おもちゃを本物の食材などに見立てて楽しむままごと遊び。保育室で気軽に行えるため、手作りのアイテムを用意して子どもに楽しんでもらいたいと思う保育学生さんも多いでしょう。今回は、ままごとに活かせる食べ物やキッチン用品の簡単な作り方を紹介します。気をつけるポイント、指導案に活かせるねらい例もまとめました。
ucchie79/shutterstock.com
■目次
保育室でままごと遊びをするねらい
子どもの「やってみたい」という好奇心を満たし、想像力も育む効果を期待できるままごと遊び。友だちといっしょにお店屋さんを開いたり、料理したりすることで絆も深められるでしょう。
ここでは、そんなままごと遊びを保育室で行うねらいについて紹介します。
おもちゃを本物の食べ物に見立て、ままごと遊びを楽しむ
ままごと遊びは、おもちゃを本物の食べ物やキッチン用品に見立てながら遊ぶことができます。
野菜を切る真似をしたり、おもちゃのクレープを並べてお店を開いたりすることで、子どもの想像力を養えるかもしれません。
友だちといっしょにままごと遊びを行い、信頼関係を深める
友だちとままごと遊びを行うことで、いっしょに遊ぶ楽しさを味わえるでしょう。
遊ぶなかで言葉を交わしたり、協力し合って遊んだりすることで、コミュニケーション力や信頼関係を築くことにつながるかもしれません。
おもちゃをつかんだり並べたりし、楽しみながら手先を動かす
手で握れるくらいの小さなおもちゃで遊べば、自然と手先の動きが活発になるかもしれません。
おもちゃをつかんだり並べたりすることで、楽しみながら手指の器用さを育むことにつながりそうです。
【食べ物】保育室のままごとで使える手作りおもちゃ
ここからは、手作りできる食べ物のおもちゃを紹介します。
料理
まずは本物そっくりな、料理のおもちゃの作り方を見ていきましょう。
ラーメン
<用意するもの>
- ラップ
- 茶色、ピンク色、黄色のペン
- 緑色、黒色、茶色、黄土色の折り紙1枚ずつ
- 黄色の毛糸
- 白い画用紙1枚
- 小さいカップ
- ハサミ
- テープ
<ポイント>
茶色のペンでラップを塗り、充分に乾かした後でくしゃくしゃにすると、本物のつゆのような見た目を表現できるでしょう。
子どもの好みに合わせてキャラクターをかいたかまぼこを入れたり、コーンを入れたりしてもおもしろそうですね。(詳しい作り方はこちら)
クレープ
<用意するもの>
- 黄土色のフラワーペーパー2枚、白色のフラワーペーパー1枚
- 茶色、黒色の絵の具
- 赤い折り紙、クリーム色、緑色、ピンクの折り紙1枚ずつ
- 紙皿
- 生クリームの絞り袋1枚
- 輪ゴム
- のり
- テープ
- 黒いペン
<ポイント>
キウイやみかんなどのトッピングを追加したり、毛糸のボールをアイスに見立てて乗せたりしてもかわいく仕上がるでしょう。
子どもや保育学生さんが作ったクレープをいくつも並べ、クレープ屋さんごっこをすればよろこばれるかもしれません。
(詳しい作り方はこちら)
お好み焼き
<用意するもの>
- 新聞紙1枚
- 黄土色のフラワーペーパー2枚
- レモン色、茶色の絵の具
- 緑色の折り紙
- 紙ひも
- 紙コップ1個
- ハケ
- ビニール袋1枚
- のり
- ハサミ
<ポイント>
マヨネーズを絞るときに動物やキャラクターの絵をかけば、自分だけのお好み焼きを作ることができます。
また、段ボールなどにグレーの折り紙を貼ってフライ返しの形に切れば、お好み焼きをひっくり返したり、焼く真似をしたりして遊べそうですね。
食材
ジャガイモ
<用意するもの>
- ストッキング1枚(伝線したものでよい)
- 綿
- 針と黒い糸
- ハサミ
<ポイント>
針を使っているときに子どもが寄ってきて針が刺さるなどの事故が起こらないように、職員室など落ち着いた場所で作ることが大切です。
ジャガイモ以外の野菜も作り、「この野菜たちを使ったらどんな料理ができるかな」などクイズを出してみてもよいかもしれません。
みかん
<用意するもの>
- オレンジ色のフェルト1枚
- 針とオレンジ色、緑色、黒色の糸
- 緑色のリボン
- 綿
- ハサミ
<作り方>
1.フェルトを長方形に切り、半分に折ります。
2.(1)の状態でほぼ正方形になるように、長さを整えます。
3.折った部分を波縫いし、フェルトを裏返します。
4.(3)の片端を縫いしぼり、中に綿を入れてからもう片端も縫いしぼります。
5.縫いしぼった部分の片方に、細長く切ったリボンを交差させて中央を縫いとめます。
6.全体を丸く整え、ヘタを付けていないほうの縫いしぼった部分に針を刺し、表面に黒い糸を出します。
7.ほぼ同じ場所に再度針を刺し、そのまま針を表側に出します。(みかんの模様)
8.(7)を何度か繰り返し、最初に針を刺した部分で玉結びをして、糸を切ったらできあがりです。
<ポイント>
フェルトの色を変えれば、リンゴやナス、メロンなども簡単に作ることができるでしょう。やわらかなさわり心地でにぎりやすいため、乳児に渡しても楽しめるかもしれません。
綿が出ないようにしっかり留めれば洗濯もできるので、衛生的な状態を保ちやすいおもちゃと言えそうです。
【調味料】保育室のままごとで使える手作りおもちゃ
続いて、料理をする際には欠かせない、調味料のおもちゃの作り方をまとめました。
調味料までしっかり用意することで、子どもはままごとに夢中になれるかもしれません。
しお・こしょう
用意するもの
- 白色の折り紙1枚
- 白色のビニールテープ
- 乳酸菌飲料の容器1個
- ペットボトルキャップ1個
- カラービーズ
- キリ
- 黒色のペン
作り方
1.白い折り紙を半分に切り、乳酸菌飲料の容器など小さいボトルの側面に貼りつけます。
2.ペットボトルキャップの上に白い折り紙を貼り、キリで小さな穴を開けます。
3.容器の側面に「しお」や「こしょう」など、名前をかいたラベルを貼ります。
4.容器の中にカラービーズを入れます。
5.ペットボトルキャップを上に乗せてできあがりです。
ポイント
塩やこしょうだけでなく、アレンジすれば砂糖なども簡単に作れるでしょう。その際は周りに貼る折り紙の色やラベルの色を変え、子どもが遊びやすいように工夫するとよさそうです。
また本格的に料理のままごとをしたい子どもには、カラービーズではなく調味料の色の折り紙をこまかくちぎって入れ、実際に振りかけられるようにしてみましょう。
ソース
用意するもの
- 厚紙1枚
- こげ茶色、白色のフェルト1枚ずつ
- 白色のビニールテープ
- 綿
- 針と白色の糸
- ハサミ
- 黒ペン
作り方
1.ソースの底の大きさをイメージし、厚紙を2枚切り取ります。
2.(1)と同じ大きさにこげ茶・白のフェルトを切り取ります。
3.こげ茶のフェルトの長辺は厚紙4辺分、短辺はソースの高さをイメージして切ります。
4.白のフェルトの長辺は厚紙4辺分、短辺はソースのフタの高さをイメージして切ります。
5.こげ茶のフェルトの長辺の上に、白のフェルトの長辺を重ね、縫いつけます。
6.(5)の白いフェルトがついていないほうに、(2)のこげ茶のフェルトを左端に縫いつけます。
7.(6)でつけたフェルトがソースの底になるように、(5)をぐるっと1周縫いつけます。
8.底に(1)の厚紙を1枚入れ、綿をぎっしり詰めて上に(1)の厚紙をもう1枚置きます。
9.上に乗せた厚紙の上に(2)の白のフェルトを置き、4辺を縫いつけます。
10.正面にしたい部分に、「ソース」とかいたラベルを貼りつけてできあがりです。
ポイント
針と糸で縫う工程が多いですが、本格的なソースができあがる作り方です。
また厚紙をだ円形に切り取り、側面にボトルの形に切り取ったフェルトを使えばマヨネーズやケチャップも作れるでしょう。
表面に貼るラベルも本物に似せれば、子どもの気分が上がってより遊びに集中できるかもしれません。
【キッチン器具】保育室のままごとで使える手作りおもちゃ
Mcimage/shutterstock.com
最後は、料理を調理するためのキッチン器具の作り方です。
食材や調味料だけでなくキッチン器具も用意すれば、さらに子どもがままごとに打ち込めるでしょう。
シンク付きガスコンロ
用意するもの
- 段ボール箱2個
- 好きな色の折り紙数枚、赤色の折り紙1枚
- 小さなボウル
- 黒色のペン
- ガムテープ
- カッター
作り方
1.段ボール箱を用意し、組み立ててから口の部分を下にして置きます。(口は閉じておきます。)
2.好きな色の折り紙を段ボールのまわり全面に貼りつけます。
3.(2)の右下にボウルを入れられる大きさの穴を開け、ボウルをセットします。
4.ボウルのとなりに丸く切った赤色の折り紙を貼り、火に見立てます。
5.火のまわりに中央を切り抜いた円形の段ボール、細長く切った段ボールを3枚貼り、コンロに見立てます。
6.ガスコンロの部分を黒く塗ってできあがりです。
ポイント
ガスコンロの上の部分に食器や調味料などを置けば、よりリアルな見た目に仕上がるでしょう。
シンクの部分には蛇口に見立てた曲がるストローやシャンプーのポンプを刺すことで、ままごと遊びがより盛り上がりそうです。
フライパン
用意するもの
- ラップの芯
- 段ボール箱1個
- 黒色の折り紙数枚
- カッター
- テープ
ポイント
本物のフライパンは子どもにとって重すぎるため、段ボール箱やラップの芯で作った、軽いフライパンがぴったりです。
同じような工程で鍋を作ったり、側面部分を省いてフライ返しなどを作ったりしてみてもよいでしょう。
(詳しい作り方はこちら)
保育室でままごと遊びをするときの注意点
最後に、保育室でままごと遊びを行うときに、気をつけるポイントを紹介します。
小さな部品に気をつける
乳児クラスの子どもは誤飲の危険性があるため、ビーズなど小さなものは渡さず、子どもの口より大きいおもちゃを使うよう心がけましょう。
他の年代の子どもが遊ぶときも目を離さないようにし、安全に遊べる環境を整えることが大切です。
ケンカなどトラブルが起きないよう注意する
子ども同士のケンカなどトラブルが起きないようにするために、事前に「皆で順番におもちゃを使おう」「いっしょに遊びたいときは入れてって言おう」など、声かけしておきましょう。
万が一子ども同士でトラブルが起きてしまった場合、しばらく様子を伺い、子どものみで解決できなそうなときは保育学生さんが間に入ったほうがよさそうです。
しかし2歳児クラスなど、まだ上手に話し合うことが難しい子どもの場合は、すぐに仲裁に入りましょう。
保育室のままごと遊びには、フェルトなどの手作りおもちゃを取り入れよう
今回は、保育室のままごと遊びに活かせるおもちゃの簡単な作り方や、ねらいについて紹介しました。
ままごと遊びは子どもの想像力を育んだり、友だちとの信頼関係を深めたりすることにつながるかもしれません。保育学生さんは保育実習に手作りおもちゃを取り入れ、子どものままごと遊びをさらに充実したものにできるとよいですね。
フェルトや紙皿など身近なアイテムを活用し、子どもにとって魅力的なおもちゃを手作りしてみましょう。