9月になると徐々に暑さが和らぎ、保育園の子どもたちも過ごしやすくなってきます。1歳児クラスを受け持つ新卒保育士さんのなかには、月案の作成に悩む方もいるかもしれません。今回は、1歳児クラスで使える9月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらい、安全や健康に関する配慮と月反省についてもまとめました。
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■目次
9月の1歳児クラスの特徴とは?
日差しの強さも徐々に和らぎ、秋らしい風が吹くようになる9月。
まだまだ暑い日もあるものの、過ごしやすくなってくるので、1歳児の子どもたちも好きな遊びを存分に楽しんでいる頃かもしれません。
そんな9月の1歳児クラスには、以下のような特徴が見られるでしょう。
- 秋の気候のなか、のびのびと戸外で遊ぶ。
- 友だちの様子が気になり、じっと眺めたり、いっしょに遊ぼうとしたりする。
- 夏の疲れが出てきて、体調を崩したりぐずったりする子もいる。
残暑が厳しかったり気温差があったりするため、体調面においても油断できない時期かもしれません。
9月の月案では、上記のような特徴をおさえてねらいや活動などを考えられるとよいですね。
このコラムでは、9月の1歳児クラスの月案に使える文例を紹介していきます。
【9月】1歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
まずは、9月の月案に使える「前月の子どもの様子」の文例を見ていきましょう。
- 砂や水の感触を楽しみながらのびのびと遊ぶ姿があった。
- 排泄に興味を持ち、おまるに座って排尿したり、友だちがトイレに行くのを観察しようとしたりしていた。
- 活動内容や体調に合わせて午睡を取り、十分に休息を取って午後も元気に過ごしていた。
夏の遊びを楽しむ様子や生活習慣について振り返りながら、1歳児の子どもの様子を記入していきます。
これらの様子をもとに、保育園で作成する9月の月案に活かしていきましょう。
【9月】1歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
9月の1歳児クラスの月案に使える、ねらいや活動内容の文例を紹介します。
今月のねらい
ねらいについて、養護と教育の2つの視点からまとめました。
養護のねらい
- 生活リズムを整え、夏の疲れに留意してもらいながら快適に過ごす。
- 残暑のなかでも水分を補給したり休息を取ったりしながら健やかに過ごす。
教育のねらい
- 秋らしい気候への移り変わりを感じながら、自然にふれ合って遊ぶ。
- 保育者や友だちとかかわりながら遊ぶことを楽しむ。
活動内容
養護
<生命>
- 夏の疲れが出やすい時期であるため、十分に休息を取りながらゆったり過ごす。
- 引き続き室温や衣類の調整、水分補給のタイミングなどに配慮してもらい、熱中症対策を行っていく。
<情緒>
- 親しみのある保育者や友だちといっしょに遊びながら過ごし、満足感を味わう。
- やりたいことがうまくいかない気持ちを受け止めてもらい、再び挑戦する意欲を養う。
教育
<健康>
- 秋の気候のなか戸外で十分に身体を動かして遊ぶ。
- マット運動やかけっこなどを取り入れ、運動会ごっこを楽しむ。
<人間関係>
- 遊びや生活のなかで友だちの様子に興味を持ち、見つめたり声をかけようとしたりする。
- 興味のある遊びを通して保育者とかかわり、いっしょに遊ぶよろこびや充実感を味わう。
<環境>
- 夏から秋へと移り変わる気候を肌で感じ、季節の変化を味わう。
- 身の回りのものの名前を理解し、「○○取って」という呼びかけに応じたり、物の名前を喃語で発してみたりする。
<言葉>
- 身振り手振りや指差し、一語文などを通して思いを伝えようとする。
- 保育者の言葉や身振りを真似ることを楽しむ。
<表現>
- 親しみのある音楽にあわせて踊ったり自由に身体を動かしたりする。
- 絵本に出てくる表現を真似たり、指差しをしたりしながら短い物語を楽しむ。
季節の変わり目である9月は、体調面に十分注意することも必要ですが、夏から秋への気候の変化を感じられるよいタイミングでもあります。
1歳児クラスでは、積極的に戸外で遊んだり、テラスなどに出て外気にふれたりして、秋の訪れを感じられるとよいですね。
【9月】1歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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ここでは、9月のねらいや活動内容をもとに、環境構成や保育者の援助・配慮について月案の文例を紹介します。
養護
生命
- 体調の変化に留意し、個々の様子や家庭での過ごし方に合わせてゆったりと休息の時間を設ける。
- 冷房を入れていても定期的に換気を行い、風通しをよくして心地よい環境で過ごせるようにする。
情緒
- 子ども一人ひとりとスキンシップを取りながら、明るい雰囲気で過ごせるようにする。
- 「自分でやりたい」という気持ちを受け止め、見守りながらさりげなく援助して、達成感を持てるようにする。
教育
健康
- 天気のよい日には戸外に出て、夏から秋への気候の変化を簡単な言葉で伝えながらのびのびと遊べる活動に誘っていく。
- 年上のクラスで運動会の練習をする様子を見せてもらい、身体を動かす意欲につなげる。
人間関係
- やりたいことがうまくいかない気持ちや葛藤する姿を受け止め、安心して気持ちを表現できるようにする。
- ほかの子どもと同じ遊びをする楽しさを味わえるよう、十分な数の玩具を用意する。
環境
- 秋の自然に興味を持てるよう、散歩や園庭遊びでは積極的に声をかけて子どもの関心を育む。
- 子どもが身の回りの物の名前を認識できるよう、繰り返し呼びかけたり、子どもとのやり取りのなかで名前を発したりする。
言葉
- 子どもの指差しや喃語に対しては「○○だね」と言葉を補い、思いが伝わったよろこびを味わえるようにかかわる。
- 話をするときにはしっかりと口を動かして明瞭に発音するよう意識し、子どもが正しく言葉を覚えられるようにする。
表現
- 秋の自然をモチーフにした体操や歌を通してのびのびと表現している姿を認め、十分に褒めていく。
- 子どもが気に入っている絵本を繰り返し楽しみ、表現や物語の楽しさを味わえるようにする。
だんだん秋らしい気候になっていく9月には、子どもが季節の変化に気づけるよう、声をかけたりわらべうたを歌ったりして伝えていきましょう。
1歳児クラスでは、ペープサートや季節の手遊びなどを取り入れて、日常の遊びのなかで親しめるようにするとよいかもしれません。
【9月】1歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
1歳児の9月の月案に記入する、家庭連絡、安全、食育に関する配慮の文例をまとめました。
家庭連絡
- 避難訓練の実施にともない、避難靴・防災頭巾のサイズや緊急連絡先の再確認をしてもらう。
- 体調が変わりやすい時期であるため、鼻水や咳など小さな変化もこまめに共有する。
健康・安全・衛生
- 戸外に出るときは帽子を被り、テントなどで陰を用意して直射日光に当たりすぎないように配慮する。
- 避難訓練を実施するときには、出席人数や避難経路をしっかり確認し、けがや事故のないように注意して行う。
食育
- 食事の前後には手を合わせて挨拶する姿を見せ、子どもも真似してできるようにかかわる。
- 食事の際にはメニューを確認し、どんな食材が入っているのかを言葉にして伝えていく。
9月1日の防災の日にちなんで、規模を拡大した特別避難訓練を行う保育園もあるかもしれません。
保育士さん同士でしっかり確認を行い、1歳児の子どもたちが安全に避難できるように月案で配慮事項として記載しておきましょう。
【9月】1歳児の月案の文例:反省・自己評価
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1歳児クラスの9月の月案に使える、反省や自己評価の文例を紹介します。
養護
- 何でも「自分でやりたい」という思いを受け止められるよう、余裕ある時間設定を行い、子どもがじっくりと取り組めるように配慮できた。
- 夏の終わりの健康管理に留意して、一人ひとりの体調を把握しながらきめ細かくかかわっていけた。
教育
- 一つの玩具でじっくりと遊び込めるよう、子どもの関心に合わせていっしょに遊びに参加し、遊び方を伝えていくことができた。
- 「とんぼのめがね」「おおきなくりのきのしたで」などの簡単なわらべうたを楽しみ、秋の自然への興味を育んでいった。
子どもたちが晩夏をゆったりと健康に過ごせたかや、それぞれの発達や興味に合わせて遊びを提供できたかを振り返るとよさそうです。
月案に活用できる9月の1歳児保育のポイント
最後に、月案に活かせる9月の1歳児クラスの保育のポイントをまとめました。
秋の訪れを感じられるきっかけ作りを
夏から秋へと季節が変わりゆく9月には、この時期ならではの自然現象に目を向けるとよいかもしれません。
キンモクセイの花の匂いがすることを伝えたり、シオカラトンボを追いかけてみたりと、園の近くの環境に合わせて保育士さんも子どもといっしょに発見を楽しんでみましょう。
1歳児の子どもたちとともに親しめるように、9月に行う手遊びや歌などを月案に記載しておくのもよいですね。
気温差に注意して健康に過ごせるように
9月に入っても地域によってはまだまだ暑い日が続く一方、朝夕は急に気温が下がったり、雨の日には肌寒かったりと体調管理が大変な時期でもあります。
こまめに室温のチェックを行い、子どもたちの様子や個々の体調に合わせて、衣類の交換や活動内容の調整を行いましょう。
また、疲れが見られるときにはゆったりと過ごし、保護者の方にもそうした様子を伝えておくと体調の安定に役立ちそうですよ。
避難訓練を機会にしっかり防災対策の確認を
9月1日の防災の日には、保育園でも災害に備えて研修を実施したり、防災用品の点検を念入りに行ったりすることでしょう。
1歳児の子どもたちは、災害の際に自分たちで安全を確保することが難しいため、保育士さんはいっそう気をつけて防災対策を練る必要があると言えます。
避難グッズの保管場所や中身の確認、ケース別の避難経路の周知と子どもといっしょに逃げる際の注意点などを考えておき、月案作成にも活かせるとよいですね。
文例を知って9月の1歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、9月の1歳児クラスの月案に役立つねらいや環境構成、反省の文例を紹介しました。
暑さがやわらぎ、秋の訪れを感じられる9月には、1歳児といっしょに自然に親しんだり身体を動かしたりできるとよいですね。
また、防災の日に関連して、災害時の避難方法や対策について職員で共有したり、子どもそれぞれの防災グッズを確認したりしていきましょう。
9月の文例を参考に、保育園の1歳児クラスの月案に役立ててみてくださいね。