東京をはじめとする大都市圏から地方に帰省したり移住したりして就業することを、Uターン・Iターン・Jターン就職と言います。それぞれ、どのような意味や違いがあるか知りたい学生さんもいるかもしれません。今回は、言葉の意味や、新卒で保育士になる場合のUターン・Iターン就職のメリットなどを紹介します。
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■目次
Uターン・Iターン・Jターンの意味
就職活動において、「Uターン」や「Iターン」などの単語を目にすることがあるかもしれません。それぞれどんな意味や違いがあるのか気になる保育学生さんもいるのではないでしょうか。
そもそも「ターン」とは、移住に関わる現象である「人口還流現象」のことを言います。 人が移動する動きを図で示したときと、似ている形のアルファベットを組み合わせ、移住現象を表しているのがUターンやIターンです。
それぞれどのような意味があるのか、例とともに説明します。
Uターン
Uターンは、故郷である地方から都市に移住した人が、再び故郷に戻ることを指します。
例:秋田県出身→東京都に進学で移住→秋田県に帰省して就職
東京都出身→秋田県の大学に進学→東京都に帰省して就職
「U」の字のように、一旦地元以外の場所を経由して戻ってくると考えるとわかりやすいでしょう。 都会で身につけた知識やスキルを活かして、自身の慣れ親しんだ土地で働きたいという人に向いているかもしれません。
Iターン
Iターンは、都市部から出身地とは違う地方に移住して働くことを指します。
例:東京都出身→愛媛県で就職
「I」の文字を表すように、出身地から別の地方に移住する、一方向だけの動きのことを示しています。 都会出身者で、地方での就職や生活に魅力を感じ、移り住みたいという場合に向いているかもしれません。
Jターン
Jターンは、生まれ育った故郷から進学や就職で都会に移住した後、故郷に近い地方都市に移住することを指します。
例:石川県能登半島出身→東京都に進学→石川県金沢市で就職
「J」の頭部分が故郷、末端が就職場所を表しており、「U」のように故郷まで戻りきらないととらえるとわかりやすいかもしれません。故郷にはない利便性と、都会にはない自然環境を併せ持つ「故郷にほど近い地方都市」は、どちらも望む方にとって魅力的といえるでしょう。
Uターン・Iターン就職に向いている人
UターンやIターン、Jターン就職に向いているのは、どのような人なのでしょうか。
地方で暮らしたい人
UターンやIターンは、都会での生活を離れて地元に帰りたい、または地方に移り住みたいと考える人が向いているようです。
地方に住んでいたときは都会の生活に憧れていたものの、いざ始めてみると自分のライフスタイルに合わなかった、ということもあるかもしれません。人の多さによって心理的に負担を感じたり、地方に比べて希薄な人間関係や、夜間でも賑やかな街の環境などを不快に思ったりする場合は、地方での就職を検討するのもよいでしょう。
地元や地方に希望の就職先がある人
やりたい仕事が地方にある人も、Uターン・Iターン就職に向いているといえそうです。
なかには「かつて自分が通った保育園で新卒保育士として働きたい」、「旅行先の土地柄が気に入り、そこに移住して保育士になりたい」という理由で地方での就職を検討する人もいるかもしれません。
地方で自身のビジョンに沿った働き方が望める場合、UターンやIターンを考えるのもよいですね。
保育士としてUターン・Iターンで就職するときのメリットとデメリット
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では、保育士としてUターンやIターン、Jターンで就職するときのメリットやデメリットは、どのようなものでしょうか。
メリット
通勤のストレスが少ない
地方は、都会に比べて通勤のストレスが少ないといえるでしょう。
東京のような大都市で働く人は、毎朝満員電車に乗って通勤していることも多いかもしれません。
一方地方では、通勤時間帯においても満員になるほど乗車率が高くなることはあまりないため、通勤の負担は減るでしょう。保育士は体力を使う仕事であるため、通勤にかかる負担はできるだけ抑えたいと考える人にとってはメリットかもしれません。
生活コストを抑えられる
都会に比べると地方は物価や家賃が安いこともあり、生活コストの削減が望めるでしょう。 なかには、移住者向けに自治体から住宅などの支援金を支給しているところもあるようです。
一般的に給料は都会より地方の方が安い傾向にあるようですが、生活面での出費が抑えられることから、その差をカバーすることができるかもしれません。
将来的に子育てがしやすい
地方で就職するメリットの一つとして、将来的に仕事をしながら子育てがしやすい環境であることが挙げられるでしょう。 都市部では待機児童の問題が深刻化しているため、保育園が見つからず、出産後希望する時期に職場復帰できないということもあるかもしれません。
一方地方は、自治体によって待機児童0人を実現しているケースもあるため、都会に比べてスムーズに保育園に入園させることができそうです。また、子どもたちが豊かな自然のなかで遊べる環境も魅力的であり、自身の子どもを預けたり保育士として働いたりする場合にも、のびのびと子育てすることができるかもしれませんね。
デメリット
就職活動が困難な場合もある
現在学生さんが都市部の保育士養成校に通っていて、地元や地方で就職したい場合、就職活動が困難になる場合もあるかもしれません。
その理由として、養成校に集まる就職情報は学校近辺のものが多いため、地方の園の情報収集が難しいことが挙げられるでしょう。また、直接園に出向いて見学や面接に参加しなければならないこともあるため、その都度交通費や宿泊費などがかかることも考えられます。
学生さん自身でスケジュールを把握し、移動時間や宿泊先の手配などを考えたうえで計画的に就職活動を進めることが大切になりますね。
地方の慣習に対応する必要がある
地方で就職する場合には、異なる環境にスムーズに適応することも必要になります。
地方では、都会に比べて近所付き合いが重要になることもあるでしょう。人によっては濃密な付き合いが苦手だと感じるかもしれません。
また、園で地域のお祭りに参加するなど、その地域ならではの風習があるケースも考えられるでしょう。 そのため、就職前にできるだけその土地の慣習や風習などを調べておくとよさそうですね。
車が必須になることもある
交通網が発達していない地方では、車が必需品となることもあります。
Uターン・Iターン・Jターン就職を検討する場合には、自動車運転免許を取得しておくとよいかもしれません。
就職後は車での通勤になることも考えて、できるだけ運転に慣れておいたり、「車通勤可」の園を探したりしておくとよいですね。
Uターン・Iターンで保育士に就職するメリットを把握して検討しよう
今回は、Uターン・Iターン・Jターン就職の意味やメリットとデメリットなどを紹介しました。
「U」や「I」などアルファベットは、就職における人の動きを表しています。たとえば、生まれ育った故郷に戻るUターンや、都会から地方へと移り住むIターンなど、それぞれ移住パターンに違いがあります。
都会から地方に移住して新卒保育士として就職する場合、生活コストが抑えられることや将来的に子育てがしやすいことがメリットとして挙げられるかもしれません。
就活では、それぞれの違いやメリットを把握したうえで、自身にはどれがあっているのか検討できるとよいですね。