保育園の部分実習や責任実習で、帰りの会の指導案を書く保育学生さんもいるでしょう。降園前に行う帰りの会は、1日の振り返りをする大切なもののようです。今回は、保育園の帰りの会の指導案の書き方を紹介します。ねらいや援助、子どもの姿の例文とともに、書くときのポイントもまとめました。
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保育園で行う帰りの会とは
保育園の帰りの会とは、降園前にクラスで行う10~20分程度の集まりのことです。
園で過ごした1日の内容を振り返ったり、歌を歌ったりすることが多いでしょう。
その日の活動を思い出して振り返るとともに、保育士さんから翌日の活動について聞くことで、保育園を楽しみに思う気持ちを養うことができるようです。
保育学生さんが部分実習や責任実習を行う際に、帰りの会の指導案を書く場合があるかもしれません。
しっかりとポイントをおさえて、一日の終わりを楽しく締めくくれるようにしましょう。
そのためにはまず、活動の流れをおさえることが大切になります。
保育園の帰りの会は、一般的に以下のような流れで進むでしょう。
1.身支度をして集まる。
2.手遊びをしたり、読み聞かせを聞いたりしながら待つ。
3.始めの言葉を言い、会を始める。
4.1日の振り返りをする。
5.明日の活動について話を聞く。
6.帰りの挨拶をする。
園によっては多少異なることもあるかもしれません。
あくまで一例であるため、クラスの流れを把握しておき、それぞれに沿った指導案を書くとよいですね。
帰りの会の指導案を書くポイント
ここでは、帰りの会の指導案作成で意識したいポイントを紹介します。
振り返りをしっかり行う
帰りの会は、園での1日を振り返って思い出し、明日の活動への期待感や見通しを持つための大切なものです。
1日の中で楽しかったことや面白かったことを共有したり、主活動で行ったことを振り返ったりできると、子どもの記憶に定着し、さらに活動を深めていけそうです。
3歳児などでは保育士から話をするようですが、話す力がついてきた5歳児クラスでは、子どもに発表してもらうのもよいかもしれません。
それに加えて、翌日の活動の予定を話して、次の日登園するのが楽しみになるよう援助することが大切になるでしょう。
子どもの姿を予想して、援助を考える
指導案を書くときは、活動中の子どもの姿を予想し、それに対する声かけやかかわり方を考えておくことが大切になります。
帰りの会の場合は、身支度がなかなか進まない子どもや、保育士の話を聞いていない子どもの姿が見られるかもしれません。
そうした子どもに、「子どもが自分で気づいたり、できるようになったりするにはどうするべきか」「どんな言葉をかけたらわかってもらえるか」などを具体的に考えるとよいですね。
20分程度で収まるよう調整する
帰りの会では、座ったまま話を聞くことが多いでしょう。
1日を過ごして疲れている子どもたちは、集中力が長く持たないかもしれません。
そのため、10分から20分程度の時間で収まるように内容を考えるとよさそうです。
乳児クラスなど低年齢では、もっと短い時間で行うこともあるでしょう。クラスの状況によって、調整してみてくださいね。
帰りの会の指導案の書き方例
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ここでは、帰りの会の指導案の書き方を、ねらいや配慮など項目ごとの例文を挙げながら紹介します。
ねらい
帰りの会には、主に以下のようなねらいがあるようです。
- 1日を振り返って、友だちや保育士と楽しかった思いを共有する
- 明日の活動予定を聞いて、興味や期待感を膨らませる
また、行事に向けた導入活動や、明日も遊ぼうと約束したごっこ遊びなど、連続性のある遊びをしているクラスもあるでしょう。 その場合は、活動内容を振り返り、今後の見通しを持つことをねらいとしてもよいかもしれません。
環境設定
環境設定は、落ち着いて集まりをするためにも大切と言えるでしょう。
クラスの流れによって異なるかもしれませんが、環境設定の例としては以下のようになりそうです。
- お互いの顔が見えるよう、椅子を扇状に並べる
- グループ別に座れるよう、机と椅子を出す
- 2列になって体育座りができるよう、ござを敷いておく
また、弾き歌いをする場合にはピアノの場所を考えたり、子どもに発表してもらうときの立ち位置を決めておいたりといった配慮もできるとよいですね。
予想される子どもの姿
帰りの会中に、子どもがどんな動きや発言をするかを予想しておきましょう。
場面ごとに子どもの姿の例を考えてみました。
支度をしているとき
- 早く支度を終えて、ござに座っている。
- なかなか支度が終わらないでいる。
- 友だちと遊んでいる。
手遊びをして待っているとき
- 保育士といっしょに手遊びを楽しんでいる。
- 後ろの方に座っており、見えにくそうにしている。
- 保育士さんや友だちが手遊びをしている様子を見ている。
- なかなか用意が終わらず、手遊びに参加できないでいる。
振り返りや明日の話をしているとき
- 座っているとだんだん姿勢が崩れてくる。
- 保育士の話を聞かずに友だちと話している。
- 発表をしようと挙手するも、考えがまとまらずにいる。
- みんなの前で発表することを恥ずかしがる。
普段から集まりでの子どもの様子を観察し、活動時に想定される子ども一人ひとりの姿を掴んでおきましょう。
援助・配慮
予想される子どもの姿をもとに、保育学生さんが行う援助や配慮事項を考えてみましょう。
支度をしているとき
- ござを用意して、支度を終えた子どもが待てるようにする。
- 用意が遅くなりそうな子どもには、あらかじめ声をかける。
手遊びをして待っているとき
- 子どもが楽しめる手遊びを選ぶ。
- 全員からよく見えるよう、座る位置を調整する。
- 用意が遅い子どものお手伝いができるよう促す。
振り返りや明日の話をしているとき
- よい姿勢で聞いている子どもを褒めて、真似しようという意欲を引き出す。
- 静かに話が聞けるように注意する。
- 発表できずにいる子どもには、側についていっしょに言えるように促す。
こうした援助や配慮は、子どもの年齢や活動のねらいによって変わってくるかもしれません。
3歳児なら手を貸しつつ自分でできるように促したり、5歳児なら自分で考えられるよう言葉がけを工夫したりといった援助ができそうです。
クラスの状況や子どもたちの性格、特徴をふまえて考えられるとよいですね。
帰りの会の指導案を書いて、保育園で過ごした1日を振り返ろう
今回は、帰りの会の指導案の書き方やポイントを紹介しました。
帰りの会は、保育園での1日を振り返り、明日への期待感を高めるために重要なものです。
このようなねらいをふまえ、活動の流れや手遊びを考えたり、子どもの姿に対する援助を想定したりできるとよいですね。
コラムを参考に、保育園での帰りの会の指導案を書いてみましょう。