保育園や幼稚園では、登園後や午睡の後などに自由遊びを行なうこともあるでしょう。自由遊びのねらいや環境構成のポイントついて知っておくと、子どもたちも安全に遊べるかもしれません。今回は保育園での自由遊びについて、ねらいや子どもの自主性を育むために保育士が行なう援助などを紹介します。
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保育園での自由遊び
子どもにとっての自由遊びとは、好きな遊びを見つけたり選んだりして、自由に楽しむことができる時間といえるかもしれません。
また、その時間によって子どもの自主性を育んだり、興味や関心がある事柄を知るきっかけにもなったりすることから、保育園でも重要視されているようです。
今回は、自由遊びについて、ねらいや子どもたちが楽しめるようにするための工夫について紹介します。
自由遊びのねらい
自由遊びには、
- 子どもの自主性を育む
- 遊びを通して友だちとのかかわりあいを楽しんだり、発展させたりする
- 遊びの中でうまくいかないことが起きたときは自分の力で解決しようと試行錯誤する・友達と考えを出し合ったりする
などといったねらいが挙げられるようです。
自由遊びの環境構成のポイント
子どもたちが自由遊びの時間を楽しめるようにするため、保育士さんはどんな環境を作っているのでしょうか。
ここでは、自由遊びにおける環境構成のポイントについて紹介します。
子どもが自由に遊べるような工夫をする
子どもたちが自由遊びの時間を有意義なものにできるように、道具を用意しておいたり、いくつかコーナーを設定しておいたりして工夫しましょう。
そうすることにより、子どもたちは自分が興味のあるものや好きなものを見つけやすくなるでしょう。
材料や道具は多めに用意する
遊びの中で必要な材料や道具などは多めに用意しておきましょう。
たとえば自由遊びで製作を行なう場合、クレヨンや素材などが少ないと取り合いになり、ケンカに発展してしまうことも考えられます。
材料や道具などの数は十分な数を揃えておくことで、子どもたちはスムーズに遊びに取りかかれそうですね。
また、子どもたちの手の届くところに道具や材料を配置することで、遊んでみたい、触ってみたいと思ったときにすぐ遊べるようになるでしょう。
明日も遊びの続きができるような工夫をする
自由遊びに限らず、保育園や幼稚園の活動には時間に制限があります。
しかし、もうすぐ完成というときや試行錯誤しているときなどに時間がきて終わりになってしまうと、残念な気持ちになる子どもも出てくるかもしれません。
そのときのためにも、次の自由遊びの時間に続きができるように工夫しましょう。
たとえば、フラフ-プや三角コーンなどで目印をつけておくと、「明日の続き」として子どもたちにもわかりやすくなりそうです。
子どもたちだけでなく、職員の方にも共有しやすくなるのもよいですね。
次の日になって子どもの気持ちが変わり、別の遊びをすることも想定していくつか遊びを選べるようにしておくとよいでしょう。
子どもたちの安全に配慮する
自由遊びの場合、子どもたちが自由に動き回ることが考えられるため、けがをしないように保育士の配慮が必要になります。
たとえば、走り回ってもぶつからないように広い場所を確保したり、周囲にあらかじめマットを敷いておいたりするなど、子どもたちが安全に遊べるようにしましょう。
状況を見て子どもたちの仲立ちする
自由遊びは集団遊びに発展したときなど、同じ遊びをしている子ども同士でケンカが起こることがあるようです。
年中クラスや年長クラスであれば、ケンカが起きてしまった場合でも、子ども同士で解決できるように見守り、けがに発展する可能性があったときは保育士さんが仲立ちするといいでしょう。
年少クラスでは、自分の気持ちをうまく言葉にできない場合が考えられるため、互いの気持ちを保育士が代弁して伝えたり、双方の意見をきちんと受け止めたりすることが大切です。「◯◯くんはこう思っていたんだね」「◯◯ちゃんは、△△されたのが嫌だったんだね」ときちんと子どもの気持ちに寄り添って対応しましょう。
保育園での自由遊びの一例
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自由遊びの内容は保育園や幼稚園によってさまざまです。
ここでは、自由遊びの時間に見られる子どもの姿をいくつか紹介します。
砂遊び
自由遊びの時間に砂遊びをしている園もあるようです。
砂は基本サラサラですが、水を加えることで固まるため形状の変化を楽しむことができます。
砂でお城や山を作ったり、トンネルを作ったりするなど、子どもたちの発想次第で自由に遊ぶことができそうですね。
また、平たく形を整えて葉っぱなどを飾ってケーキに見立てたり、友だち同士で協力して一つのものを作ったりする子どもの姿が見られるかもしれません。
まだ形を上手に作れない子どもたちでも、砂や水を入れて泥にするなど感触を変えられることを伝えると、より楽しんでもらえそうです。
砂遊びでは、シャベルやスコップ、バケツなどの道具を用意し、遊びやすい環境構成にすることが大切といえるでしょう。
ごっこ遊び
自由遊びの時間にごっこ遊びを楽しむ子どももいるようです。
おままごとやお店屋さんごっこなど、子どもたちが楽しめるように、食べ物やキッチンのおもちゃなどを設置しておくとよいですね。
そのとき、保育士が折り紙や画用紙などで食べ物やお札を作ってきてもよいでしょう。
商店街に見立てていろいろなお店を出してみてもおもしろいかもしれません。
子どもたちの状況をみて、「新しいお店ができたみたいだよ」のように声掛けをすることで、遊びが展開していくこともあるでしょう。
廃材を使った製作遊び
自由遊びの時間に廃材を使った製作をする園もあるようです。
ペットボトルや牛乳パックといったさまざまな種類の廃材を用意すると、子どもたちは想像力を活かして作れそうですね。
モールや毛糸、画用紙などの材料を用意すると、飾りとしても使うことができるので、よりオリジナルの作品を作ることができるでしょう。
製作遊びを行うときは、子どもたちがイメージしたものを作れるように、材料や道具は十分な数を用意しておいたり、見本として保育士さんが作った作品や図鑑、絵本などを準備したりすることも大切になります。
自由遊びについてきちんと理解して入職後に役立てよう
今回は、保育園での自由遊びについて紹介しました。
自由遊びには、子どもたちが自分で遊びを選ぶことで自主性を育み、友だちと遊ぶことで相手の気持ちを受け止めたり、自分の気持ちに折り合いをつけたりするなどのねらいがあります。
子どもたちが安全かつ自由に遊べるように、細かいところまで目を配り、子どもたち一人ひとりが楽しめる環境構成にできるとよいですね。
遊びを選べるようにしたり必要な道具を複数用意したりと工夫しながら、子どもたちの自由遊びの時間を充実させましょう。