保育士資格と幼稚園免許を両方取るには?併せ持つメリットや取得方法

保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得するにはどうしたらよいのか気になる学生さんもいるかもしれません。併せ持つことで、就職先の選択肢が広がったり、認定こども園で保育教諭として働けたりするメリットがあるようです。今回は、保育士資格と幼稚園教諭免許の違いや両方を取るメリット、取得方法について紹介します。

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保育士資格と幼稚園教諭免許って両方必要?

現在就活をしている、もしくは今後就活をする保育学生さんのなかには、希望する就職先が決まっている方もいれば、まだはっきりと決まっていない方もいるでしょう。

「保育園で働きたい」あるいは「幼稚園で働きたい」と明確に定まっているのであれば、どちらか一方の資格を取得すればよいかもしれません。

しかし、就職先の希望が定まっておらず、さまざまな施設のなかから選びたいという場合は両方取得したほうが有利といえるでしょう。

就職希望先がどのような施設かによって、保育士資格や幼稚園教諭免許など必要な資格が異なるうえに、併有していることが入職条件となっていることもあるようです。その場合、両方持っていることが必要になるでしょう。

ここからは、両方の資格・免許を併有するメリットや取得方法などをくわしく解説します。

保育士と幼稚園教諭の違い

そもそも保育士と幼稚園教諭にはどのような違いがあるのでしょうか。資格の内容や勤務場所、仕事内容について見ていきましょう。

資格の内容

保育士

保育士資格は期限のない国家資格であり、厚生労働省が管轄しています。児童福祉法に基づく施設で、保護者の代わりに子どもの保育を行う者のことをいいます。

幼稚園教諭

幼稚園教諭免許は一定期間の更新の必要がある教員免許であり、文部科学省が管轄しています。学校教育法に基づく施設で、教育をする者のことをいいます。

勤務場所

保育士

  • 保育園
  • 乳児院などの児童福祉施設
  • 児童館
  • 企業内保育室
  • 病院内保育室

幼稚園教諭

  • 公立幼稚園
  • 私立幼稚園

このように、保育士が勤務するのは保育園をはじめとする「生活の場」であるのに対し、幼稚園教諭が勤務するのは「教育の場」と区別されます。

仕事内容

保育士

0~5歳児を「保育」することを目的としています。保育所保育指針に基づき、子どもの日常生活の補助や習慣を身につけるための援助をするがメインの仕事内容です。

幼稚園教諭

3~5歳児を「教育」することを目的としています。幼稚園教育要領に基づき、運動や芸術など情操教育を行うのがメインの仕事内容です。

以上のように、保育士は「保護者の代わり」、幼稚園教諭は「教員」という役割となり、子どもとのかかわり方に違いがあるようです。

しかし、近年は保育園でも幼児教育を行うなど、保育園と幼稚園を一体化する動きがあり、両者の違いは狭まってきているかもしれません。

保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得するメリット

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保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得するメリットには、どのようなものあるのでしょうか。

就職先の選択肢が増える

保育士資格と幼稚園教諭免許を両方取得するメリットとして、就職先の選択肢が増えることが挙げられます。

保育園をはじめとする児童福祉施設、幼稚園などさまざまな施設のなかから自分の希望にあった就職先を選ぶことができるでしょう。

保育実習などを通して実際の現場を体験することで、在学中に目標とする就職先が変わることがあるかもしれません。

その場合、両方の資格の取得見込みがあれば、就活の際に役立ちそうですね。

スキルアップが目指せる

両方の資格を取得していることで、「保育」と「教育」の2つの観点から子どもに携わることができるでしょう。

保育園と幼稚園、いずれかで働くだけでは得られない経験ができることで、自身のスキルアップを目指せるかもしれません。

「保育園で何年か働いたあとに、幼稚園でも教育スキルを身につけたい」といったさらなる技術向上のための転職を考えるときにも、両方の資格をもっていることが有利に働きそうです。

保育教諭として働ける

保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を有していることで、保育教諭として働けるというメリットが挙げられます。

2015年に施行された「認定こども園法」により、幼保連携型認定こども園で働くためには、両方の資格をもつ「保育教諭」であることが必要になりました。

小学校入学前の子どもたちの教育と保育を一体としてとらえる「幼保一元化」の流れは今後も続き、認定こども園に移行する幼稚園や保育園も増加していくことが予想されるでしょう。

そのため、保育教諭の需要はさらに高まっていくかもしれません。

保育士資格と幼稚園教諭免許を両方取得する方法

最後に、保育士資格と幼稚園教諭免許を両方取得するための方法を紹介します。

大学や専門学校で取得する

両方の資格を取得する最短の方法は、どちらの課程もある短期大学や専門学校で学ぶことです。

しかし、現在どちらか一方の資格や免許のみ取得できる養成校に通っている場合、卒業後にまた別の学校に進学するというのは、時間やコスト面で大きな負担がかかるかもしれません。

そういった方は、次に紹介する方法を活用してみるとよいでしょう。

通信教育を利用する

いずれかの資格や免許を取得できる学校に在学しながら、通信教育を利用してもう一方を取得するというのも一つの方法として挙げられます。

学校によっては、全国各地でスクーリングや試験を実施しているところもあるようなので、近くに大学がない場合でも、通学の必要なく単位を取得できる可能性があるかもしれません。

特例制度を利用して取得する

2021年現在、保育士資格か幼稚園教諭免許のどちらかしか持っていない方に向けて、保育教諭になるための「幼保特例制度」が設けられています。この制度により、2025年3月までは「経過措置」として片方の資格だけでも保育教諭として働くことができます。

ただし経過措置期間の終了後にも保育教諭として働き続けるには、もう一方の資格あるいは免許を取得することが必要です。

その場合、「3年間かつ4,320時間以上の実務経験」という要件を満たせば、指定の学校で通常より少ない単位を履修することで、資格や免許を取得できます。

そのため、入職後に実務経験を積みながら、もう一方の資格や免許を取ることも可能になるといえるでしょう。

両方の取得を目指しているという方は、幼保特例制度についてもくわしく調べて、活用してみてくださいね。

出典:特例制度の概要/厚生労働省
出典:幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例/厚生労働省
出典:幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例/文部科学省

保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を取得するメリットを把握しよう

今回は、保育士と幼稚園教諭の違いや両方の資格・免許を併有するメリット、取得方法について紹介しました。

両方の資格・免許を併有することで、就職先の選択肢が広がったり、保育と教育のスキルアップを目指せたりといったメリットがあるようです。

また、幼保連携型認定こども園で保育教諭として働くことも可能になるでしょう。

それぞれの資格・免許の内容などを把握したうえで、両方取得することも視野に入れて検討してみてくださいね。

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