保育士の事務作業とは?一覧と内容、ICTの活用など効率化するためのコツ

保育士の仕事の一つである事務作業には、保育計画や日誌、連絡帳などさまざまな書類作成があります。
保育学生さんのなかには、実習や入職前に事務作業を効率よくこなす方法を知っておきたいという方もいるかもしれません。
今回は、保育士の事務作業のリストと内容、効率化するコツ、負担軽減を意識した就職先の選び方を紹介します。

エプロンをした保育士さん

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保育士の事務作業とは?

保育現場における事務作業とは、保育計画や指導案の作成、連絡帳や保育日誌の記入、そのほかさまざまな書類作成など、保育以外に発生する業務のことをいいます。

事務作業のほとんどが手作業で行われることが多く、手間や時間がかかるため保育士さんの業務負担の原因の一つになることもあるようです。

まずは、保育現場の事務作業にどのようなものがあるのか、くわしい内容を紹介します。

保育士の事務作業リスト

一般的に保育士さんが行う事務作業をリストにまとめてみました。

<保育士の事務作業一覧>

  • 保育計画書の作成
  • 連絡帳の記入
  • 保育日誌の作成
  • 保育経過記録(児童票)
  • お便りの作成・発行
  • 行事計画書の作成

一つずつ内容を見ていきましょう。

保育計画書の作成

保育園や幼稚園では、一定の保育理念にもとづいて、地域の実態、子どもの発達、家庭状況や保護者の意向、保育時間などに考慮しながら、保育計画を作成します。

保育計画の業務は主に以下の2つにわけられます。

  • 長期計画(年間計画・月案)
  • 連絡帳の記入

保育計画では、時季や子どもの成長過程をイメージしながら目標を決め、大まかな一連の保育の流れを設定します。

長期計画の場合、行事予定と組み合わせながら計画する場合もあるので、しっかりとスケジュール調整しながら、年間計画と月案の作成を行なうことが大切です。

そして長期計画をもとに、「子どもとどのようにかかわっていくのか」や「ねらいに沿って保育をするためには、何をしなければならいのか」など、子どもの状況に考慮しながら具体的な保育について短期計画(週案や日案、行事の指導案)を作成していきます。

それぞれの園によって保育計画作成を行う頻度は異なるものの、月ごと、週ごとなど定期的に作成する場合が多いでしょう。

連絡帳の記入

連絡帳の記入は、保育士と保護者が子どもの様子を伝えあうための大切な業務です。

保護者への事務連絡はもちろん、保育園での子どもの様子やその日のできごとなどを振り返り書き残すことで、保護者は見えなかった子どもの一日の様子を感じとることができます。

また、保護者から保育士へは、家庭での子どもの様子を伝えたり、不安や悩みなどを打ち明けられる場になったりするので保護者と保育士間のコミュニケーションの手段として重要な業務といえるでしょう。

0歳児~2歳児クラスでは毎日、3歳児以上のクラスでは保護者からの連絡があった場合にのみ記入するなど、園によって形式や頻度が異なるかもしれません。

保育日誌の作成

保育日誌は、毎日発生する事務作業の一つで、クラス全体の活動や子どもの出席状況、その日にどのような保育を行ったかを記録するものです。

記録事項として、一般的に以下の項目が挙げられます。

  • 日付、天候
  • 園児の出席人数、欠席人数、欠席理由
  • 園児たちの健康状態
  • 保育のねらい、その日の保育内容
  • 園児の様子
  • 保護者への連絡事項
  • 反省点や気づいたこと

このような記録を毎日行うことで、日々の保育を振り返りができるだけでなく、現状の課題や改善点も見つけられるでしょう。

その課題をもとに、よりよい保育を行っていくための目標設定に活かすこともできるかもしれません。

保育経過記録(児童票)

児童票とも呼ばれる保育経過記録は、日々の保育で見える、子ども一人ひとりの成長や性格などの発達面においての記録をくわしく行う業務です。

記録事項として、一般的に以下の項目が挙げられるでしょう。

  • 生活と健康に関するもの
  • 言葉の理解力
  • 情緒面も含む人間関係
  • 運動能力
  • 表現、感性
  • 家庭との相談・連絡事項

この記録では、園児ひとり一人の特徴などを把握したり、進級時や担任を引き継ぐときなどに園児の情報を保育士間で共有したりするためにも大切な書類になります。

また、保護者と保育士間の関わりも把握することができるので、次の指導案計画にも活かすことができるかもしれません。

記入する頻度は子どもの年齢や書類のフォーマットによる区分にもよりますが、おおよそ1カ月に一度ほどになるでしょう。

お便りの作成・発行

園やクラスの様子を保護者に伝えるための定期的なお便りの発行も、担任保育士の仕事です。

月ごとのスケジュールのほかに、クラスごとで楽しんでいる遊びや子どもの姿を、イラストなど交えながら保護者に伝わるよう具体的に作成します。

お便りの発行の頻度はおおよそ1カ月に1回の園が多いでしょう。

行事計画書の作成

行事計画書は、遠足やクリスマス会、生活発表会など、園での行事があるときには「子どもにどのような経験をさせたいか」の目的を考え、具体的な活動内容や保育士の援助など見通しをもたせた計画案を作ります。

園で定められた行事の数に応じて作成の頻度は異なるでしょう。

上記で紹介した書類のほかにも、健康診断記録表や防災訓練計画、事故記録簿、職員会議の議事録などの書類作成をすることもあるかもしれません。

保育士の事務作業を効率化するためのコツ

書類の山

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では、実際に保育士の事務作業を行うとき、どのように工夫すれば効率化を目指せるのでしょうか。
事務作業を効率化するためのコツを紹介します。

タスクを整理する

まずは業務のタスクを整理することを意識しましょう。

どのような業務があるのか大枠で分類した後、その業務で発生する作業を詳細に洗い出していきます。終わった作業については、チェックボックスなどを作って完了したことがわかるように管理することで、やり忘れや確認漏れを防ぐことができるでしょう。

タスクを「見える化」することで、優先度の高い作業や低い作業を整理することもできるかもしれません。業務の進捗状態も把握しやすいので、ほかの保育士さんとも連携が取りやすくなるでしょう。

作業時間の目安を決める

事務作業の効率化を目指すためには、作業時間自体を短縮していくことが理想的です。

しかし、慣れないうちは作業スピードを急に上げることは難しいでしょう。

まずは、どのくらいで事務作業を終わらせたいのか、着手前に目安の時間を決めるとよさそうです。その時間内に作業を終えることを目指せば、集中力も上がり時間短縮につながるでしょう。

作業時間の目安を決めることは、作業スピードを上げるための方法でもありますが、限りある時間への意識をもつ、という点でも有効といえるかもしれません。

ICTシステムを活用する

以下のような保育士の事務作業を、ICTシステムを活用しながら行なうのも効率化のコツといえるでしょう。

  • 指導計画の作成
  • 保育日誌の記入
  • おたよりのフォーマットやテンプレートに沿った作成
  • 職員会議の議事録

ICTシステムを園全体で活用すれば、上記の書類の内容についても複数のスタッフ間で情報共有しやすくなったり、引き継ぎが容易になったりするでしょう。

また過去のデータやフォーマットなどを参考にできることで、はじめから作る必要がなくなるため、さらなる効率化を目指すことができそうです。

手書きでの書類作成に費やす時間を、子どもたちと向き合う時間に充てることができれば、保育士さんだけでなく子どもたちにとっても有意義かもしれませんね。

保育士の事務作業への対策をしている園に就職するには

就活においてどういった園を選べば事務作業の負担が少なくなることが見込めるのでしょうか。
事務作業の負担軽減を意識した場合の、就職先の選び方を紹介します。

ICTシステムを導入しているか

書類の作成や登退園管理などにICTシステムを導入し、保育士の事務作業の負担を少なくする努力をしている園もあるようです。

ICTシステムを導入している園は採用情報でそれをPRしていることが多いので、就職の際は注目するとよいかもしれません。

面接や園見学の際には、具体的に保育のなかでどのようにICTシステムを活用しているのかを確認し、どの程度保育士さんの負担が減っているのか確認するとよいでしょう。

勤務している保育士の数が多めか

子どもの人数に対して保育士さんが多く在籍している園であれば、事務作業を含む業務の分担がしやすい環境で働くことができるかもしれません。

保育士さん一人に対して受けもつ子どもを少なくし、連絡帳などの記入にかける時間を減らしたり、パート職員さんも多く雇用することで製作物の作成などを分担したりするなど、個人の事務作業の負担を軽減するように取り組んでいる園もあるようです。

求人情報を見る際は、園児数に対する在籍保育士数にも注目してみるとよいかもしれませんね。

保育士の事務作業を効率よくこなす工夫をしよう

今回は、保育士の事務作業の一覧と内容、効率化するためのコツ、意識した就職先の選び方を紹介しました。

保育以外の事務作業もある保育士の仕事では、業務をしっかりと整理し、優先度を決めて効率化を目指すことが大切といえるでしょう。優先度を決めたら、いかに作業スピードを上げられるか、効率よく進められるかを工夫していくことで、自分なりの方法が見えてくるかもしれません。

また、ICTシステムの活用のように、手書きでやらなくてもいいことをシステムやツールに任せるのも有効と言えるでしょう。

事務作業の効率化を図ることで負担や作業時間を減らし、その分プライベートを充実させたり、子どもと向き合う時間に充てられたりするとよいですね。

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