、また一味違う作品になるかもしれません。
子どもの発想力を活かせるよう、人数に応じた十分な量の絵の具や画用紙を準備しておけるとよいですね。
子どもたちの想像力を育む言葉がけを意識する
デカルコマニーでは、偶然にできた模様を楽しみながら遊ぶこともできます。
絵の具の模様を眺めて、「○○みたい」と想像を膨らませてみるのも面白いかもしれません。
保育士さんが「これは○○だね」と決めつけるのでなく、子どもが自分なりの発想を楽しみながら製作を楽しめるよう見守っていきましょう。
保育で楽しむデカルコマニー:導入例と基本のやり方
ここからは、保育園でデカルコマニーを行うときの導入例や基本的なやり方を説明していきます。
準備物が少なく簡単にできるので、保育実習や入職後の参考にしてみてくださいね。
デカルコマニーの導入例
まずは、デカルコマニーをするときの導入例を紹介します。
絵本を読み聞かせする
デカルコマニーには、色の混ざりあいや模様を楽しむというねらいがあります。
そこで導入として、さまざまな色の絵の具で描かれた絵本や左右対称の絵柄が使われている絵本などを読み聞かせを取り入れてみましょう。
そうすることで、子どもたちに色や模様への興味を引くことができるかもしれません。
保育士さんが実演して見せる
実際に保育士さんが指に絵の具をつけてデカルコマニーの手順を途中まで実演するのもよさそうです。
「紙を開くとどうなるかな?」と子どもたちに予想してもらってから、紙を開いてどんな模様ができるのかというところまでを見てもらえば、子どもの意欲につながるでしょう。
このように、子どもたちがデカルコマニーに興味や期待を持てるような導入ができるとよいですね。
遊び方
ここからは、実際にデカルコマニーを遊ぶときの手順を見ていきましょう。
用意するもの
用意するものは、以下の3つです。
- 画用紙
- 絵の具
- パレットや小皿など絵の具を入れる容器
特別な道具の準備が不要なのも、デカルコマニーのよいところと言えます。
デカルコマニーを行なった後に、切り抜いたり絵を描き足したりして別の作品に活かしたいという場合は、はさみやクレヨンなども用意しておくとスムーズですね。
必要な数に応じて絵の具やパレットなどを用意して、複数の子どもが同時に行なっても自由に表現できるような環境作りも意識しておきましょう。
デカルコマニーの手順
1.あらかじめ、紙を半分に折って開き、折り目をつけます。
これによって、どの線を中心に左右対称となるのかわかりやすくなります。
2.片面に自由に絵の具をつけます。
指で直接かいたり、チューブから直接出して塗りつけたりと自由にかきます。
3.絵の具が乾かないうちに、折り目に沿って紙を折る。絵の具がしっかりと転写されるよう、全体を丁寧にこすります。
4.紙が破けないよう、ゆっくりと開いてできあがりです。
紙を開くと、左右対称の不思議な模様が浮かびあがります。
そのままでも素敵な作品の一つとなりますが、用意する紙の形を工夫したり、絵の具を乾かしてからデコレーションしたりしてもまた一味違った製作物になるかもしれませんね。
保育で楽しむデカルコマニー:製作へのアレンジ方法
ここでは、デカルコマニーのアレンジ方法を紹介します。アイデアを活かして、デカルコマニーをさらに素敵な作品に仕上げてみてくださいね。
ちょうちょを作ろう
<作り方>
1.保育士さんは画用紙を予めちょうちょの形に切っておきます。
2.(1)の紙に子どもたちがデカルコマニーを行ないます。
3.絵の具が乾いたら、モールで作った触角をテープでつけてできあがりです。
ちょうちょができたら、壁や大きな画用紙に貼って飾ってもよいですが、たこ糸などに3~5個ずつつけて天井から垂らしてみましょう。
ゆらゆらと揺れるモビールのような飾りになって、保育室がより華やかになるかもしれませんね。
お花を作ろう
<作り方>
1.保育士さんは画用紙をお花の形に切っておきます。
2.(1)の紙に子どもたちがデカルコマニーを行ないます。
3.原っぱに見立てた緑色の模造紙に(2)を貼りつけてできあがりです。
子どもたちが仕上げた作品で、お花畑の壁面を作ってみましょう。
デカルコマニーの不思議な模様は、パンジーやビオラの花に見えるかもしれません。
絵の具を用意するときは、お花にぴったりな明るく華やかな色を調合するとよさそうですね。
上記のちょうちょの製作と合わせて飾れば、より春らしい雰囲気を演出できるでしょう。
手袋を作ろう
<作り方>
1.画用紙に子どもたちがデカルコマニーを行ないます。
2.絵の具をよく乾かして、左右対称の手袋の形にカットします。
3.(2)を毛糸でつなげてできあがりです。
左右対称の模様を活かして、2つで一組となる手袋の製作に仕上げることができます。
絵の具や毛糸はさまざまな色を用意しておき、子どもたちが自由に色を選べるように環境を整えておくとよいですね。
自由にお絵かきしてみよう
特にテーマを決めずに、できた模様から連想するものを自由に表現してみると活動のも面白いかもしれません。
模様に絵を描き足してみたり、何かの形に切り取ってみたりと、子どもが発想力を働かせながら自由な表現をすることで、できあがった模様をさらに楽しめそうですね。
デカルコマニーを保育に取り入れて絵の具遊びを楽しもう
今回は、デカルコマニーの特徴やねらい、導入のポイント、基本的なやり方とアレンジ方法を紹介しました。
デカルコマニーは画用紙と絵の具さえあれば簡単に取り入れられ、アイデア次第でさまざまな作品に活かせる技法です。
絵の具のつけ方によってさまざまな模様ができるので、二度と同じ模様が作れない、誰とも同じ模様ができないのがデカルコマニーの魅力であり面白いところかもしれませんね。
保育園で子どもたちといっしょにデカルコマニーを楽しみながら、オリジナルの作品を製作してみてはいかがでしょうか。