新卒保育士さんが現場で学んだことのひとつに「SIDS」があるのではないでしょうか。SIDSとは、乳児突然死症候群のこと。そのリスクを下げるために、保育園の午睡中は睡眠チェックを行います。保育士は子どもの命を預かる仕事なのだという意識を改めて持つために、SIDSについてきちんと理解しておきましょう。
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■目次
SIDSを防ぐために保育士さんが行う睡眠チェック
「お昼寝中は、子どもが寝ているから休憩が取れる」
そのようなイメージが世間一般的にまだあるかもしれません。
しかし、子どもが寝ているときこそ忙しい、と現場に入って感じた新卒保育士さんもいるのではないでしょうか。
そのように感じる要因のひとつは、睡眠チェックかもしれません。
子どもの体位を変えたり呼吸の確認などを行ったりするため、睡眠チェックだけで時間がすぎていく場合もあるでしょう。
睡眠チェックは、SIDSのリスクを下げるために行っています。
まずは、SIDSに関しての認識を深めていきましょう。
新卒保育士さんに知ってほしい「乳児突然死症候群(SIDS)」とは
出典:赤ちゃんの原因不明の突然死「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント/政府広報オンラインから抜粋
表は、SIDSで亡くなった乳幼児の数を表しています。
SIDSへの認識が高まっている現在も、防ぐことのできていない現状を物語っているのではないでしょうか。
2019年は78名もの乳幼児がSIDSで亡くなっており、1歳未満の死亡要因としては第4位にあたるそうです。
SIDSとは、「乳児突然死症候群」のこと。
何の兆候や既往歴もない赤ちゃんが睡眠中に突然死に至る病気です。
原因は不明で今もなお世界各国でさまざまな調査研究が行われていますが、予防方法が確立されていないのが現状のようです。
出典:赤ちゃんの原因不明の突然死「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント/政府広報オンライン
SIDSを防ぐために保育士が行うこと
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SIDSの予防方法は確立されていないものの、リスクを低くさせるために取り組むべきことがあります。
睡眠中は、「静かに眠っている」と思わずに、常に子どもの命を確認しましょう。
睡眠チェックで気を付けることを紹介します。
健康状態の確認
SDISに限らず、その日の健康状態は必ず保護者と確認しましょう。特に入園直後は注意が必要です。
大きな病気、既往歴などの入園児にヒヤリングする内容も定期的な確認が必要でしょう。
保護者の方も、「これくらいは伝えなくてもよいかな」と思っていたり、報告することを忘れていたりする場合もあります。
些細な情報も共有していく意識を伝えていくことが大切ですね。
安全な環境を整える
睡眠中は、眠りやすいように部屋を暗くしがちかもしれませんが、基本的にはカーテンを開けて明るさを確保することが望ましいでしょう。体調変化などを的確に確認するためです。
ぬいぐるみやタオル、枕を用意した方が眠りやすい子もいるかもしれません。
しかし、顔に被さるなどの危険性があるため使用は控えましょう。
他にもさまざまな、睡眠環境に関する注意点があります。資料を確認するなどしながら、安全に努めましょう。
睡眠時は仰向けにする
子どもがうつ伏せ寝をすることは危険です。必ず仰向けに寝かしつけましょう。
「1歳まではうつぶせ寝を避けましょう」といわれることがありますが、SIDSは1歳以上の子どもにも起こりうる病気です。
窒息などの恐れもあるため、年齢に限らず、特別な理由がない限りは仰向けにすることが望ましいでしょう。
たくさんいる子どもたちの体位を変えたり、うつぶせ寝でしか眠れない子がいたりして大変かもしれません。
しかし、子どもの命を守るために保育士さんは取り組む必要があるでしょう。
睡眠チェックを行う
睡眠チェックは、決められた時間、またはそれ以上に一人ひとり確実に行いましょう。
0歳児は5分毎、1歳児以上は10分毎に行うようになっています。
確実に行うために、時間起きに音の鳴らないタイマーを設置している保育園もあるようです。
<チェックポイント>
- 名前、顔色、唇の色
- 呼吸音や胸の動きを観察
- 呼吸の仕方を確認
- 体調(体温、発汗、鼻づまり、咳、胸の音など)
- 体位
睡眠チェックを行ったら、必ずその都度記録を取りましょう。
保護者にもSIDSを知ってもらう
保護者にも、SIDSについて知ってもらうことが大切でしょう。
SIDS対策普及啓発用ポスターを掲示するなどして、園全体で認識を高めていくのもよいですね。
出典:事故防止及び事故発生時対応マニュアル— 基礎編 -/大阪市
新卒保育士さんのSIDSチェックで安心安全な睡眠を
乳児突然死症候群(SIDS)について紹介しました。
午睡は、保育士さんがほっと一息つける時間でもあるかもしれません。
しかし、子どもが静かに眠っているからこそ変化が伝わりづらく、危険な場面でもあるでしょう。
SIDSについて認識すること、忙しい中でも確実に睡眠チェックを行い記録に残すことは、子どもの命を守るため、そして保育士さんが今日一日の保育を無事終えるためにも大切なことです。
子どもの命を預かっているという意識を忘れず、新卒保育士として努めていきましょう。