上京して保育士として働いてみたいと考える保育学生さんのなかには、「しっかり生活できるかな」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし都会で働くからこそ上京サポートを受けられるなどメリットもさまざまあるようです。今回は、上京したいと考える理由やメリットとデメリット、注意点を紹介します。
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上京して保育士を目指す理由
地方に住む保育学生さんのなかには「上京してみたい!」と思っていても、引っ越し費用や生活費用、知らない土地に住む不安などが大きいという方もいるのではないでしょうか。
しかし、保育士として働くのであれば、首都圏には数多くのメリットがあるようです。
まずは保育学生さんがなぜ上京を考えるのか、その理由の例から見ていきましょう。
給与が高いから
一般的に、「首都圏で働いた場合、地方より給料が高い」というイメージがあるかもしれません。保育士の場合も、このイメージに当てはまります。
運営母体や雇用形態によって給与額は異なりますが、厚生労働省「保育士等に関する関係資料」によると、保育士の平均年収は約310~340万円ほどであるのに対し、東京の保育士の年収は、350~390万円となっているようです。
つまり全国平均より50万円ほど高い給与と言えるでしょう。
そういった収入面から、上京を考える保育学生さんも多いのかもしれませね。
地方に比べて求人数が多いから
首都圏には、以下のような地方にはない魅力的な求人が数多くあります。
- 特色ある理念やプログラムに沿って保育を行う園
- 園児数が19名以下の小規模保育園
- オープニングスタッフとして働ける園
- 独自の福利厚生やサービスのある園
首都圏では、地方に比べてさまざまな運営形態の保育所があったり、有効求人倍率も高めであったりするでしょう。
幅広い選択肢のなかから、自分の希望に応じて働きたい園を選べることも大きな魅力の一つかもしれませんね。
上京して保育士になるメリットとデメリット
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次に、実際に上京して保育士になるときのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
まずはメリットから紹介します。
借り上げ社宅制度を利用すれば家賃負担が少ない
保育士支援策として、「保育事業者宿舎借り上げ支援事業(借り上げ社宅制度)」というものがあります。
借り上げ社宅制度とは、自治体や保育園を運営する法人が借りた物件に住むと、家賃の全額もしくは一部を補助する家賃補助制度の一種です。
東京都の借り上げ社宅制度は、自治体によって補助額は異なりますが、月に最大8.2万円が補助されます。
つまり「8.2万円×12カ月=98.4万円」となり、年間約100万円の家賃負担が減ることとなります。
家賃負担が減るということは、その分手元に残る給与額が増えることにもつながるので、生活面においてかなり大きなメリットになるといえるでしょう。
上京サポートを行う園もある
企業や法人が運営する私立の園では、園独自に保育学生さんの上京をサポートする制度を設けている場合もあります。
地方から面接に訪れる応募者の交通費を負担したり、内定者には入社祝い金や生活準備金などを支給してもらえたりするようです。
上京にかかる費用が減ることは、保育学生さんやご家族の方にとってもメリットになるかもしれませんね。
短期間でキャリアアップを目指せる
首都圏ではさまざまなニーズに応えていくため保育のサービス内容も多様化し、毎年数多くの新規保育所が開園しているようです。
将来的に園長や主任を目指したい方は、新規園で経験を積んで内部昇格を目指すこともできるでしょう。
法人によって規定は異なりますが、主任や園長の役職経験がなくとも、現場経験の年数に応じてキャリアアップを目指せる場合もあるようです。
また、行政が行う研修以外にも、各保育園の方針にあわせた研修がある場合もあります。
外部の有名講師を招いた専門的なものから海外研修など、地方の保育園ではなかなか経験できない研修を受けられることで、キャリアアップやスキルアップのチャンスも多くなるかもしれません。
プライベートが充実する
東京は、日本の文化や商業の中心となっています。
プライベートで有名なお店や人気のテーマパークにもすぐに行けることは魅力の一つでしょう。
「好きなお笑い芸人やアーティストのライブに行きたい」「憧れのパティシエのお店に行きたい」といった願望も、思うままに叶えられるかもしれません。
プライベートが充実することで、仕事への意欲やモチベーションも高まるかもしれませんね。
デメリット
次に、デメリットを紹介します。
通勤が大変
首都圏では人口密度が高いため、朝の通勤時間帯は満員となり、場合によっては電車に乗り込めないこともあるため大変だと感じるかもしれません。
しかしその分電車本数も多めなので、次の電車に乗っても間に合うよう、できるだけ時間にゆとりをもって出勤するとよいでしょう。
住む場所を探すときには、最速のルートだけでなく、少し乗り継ぎが必要でもあまり混まないルートで行く方法も探しておくなど、住居から園への通勤手段についても考慮するとよさそうです。
家賃や物価が高い
給与水準が高い首都圏は、その分家賃や物価相場も高めといわれています。
自身で住居を探す場合、家が狭いわりに家賃が高いこともあるため、地方から出てきた学生さんにとって「割に合わない」と感じることもあるかもしれません。
しかし、場所によってはお得に買い物ができるお店もあるでしょう。
休日に散歩しながら近所を散策すれば、お財布にやさしいお店が見つかるかもしれませんね。
ホームシックになることもある
自分の慣れ親しんだ土地を離れ、景色も環境も変わると、ホームシックになってしまうこともあるかもしれません。
特に社会人になるタイミングで初めて一人暮らしをすると、仕事でも家事でもちょうどいい手の抜き方がわからず、精神的な負担を抱えることもあるようです。
生活に慣れるまでは、親しい友人や家族とこまめに連絡を取り、心を休めることを意識するとよいでしょう。
上京して保育士を目指すときの注意点
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最後に、上京して保育士を目指すときの注意点を紹介します。
求人情報をしっかり確認する
上京を考えた就活をする場合、求人情報をしっかりと確認することが大切なポイントになります。
規定は園によってさまざまなため、社宅借り上げ制度は利用できるか、福利厚生は充実しているかなど、それぞれの求人をよく見比べましょう。
直接園に出向いて見学や面接を行う場合、住んでいるところからその都度上京するのは交通費などの負担が大きくなるかもしれません。
就活の段階でできるだけ絞り込み、魅力を感じる園だけに応募するとよいでしょう。
上京して保育士になりたい理由を志望動機で明確にする
多くの保育学生さんが「住宅に関するサポート」が手厚い保育園への就職を希望していると思いますが、それを前面に出してしまうと面接などにおいて印象に残すことができないかもしれません。
大切なのは、数多くある首都圏の保育園のなかでなぜその園を選んだか、という理由です。
志望動機の例として、以下のようなことが挙げられるでしょう。
- 保育理念や保育方針に共感した
- 食育・英語・リトミック・絵画などのプログラムがあり、保育士として学べることが多いと思った
- 保育園が独自に行っている行事・研修・交流会に魅力を感じた
このように、「この園だから働きたい」という意思が現れるような志望動機をしっかりと定めておくことで、応募先の採用担当者にも印象を残せるでしょう。
物価や家賃相場を把握しておく
園の規定によって借り上げ社宅制度を利用できるのが5年までと定められている場合、その後の住居は自分で決めなければならないということもあるでしょう。
そのような場合に、あらかじめどのエリアが自分にとって生活しやすいかを把握しておくと住居探しの参考になりそうです。
また、首都圏においては、物価や家賃相場がエリアによって異なります。
休日などにいろいろな場所に出かけ、散策しながら街並みやお店に並ぶ商品の相場を見るなどして、自分なりに暮らしやすそうなエリアを探してみるのもよいかもしれませんね。
上京して保育士になることも視野に入れてみよう
今回は、上京して保育士になりたいと考える理由やメリットとデメリット、注意点を紹介しました。
生活面などの心配から、上京への不安を抱える保育学生さんもいるかもしれません。
しかし、首都圏で保育士として働く場合、家賃補助制度や上京サポートが受けられるなどメリットも数多くあります。
キャリアアップのチャンスがあることやプライベートの充実も魅力の一つといえるでしょう。
求人情報をしっかりと確認しながら、上京して保育士になることも視野に入れて就活を進めてみてはいかがでしょうか。