4歳児クラスでも運動会や敬老会などの行事が増えてくる9月。月案をどのように書こうか悩んでいる新人保育士さんもいるかもしれません。今回のコラムでは、4歳児クラスで使える9月の月案の文例を紹介します。養護・教育のねらいや活動内容に加え、安全や健康に関する配慮と反省の書き方についてもまとめました。
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■目次
9月の4歳児クラスの特徴とは?
晩夏となり、日差しの強さが和らいでくる9月。戸外でのびのび遊んだり、友だちとの仲が深まってきたりする頃かもしれません。
そんな9月の4歳児クラスには、以下のような特徴が見られるでしょう。
- 運動会の練習が始まり、友だち同士で声をかけ合いながら競技に取り組む。
- 季節のモチーフや自然物を取り入れながら工作をすることを楽しむ。
- 友だち同士で思いを伝え合いながら遊ぶ。
園によっては運動会の練習や敬老会の準備などが始まるため、友だちとかかわりながら行事を楽しめるとよいですよね。
このような4歳児の特徴をおさえて、9月の月案作成に活かしていきましょう。
【9月】4歳児の月案の文例:前月の子どもの様子
月案では、前月の子どもの様子をもとに9月の計画をしていきます。くわしい文例を見てみましょう。
- 身支度が一通りできるようになったことを褒められ、意欲が高まっている。
- 夏の自然や空模様に興味を持ち、友だちや保育者といっしょに観察を楽しんでいた。
- 友だち同士で思いを伝え合いながら遊ぶ姿があるが、その分ぶつかり合うことも増えてきた。
遊びと生活、両方の視点から4歳児の子どもたちの姿を月案に記載していきましょう。
文例のように子どもの興味のあることや、友だちとのかかわり方の変化について書いてもよいですね。
【9月】4歳児の月案の文例:今月のねらい・活動内容
ここでは、9月の4歳児クラスの月案に使えるねらいや活動内容の文例を紹介します。
今月のねらい
ねらいについて、養護と教育の2つの視点から文例をまとめました。
養護のねらい
- 活動と休息のバランスに留意して健やかに過ごす。
- 身の回りのことや係活動を意欲的に行い、自信を持って生活する。
教育のねらい
- 友だちといっしょに身体を動かしながら遊ぶことを楽しむ。
- 夏から秋への季節の変化を味わい、自然への関心を深める。
活動内容
養護
<生命>
- 疲れたと感じたときは、ゴザに座ってゆっくりするなど体調に合わせて行動しようとする。
- 帽子の着用や水筒の持参など戸外で遊ぶ際の約束を身につけていく。
<情緒>
- 自発的に身の回りのことを行い、意欲や自信を味わいながら過ごす。
- 保育者や友だちとさまざまな遊びをして過ごし、充実感を得る。
教育
<健康>
- かけっこや玉入れなどを通して、思い切り全身を動かして遊ぶことを楽しむ。
- 気温の変化があったときや汗をかいたあとなどには、衣類を調整しようとする。
<人間関係>
- 友だちとのかかわりのなかで、自分の思いを伝えるだけでなく、相手の気持ちを知ることの大切さに気づく。
- 競技の練習を通して、みんなで力を合わせる楽しさやよろこびを味わう。
<環境>
- 落ち葉や秋の虫を探すことを楽しみ、自分なりに遊びのなかに取り入れたりじっくり観察したりする。
- 敬老の日の意味や由来を知り、行事への理解を深める。
<言葉>
- 自分なりに言葉を選びながら、思いや考えを表現しようとする。
- 文字に興味を持ち、ひらがな表を見ながら読んだり書いてみたりしようとする。
<表現>
- 保育者の真似をしながら音楽にあわせて楽しく踊る。
- 画用紙や折り紙、廃材など、身近な素材を使って工作することを楽しむ。
9月には、運動会や敬老の日などの行事があります。
4歳児が意欲を持って楽しめるような活動内容を、月案でしっかり考えていきましょう。
【9月】4歳児の月案の文例:環境構成と保育者の援助・配慮
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9月のねらいや活動内容をもとに、月案に記入する環境構成や援助、配慮の文例をまとめました。
養護
生命
- 休息を取れるような安全な空間を用意するとともに、ゆとりを持って週の計画を立てていく。
- 水分補給を忘れている子どもには随時声をかけ、習慣づけられるようにかかわる。
情緒
- 子どもに簡単な手伝いをお願いするなど、役割を果たす達成感を味わえる機会を作っていく。
- 「自分で支度ができない」と保育者に甘える姿に対して励ましながら見守っていき、がんばりを認めるようにする。
教育
健康
- 運動会の練習は遊びを取り入れながら徐々に慣れていけるようにし、子どもが楽しめるよう工夫する。
- 着替えを行うためのスペースを、衝立などを用意して確保しておく。
人間関係
- トラブルの仲裁では互いの気持ちを汲み取って伝えていき、相手の気持ちを知る大切さを知らせる。
- 敬老の日のプレゼント製作では、渡す人のことを想像しながら心を込めて作れるよう、思いを引き出す声かけをする。
環境
- 季節の変化に気づけるよう、秋の自然を扱った絵本や図鑑を子どもの目につきやすいところに用意しておく。
- 敬老の日の由来はペープサートや絵本を使ってわかりやすく説明していく。
言葉
- 子どもの言葉にはじっくりと耳を傾け、途中でさえぎったり話を完結させたりすることのないように配慮する。
- 文字への興味や関心を大切にし、間違いを無理に訂正することなく、書きたい・読みたいという気持ちを十分に認めていく。
表現
- パラバルーンやダンスなどでは、みんなで動きを合わせるときれいに見えることを伝え、身のこなしを意識できるようかかわる。
- 自由な発想でものづくりを楽しめるよう、十分な色や種類の素材を保育室に用意しておく。
友だち同士の仲が深まり始める9月頃、4歳児の子どもたちが互いの思いに気づいたり、優しい言葉で接したりできるようにしっかり伝えていきましょう。
月案での記載のしかたは文例を参考にしてみてくださいね。
【9月】4歳児の月案の文例:家庭連絡・安全・食育
9月の4歳児の月案の作成に活かせる、家庭連絡・安全・食育の文例をまとめました。
家庭連絡
- 運動会の練習で汗をかくため、衣類を多めに用意してもらうようにする。
- 敬老の日のプレゼント製作は、個々の家庭の事情に配慮しながら実施する。
健康・安全・衛生
- 防災の日には、避難訓練の約束を再度確認し、子どもたちが意識できるようにわかりやすく伝える。
- 運動会の練習では子どもの健康を確認し、無理のない範囲で行えるようにする。
食育
- 楽しい雰囲気で食事をするなかで、食材や献立に興味を持てるようにする。
- 芋畑への水やりをお願いして、芋掘りへの期待感を育んでいく。
9月1日の防災の日にちなんで、子どもたちといっしょに避難訓練の約束などを確認するとよいかもしれません。
また、4歳児クラスでは食育の一環として、給食の献立を子どもたちといっしょに読み上げてみるのも楽しそうですね。
【9月】4歳児の月案の文例:反省・自己評価
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9月の4歳児クラスの月案に記入する、反省や自己評価の文例を紹介します。
養護
- ゴミ箱の片づけや水やりなど、簡単な役割をお願いすることで子どもたちの意欲や達成感を引き出していけた。
- 久しぶりの登園となる子どももおり、戸惑う姿が見られたが、個別にフォローできる体制を整えてかかわることができた。
教育
- 運動会の練習を通して、友だちと協力して何かを行う楽しさや豊かさを伝えていけた。
- それぞれの家庭環境や子ども自身の思いを大切にしながら敬老の日の製作を実施していけた。
日頃の4歳児クラスの生活の様子はもちろん、行事を踏まえた取り組みや遊びの様子を反省として月案に記入しましょう。
月案に活用できる9月の4歳児保育のポイント
最後に、9月の月案に活かせる4歳児クラスの保育のポイントをまとめました。
運動会の練習は子どもが意欲を持って楽しめるように
9月の一大イベントのひとつである運動会。4歳児クラスの子どもは昨年度に参加していることもあり、本番までの見通しを持って練習できるかもしれません。
競技の練習を取り入れるときは、まずは遊びをベースにして楽しみながら実施できるやり方を考えてみましょう。
スモールステップで実践していき、「できない」「わからない」という不安を少しでもなくしていけるとよいですね。
子どもの伝え合いを見守り、必要なときには仲介を
友だちとのかかわりが深まり、いっしょに楽しく遊ぶ姿が見られ始める9月。
しかし、思いがぶつかり合ったり、うまく友だちを誘えず悲しくなったりする姿もあるでしょう。
4歳児の子どもが友だちとの世界を広げていけるように、ときには見守り、ときには保育士さんが仲介役となるように柔軟に援助することがポイントです。
それぞれの思いを受け止めながら、相手への伝え方を教えたり、励ましたりしていきましょう。
敬老の日の意味を伝えたうえで製作を
4歳児クラスでは、敬老の日の由来や行事に込められた意味を知れる機会を作るのもよいかもしれません。
その際、子どもたちが自分の身の回りにいるお年寄りのことを考えられるような問いかけも大切になるでしょう。
感謝や尊敬の気持ちを持って活動できるよう、おじいさんおばあさんとの思い出や好きなところを質問してみてくださいね。
文例を知って9月の4歳児クラスの月案を作成しよう
今回は、9月の4歳児クラスで活用できる月案のねらいや援助の文例を紹介しました。
運動会や敬老の日など、行事が満載な9月には、子どもが意欲を持って取り組めるような援助や工夫が大切になります。
また、防災の日にちなんで避難訓練の約束や安全対策を再確認してみるのもよいでしょう。
月案の文例を参考に、9月の4歳児クラスの保育に役立ててみてくださいね。