仕掛けのあるパネルシアターの作り方について知りたい保育学生さんもいるのではないでしょうか。両面に絵を描いてすぐに絵が切り替えられたり、糸を使って引っ張るだけでさまざまな演出ができたりと、さまざまなやり方があるようです。今回は、パネルシアターの仕掛けの作り方と演じるときのコツを紹介します。
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■目次
子どもがよろこぶパネルシアターの仕掛けとは
そもそも「パネルシアター」とは、特殊な布を巻いたパネルボードを使った人形劇のことを指します。Pペーパーと呼ばれる不織布でできている人形を貼ったり、はがしたり、動かしたりしながら話を進めていきます。
子どもたちに話しかけたり、クイズを出したりと、その場に合った楽しみ方ができるのがパネルシアターの大きな魅力ともいえるかもしれません。
そして、仕掛けのあるパネルシアターとは、表と裏に絵があるものや切り込みがありポケットのように人形などを入れられるもの、また糸を引っ張ると人形の手や足を動かせるといったさまざまなものがあります。
園内行事、誕生会など保育のなかで活躍する場面はたくさんあるので、子どもたちがより楽しめるように、パネルシアターの仕掛けの種類などを知っておくとよいかもしれません。
今回は、パネルシアターの仕掛けと作り方をくわしく紹介します。
Pペーパー、パネル布で作るパネルシアターの仕掛け
まず、Pペーパーとネル布を使って作るパネルシアターをみていきましょう。
表裏貼り合わせ
表と裏で違う絵かいたPペーパー同士を貼り合わせて、反転させることで場面を素早く切り替えられる仕掛けです。
たとえば、動物が振り返る、魚が池に飛び込むなどの簡単なアイデアはいろいろあるでしょう。
用意するもの
- Pペーパー
- はさみ
- 接着剤
作り方
1.絵を描いたPペーパーを2枚同じ形に切ります。
2.(1)を接着剤で貼り合わせます。
3.本など重石を載せて乾かすとできあがりです。
作るときのポイント
表や裏の写り写り方が気になるときは、貼り合わせる2枚の絵人形にコピー用紙など白い普通紙を挟んで貼りつけるとよいようです。使用する接着剤は、木工用かクラフト用ものにするとよいでしょう。
袋貼り
袋貼りとは、両面を全部張り合わせないで、端だけを接着して袋状にすることです。
たとえば、帽子をかぶせたり、バックから物を取り出したりするなどの演出ができるでしょう。
用意するもの
作り方
1.土台となるPペーパーとポケットの形に切り抜いたPペーパーに絵を描いて切ります。
2.ポケットになるPペーパーと土台になるPペーパーを重ねて、縁の部分だけ接着剤で貼り付ければできあがりです。
ポイント
接着剤は、絵人形の形からはみ出さないようにしましょう。ポケットも土台となる絵人形より大きくならないようにするとよいかもしれません。
重ね貼り
大きな人形の上に小さな人形を重ねて置きたいときに使います。Pペーパー同士はくっつかないため、小さな人形の裏にパネル布を貼っておくことで重ね貼りができるようにするでしょう。
用意するもの
- Pペーパー
- パネル布
- 絵を描くマジック
- はさみ
作り方
1.Pペーパーで重ねる絵人形を作ります。
2.重ねて貼る絵人形の裏にパネル布を接着剤で貼るとできあがりです。
ポイント
絵人形の裏にパネル布を貼る作業を「裏打ち」と呼びます。人形を貼り合わせるときと同じように、木工用かクラフト用の接着剤を使用しましょう。裏面全体に貼る必要はありませんが、バランスを意識して貼るとよいかもしれません。
切り込み
パネル人形に切り込みを入れれば、ポケットにものを入れる、人形の着せ替えをするなどの演出ができるようになります。
用意するもの
- Pペーパー
- パネル布
- 絵を描くマジック
- はさみ
作り方
1.絵人形と、着せ替えの洋服を作ります。
2.絵人形に切り込みを入れて、洋服を着替えさせられるようにすればできあがりです。
ポイント
切り込みを入れることで簡単に人形の着替えができるようになります。人形の大きさと洋服の大きさをきちんと合わせることが大切です。
ポケット
ポケットには、花や草むらに見立てたものの裏側に付ける「裏ポケット」と、洋服のポケットと同じように付けられる「表ポケット」と呼ばれる2つの仕掛けがあります。
たとえば、あらかじめ犬の絵人形を隠しておき、子どもたちの前でうさぎを入れ、取り出すときに犬に替えて出すというような演出ができそうです。
用意するもの
- Pペーパー
- 絵を描くマジックなど
- 接着剤
- はさみ
作り方
<表ポケット>
1.Pペーパーに絵を描いてはさみで切ります。
2.もう1枚は(1)に合わせてポケットにする部分を切ります。
3.(1)に(2)で作ったポケットを接着剤で貼るとできあがりです。
<裏ポケット>
1.Pペーパーに絵を描いてはさみで切ります。そのとき、ポケットも描いておきましょう。
2.ポケットの上側をカッターナイフで切り込みを入れます。
3.Pペーパーでポケットの絵より大きめの形にしてはさみで切ります。
4.絵人形を裏返し、ポケットを接着剤で貼り付けるとできあがりです。
作るときのポイント
裏ポケットを作るのか、表ポケットを作るのかをきちんと考えておきましょう。裏ポケットの場合は、子どもから見えないのでポケットの縁取りはしなくてよいようです。
糸やガーゼを使った仕掛け
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次に、糸やガーゼを使った仕掛けの作り方を見ていきましょう。
糸止め
絵人形の手足を動かしたい場合は、胴体と手足の境目を糸で固定して糸止めをします。
多方向に動くため、走ったり踊ったりなどの動きを演出できたり、猫のしっぽだけを動くようにしたりもできます。
用意するもの
- Pペーパー
- 絵を描くマジックなど
- はさみ
- 糸
- 針
作り方(猫のしっぽを動かしたい場合)
1.猫の身体としっぽを別々に作ります。
2.針に白い木綿糸を通して2本取りにし、玉結びをします。
3.猫のお尻と、しっぽに糸止めをしてある針を通して裏で玉止めをします。
4.糸を目立たたないように周りと同じ色を付ければできあがりです。
作るポイント
玉止めが抜けてしまうのでは?と心配な場合は、裏側にセロハンテープを貼ったり、玉の部分にマニキュアなどを塗ったりして乾かすと補強できるでしょう。
強度に不安があるときは糸を二重にしてもよいですね。
窓開き
Pペーパーは折り目を付けても完全に折れ曲がるわけではないため、戸棚の窓や扉を作るには適さないようです。そのため、ガーゼなど柔らかいものを蝶番にして接着しておくときちんと扉が閉まるようになります。
用意するもの
- Pペーパー
- 絵を描くマジック
- はさみ
- 接着剤
作り方(窓を開いて中に誰かがいる場合)
1.窓と窓を開く部分の絵人形を作ります。
2.絵人形の窓と窓を蝶番のように使って接着剤で貼り付けます。
3.周りと同じ色を塗ればできあがりです。
作るときのポイント
蝶番は、ガーゼ以外にも白っぽくて薄い布切れなどでも代用ができます。
ガーゼは目が粗いこともあり、繊維がほつれやすい点があります。そのため、ガーゼの上に1枚Pペーパーを貼り付けると接着剤がはみ出さずに済むでしょう。
引っ張る
絵人形に玉止めしておいた糸を引っ張って絵人形を動かす演出方法です。糸のついた人形を貼るときにそっとパネルボードの裏に糸を垂らしておき、それを引っ張れば太陽が昇る演出などもできますよ。
用意するもの
- Pペーパー
- 絵を描くマジック
- はさみ
- 糸
- 針
作り方
1.引っ張りたい絵人形を作っておきます。
2.裁縫するときと同じように、絵人形の端と端を針を通してつなげます。
3.引っ張りたいものをつなげればできあがりです。
作るときのポイント
絵人形をつなげるとき、表面に糸がなるべく見えないようにするとよさそうです。
絵人形をつなげる際は、向きをきちんと確認するとよいかもしれません。
仕掛けのあるパネルシアターを演じるときのコツ
仕掛けのあるパネルシアターを演じるときのコツを紹介します。
子どもが見やすい位置に設置する
子どもが見やすい位置に設置することが大切になります。演じ手になる保育学生さんほうからは子どもたちの顔が見やすいかもしれませんが、子どもが座る位置からどのように見えるのかを確認しましょう。見やすい位置をきちんと把握しておくことで、演出したときに子どもたちの盛り上がった反応などを見ることができますよ。
利き手がパネル側になるようにする
保育学生さんの利き手がパネル側になるようにしましょう。利き手の反対側に立ち演じてしまうと子どもたちに背中を見せてしまうことも考えられます。子どもたちの正面を向き演じるように心がけるとよいですね。
仕掛けのあるパネルシアターの作り方を知って役立てよう
今回はパネルシアターの仕掛けについて紹介しました。
仕掛けのなかには、窓開き、ポケット、糸止めなさまざまなの種類があるので、作って見せれば子どもたちの驚く反応を見ることができるかもしれません。
パネルシアターの仕掛けの種類や作り方を知って、実習や入職の際にも役立てられるとよいですね。