泡が立つ様子やふわふわした感触を楽しめる石鹸遊び。子どもたちは遊びを通して、泡の性質を知ったり手洗いに興味を持ったりするかもしれません。今回は石鹸遊びについて、ねらいとともに遊び方のアイデアを紹介します。感触遊びをはじめ、石鹸を使った食べ物作りや実験の遊び方を知って、保育実習や入職後に役立ててみましょう。
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石鹸遊びとは?
保育に活用できる石鹸遊びとは、石鹸を泡立てたり、シャボン玉など石鹸の性質を活かしたりして感触や見立てを楽しむ遊びのことです。
石鹸や泡の感触から手先の感覚を育むとともに、シャボン玉ができたり、水で泡立てられたりといった石鹸の性質の不思議さから子どもの好奇心を養うことにもつながるでしょう。
また、泡を使った形作りや見立てを通して創意工夫する力を育むといった効果もありそうです。
石鹸遊びは乳児から楽しめる遊びですが、1歳児くらいになり何でも口に入れようとする時期が落ち着いてから取り入れると安心して遊べるかもしれません。
保育における石鹸遊びのねらい
保育で行う石鹸遊びでは、子どもの姿に合わせて以下のようなねらいを設定していることが多いでしょう。
- 石鹸のぬるぬるした感触や、泡の心地よい感覚を楽しむ
- 石鹸と水を混ぜると泡が立つ、水で流すと消えるといった泡の性質に気づく
- 泡の様子の変化を観察しながら工夫して遊ぶ
- 友だちや先生と泡の面白さを共有しながら遊ぶ
実習などでもまずは石鹸の感触を楽しむことや、石鹸の性質を利用して遊ぶことをねらいにするとよさそうです。
また、子どもの年齢や経験によってできることが異なるので、担当する子どもに適した内容にすることが大切といえるでしょう。
手洗いで石鹸を使うときや、感触遊びをするときの様子を前もって観察しておくと、子どもの姿に合ったねらいを立てられるかもしれませんね。
石鹸遊び:感触を楽しめるアイデア
まずは泡の感触を楽しめる石鹸遊びのやり方を紹介します。
1.石鹸を泡立ててみよう
たらいやボウルを用意し、水と石鹸を入れて泡立てます。
寒い季節は40度程度のお湯を使うと、手先が冷えることなく遊べそうです。
効率よく石鹸を泡立てる方法はさまざまあり、それぞれの方法によってできる泡の硬さや感触が異なります。
以下の表を見ながら、活動内容や子どもの姿に適した方法を考えてみましょう。
乳児クラスの子どもは、簡単に泡立てられるスポンジや液体石鹸を活用するとスムーズでしょう。
また、4歳児や5歳児の子どもでも、泡立て器やおろし金を使うと時間がかかってしまうことがあるため、活動時間には余裕を持っておくとよさそうです。
まだうまく混ぜることができない場合は、「○○回混ぜたら先生にバトンタッチしてね」と交代すれば、子どもの意欲が続きやすいかもしれません。
子どもの年齢や発達に合わせて、使いやすい道具や方法を選ぶとよさそうですね。
2.石鹸を触ってみよう
泡がたったら、まずは手で触って感触を味わってみましょう。
「ふわふわだね」などとオノマトペを使いながら、心地よさを味わえる声かけができるとよいですね。
泡を腕などにこすりつけたり、カップに入れたりして、感触や形の変化を楽しみましょう。
3.色をつけてみよう
一通り感触を楽しんだら、少量の水で絵の具を溶かしたものを泡に混ぜ、色をつけてみましょう。泡に触れて遊びながら、見立てや混色を楽しむことができそうです。
また、大きな模造紙を用意して泡で色塗りをしてみるのもよいでしょう。このような石鹸遊びを室内で行う場合は、机にシートやラップを敷き、その上で遊ぶと片付けなども楽になりますよ。
戸外で遊ぶ場合は、ブルーシートの上で活動し、子どもが足を滑らせないよう靴を履いて遊んでもらうとよさそうです。
また、側にタオルを用意しておくことや、汚れても大丈夫な服を用意してもらうことも大切となるでしょう。
石鹸遊び:食べ物製作のアイデア
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石鹸遊びのアレンジとして楽しめる、食べ物作りのアイデアを紹介します。
感触遊びを充分に楽しんだあとに取り入れてみれば、いっそう遊びが盛り上がりそうです。
クリームソーダ
透き通った色水と組み合わせて、カラフルなクリームソーダを作ってみましょう。
用意するもの
- 石鹸
- 泡立て器
- ボウル
- おろし金
- スプーン(泡をのせるため)
- プラスチックコップ(透明)
- 水性ペン 数色
作り方
1.石鹸をおろし金で削り、水を入れて泡立て器で混ぜて泡を作ります。
2.プラスチックコップの内側に、好きな色の水性ペンで色を塗ります。
3.(2)に水を注ぎ、ソーダを作ります。
4.(3)のソーダの上に(1)の泡をのせれば、できあがりです。
ポイント
色水遊びもいっしょに楽しめるクリームソーダ作りを取り入れてみましょう。ストローやサクランボなどの飾りがあると、より本物らしいごっこ遊びが楽しめるかもしれません。
(3)の工程で水を入れすぎるとソーダの色が薄くなるため、保育学生さんが注意して見ておきましょう。
もしくは、水の量を調整しやすいようスポイト付きボトルを用意しておくなど工夫してみてもよいですね。
ケーキ
石鹸を生クリームに見立てて、ケーキを作って遊んでみましょう。
用意するもの
- 石鹸
- 泡立て器
- ボウル
- おろし金
- 絵の具 数色
- スポンジ
- スプーン
- お皿
- 飾り(ビーズ、木の実など)
作り方
1.絵の具を水に溶かし、色水を作ります。
2.石鹸をおろし金で削り、(1)の色水を入れて泡立て器で混ぜて泡を作ります。
3.スポンジをケーキの土台に見立て、泡をのせていきます。
4.ビーズや木の実で飾りつけをすれば、できあがりです。
ポイント
あらかじめスポンジを丸や三角などにカットしておくと、本物のようなケーキが作れるでしょう。
泡作りではなるべく硬い泡になるよう、少量の水で根気よく泡立てることが大切となりそうです。
戸外遊びで実践する際には、ケーキの土台を泥で型抜きして作っておいても楽しいかもしれません。
パフェ
泡を生クリームのように絞って、パフェを作ってみましょう。
用意するもの
- 石鹸
- おろし金
- 絵の具 数色
- ビニール袋
- はさみ
- 空き容器・カップ
- スプーン
- 飾り(ビーズ、モール、木の実など)
作り方
1.絵の具を水に溶かし、色水を作ります。
2.石鹸をおろし金で削り、ビニール袋に入れます。
3.(2)の石鹸に(1)の色水を入れて袋の上からもみ込み、泡を作ります。
4.袋の底の方端をハサミで切り、絞り袋を作ります。
5.カップに(4)のクリームを絞ります。
6.ビーズなどで飾りつけをして、できあがりです。
ポイント
絞り袋の口は、安全のため保育学生さんがカットするようにしましょう。
ビーズの他にも、フラワーペーパーを丸めてアイスクリームを作ったり、モールをカットしてチョコスプレーに見立てたりすれば、よりパフェらしい見た目になりそうです。
石鹸遊び:実験を楽しめるアイデア
石鹸遊びの一環として楽しめる、実験遊びのアイデアを紹介します。
石鹸の性質の不思議さを味わえそうな4歳児や5歳児で行えば、子どもの関心を引き出せるかもしれません。
割れにくいシャボン玉
用意するもの
- 紙コップ
- 水 100ml
- 中性洗剤 5ml
- 洗濯のり 50ml
- 割りばし
- ストロー
- はさみ
作り方
1.紙コップに水、中性洗剤、洗濯のりを入れます。
2.割りばしでしっかり混ぜます。
3.ストローの先端に1cm程度の切り込みを入れて広げます。
4.(3)の先端に(2)の液をつけて吹けばできあがりです。
ポイント
あらかじめ洗剤などの分量を量って容器に入れておけば、スムーズに活動が進むでしょう。
この実験以外にも、石鹸水に砂糖を混ぜると割れにくくなるなどの方法もあります。
子どもといっしょに、何を混ぜたら割れにくいシャボン玉ができるか試してみてもよいですね。
あぶり出し
石鹸でかいた見えない絵が浮かび上がってくる、不思議なあぶり出し遊びです。
用意するもの
- 石鹸
- 折り紙
- 水
- 洗面器・バット
作り方
1.折り紙に石鹸を使って絵をかきます。
2.洗面器に水を張り、(1)の折り紙を水に浸けます。
3.かいた絵が浮かび上がってくればできあがりです。
ポイント
石鹸は水を吸収しやすいため、絵をかいた部分が水分を含み、折り紙の色が透け出すというしくみになっています。
なるべく濃い色の折り紙を使うと、あぶり出しが見やすくなるでしょう。
濡れた手で石鹸を触ると滑りやすいので、タオルを用意したりこまめに手洗いをするよう呼びかけたりしましょう。
ぷるぷる石鹸
用意するもの
- お湯 250ml
- 石鹸水 60ml
- ゼラチン 30g
- 食紅 少量
- プラスチックコップ 2個
- 製氷皿
作り方
1.コップにお湯とゼラチンを入れてよく混ぜます。
2.(1)に石鹸水を加え、ゆっくりとかき混ぜます。
3.別のコップに食紅を入れ、(2)を入れて混ぜます。
4.製氷皿に(3)を入れて、冷蔵庫で2時間冷やし固めます。
5.固まったら製氷皿から出してできあがりです。
ポイント
ぷるぷるとした不思議な触り心地で、手洗いや泡遊びを楽しめる石鹸です。
石鹸の大きさや保存環境によって異なりますが、保存期間は目安として3~5日となっています。
手洗い指導の一環として製作すれば、子どもたちはよろこんで手洗いをしてくれそうです。
製氷皿の代わりに、お星さまやハートなどいろいろな形のシリコンカップを使用するのもよいですね。
あふれる泡の装置
用意するもの
- 水 200ml
- 食器用洗剤 大さじ3〜4杯
- 重曹 40〜50g
- 酢 適量
- ペットボトル(500ml)
- ボウル(大)
作り方
1.ペットボトルに水、食器用洗剤を入れてシャボン液を作ります。
2.(1)に重曹を入れて重炭酸ソーダを作ります。
3.(2)に酢を入れると、泡が噴き出してきて成功です。
あふれ出した泡を受け止められるよう、ボウルの中にペットボトルを置いて実験をしましょう。
ポイント
重曹と酢が反応し、二酸化炭素が発生することでペットボトルから勢いよく泡が噴き出す実験です。
動画のようにシャボン液に色をつけておくと見た目がカラフルなので、子どもたちの目を惹きそうですね。
保育学生さんは前もって予行演習を行い、泡の出るタイミングや量を把握しておきましょう。
遊び方のアイデアを知って、石鹸遊びを楽しもう
今回は、保育で楽しめる石鹸遊びのねらいやアイデアを紹介しました。
石鹸遊びでは泡立てて感触遊びを楽しむ他にも、クリームなどに見立てて食べ物を作ったり、石鹸の性質を活かした実験遊びを行ったりとさまざまな楽しみ方ができます。
遊び方のアイデアやねらいを知って、保育実習や入職後に石鹸遊びを実践してみてくださいね。